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印刷2006/06/01 18:00

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MMORPG「A3」でプロゲーマー制導入,賞金200万円の大会を2006年中に開催。「A3 リニューアルプレスカンファレンス」

■競技性重視の「バウンティバトルオンラインRPG」へ

 本日(6月1日),東京は渋谷にある「Club Asia」で,ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下,ガンホー)による「A3 リニューアルプレスカンファレンス」が開催された。
 MMORPG「A3」の新たな出発を期するこのイベントでは,A3がプロゲーマー制度を導入し,2006年中に賞金総額200万円のトーナメント戦を開催することが発表された。また,この夏のアップデート予定と,賞金トーナメントの開催に合わせて,エイベックス所属のアーティストClairさんを起用,イメージソングとしてのアンセム(聖歌)を制作することなどが説明された。




 カンファレンスでは,ガンホー 第二マーケティング部の小島幸博氏から,これまでのA3の歩みを振り返りつつ,今後の新しいコンセプトを説明するプレゼンテーションが行われた。
 小島氏はいつものようにA3のコンセプトを,「Art」「Alive」「Attract」と説明しつつ,Artの意味を「芸術性」から「美しく勝利する」へ,Aliveを「躍動感」から「興奮するバトル」へ,同様にAttractを「魅了する物語」から「魅力的な賞金制」へと読み変えてみせた。そして,ゲームジャンルを「ドラマティックオンラインRPG」から「バウンティバトルオンラインRPG」(バウンティは賞金の意)へ,キャッチコピーを「Love and Hate」から「Blood and Tears」(血の出るような努力の意,とのこと)と変更し,ゲームのイメージとプレイ目標を大きく方向転換する旨を述べた。
 氏の発言で印象的だったのは「最近のゲームでは無料でもプレイしてもらえないものが出てきている」という言葉だ。もちろん“ただ無料にするだけじゃないよ”というレトリックになっているわけだが,ゲームパブリッシャとして実にシビアな現状認識を持って,今回の“リニューアル”に取り組んでいることが窺われる。



■キャラクターの成長を早め,対人戦を活性化させる

 続いて壇上には,ガンホー 第二マーケティング部 第一企画課の上村健太郎氏が登場,基本プレイ無料化と賞金トーナメントで大きく変わるA3の姿について,より具体的な説明がなされた。有料の「プレミアムアイテム」が,経験値のブーストやスキルの初期化,多くのアイテムの獲得に役立つことや,賞金トーナメントが新設のトーナメントサーバーで行われること,プロゲーマー(=ガンホーとの契約)の条件などが示された。



 また,賞金トーナメントの導入により,ますますPvPを重視する形となる今後のA3と関連づけて,この夏以降のアップデート予定をガンホー コンテンツ制作部 新野洋右氏が語った。
 その大まかな内容については,すでに,「こちら」の記事でお伝えしたとおりだが,「アドバンスドプロジェクト・II」で実施される以下の5項目について,より詳しい説明がなされた。

1.スキルバランス調整
2.Monster属性バランス調整
3.獲得経験値調整
4.アイテムアシスタンス調整
5.PKペナルティの調整

 1.のスキルバランス調整は,現状であまり活用されていない“遊休スキル”を見直し,使われないスキルをなくすことで,より複雑かつ楽しい戦闘を目指すというものだ。そして,2.のMonster属性バランス調整とは,現状で必ずしも尊重されていない,モンスターの属性と攻撃方法の関係を,よりイメージに合う形に揃えようということだ。
 そして,注目すべきは3.獲得経験値調整だろう。写真で示したグラフのうち,縦軸が獲得経験値,横軸がレベル水準を示している。そして,青でプロットされているのが現状のレベルアップ分布,赤が今後のそれだ。通常の縦/横軸と考え方が逆なので少々分かりづらいが,つまり今後は,序盤それほど経験値稼ぎをしなくても,キャラクターのレベルが上がるようになるということだ。これは「高レベルプレイヤーとそうでないプレイヤーの差が激しいといわれる,A3の特性に対する補正」(新野氏)であると同時に,対人戦に乗り出すまでのキャラクター育成労力を軽減し,最終的にトーナメントを活性化させるための策なのだという。
 加えて,対人戦バランスとキャラクター成長に絡む要素として,5.のPKペナルティの調整が行われる。これは,旧来の“PKする側”のペナルティに加えて,“PKされる側”のペナルティを整備することで,緊張感を向上させようという狙いらしい。全体に対人戦の強化と,対人戦参加条件の緩和を含んだバランス変更とまとめられそうだ。

画面は左から,全面戦争の勝利ムービーと,全面戦争の様子,そして新たなストーリー「PartIV」の一シーン


■プロゲーマー制度は新たなインセンティブとなるか?

 カンファレンスではこの後ゲストとして,エイベックス所属のアーティストClairさんが登場,小島氏とのやりとりを通して,アーティスト名の「Clair」がギルバート・オサリヴァンの作品名に基づくこと,大阪出身で焼き肉が好物であること,OLからアーティストに転じたいきさつなどが語られた。
 A3の賞金トーナメントをスポーツ大会になぞらえて,彼女が作るアンセム(聖歌)がどの時期,どんな形で姿を見せるかは語られなかったが,「ラグナロクオンライン」のAAA(トリプル・エー。 ATTACK ALL AROUND)に引き続き,エイベックスのアーティストが起用されたことには,何らかの意味があるのだろうか? 少々気になるポイントだ。




 カンファレンス終了後の質疑応答では,賞金トーナメントに出場するプロゲーマーについて,当面「4騎士団で52人ほど」(上村氏)との回答が示され,これはやがて3ケタ人数に拡大していきたい意向であるらしい。また,第1回トーナメントから契約プロゲーマーが参加するのか,そこに既存のプロゲーマー集団は含まれるのかについて聞いてみたところ,いわばプロテストとでもいうべき「第0回トーナメント」を実施,賞金付きの第1回の時点では,すでにプロゲーマーが参加している前提とのことだった。また,既存のプロゲーマー集団との連携は,今後図っていく考えのようで,現時点でとくに契約が決まっているチームなどはないようだ。
 R-18タイトルとしてスタートし,やがてその制限を廃止して,基本無料の方針が打ち出されたA3。いささか語弊のある言い方をすれば,迷走気味に見えなくもないここまでの経緯だが,基本無料&プロゲーマー制度の導入というコンボアタックは,果たしてこの作品に新しい大きな流れを起こすことができるだろうか? 純然たるゲームとしての展開/変容と併せて,今後の動向が注目される。(Guevarista)

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