ハンティングアクションであるMHFにおいて,ハンターの強さはテクニックと装備の良し悪しに左右される
MHFで最初に認識してほしいのは,RPG(またはMMORPG)ではないということである。ならばMHFはどのようなゲームなのかといえば,MOタイプのアクションゲームというのが基本である。プレイヤーは,一人のハンターとなって狩猟クエストを請け負い,最大4人のクエストメンバーで,与えられたターゲット(目的)を制限時間内に達成する。それを繰り返し,凄腕のハンターとなっていくのだ。
ハンターには,請け負えるクエストの難度制限を左右する「ハンターランク」こそあるものの,レベルの概念はない。狩りを重ね,クエストを繰り返し達成するごとにハンターランクは上がっていくが,能力値が底上げされるような成長要素はないのだ。ハンターの強さは,後述する武器/防具の生産/強化によって補っていくことになる。ハンターランクは,あくまでも操作するハンター自身の腕前がどの程度なのかを示すものといってもさしつかえないだろう。
それならばFPS/TPSのようなリアル志向なのかといえば,そうでもない。登場する武器や防具は,ファンタジー系RPGに登場しても違和感のない,およそ現実とはかけ離れたものであり,また狩りの対象となるモンスターも,恐竜や大型生物をイメージしたようなものである。
そして,クエストが達成できたかどうか成否を判定するまでに,失敗(体力がゼロになること)が許されるのは2回までで,3回失敗するとクエストリタイアとなってしまう。
攻撃/被攻撃時の各モンスターのアクションにはある一定の法則があり(詳細は後述),勝ち目がないと思えるようなモンスターでも,よくよく観察すれば,攻撃する“隙”を見つけられる。
モンスターの側面や背後など死角から一発攻撃を入れたら,即座に側面に回り込む,またはガード姿勢をとって反撃を回避し,再び死角から攻撃を入れる。このように攻撃と回避を繰り返しながらチャンスをうかがい,モンスターが転倒するなど行動不能の状態に陥ったらひたすら猛攻猛攻猛攻。これを繰り返して,対象モンスターが力尽きれば目標達成となる。
クエストの主なターゲットは,モンスターの討伐と捕獲。ハンターランクが上がるごとに,強力な大型モンスターが登場するクエストを受けられるようになる
なお,モンスターを1対1のタイマン勝負で倒す必要はなく,マルチプレイ対応なので,クエストメンバーを募って戦ってもいい。また,落とし穴やしびれ罠など,トラップを張ることができるので,モンスターの身動きを取れなくしてからボコボコに殴ってもいい。モンスターを倒す/捕獲するための手段は数多く用意されているので,それをいかに(作りだし)使いこなすかという発想も求められるのだ。
また,ターゲットは,特定モンスターの討伐や捕獲が主となるメインターゲットのほか,「AというアイテムをB個集める」といった,サブターゲットが存在する。もちろん,メインとサブ両方を達成してクエストをクリアするのが理想だが,メインターゲットとなるモンスターに遭遇して,どうしても勝てそうにないということもある。そのようなときは,サブターゲットのみ達成してクエストを引き上げるということも可能だ。
こうしてクエストのターゲットを達成することによりハンターランクポイントを獲得,一定値に達するとハンターランクが上がり,新たに難度の高いクエストを請け負えるようになる。クエストが高難度になるほどモンスターの体力と防御力は高くなり,また特殊な攻撃を繰り出してくるようになる。
これに対抗するため,プレイヤーはテクニックを磨くのと同時に,自らの武器と防具を強化しなければならない。場合によっては,毒や麻痺といった特定の攻撃に対抗するための装備が必要となる。装備を強化するための素材は,マップ上に点在する鉱石や昆虫,モンスターから剥ぎ取った皮革や角などである。そのため,ハンターランクを上げるためだけでなく,素材入手を目的としてクエストを請け負うこともあるだろう。
当然,高い攻撃力/防御力を誇る装備は,難度の高い上位クエストで登場するモンスターから剥ぎ取った素材を必要とする。ハンター達は,手強いモンスターを倒すために,よりよい装備を求めてクエストを達成し,その装備を使ってさらに強力なモンスターに挑んでいくわけである。
大型モンスターに一定以上のダメージを与えると,マップ上の“巣”に逃げ込んで体力を回復しようとする。鼻ちょうちんの表現が非常にコミカルで分かりやすい
また本作は,過去20年以上にわたって定評のあるアクションゲームを制作し続けてきたカプコンが手がけるだけあって,上記の2回まで失敗が許されるシステムに代表されるように,随所にその伝統が垣間見られる。例えば,モンスターの攻撃によってハンターが気絶(スタン)状態になった場合には,対戦格闘ゲームでいう“ピヨリ状態”となり,レバーとボタン(キーボードとマウス)を出鱈目にガチャガチャ操作することで,より早く通常状態に戻すことができる。
また,モンスターが特殊攻撃を繰り出すときには姿勢を低くする,3回羽ばたく,顔や尻が紅潮するといったように特定の動作(予備動作)を示す。予備動作が見られたらハンターは素早く回避行動に移らなければならないが,これは逆にチャンスでもある。というのも,予備動作時はモンスターの隙が多いため,うまく死角に回り込めば一気に大ダメージを与えられるからだ。こういったパターンを読み切れば,ノーダメージでモンスターを倒すことも可能。一般的なRPGの戦闘における体力のけずり合いとは違った面白さを,MHFでは体験できるのだ。
こうした要素は,MMORPGやFPSなど比較的最近のPCゲームしか知らない層にとっては新鮮に,またかつてゲームセンターやコンシューマ機でアクションゲームをプレイしていた比較的高い年齢層にとっては懐かしいものとして捉えられるだろう。
こうして文章にしてしまうと,MHFは何かとやらなければならないことが多く,面倒に思えるかもしれないが,実際の狩りではいちいち考えている時間などない。アクションゲームを謳っているだけあって,視覚と聴覚から得られた情報をもとに一瞬で判断しなければならない場合が多いからである。一方で,狩りを重ねるごとに頭と身体がパターンを覚えていくので,そう意識せずとも自然に狩りのスキルは高くなり,さまざまな局面に対応できるようになっていくはずだ。
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めまい攻撃を喰らって,行動不能になっている状態。後ろではドスガレオスがブレス攻撃の予備動作に入っているので,素早く復帰したいところ |
ハンターランク11から受けられる最初の闘技演習。この頃にはハンターとしてのテクニックが上がっているので,ナイフ1本でもドスランポス2匹をアッサリ倒せるはず |
なお,本作はPCゲームではあるが,もともとコンシューマ機専用のアクションゲームということもあり,ゲームパッドで狩りをすることをお勧めしたい。本作は,キーボードおよびマウスによるオペレーションにも対応しているのだが,キー配置が一般的なMMORPGやFPSとは異なっている。もちろんキーボードを任意にカスタマイズできるし,慣れてしまえば過不足なく操作可能だが,カメラの動作など本作独自のものも多いため,最初はほかのゲームと混同して思うように操作できない場合も少なからずあるだろう。
したがってキーボードとマウスの場合には,MMORPGやFPSとは全く別種のゲームとして一から操作を習得するつもりでプレイしたほうがいい。とくにこだわりがないのであれば,専用と割り切って別途ゲームパッドを用意すると,本作を存分に楽しめるはずだ。本作では推奨ゲームパッドも数製品発売されているが,プレイステーション2用コントローラと同等の,アナログスティック2本と12個以上のボタンを備えたゲームパッドがお勧めだ。