[韓国ゲーム事情#672]「RO2」第2次クローズドβテストレポート
Kimの韓国最新PCゲーム事情#672
「Ragnarok Online 2」の第2次クローズドβテストを通じて分かったこと(2007/3/5)
Text by Kim Dong Wook特派員
MMORPGの期待作「Ragnarok Online 2」(以下,RO2)の第2次クローズドβテストが,2月23日から28日までの間実施された。 当初は27日まで行われる予定だったが,初日にサーバーに問題が見つかり,予定の時刻よりも早く終了したため,その補償として1日延長されることになったのだ。
今回のテストには,あらかじめ選ばれた1万人のテスターと,500店以上のGravity公認PC Bang(ゲームに特化したインターネットカフェ)の来店者が参加できた(関連記事)。このことから参加者数の合計は,1万5000〜2万人ほどになったと考えられる。
それでは,第2次クローズドβテストで判明したことや,前回のテストから変わった部分などを紹介していこう。
■テスターの再接続率は80%以上
前作「ラグナロクオンライン」(原題 Ragnarok Online)は,全世界での累積会員数が4000万人を超えるビッグタイトル。そのためRO2は,日本をはじめとする海外でも注目を集めている。
第1次クローズドβテストでは,カスタマイズ性の高いキャラクター作成システム,武器成長システム,柔軟性の高い転職システムといった要素の検証が行われたのに対し,今回は,サーバーのストレステストに重点を置いたものとなった。 とはいえ,本作のもう一つの世界「ルーンミッドガッツ島」の首都である「プロンテラ」や,そのほかのシステムを体験することもできた。
前述のとおり,テスト初日はサーバーが不安定になっていたが,それ以降は問題なく接続できた。Gravityの発表によれば,第2次クローズドβテストでの再接続率(一度プレイした人が再度サーバーにログインする割合)は80%以上とのことで,これは,十分な量のコンテンツが用意されていたからだろう。 とくに今回のテストでは,菅野よう子さんによるBGMが10曲も追加されており,これらの曲が印象に残っているとする参加者が多いようだ。
■カスタマイズ性の高いキャラクター作成システム
RO2では前作同様,可愛らしいキャラクターを作成できる。RO2ではグラフィックスが3Dになっているが,前作のキャラクターが持つ魅力を損なうことなく,キャラクターがより緻密に描かれることを実感できた。
特筆すべきはカスタマイズ性の高さ。キャラクターの作成時に,髪の毛の色(32色),髪形(11種類),眉毛の形(5種類),目の形(6種類),瞳の色(32色)などを選べるので,顔だけでもさまざまなタイプを作れるわけだ。 さらに,頭,胴体,腕,足などに武器/防具やアクセサリを装着して個性を出せるので,外見の同じキャラクターと出会うことはほとんどないだろう。 また,42種類のエモーションと,1種類のダンスが用意されており,キャラクターが人間味のある動作を行う様子を楽しめるという。
このキャラクター作成システムと,豊富なエモーション/ダンスにより,自分のキャラクターに対して強い愛着を感じられるのではないだろうか。
■“住民登録証”を連想させるユーザーインタフェース
今回のテストでは,ユーザーインタフェースに大きな変更が加えられ,キャラクターのステータスやマップ,装備しているアイテム,スキル,クエストといった,ゲームを進めるうえで必要不可欠な情報がすっきりと配置されている。 情報検索機能も用意されているが,その操作方法はやや複雑に感じられた。 新しいインタフェースには,キャラクターの名前や外見,HPやSPなどの値がまとめられており,これは,韓国の人々が持っている“住民登録証”を髣髴(ほうふつ)させるものだ。
■RO2の世界で展開する壮大なストーリー
RO2には,400字詰め原稿用紙で数万枚にも及ぶ膨大なシナリオが用意され,種族間の対立や葛藤などが描かれるという。壮大なストーリーがさまざまなクエストの中に織り込まれており,クエストをプレイしていくことで,RO2の物語を読み進めていけるわけだ。
例えば,ホドミメス村のNPC「シェルピ」から請け負う「ザルコ引き離し作戦」は,シェルピに思いを寄せる鍛冶屋の「ザルコ」(NPC)に,彼女を諦めさせることが目的のクエストだ。しかしこのクエストでは,最初はザルコを嫌っていたシェルピが,やがて彼の一途な思いを受け入れるまでのストーリーが展開する。
また,「愛の妙薬作り」は,キャラクターがレベル19以上になると,プロンテラの掲示板で受けられるクエスト。愛の妙薬を作るための材料を探し求めるうちに,プロンテラ道具店のNPC「マグネット」が,愛する人の存在を少しずつ認識していく過程が描かれる。
ここで紹介したクエストは,現時点でRO2に用意されているクエストのごく一部に過ぎないが,これらのように,NPC同士のさまざまな人間模様などを描いたものも多数用意されているのだ。
■ホドミメス村からプロンテラ村へは船で移動
前回のテストの舞台となっていた「ホドミメス群島」は,今回のテストで大幅に修正され,細部までに緻密に表現されていた。また,今回新たに公開された「ルーンミッドガッツ島」には,首都であるプロンテラを中心に,沼地などのエリアが広がっており,ホドミメス群島とは対照的に陰鬱な雰囲気が漂っていた。 なお,ホドミメス村からプロンテラへの移動には,ワープではなく船を利用する。
そのほかに,時間や天候の変化に伴い,背景が変化していく様子が表現されており,眺めているだけでも楽しめるのではないだろうか。
■FPSライクな戦闘システムや ■コミュニティの強化を目指す各種システム
先日お伝えしたように,RO2では,W/A/S/Dキーで前後左右に動き,マウスで向きを変えるというFPSライクな操作方法が採用されている。攻撃スキルは数十種類用意されており,上記の方法で常に移動しつつ,さまざまなスキルを活用するという,アクションゲームさながらの戦闘が楽しめるわけだ。
今回のテストでは,パーティプレイシステムが実装されている。これは,5人までのキャラクターでパーティを組めるもので,戦闘や,クエストのクリアで得られる経験値が通常よりも多くなる。 今回公開されたプロンテラには,前回のテストには登場しなかったより強いモンスターが登場したが,パーティを組むことで,これらのモンスターとの戦闘が有利に進められるため,とても楽しめたというプレイヤーが多かった。
また,同じく今回のテストで実装されたメールシステムは,文字どおりプレイヤー同士がメールをやり取りできるシステムだが,メールだけでなく,ゲーム内マネーやアイテムを添付して送信できる。RMTに利用されるのではないかという心配もあるが,コミュニティ性を高めるという意味で注目すべき要素の一つだろう。
現時点でのRO2の完成度は,なかなか高いといえるのではないだろうか。本作に対する注目度は韓国よりも海外のほうが高いが,MMORPGというジャンルに対して厳しい目を持つといわれる韓国のプレイヤーにアピールしていることは,大きな意味があろう。 とはいえ,RO2関連のコミュニティや,個人ブログに書かれている参加者達の意見を見る限り,彼らが不満に感じている点も少なからずあるようだ。
まず目につくのは,操作方法についての不満だ。前作とは異なる,主にキーボードで移動する方式を不便だと指摘する人はかなり多い。 Fキーを押すことで「自動攻撃」を行えるが,攻撃の途中で画面の向きを変えると,攻撃が中止されてしまう点は惜しいという声も聞かれる。 もちろんこれは,「World of Warcraft」をプレイしたことのある人には馴染み深い方式だが,そうでない人には受け入れにくいものであるようだ。
RO2でモンスターを倒すと,前作と同じ効果音が聞こえる点や,プロンテラ,「カプラ」などの存在は,前作を遊んだ人にとって懐かしさを感じる要素となっているようだが,前作のシステムを取り入れたりして,前作とのつながりをさらに強めてほしいという意見も散見される。 例えば,より個性的なキャラクターに育てられるよう,前作のように,ステータスを柔軟に上げられるようにしてほしいという要望などだ。
また,「RO2には,確かにさまざまなシステムが用意されているが,RO2ならではといえる独創的なシステムはない」という声もある。システム的な特徴に限らず,コミュニティを強化するための“特別な何か”を盛り込んでほしいとの意見だ。
今回のテストについて,RO2の総括プロデューサーを務めるPark Young Woo氏は,「ストレステストに重点を置いたので,ネットワーク関連の難しい問題も生じましたが,ともあれテストの参加者に感謝しています」とコメントしている。 今後は,モンスターをクリックするときの不具合や,クエストの不足,カメラに関連する問題など,今回のテストで見つかった不具合の修正を進めていくとのことだ。
今後の修正や改良,新要素の追加を経て,前作の名声を引き継ぐ世界的なオンラインゲームとなることを期待したい。
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ラグナロクオンライン2 -Episode:0 巡りあう大地- |
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