ATI,3枚差しも可能な非対称CrossFireで物理演算もサポート
ATI Technologies(以下ATI)は,同社が提唱しているマルチグラフィックスカードソリューションCrossFireの新たな構想として,GPU(グラフィックスチップ)で物理演算を行う方向性を打ち出した。これをインテルのCore2 Duoプロセッサシステムと組み合わせることで,最大のゲームパフォーマンスが得られるとしている。Intel 975X搭載のマザーボードを使用した場合には,グラフィックスカード3枚を使用した構成が可能になるためだ。
これにより,従来のグラフィックスカード2枚構成のCrossFireで,片方を描画に使用し,もう片方で物理演算を行ったり,3枚構成のCrossFireの2枚を描画に使用し,1枚で物理演算を行うといったシステム構成が可能になる。また,単純にカード単位で処理分けするのではなく,さらに柔軟な構成も可能になるようである。 物理演算APIとしては,NVIDIAも発表していたHavok FXが使用される予定だ。
AGEIAのPhysX物理演算プロセッサを搭載した単体カードがそろそろ登場するという時期に,グラフィックスカードを使った物理演算ソリューションが出てくるというのも意味深だが,確かに,AGEIAのカードがグラフィックスカード並の値段であるなら,性能次第だがグラフィックスカードそのもののほうが,演算以外に描画もできてお得ということになりかねない。 もちろん,CrossFireやNVIDIA SLIのようなシステムを使用するには,PCI Express x16スロットを2本以上搭載したマザーボードが必須であり,可能であるからといって3枚のハイエンドグラフィックスカードを揃える人はあまりいないように思われる(そういう人はPhysXカードも買うのだろうが)。それでも,現在のところ1年で倍というペースのグラフィックスカード性能向上が今後も続けば,単体グラフィックスカードで物理演算も可能になってくることは容易に想像される。今後,物理演算はグラフィックスカードの基本機能となってくるのかもしれない。 2006年は,物理演算元年ともいうべき年となるだろう。今後発表されるゲームでは,物理演算をサポートしたものも増えてくる。そして現状では,PhysXとHavokの戦いが水面下で行われている。ゲーム開発会社は,どちらのAPIをサポートするか悩みそうだ。将来的に,物理演算APIがDirectXで標準化されることにでもなればよいのだが。 ともあれ,ATIのソリューションは,グラフィックスカード3枚を使用することも可能という,なかなか挑戦的なものである。Computex会場では実機が動いているということなので,詳細はComputexレポートでお伝えしたい。(aueki)
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