「ラグナロクオンライン」2007年度新プロジェクト発表会を実施
ガンホー・オンライン・エンターテイメントは本日(11月13日),MMORPG「ラグナロクオンライン」(以下,RO)の2007年度新プロジェクト発表会を,品川のストリングスホテル東京で行った。
実際の発表内容は,すでに「こちら」でもお伝えしているが,主に,今冬の導入が予定されている「アイテム販売」に関するものであった。アイテム販売の初回ラインナップ,平均価格,各アイテムの効果や試用期間といった詳細については,現在開発元と調整中のため,まだ発表できないということだが,とりあえず大きく分けて以下の5ジャンルが予定されている。
・ステータスアップ系:すでに実装されている「料理アイテム」と同様,一時的にステータスが向上 ・経験値増加系:一定時間,獲得経験値が増加 ・利便性向上系:デスペナルティの無効化,スキルリセット,戦闘不能時にその場での復活が可能,など ・精錬成功率アップ系:武器,防具の精錬時に成功率が向上 ・スキルスクロール:既存のウィザードのスキルスクロールと同様,主にプリーストの支援スキルがほかのクラスでも使用可能に
とくに「利便性向上系アイテム」に関しては,リリースには掲載されていない「どこでもカプラ倉庫を召喚できる」「パーティのリーダーが使用することで,メンバー全員を一緒にランダムテレポートさせる」「ボスキャラの次回出現時間が分かるタイマー」などの機能を持つアイテムの存在が,この発表会で明らかにされた。武器や防具の取り扱いについては,開発元と協議するとのことで今回具体的な発表はなかった。これらは「取り扱う」「取り扱わない」で,ゲームバランスに大きな影響を与えかねないアイテム(ジャンル)であり,多くのプレイヤーが気にしているところだ。行うのであれば,できる限り早急な情報公開を望みたい。
アイテムの購入方法は,まず「Shop Point」をチャージし,ゲーム内でNPCから購入するシステムとのこと。なお,これら販売アイテムはUrdrサーバでも使用可能だが,プレイヤー間でのトレードは行えない。
同社の代表取締役社長 森下一喜氏は,このアイテム販売について「アイテム課金ではなく,現在の月額料金とは別途行う,プラスアルファのアイテム“販売”です」と,アイテム課金制への移行ではないことを,たびたび強調(確かに誤解されては困る部分だろうが……)。また,「アイテムを買わなければROで遊べない,楽しめなくなる,というものではない」と述べた。 森下氏は昨今のMMORPGによく見られる,アイテム課金スタイルとの違いを強調すると共に,このアイテム販売導入の主な目的を「コミュニケーションとコミュニティの拡大」と説明。正式サービス開始から4年めを迎えるROでは,古参プレイヤーと新規プレイヤーの間にあるレベル差や,所持アイテムの格差を埋めるのが難しく,この格差がそのままコミュニティとコミュニケーション形成の壁にもなっているという問題を指摘した。せっかく新規プレイヤーがROを始めても,なかなか埋まらないレベル差ゆえに,既存のコミュニティに入れない,あるいは仲間と一緒にROを楽しめないという問題を現状抱えているわけだ。
また,プレイヤー全体のレベル分布図を見ると,初級・中級プレイヤーと一部上級プレイヤーのライン引きになっているのが,レベル75前後なのが分かるだろう。森下氏はこのデータをもとに,「プレイヤーの中には,一つのキャラクターがレベル75前後になると,育成に疲れて,また新しい職業のキャラクターを一から育て始るという人も多い。ブースト系アイテムは,初級者は中級者へ追いつくという目的,中級者はさらに上を目指すという目的を補助するので,これが結果としてROのユーザーコミュニティの拡大に繋がる」と述べた。 会場からは,ブースト系アイテムの販売はコンテンツの消費を早めるのでは? と懸念する声も出たが,これに対して森下氏は「今回のアイテム販売は,ROのオンラインゲームとしての寿命を縮めるものとは考えてない。ROの本質は先に述べたとおりコミュニティにあり,アイテム販売は高レベルプレイヤーとビギナーが一緒に遊べる,居心地の良い空間を作るための導入です」と回答した。
この後,制作担当の廣瀬高志氏より,不正対策の現状と今後についてが語られた。これまでも同社は,nProtectや新規ID登録時のひらがな認証導入,取り締まり専任チーム結成などの活動は実施してきている。もちろん開発/運営側と,不正行為に手を出す悪質なプレイヤーの間では,常にイタチごっこが行われているわけだが,実際には相次ぐアカウントハック,アイテムデュープ,BOT問題などを,一般のプレイヤーが納得できるレベルで防ぎきれていないのが現状だ。 廣瀬氏は今後の具体的な対策として,より一層の取り締まり強化は当然ながら,キャラクター名に表示されない改行コードなどを入れた新規キャラクター作成をできなくする処置,海外からのアクセスの制限,また「キャラクターパスワード」の導入を発表した。 すでに海外のROでは,倉庫からアイテムを引き出すときにパスワードを求めるシステムが実装されているものの,これではキャラクター自身が所持する装備品などは,アカウントハックから守りきれない。キャラクターパスワードが実装されれば,ROへログイン後,さらにキャラクターセレクト画面でキーの入力が必要となり,自動ログインの防止にも有効となる。なお,パスワードはアカウントごとやサーバーごとではなく,キャラクターの一つ一つに別個に付けられるというものだ(もちろん任意なので,面倒であれば全キャラクターに同じパスワードでも構わない)。 また,なかなか痕跡を掴みにくく,RMT問題と結びつきやすい倉庫キャラクターに関して,今後は捜査の拡張を行うとのことだが,これに関する詳しい対策などは発表されなかった。
そのほかの細かな新情報を,まとめてお伝えしよう。まず,予約がすでに始まっている「ラグナロクオンライン アニバーサリーパッケージ」に同梱される,シークレットアイテム「天使の忘れもの」の外観が公開された。見た目は既存の頭装備「天使のヘアバンド」に似ているが,パタパタと羽ばたくモーションが特徴だ。またゲーム内システムでは,既存のアイテムに対して,スロットを付与できる「スロットエンチャント」の1月実装を予定している。 そのほか,会場では「ラグナロクオンラインII」のムービーが流れ,「もしや最新情報が?」と一瞬期待させてくれたのだが,2007年度以降サービス予定ということだけで,これといった情報はなかった。「Episode 6.0」についても同様で,実装についてはまだ公開できる時期ではないということであった。
「ラグナロクオンライン」2007年度新プロジェクトの発表と銘打ってはいるが,発表の中心はアイテム販売に関して。そのほかの内容については,既報または「ROファンにとっては予測できるスケジュールの発表」といったものが多かった。 もちろん,多くのROプレイヤーが望んでいた不正対策での進捗も,キャラクターパスワードの実装など,具体的な形で見られた。ただ,冒頭で森下氏が述べた「ROの正式サービスを始めた頃と違い,今では200近いオンラインゲームのタイトルがあり,新企業・外資系企業の参入もある。その中で日本最大級のMMORPG,オンラインゲームの代名詞としてROはあり続けたい」という言葉の割には,少々物足りなさも感じられる発表会であった。(ライター:麻生ちはや)
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