YNK JAPAN,「R.O.H.A.N」で不正を行っていたGMを処分
YNK JAPANは,MMORPG「R.O.H.A.N」公式サイトに11月7日付けで,「社内GMによる不正行為について」と題したインフォメーションを掲載した。
それによると,R.O.H.A.NのGM(当時)の一人が,GMツールとプライベートアカウントを併用し,「ラコンダンジョン」2Fでボスモンスターを不正に狩っていたことが,2006年11月4日5:18AMに判明したという。 これは,不正行為を目撃したプレイヤーからの報告に応じる形で調査が行われた結果判明したもので,報告から判明に至るまでにかかった時間はわずか数分だったそうだ。 YNK JAPANでは,即座に該当者のプライベートアカウントを永久凍結するとともに,GMとしての任を解いたとのことである。
R.O.H.A.Nは11月1日に月額課金制の正式サービスを開始し,現段階でオープンβテスト時の1〜2割のプレイヤーを獲得しているようだ。またさらに,新規プレイヤーに対して3日間の無料プレイ期間が設けられていることもあり,1日あたり500近くの新規ID登録があるという。まずまずの滑り出しを見せているR.O.H.A.Nだが,ここで味噌が付いてしまった格好だ。
この不正行為で疑問に思うのは,元GMがボスモンスターがドロップするレアアイテムを,現金収入を得るべくアンダーグラウンドで売却しようとした,あるいはしていたのではないかという点。これについて,YNK JAPANに問い合わせたところ,現在調査中とのことだった。
昨今,GMによる不祥事が話題となることが多い。もちろんそのほとんどは,刑事事件にまで発展したガンホー・オンライン・エンターテイメントの職員(当時)による一件についてである。だが,オンラインゲーム市場の拡大と同時に,オンラインゲームを運営する企業そのものに,多くの注目が集まっているのは事実だろう。 そんな状況下で,YNK JAPANでもこういった事例が起きてしまったことは,R.O.H.A.Nのプレイヤーからの信用を失うだけでなく,業界全体のイメージ低下にもつながりかねない。今回のYNK JAPANの対応は迅速で,しかもそれを大した時間をおかずに“公表”した姿勢は評価できるが,「またGMか!」という思いはぬぐいきれない。
日本だけでも,これだけ多くのオンラインゲームが運営されている現在,GMの総人口もそれなりのものになってきている。当然,そのほとんどは担当するゲームを愛し,プレイヤーのために職務を執行しているはずだ。実際に不正行為に手を染めるGMなど,「ほとんどいない」と言っても間違いはないだろう(そうであってほしい)。 しかし,たとえ1万人に一人であろうと,不正を行う者がいれば,多くの人はGM全体を白い目で見てしまうのだ。だからこそ,YNK JAPANのみならず,オンラインゲームを運営する各社にとって,GMのモラル向上のための施策は急務であると言える。もちろんそれ以前の問題として,採用段階における選考基準も重要になるのだが。
GMだけに限った問題ではなく,オンラインゲーム市場の急激な拡大と,供給タイトル数の急増に対して,業界として優秀な人材の確保と育成が追いついていないという問題もある。 一方で,GMという職種がプレイヤーと直に接するという重責を持つにもかかわらず,オンラインゲーム会社によっては,低賃金で長時間労働を強いられていたり,“いくらでも替えは利く”ポジションとして扱われたりしているケースもある。「労多くして功少なし」では,モラルを持って職務に当たろうという意欲を失ってしまう人が出てきても不思議ではないだろう。もちろん,それが不正行為をするうえでの免罪符になどなりはしないのだが……。 こういったことから,今回のようなケースはYNK JAPANだけでなく,オンラインゲームを運営している各社において,いつ発生してもおかしくないと推察でき,またそれが事実なら,業界全体にとって非常にゆゆしき事態である。オンラインゲーム市場の健全な発展のために,何が必要なのか。これこそが今,業界全体で考え,取り組んでいかなければならない問題である。(TeT)
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