[GC 2006#54]シリーズ最新作「Flight Simulator X」に,ドイツ人フライトシマーが熱中
Microsoftブース
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1979年の初登場以来,30年近くも続いてきたMicrosoft Flight Simulatorシリーズの最新作「Microsoft Flight Simulator X」(以下,FSX)のプレイアブル展示が,もしかしてGC 2006会場で一番広いかもという気がするMicrosoftのブースで行われていた。もっとも,つい最近4Gamerにも本作のデモ版を掲載しているので,それほど驚くべき話というわけではないだろう。デモ版を遊んでみた人も多いはずだ。
ご存じのように,フライトシミュレータをメインでプレイしている人は,いわゆる“ゲーマー”とは若干雰囲気を異にしている。空中戦も爆撃もなく,さらにはフライトアテンダントとの禁断の恋,なんてのもまったくなく,ただひたすら「本物そっくりの手順で飛ぶ」ことを志向し,副読本として空港コード表を読み,航空力学を学び,ILS航法の実際を研究し……,まあ,そんな人ばかりではないだろうけど,ともかく熱中する人は徹底的に熱中するのである。息長くシリーズが続いてきた理由の一つとして,そうしたフラシム好きが集まる数々のコミュニティの存在があるのは間違いない。
2003年の「Microsoft Flight Simulator 2004」(邦題 マイクロソフト フライト シミュレータ 2004 翼の創世紀,以下FS2004)を境に,それまで約2年に1本のペースで登場してきた最新作が途絶え,ファンをやきもきさせてきたのも記憶に新しい。Microsoftの次世代OS「Windows Vista」のローンチタイトルの一つとして今年の1月にその制作が発表されたFSXは,そうした人々の期待の一本なのである。
おそらくその精密感がドイツ人の気風にマッチするのだろう,試遊台には長い列ができ,しかも一人一人が長く遊ぶ。後ろで順番を待っている筆者のことも少しは考えてほしい,というほどじっくり飛ばすのだ。展示されているバージョンは,基本的には公開されているデモ版と同一のようだが,使用できる機体が景気良く数十種類(デモ版では4種類)に増やされて,選び放題。もっとも,機体はFS2004から持ってきてペイントを変えた機体が多く,残念ながら「FSXならでは」の機種はないようだった。
試遊台と同時に,「半球状のスクリーンを使用し,説明員の指示に従いながらアクロバット専用機を飛ばす」という展示も行われており,こちらも大盛況。筆者も説明員に「これまでフライトシミュレータで遊んだことがありますか?」と聞かれ,「Flight Simulator Version 4」の頃からの筋金入りのフライトシマーである,と答えた直後に飛行機を失速させて墜落してしまったのはここだけの秘密である。アクロバット機を失速させるのは,なかなかできることではないので,その点は自分でも偉いと思う。なにやってんだか。
グラフィックスに関して言えば,正直,前作とさほど変わりはない印象だ。木立やオブジェクトのリアルさやごちゃごちゃ具合は向上しているが,劇的と言えるかどうかは微妙である。もっともこれは,このFSXが新しいDirectXで最大限の実力を発揮するようにチューンされているせいでもあるだろう。DirectX 10のリファレンスとして,DirectX 10に採用される新技術をふんだんに使っており,その実力を遺憾なく発揮するのはWindows Vistaの登場以降ということになると思う。 フライトモデルは,さすがに長い経験を持つシリーズだけに良好で,飛翔感は抜群。また,ユーザーインタフェースも前作までとほぼ同一で,フライトシマーなら簡単に飛ばすことができるだろう,と,さっき墜落した私が言っても説得力はないのだが。
ちなみにこの2点は,DirectX 10利用時のイメージ。DirectX 9を利用しているときとはまるで印象が異なる
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すでに書いたように,もともとWindows Vistaの登場と一緒にリリースされる予定だったFSXだが,Vistaの発売が大幅に遅れたせいで,とりあえずヨーロッパ地域ではこの10月始めに発売されることになっている。日本のフライトシマー諸君もお楽しみに。(松本隆一)
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