[韓国ゲーム事情#512]MMORPG話題作「R2」の続報 特徴的な機能や要素を紹介
Kimの韓国最新PCゲーム事情#512
MMORPG話題作「R2」の続報 特徴的な機能や要素を紹介(2006/3/30)
Text by Kim Dong Wook特派員
NHN Gamesが3月28日に韓国で発表会を開き,新作MMORPG「R2 - Reign of Revolution」を披露したことは,[韓国ゲーム事情#511]でお伝えしたとおりだ。
その発表会では,R2が,既存のMMORPGとは異なるユニークなコンセプトをベースにしていることが強調されていた。[韓国ゲーム事情#511]では,「スポット」の概念と「同時攻城戦システム」について説明したが,本稿ではスポットについてもう少し詳しく説明するとともに,それ以外の本作の特徴を紹介しよう。
■「スポット」をめぐる戦いがマップの全域で展開
攻城戦の要素を備える既存のMMORPGの多くは,マップの中に少数の城があり,それらの城をめぐってプレイヤー達が争奪戦を繰り広げる。NHN Gamesはスポットの概念について,本作とそれらのMMORPGを差別化するために導入した要素だと説明している。 本作の舞台となるコルポート島は大きく四つの領地に分かれており,さらにそれぞれの領地は30ほどのスポットからなっている。ここでいう「スポット」とは,島を構成するエリアの最小単位だ。 各スポットには,神聖な力を宿す石造建造物「ギルドストーン」が存在しており,この建造物を占領することによって,そのスポットに固有の特別なスキルツリーを獲得できるということだ。 プレイヤー達の究極的な目標はコルポート島の統一であり,その目標に向かって,ギルド同士による協力体制が構築されたり,あるいは裏切りのドラマが展開したりするのだろう。
本作におけるスポットの争奪戦は,コーエーの「三國志」や「信長の野望」での,陣取り合戦に似ているといえる。各領地にそびえる大きめの城では大規模な攻城戦が展開し,それと同時に,それぞれのスポットではギルドストーンの争奪を目指してギルド戦が行われる。つまりマップの全域で,城やギルドストーンをめぐっての戦いが繰り広げられるのだ。 攻城戦で勝利を収めると,民から税金を徴収できるだけでなく,その領地で最も強力なスキルツリーを獲得できる(この点については後で詳しく説明する)。 従来のMMORPGでは,ある程度勢力の大きなギルドでなければ,主体的に攻城戦を行うのは難しかった。しかし本作なら,規模の小さなギルドにもスポットの争奪戦に挑むチャンスがあるし,ギルドが発展すれば,より競争の激しいスポットや,大きな城の獲得を目指せばよいのだ。 ギルド戦は,本作の中心的な要素として位置づけられており,あらゆる層のプレイヤーがギルド戦を楽しめるように工夫されているわけだ。
発表会で上映されたプロモーションムービー(「こちら」)より撮影
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■ギルドメンバー全員で共有する「スキルギルドツリー」
多くのRPGでは,キャラクターごとにスキルツリーが存在し,プレイヤーがそのスキルツリーを発展させることにより,キャラクターに個性が生じる。本作には,ギルドメンバー全員で共有する「ギルドスキルツリー」というシステムが導入されており,個々のギルドメンバーが,金を貯めたりギルドクエストを完遂したりすることによって,そのスキルツリーを発展させることが可能だ。 ただし,ギルドスキルツリーに含まれるスキルの所有権は,そのスキルを獲得するためのクエストをクリアした一人のメンバーにのみ与えられるため,そのメンバーがギルドから脱退すると,該当のスキルは消滅し,ほかのメンバーでさえも使用できなくなる。だからこそ,ギルドメンバー間の結束というものがとても重要なのである。
■ギルドの円滑な運営に役立つ「功名の補償システム」
開発元は,RPGというジャンルにおいて基本とされる要素を,本作に忠実に盛り込もうとしており,RPGのファンにはあまり人気のない職業も含め,“王道”的な職業はすべて用意しているという。 プレイヤーキャラクターが特定の職業に偏らないようにすると同時に,ギルドを円滑に運営したり順調に発展させたりできるシステムとして,「功名の補償システム」が編み出された。
このシステムは,ギルドメンバー達がモンスターなどを倒したときに獲得する経験値の一部をギルドごとに蓄積し,その経験値を,ギルドのリーダーが自らの判断に基づいて,特定のギルドメンバーに“贈呈”できるというものだ。 例えば,非力で敵を直接倒すことはできずとも,補助的な役割で戦闘に貢献しているキャラクターに対して,活躍にふさわしい報酬としての経験値を提供できる。 ただしその仕組み上,経験値の贈呈には公正さが不可欠なので,ギルドのリーダーには,正確な判断とリーダーシップの高さが求められるだろう。逆に,そのような力を持つリーダーが率いてさえいれば,蓄積した経験値を活用してギルドメンバー間の不公平感を緩和し,ギルドを安定的に運営することが可能になると,開発者達は考えている。
■ほかのプレイヤーやモンスターの詳細な情報を表示しない
通常MMORPGでは,戦闘時にほかのプレイヤーやモンスターのレベル,HPのほか,与えたダメージの大きさなどが表示されるが,本作では一切表示されないという。 未知のモンスターなどとの戦闘は手探りで行う必要があり,かなりの緊張を伴うはずだし,仲間と共に戦う場合は積極的な情報交換やチームワークが重要となる。 この方式は,協力し合ってスリリングな戦いを乗り切った仲間達の間に,強い連帯感が生まれることを狙った“仕掛け”であるように感じられる。
■自由度の高さも本作の大きな特徴
そのほかの大きな特徴として挙げられるのは,自由度の高さだ。ここでいう「自由度」とはゲームの広範な要素に関しての自由度であり,例えばキャラクターのレベルにかかわらずあらゆるアイテムを装備したり,すべてのスキルを使用したりできる。また,地形などによってプレイヤーの行動範囲を著しく制限していることもないので,広大なマップを自由に行き来して探検や戦闘を楽しめるのだ。
なお繊細で柔軟な操作を可能とするために,本作では一般的なFPSと同じW/A/S/Dキーでの操作も採用されている。FPSに慣れた人なら,自由自在に移動できるだろう。
■リアルなゲーム画面とアクション性の高さ
本作には,独自に開発されたレンダリングエンジンと物理エンジンが搭載されており,流れる水の質感や太陽に照らされた建物の質感などが,とても写実的に描画される。発表会で公開された港町「ブラックランド」,実り豊かな農村「アッシュボン」などのグラフィックスはとても繊細で美しく,実写とみまがうほどのクオリティであった。
また,アクションゲーム感覚で楽しめることも,本作の重要な開発コンセプトの一つとして掲げられている。 [韓国ゲーム事情#511]でもお伝えしたように,本作を開発しているのは,かつてGAMA SOFTで「R.Y.L 〜Risk Your Life〜」を手がけたスタッフ達だ。R2の開発には,アクション性の高さや“打撃感”の良さで高く評価された,R.Y.Lの開発から得たノウハウが存分に生かされており,スピーディで痛快な戦闘を楽しめる。
■山下康介氏と神奈川フィルハーモニー管弦楽団によるゲーム音楽
コーエーの「信長の野望」シリーズなどの音楽を手がけたことで知られる山下康介氏が,「冒険」をテーマに本作のゲーム音楽を制作。コルポート島の各地域の特徴が表現された20数曲ものBGMを作曲したとのことだ。オリジナルサウンドトラックには,77人もの奏者で構成された神奈川フィルハーモニー管弦楽団による演奏が収録されており,本作の壮大なゲーム世界や戦闘における緊張感などが表現されている。
なお,発表会で入手した本作のプロモーションムービーを4GamerにUpしたので,興味のある人はぜひ見てほしい(記事は「こちら」)。
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