プレイレポート
[プレイレポ]本日発売の「Castlevania Dominus Collection」は,DS版「悪魔城ドラキュラ」シリーズ3作品&アーケード版などを収録
これまで同社は,1986年より38年の歴史を持つアクションゲーム「悪魔城ドラキュラ」の過去シリーズをオムニバス的にまとめたタイトルを多数販売している。本作もその一環で,今回はニンテンドーDSで発売された「悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架」(2005),「悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス」(2006),「悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印」(2008)の3タイトルに加え,1988年にアーケード向けにリリースされた「悪魔城ドラキュラ」とそのアレンジ版「悪魔城ドラキュラ Revisited」が収録される。
この発表および発売にあたり,メディア向けのハンズオンが同社にて開催された。本稿ではそのNintendo Switch版のプレイレポートとともに,ゲームの具体的な仕様についてもレポートする。なお文中のボタン表記はNintendo Switchのコントローラに準じている。
今回は「悪魔城ドラキュラ」ではなく,海外タイトルである「Castlevania」の名前が冠された本作。ハンズオン時に担当者に聞いたところ,グローバルで販売する意図でこのタイトルが付けられているそう。そして「Dominus」は,「悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印」に出てくる「支配」を意味する重要なキーワードであるとのこと。
今回収録される主要3作品はニンテンドーDSでリリースされたタイトルで,同機種の上下2画面の構成を1つの画面に集約している。画面構成は5種から選択が可能で,DS版のように2画面を表示するもののほか,画面切り替えで見ることができた各種データを常時表示する3画面構成の設定もある。
デフォルトの3画面表示スタイル。これは「悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印」の画面で,右下に装備品や戦っている敵のデータを表示 |
5つのスタイルの表示設定。いつでも切り替えが可能 |
ニンテンドーDSと同じ,2画面を上下に表示するスタイル |
2画面を横に並べるスタイルもある。遊びやすい画面でプレイしよう |
それぞれがDSのタイトルということで元々は画面のタッチ操作もあったわけだが,これはRスティック+ZRボタンでカーソルを動かすことで行う仕組み。ハードがNintendo Switchであれば,携帯モードでプレイすることで,オリジナルと同様にタッチ操作も行える。
ゲームにはタッチ操作に対応した仕掛けや入力方法もあるので,プレイ時はこの操作を頭に置いておきたいところ。また,タッチ操作で行っていたものをボタン操作に変換した要素も存在する。
この手のクラシックゲームを遊ぶにあたっての便利な機能も多数搭載されている。本編のセーブ機能とは別にある「いつでもセーブ&ロード」機能や,リアルタイムな「巻き戻し」機能といったゲームプレイ役立つもののほか,世界4地域(日本 / 北米 / 欧州 / 韓国 ※「奪われた刻印」のみ)のバージョン切り替え機能なども用意されるなど,プレイヤーの幅広いニーズに応えている。
収録されるニンテンドーDSタイトルは3作品で,2005年から2008年にかけてリリースされたものだ。すべてが「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」で確立された探索系アクションRPGのゲームシステムを導入していて,単体でもかなりボリュームのある作品がそろっている。
「悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架」は,ゲームボーイアドバンスで2003年に発売され,「Castlevania Advance Collection」(PC / PlayStation 4 / Xbox One / Nintendo Switch)に収録されている「キャッスルヴァニア-暁月の円舞曲-」の続編。2035年の日本を舞台としたドラキュラの復活騒動から,1年後の物語を描いた作品だ。主人公の来須蒼真(くるすそうま)は自身がドラキュラの生まれ変わりだと知り,カルト教団による魔王再降臨計画に巻き込まれ,周囲に危険が及ぶことを憂いた彼は単身で教団に乗り込んでいく。
敵を倒して手に入れる「ソウル」を駆使する「タクティカルソウルシステム」を前作より継承。さらに武器の強化にもソウルを活用するように進化。強敵を封じるための「魔封陣」はタッチだけでなく,ボタンでも行えるようになった。
タクティカルソウルには4カテゴリーがあり,それにより多彩なアクションを楽しめる |
ボタンによって入力が可能となった魔封陣 |
「悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス」の舞台は1944年,第二次大戦中のヨーロッパで,戦争によって命を奪われた魂の怨念が悪魔城を復活させる。復活した悪魔城に挑むのは,伝説のムチを受け継ぐモリス家の末裔ジョナサン・モリスと,その幼なじみである天才魔法使いシャーロット・オーリン。
2人の特徴の異なるキャラクターを切り替えたり,連係させたりして進んでいく独自のゲームシステムを採用している。ジョナサンはムチとサブウェポン,シャーロットは本と魔法という異なる攻撃を持っている。単純に適材適所で切り替えて進むだけではなく,画面に2人を登場させてギミックを作動させるといったシーンもある。
攻撃手段や特技も異なる2人。画面に2人がいるときはどちらか一方を操作し,一方はオートで戦ってくれる |
2人で協力して進まなければならない場所も存在する |
そして「悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印」は,19世紀初頭が舞台。魔王ドラキュラの復活のたび,人知れず戦いを続けてきたベルモンド一族の消息が途絶え,次のドラキュラ復活に備え「エレクシア」が組織された。その長であるバーロウはドラキュラに対抗しうる成果として,万物に宿る力を術式返還して呪印へ変える印術「グリフ」にたどり着く。
女性主人公シャノアが使うのが,このグリフである。武器を持たない彼女は,要所に存在するグリフを吸印することによってさまざまな能力を身に付け,かつての同胞アルバスに奪われたドラキュラを倒す力を持つ究極のグリフ,「ドミナス」を取り戻すべく彼を追う。
吸引できるグリフは実に多彩で,シャノアの両腕に装備するものと背中に装備するものの2種類が存在。前者はメインとサブ武器として使用するもので,両者を組み合わせた「合成印術」も発動可能だ。後者は主に,移動手段や能力上昇といった効果があり,序盤で入手する「キルクルス」はステージ上にある磁石を使ったアクションを行える。
グリフはシャノアの攻撃手段でもある。使用時は常にMPを消費し,使わなければMPは回復していく |
ステージ上の磁石に磁場を伸ばし,反対側にシャノアを跳躍させるキルクルス。ゲーム中の重要な移動アクションである |
そしてもう一つ,一部のファンには目玉ともいえる収録タイトルが,アーケード版の「悪魔城ドラキュラ」と,そのアレンジ版「悪魔城ドラキュラ Revisited」だ。1988年にリリースされ,非常に高い難度を誇る作品として語り継がれるアーケード版「悪魔城ドラキュラ」は,KONAMIが2019年に発売した「アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション」やハムスターの「アーケードアーカイブス」などでもプレイできるが,本作にも収録されている。
さらに,そのアレンジ版である「悪魔城ドラキュラ Revisited」は,アーケード版のゲーム内容を楽しく遊びやすくすることをテーマに作られている。
主人公のシモンがムチとサブウェポンを使いこなして進むゲームシステムは同じだが,残機制の導入やムチのパワーアップなど,アーケード版になかったルールを導入していて,操作感覚もファミコン版やスーパーファミコン版のような,比較的操作しやすいものとなり,不条理なまでの難しさを払拭している。
それでも初見のプレイでは思わぬところでダメージを受けてしまうようなシリーズ伝統の難度は健在で,決して簡単になったわけではないこともお伝えしておきたい。
なお,「悪魔城ドラキュラ Revisited」に関しては巻き戻し機能には対応していないが,コンティニューとステージセレクトに対応している。
主人公のシモン・ベルモンドがムチで敵と戦いながら進んでいく,ステージクリア型のゲームシステムを踏襲 |
ちょっともっさりしていたアーケード版のシモンの動作はかなり軽快になった。ムチのパワーアップも導入 |
アーケード版と同様のステージギミックも存在する |
ステージ1のボス「メデューサ」。基本的なステージ構成はアーケード版をベースにしている |
ゲーム以外のモードとしては「ギャラリー」が非常に充実している。DS版3作品の各種ビジュアルや設定資料,各国版のマニュアル,パッケージなどを収録。さらに,発売当時に開発関係者が日替わりで描いたアートや漫画など,2度と見られないような貴重な画像も集められていて,当時の空気感まで味わえるはず。なお,ギャラリーの内容は最初からすべて見られるので,ゲームを始める前にこれらを眺めて気持ちを高めるのもいいかもしれない。
そのほか,収録タイトルのサウンドをただ聴くだけでなく,プレイリストを作ることもできるミュージックモードなども用意されている。
パッケージやマニュアルは各国のものを収録。もちろんズームもできる |
資料としてあまり残らないスタッフ作画のマンガやイラストなどもある |
本作の開発を手がけているのはクラシックタイトルの移植に定評のあるM2で,それぞれの再現におけるクオリティはもちろん,「悪魔城ドラキュラ Revisited」はM2とKONAMIの協同開発によってその内容が構築されている。DSの3作品とは異なり,シリーズ初代から続くステージクリアスタイルなので,腕に自信のある人はチャレンジしていただきたい。
また,ちょっとマニアックな話ではあるが,設定画面から見られるスタッフクレジットが傑作なので,購入する予定の人はぜひ見てほしい。
シリーズとしては,すべて探索スタイルのゲームシステムを受け継いできたDS版3部作。それぞれが斬新なゲームシステムを備え,挑戦し甲斐のあるボリュームを備えている。これらは近年,入手困難になっているうえ,ギャラリーの内容なども含め資料的な価値も高いので,ぜひこの機会に手に入れて,「ドラキュラ」シリーズのコレクションを充実させてみよう。
※ゲーム画面は開発中のものです
- 関連タイトル:
Castlevania Dominus Collection
- 関連タイトル:
Castlevania Dominus Collection
- 関連タイトル:
Castlevania Dominus Collection
- 関連タイトル:
Castlevania Dominus Collection
- この記事のURL:
キーワード
(C)Konami Digital Entertainment