“一見客”にLANパーティは理解されるか? 秋葉原にやってきた「BIGLAN socket3.5」レポート
BIGLAN socket3.5の会場となったカフェソラーレリナックスカフェ秋葉原店
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2006年8月5日,東京の秋葉原地区で,「BIGLAN socket3.5」(以下BIGLAN socket3.5)が開催された。 BIGLANを一言で説明するなら,それは大規模なLANパーティということになる。2005年以降,すでに3回開催されているBIGLANのコンセプトは,「BYOC」(Bring Your Own Computer)。「皆が自分のPCを持ち寄ってLANで接続することにより,ラグのない環境でゲームなどを楽しむ」という,北米を中心に盛り上がりを見せるこのイベントを,日本でも定着させるのが目的だ。次回は「socket4」として,2006年8月18日から20日にかけ,Necca秋葉原店で開催される予定になっている。
……と記述すると,違和感を覚える人がいるかもしれないが,説明としてはこれで間違っていない。というのも,BIGLAN socket3.5は,“BIGLAN socket4の告知用プレイベント”としての色彩が濃い,番外的なイベントだからだ。
■「BIGLANの知名度向上」という意味ではほぼ成功 ■やはり気になる次の展開
BIGLAN socket3.5の軸は大きく分けて三つ。会場の表玄関,最も人通りに面したところに配置された5台の「Call of Duty 2」マルチプレイ試遊台と,会場入ってすぐにある,BIGLAN socket3.5の実質的なメインスポンサーである販売代理店,アスクの製品デモ展示スペース。そして会場の一番奥で開催された「Quake 4」賞金つきトーナメントだ。
左:うだるような暑さの秋葉原で,クーラーの効いていない店頭にもかかわらず,Call of Duty 2のマルチプレイを体験する人達
中央:展示されていた,アスク扱いのZalman製ゲーマー向けPCケース「Fatal1ty Champ1on」
右:午前10時から始まったトーナメント「アスクカップ Eスポーツトーナメント」一次予選の様子
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このうち,BIGLANの趣旨に最も近いのが,マルチプレイ試遊台なのは言うまでもない。同イベント実行委員長のKINTAこと長縄実氏自ら,ふらりと立ち寄った人達にCall of Duty 2のプレイ方法を説明し,ゲームの解説を行い,マルチプレイが始まれば実況を行うなど,精力的に動いていたこともあり,これまでPCゲームに触れたことのない人達がふらりと試遊台に座っていたのは印象的だった。 さらには,「BYOCどころか,ユーザーが自分のデスクトップPCを持ち寄るようなイベントが存在することすら知らなかった」といった人が,中に入っていってQuake 4のトーナメントを観戦し,国内の著名プレイヤーによる対戦に驚きの声を上げ,拍手を送り,次回BIGLANやトーナメントの参加方法について問い合わせる――。こうした流れが,BIGLAN socket3.5では確かに生まれていたといっていいだろう。
トーナメント戦に当たっては,モニターが用意され,多くの観客はそれを眺める格好に(上)。GoodPlayer.jpの犬飼氏(右下)らが実況とQuake 4基礎解説で盛り上げていた。ちなみに決勝のcoyote選手対ryugo選手戦は15分1ラウンド×2で決着が付かず,第3ラウンドにまでもつれ込む試合となった(左下)
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長縄氏は,イベントの満足度として「90点」と述べていたが,BIGLANやLANパーティ,FPSというゲームや対戦,あるいはe-Sportsを知ってもらう,という試みは,8月5日時点においては,間違いなく成功していたように思う。
Call of Duty 2のプレイ方法などについて解説する長縄氏(左)
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あとは,ここで初めて触れた人達を,いかにして“本番”のBIGLANへの参加につなげるかだろう。「LANパーティやBIGLANの存在を,可能な限り多くの人に知ってもらう」という意味では成功といえる今回のイベントだが,この成功と「より多くの人に,BIGLANへBYOCで参加してもらう」という目標の間には,まだ相当の隔たりがあるのは事実だ。
今回の結果を見るに,同じ秋葉原で開催されるBIGLAN socket4が,少なくとも前回以上の“一見客”を集めるのは間違いない。長縄氏によれば,BYOCの参加申し込みもすでに前回の倍近くに達しているとのことで,規模としてはかなり大きくなるだろう。それだけに,“BIGLANまでの距離”を縮めるための「次の一手」的な何かが,近い将来,できればBIGLAN socket4で見えてくることを期待したい。
■Razer製ヘッドセット「Barracuda」の詳細が判明
展示されていたRazer Barracuda HP-1 Gaming Headphones
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さて,会場で展示されていたアスク取り扱い製品のなかで,4Gamerとして注目しておきたいのは,Razer製のヘッドセット「Razer Barracuda HP-1 Gaming Headphones」(以下Barracuda HP-1)だ。これまでイメージ画像とスペック程度しか情報のなかった同製品だが,BIGLAN socket3.5では実機サンプルが用意されており,実際に手に取ってみることが可能だったので,判明した事実をお知らせしてみたい。
まずヘッドフォン部だが,これは“バーチャルではない”,実際に複数のスピーカーユニットを左右それぞれのエンクロージャーに内蔵する仕様のようだ。接続インタフェースは「Razer HD-DAI」という専用コネクタで,これはRazer製サウンドカード「Razer Barracuda AC-1 Gaming Audio Card」とはケーブル1本でつながるようになっている。 ただ,さすがにこれでは汎用性が低すぎるため,5.1ch分の出力&マイク入力,そしてアンプへの給電用となるUSBへRazer HD-DAIから変換するアダプタが付属する。
アンプは,ケーブルの途中に,少々大きめのリモコン風な形状で用意されており,フロント2ch/リア2ch/センター/サブウーファそれぞれ個別にボリュームを調整可能だ。
左:展示機に接続されている状態なので少々分かりにくいが,写真手前に見えるのがRazer HD-DAT。変換アダプタを介して,サウンドカードにアナログ接続するようになっており,同時にUSBポートにもケーブルが伸びている
右:リモコン風アンプを裏から。ノブ型のボリュームコントローラが四つ用意されているのが分かる。ちなみに,写真右上の突起はマスターボリュームだ
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なお,ブームマイクは,基本的には前述したように,ごく普通のアナログ接続マイク。アンプ部に,マイクのボリュームコントローラは用意されていなかった。
あくまで見て,簡単に触ってみた印象にすぎないことを断ったうえで書くと,全体的に,かなり良く出来ている気配。それだけにいつ,どれくらいの価格で発売されるのか気になるところだが,アスクによれば,現時点ではいずれも未定とのことだった。ただ,取り扱うのは間違いないそうなので,そう遠くない将来には,店頭に並ぶはずだ。 マルチスピーカー搭載ヘッドフォン/ヘッドセットには,これまで音質的に褒められるような製品が存在しなかった。それだけに,ヘッドフォン派のゲーマーからすると,見逃せない存在といえる。(佐々山薫郁)
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