Radeon HD 2900&DX10正式サポートの「Catalyst 7.5」リリース
AMDは,ATI RadeonファミリーのGPU,もしくはグラフィックス機能統合チップセット向けグラフィックスドライバ「ATI Catalyst」の公式最新版「ATI Catalyst 7.5」(以下Catalyst 7.5)を公開した。すでに4Gamerの最新ドライバページではリンクを更新してあるので,すぐに入手したい人はそちらを利用していただきたい。
2007年5月分のアップデートとしてはギリギリのタイミングとなる,北米時間5月31日公開と相成った最新版だが,今回のトピックはもちろん,「ATI Radeon HD 2900 HD」のサポートが追加されたことだ。 興味深いのは,ただ単に対応しただけでなく,「ATI Radeon HD 2900 XTのDirectX 10サポートが含まれる」(※原文は「This release of Catalyst introduces the ATI DirectX 10 driver for the Radeon HD 2900 XT.」)とされている点である。これは,シングルカードとCrossFire構成の両方で有効という。4Gamerでは先に,DirectX 10対応タイトル「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」とATI Radeon HD 2900 XTの組み合わせで正常に動作しなかったことをレポートしているが,Catalyst 7.5によって(少なくともいくらかは)解決を見るようだ。 ……「これまで対応していなかった」ことには驚くほかないわけだが。
さて,恒例のパフォーマンス向上としては,以下の2点が挙げられている。どちらもかなり特殊な条件下におけるものなので,実際のゲームプレイ時に体験するのは難しそうだが,いずれにせよ,OpenGL周りの改善が進んでいるという理解でよさそうである。- 「ATI Radeon X1950 XTX」搭載環境で,1920×1200ドット以上の高解像度でアンチエイリアシング&異方性フィルタリングを有効化したとき,「DOOM 3」「Quake 4」は13〜18%,「Prey」は最低15.6%
- 「ATI Radeon X1950 Pro」および「ATI Radeon X1650 XT」搭載環境で,高解像度時(※詳細不明)にアンチエイリアシング&異方性フィルタリングを有効化すると,DOOM 3とQuake 4で最大14.1%
このほか以下のとおり,複数のバグフィックスが進んでいる模様。未解決の主な問題はその下にまとめたので,併せて参考にしてほしい。
●Catalyst 7.5で解決した主な問題(Windows XP)- 「Call of Duty」の実行時に,ゲームとWindowsデスクトップでタスクの切り替えを行うと,エラーメッセージが表示される問題(この問題はWindows Vista環境でも確認されていた可能性がある)
- 「ATI Radeon X1270/X1250/X1200」グラフィックス統合チップセット環境で,解像度を1600×1200ドットに指定すると,「Just Cause」のオープニングデモが実行されない問題
- 「ATI Radeon X1900」のCrossFire構成時に,Windows XPの再起動を行うと,再起動前に行ったアンチエイリアシング設定がクリアされてしまう問題(この問題はWindows Vista環境でも確認されていた可能性がある)
- グラフィックスドライバをアンインストールしたときに,いくつかのファイルが削除されずProgram Filesフォルダに残ってしまう問題
●Catalyst 7.5で解決した主な問題(Windows Vista)- DOOM 3とQuake 4を実行して,ゲーム側の描画設定にある「Video Quality」を「Medeium」,ディスプレイ解像度を1024×768ドットに指定し,アンチエイリアシング&異方性フィルタリング設定を有効化すると,画面表示がおかしくなる問題
- 「IL-2 Sturmovik: The Forgotten Battles」を実行して,ゲーム側のハードウェア設定から「landscape detail」設定を「perfect」(※編注:2か所の括弧内,原文ママ)に指定すると,水テクスチャの表示がおかしくなる問題
- 「LEGO Star Wars II: The Original Trilogy」で新規にゲームを開始すると,画面表示がおかしくなる問題
- 「ATI Catalyst Control Center」(以下CCC)の「Advanced View」にある「3D Preview」を表示させたままQuake 4もしくは「Serious Sam」を実行すると,OSが反応しなくなる問題
- 特定のハードウェア構成において,ATI Catalystのアンインストール時に致命的なエラーが発生したというエラーメッセージが表示される問題
- CCCの「Color aspect」を表示させたままユーザーを切り替えると,特定のハードウェア構成においてカラーコントロールを行えなくなる問題
- CCCからCrossFireを有効化すると,「3D」の「More Settings」にある「Triple Buffering」が自動的に有効化され,同時に「Support DXT texture format」が自動的に無効化される問題
- ATI OverDriveが有効に機能しなかった問題
- 「WinDVD 8」を利用して,ビデオ再生時のハードウェアアクセラレーションを有効化すると,ビデオ再生時に画面表示がおかしくなる問題
●Catalyst 7.5で未解決の主な問題(Windows XP)- 「Armed Assault」を実行すると,「Handle count leak」(※原文ママ。Handle Countが増加し続けてメモリリークが生じ,ゲームもしくはOSがハングアップすることを指していると思われるが詳細は不明)が発生する
- 特定の「ATI Radeon X1800」シリーズ搭載製品を用いたCrossFire環境で,アンチエイリアシング設定を有効化して「Homeworld 2」を実行しようとすると,起動に失敗する
- 特定のATI Radeonファミリー搭載製品が搭載された環境で,異方性フィルタリングを有効化して「Neverwinter Nights: Shadows of Undrentide」をプレイすると,画面表示がおかしくなる
- 「Star Wars Knights of the Old Republic II: The Sith Lords」のゲーム側描画設定で「Low Settings」を選択すると,画面表示がおかしくなる
- CrossFire環境で「WinDVD 7」「Windows Media Player」「PowerDVD 6」を用いてビデオ再生を行うと,画面表示がおかしくなる
- 日本語(もしくは中国語)版CCCからリリースノートを開こうとすると,ブランクページが表示される
- 特定のハードウェア構成で「Prey」をプレイし,ヘルスパックの上の遠くからホバリングする(※おそらくソウル状態でヘルスパックの上をホバリングすることを指していると思われる)と,画面表示がおかしくなる
- Catalyst Control CenterのATI OverDrive設定が,個人アカウント(※原文は「individual account」。管理者権限以外のアカウントのことではないかと思われるが詳細は不明)になっていると保持されない。これはWindows Vista環境でも生じる可能性がある
- ATI Radeon HD 2900 XT搭載環境で,ハードウェアアクセラレーションを有効化して特定のDVD-Videoタイトルを再生すると,画面表示がおかしくなる
●Catalyst 7.5で未解決の主な問題(Windows Vista)- Homeworld 2のゲーム内オプションをデフォルトのままゲームをプレイすると,画面表示がおかしくなる
- Neverwinter Nights: Shadows of Undrentideで,ゲーム内の「Shiny Water」オプションを有効化できない
- 「NHL 07」で,ゲーム内オプション設定を適用できない
- ATI Radeon X1900シリーズ搭載環境で「X-Plane」(※バージョン不明)を実行すると,画面表示がおかしくなる
- S3ステートからの復帰に,かなりの時間を要する
- グラフィックスドライバとCCCをインストールしても,「プログラムの追加と削除」にリストアップされない
- 「Avivo Video De-interlacing」設定を「auto」「motion adaptive」「vector adaptive」に指定すると,メニューなどDVD-Videoの一部機能を利用できなくなる
- アナログCRTディスプレイを接続していると,1680×1050/1800×1440/1920×1080/1920×1200ドットの画面解像度を選択できない
- グラフィックスドライバのアンインストール時に不要なファイルのすべてを削除できない
今回もバグフィックスの内容が多いため,すべてを紹介し切れているわけではない。このほかにもCCCやディスプレイ周りの問題点が多数解決しているので,Catalyst 7.4を使っていて,日常使用で何かしらの問題を抱えていたのであれば,導入する価値があると思われる。もちろん,ATI Radeon HD 2900 XTを使っている人にとってはようやくの登場となった公式ドライバスイートなわけで,問答無用でアップデートしておくべきだろう。 ドライバのアップデート作業は自己責任となるが,「どれをダウンロードすればいいか」については最新ドライバページに記しておいたので,ハードルの高さを感じている人はぜひそちらを見ながら進めてほしい。きっと大きな問題にはならないはずだ。(佐々山薫郁)
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