Dell,一般ユーザー向けノート&デスクトップPCを一新
Dellの日本法人であるデルは,新しいブランド戦略「YOURS IS HERE」を発表。これまでよりも個人ユーザーにフォーカスしていくとし,その第1弾として,個人ユーザー(コンシューマ)向けとなるノートPCおよびデスクトップPCを一新した。今回は,ゲーマーにとってもなじみ深いと思われるDellの“何が変わるのか”を中心に,お伝えしたいと思う。
YOUR IS HEREのコピーをアピールするスライド
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発表会では,デルのクライアント製品マーケティング本部,本部長の中島耕一郎氏が壇上に立ち,Dellの過去のラインナップを振り返りつつ,「日本における,さらなる発展を目指しInspironとXPSブランドを強化する」と,今回の新製品の意義を強調。 さらに同氏は,YOURS IS HEREというDellの新たなキャッチコピーを披露し,「ユーザーのニーズを素早くキャッチし,それに応える製品を投入していく」と述べた。
続いて,同社のクライアント製品マーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャー松尾圭介氏から各製品の紹介が行われたが,具体的な発表に先立って,個人ユーザー向けPCブランドの変更が明らかにされた。 ご存じの読者も多いだろうが,Dellの製品は従来,個人向けとビジネス向けの両方にInspironおよびDimensionブランドが存在し,棲み分けが今ひとつ分かりづらい状況になっていた。
そこで2007年7月以降は,Inspironシリーズが個人向けに特化したブランドとして切り替えられるとのことだ。それに伴い,Dimensionシリーズの個人向けは終了する(ただし,当面の間,「Dimension 9200」のみ販売が続けられるとのこと)。 この変更の結果,個人向けPCは,一般向けのInspironと高級志向のXPSで,ビジネス向けのブランドと重ならない2種類に絞り込まれることになる。ブランド名を整理して分かりやすくすると同時に,「ターゲットをはっきりさせることで個人向けPC市場の強化を行う」(松尾氏)という狙いだ。
中島耕一郎氏(デル クライアント製品 マーケティング本部 本部長,左)と松尾圭介氏(デル クライアント製品 マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャー,右)
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■8色の天板で野暮ったさを払拭するInspiron ■Santa Rosaベースで,BTOオプションには8600M GTも
というわけで,新ブランド戦略の旗手となるのが,フルモデルチェンジされたノートPCシリーズ,Inspironである。 従来のInspironは,ホワイトとシルバーの2色をあしらった樹脂製ボディーの,野暮ったいというか,コスト最優先の普及型デザインというか,そういったイメージがあったが,今回発表された「Inspiron 1720」「Inspiron 1520」「Inspiron 1420」は,まずBTOオプションとして天板の色が8色から選択可能となり,マイクロサテン処理によって指紋が付きづらくなっているという。さらにボディはマグネシウム合金となり,フルモデルチェンジという言葉にふさわしい変化が見られる。
左からInspiron 1720,Inspiron 1520,Inspiron 1420
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1520&1420は,[Enter]キーの右にもキーが配置されるタイプで,若干人を選びそうだ。なお,1720はテンキーを用意する
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時期的に当然かもしれないが,チップセットは3モデルともMobile Intel GM965 Expressを搭載。IEEE 802.11nドラフトに対応する無線LANコントローラを選択できるなど,(BTO構成によってはもちろん非対応となるが)「Santa Rosa」ベースの第4世代「Intel Centrino Processor Technology」に対応できるようになっている。また,BTOのオプションとしては,Blu-rayドライブを選択できるほか「Intel Turbo Memory」(容量1GB)が2007年8月以降に追加予定という。
●Inspiron 1720の主なスペック(BTO選択肢を含む)- CPU:Celeron M 540/1.86GHz,Core 2 Duo T7100/1.80GHz,Core 2 Duo T7300/2GHz,Core 2 Duo T7700/2.40GHz
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM 1,2,4GB(いずれもデュアルチャネル)
- グラフィックス:チップセット内蔵,GeForce 8400M GS(グラフィックスメモリ128MB),GeForce 8600 GT(グラフィックスメモリ256MB)
- HDD容量:80,120,160,250GB(回転数5400rpm)
- 光学ドライブ:DVDコンボ,DVD±RW,Blu-ray
- 有線LAN:100BASE-TX
- 無線LAN:IEEE 802.11 a/g,IEEE 802.11 a/g/n
- 液晶ディスプレイサイズ:17インチワイド
- 液晶ディスプレイ仕様:1440×900ドット/ノングレア,1440×900ドット/グレア,1920×1200ドット/グレア
- OS:Windows Vista Home Basic,Windows Vista Home Premium
- サイズ:394(W)×293(D)×39/44(H)mm
- 重量:3.45kg
- 最小構成価格:10万5000円(税込)
●Inspiron 1520の主なスペック(BTO選択肢を含む)- CPU:Core 2 Duo T7100/1.80GHz,Core 2 Duo T7300/2GHz,Core 2 Duo T7500/2.20GHz
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM 1,2,4GB(いずれもデュアルチャネル)
- グラフィックス:GeForce 8400M GS(グラフィックスメモリ128MB),GeForce 8600 GT(グラフィックスメモリ256MB)
- HDD容量:80,120,160GB(回転数5400rpm)
- 光学ドライブ:DVDコンボ,DVD±RW,Blu-ray
- 有線LAN:100BASE-TX
- 無線LAN:IEEE 802.11 a/g,IEEE 802.11 a/g/n
- 液晶ディスプレイサイズ:15.4インチワイド
- 液晶ディスプレイ仕様:1280×800ドット/ノングレア,1280×800ドット/グレア,1440×900ドット/グレア,1680×1050ドット/グレア
- OS:Windows Vista Home Basic,Windows Vista Home Premium
- サイズ:358.7(W)×269(D)×37.3/45(H)mm
- 重量:2.88kg
- 最小構成価格:11万6550円(税込)
●Inspiron 1420の主なスペック(BTO選択肢を含む)- CPU:Celeron M 540/1.86GHz,Core 2 Duo T7100/1.80GHz,Core 2 Duo T7300/2GHz,Core 2 Duo T7500/2.20GHz
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM 0.5,1,2,4GB(512MB以外はいずれもデュアルチャネル)
- グラフィックス:チップセット内蔵,GeForce 8400M GS(グラフィックスメモリ128MB)
- HDD容量:80,120,160GB(回転数5400rpm)
- 光学ドライブ:DVDコンボ,DVD±RW,Blu-ray
- 有線LAN:100BASE-TX
- 無線LAN:IEEE 802.11 a/g,IEEE 802.11 a/g/n
- 液晶ディスプレイサイズ:14.1インチワイド
- 液晶ディスプレイ仕様:1280×800ドット/ノングレア,1280×800ドット/グレア,1440×900ドット/グレア
- OS:Windows Vista Home Basic,Windows Vista Home Premium
- サイズ:333.5(W)×244(D)×32.1/38.9(H)mm
- 重量:2.45kg
- 最小構成価格:8万1900円(税込)
■高付加価値路線モバイルノート「XPS M1330」 ■デザインを一新したデスクトップ版Inspironも
XPS M1330。LEDバックライトタイプ液晶ディスプレイを採用したときの最薄部22.1mmは(このサイズ帯のノートPCとして)世界最薄と謳う
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同社のハイエンドブランド「XPS」の名を冠する新しいモバイル向けノートPC「XPS M1330」も同時に発表された。
同製品は「XPS 1210」の後継となる13.3インチワイド液晶搭載モデル。筐体にはマグネシウム合金が使用され,パームレスト部にはヘアライン加工が施されるなど,上質さをアピールする印象になっている。天板のカラーはブラック,パール,レッドの3色から選択可能だ。 XPSらしいところは,液晶ディスプレイのBTOオプションとして,一般的なCCFLバックライトタイプに加え,LEDバックライトタイプも用意されているところ。また,モバイル向けにフォーカスしながら,最低限の3D性能を追加できる「GeForce 8400 GS」(グラフィックスメモリ128MBが用意されているあたりや,2007年8月以降に容量32GBのSSDが追加される予定となっているあたりも,高級機らしいところだ。重量が1.8kgだったり,ノングレア(非光沢)液晶が選択肢になかったりするのは,国内のモバイルノートPC市場を見渡すと少々微妙だが。
●XPS M1330の主なスペック(BTO選択肢を含む)- CPU:Celeron M 540/1.86GHz,Core 2 Duo T7100/1.80GHz,Core 2 Duo T7300/2GHz,Core 2 Duo T7500/2.20GHz
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM 1,2,4GB(いずれもデュアルチャネル)
- グラフィックス:チップセット内蔵,GeForce 8400M GS(グラフィックスメモリ128MB)
- HDD容量:120,160GB(回転数5400rpm) 160,200GB(回転数7200rpm)
- 光学ドライブ:DVDコンボ,DVD±RW,Blu-ray
- 有線LAN:100BASE-TX
- 無線LAN:IEEE 802.11 a/g,IEEE 802.11 a/g/n
- 液晶ディスプレイサイズ:13.3インチワイド
- 液晶ディスプレイ仕様:1280×800ドット/グレア(CCFLバックライト),1280×800ドット/グレア(LEDバックライト)
- OS:Windows Vista Home Basic,Windows Vista Home Premium,Windows Vista Ultimate
- サイズ:318(W)×238(D)×24.6/36.3(H)mm(CCFLバックライト時),318(W)×238(D)×22.1/33.8(H)mm(LEDバックライト時)
- 重量:2.45kg
- 最小構成価格:12万6000円(税込)
XPS 1330のレッドモデルを別の角度から。光学ドライブはスロットイン仕様となる。HDMI出力をサポートするのも特徴だ
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Inspiron 530/531(左)とInspiron 530s/531s(右)
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最後に,ブランド名整理によってDimensionではなく“デスクトップ版Inspiron”となったデスクトップPCについても簡単に触れておきたい。
ラインナップはミニタワータイプの「Inspiron 530」「Inspiron 531」と,ブックサイズの「Inspiron 530s」「Inspiron 531s」,計4モデル。末尾が“0”のモデルはIntel製CPU,“1”のモデルはAMD製CPUを採用する。標準構成でのグラフィックス機能はチップセット統合型だが,BTOオプションとしてエントリー〜エントリーミドルレンジクラスのグラフィックスカードが用意されており,それなりには3D性能の強化が可能だ。
●Inspiron 530の主なスペック(BTO選択肢を含む)- CPU:Pentium Dual-Core E2140/1.60GHz,Core 2 Duo E4300/1.80GHz,Core 2 Duo E6320/1.86GHz,Core 2 Duo E6600/2.40GHz
- チップセット:Intel G33 Express
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM 0.5,1,2,4GB(512MB以外はいずれもデュアルチャネル)
- グラフィックス:チップセット内蔵,GeForce 8300 GS(グラフィックスメモリ128MB),GeForce 8600 GT(グラフィックスメモリ256MB)
- HDD容量:80,160,250,320,500GB(回転数7200rpm)
- 光学ドライブ:DVD-ROM,DVD±RW
- サイズ:170(W)×435(D)×362(H)mm
- 重量:12.7kg
- 最小構成価格:6万8250円(税込)
●Inspiron 531の主なスペック(BTO選択肢を含む)- CPU:Sempron 3600+/2GHz,Athlon 64 X2 3600+/1.9GHz,Athlon 64 X2 4400+/2.3GHz,Athlon 64 X2 5000+/2.6GHz
- チップセット:GeForce 6150
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM 0.5,1,2,4GB(512MB以外はいずれもデュアルチャネル)
- グラフィックス:チップセット内蔵,GeForce 8600 GT(グラフィックスメモリ256MB)
- HDD容量:80,160,250,320,500GB(回転数7200rpm)
- 光学ドライブ:DVD-ROM,DVD±RW
- サイズ:170(W)×435(D)×362(H)mm
- 重量:12.7kg
- 最小構成価格:5万7850円(税込)
●Inspiron 530sの主なスペック(BTO選択肢を含む)- CPU:Celeron 420/1.60GHz,Pentium Dual-Core E2140/1.60GHz,Core 2 Duo E4300/1.80GHz,Core 2 Duo E6320/1.86GHz
- チップセット:Intel G33 Express
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM 0.5,1,2,4GB(512MB以外はいずれもデュアルチャネル)
- グラフィックス:チップセット内蔵,ATI Radeon X1300(グラフィックスメモリ128MB),ATI Radeon X1300 Pro(グラフィックスメモリ256MB)
- HDD容量:80,160,250,320,500GB(回転数7200rpm)
- 光学ドライブ:DVD-ROM,DVD±RW
- サイズ:100(W)×362(D)×435(H)mm
- 重量:9kg
- 最小構成価格:6万4050円(税込)
●Inspiron 531sの主なスペック- CPU:Sempron 3600+/2GHz,Athlon 64 X2 3600+/1.9GHz,Athlon 64 X2 4400+/2.3GHz
- チップセット:GeForce 6150
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM 0.5,1,2,4GB(512MB以外はいずれもデュアルチャネル)
- グラフィックス:チップセット内蔵,ATI Radeon X1300(グラフィックスメモリ128MB),ATI Radeon X1300 Pro(グラフィックスメモリ256MB)
- HDD容量:80,160,250,320,500GB(回転数7200rpm)
- 光学ドライブ:DVD-ROM,DVD±RW
- サイズ:100(W)×362(D)×435(H)mm
- 重量:9kg
- 最小構成価格:5万9850円(税込)
■XPS 1710の後継機 ■ハイエンドのゲーマー向けノートPCに期待
XPS M1330や新しいInspironはスマートなデザインで質感もまずまず良好,価格も比較的手頃といえる。ただ,今回の新製品はゲーム用途を狙ったモノではないため,搭載されているグラフィックスなどに目立った特徴はない。ゲーマー向けとして知名度の高いXPSブランドの新製品にも,BTOオプションとして用意されているのはGeForce 8400M GSしかなく,ガッカリという読者も多いだろう。 だが,発表会後に松尾氏に確認してみると,InspironのBTOオプションとしてより広いGPUの選択肢を追加する可能性はやんわりと否定されたものの,ゲーマー向けノートPC「XPS 1710」の後継機については「期待してもらっていい」とのことだった。よりデザインに力を入れるようになったDellによる,次世代ゲーム用ノートPCがどうなるのか,楽しみに待ちたいところだ。(ライター:米田 聡)
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