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高機能PCケース最新事情。内部パーツに見合うべく,拡張性や冷却性能がさらに進化
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印刷2012/02/08 10:30

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高機能PCケース最新事情。内部パーツに見合うべく,拡張性や冷却性能がさらに進化

 CPU,GPUともにオーバークロック性能が向上するにつれて,PCケースもより高性能なものが求められている。比較的廉価な一体型液冷クーラーや高性能グラフィックスカードでは,ケース背面から外気を取り入れて内部に排熱する仕組みの製品があり,PCケースの性能がシステム全体の安定性に少なからず影響を与えているからだ。

 2012 International CESで公開されたPCケース製品には,最新のPC環境に適したデザインの製品開発に取り組むベンダー各社の方針がよく表れていた。2011 International CESから約1か月が経過し,いくつかは国内発表もなされるなど,時機はやや逸してしまったが,記事をお蔵入りさせてしまうのはもったいない製品ばかりなので,ここで紹介しておこう。


「COSMOS II」や「HAF XM」など,人気シリーズの

最新モデルを発表したCooler Master


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今年創立20周年を迎えるCooler Masterが正式発表した「COSMOS II」。製品版のカラーは,「ミッドナイトブラック」という名前のつや消し黒のみ
 最新のPC環境を効率よく利用できるようにと,試作から1年以上もかけて製品化にこぎ着けたというのが,Cooler MasterのフラグシップPCケース「COSMOS II」だ。
 Cooler Masterは昨年1月の2011 International CESでCOSMOS IIのプロトタイプを非公式ながら披露し,その後もブラッシュアップを続けていた。そして今回,北米市場でついに正式発表となったわけだ。日本での発売は2月末以降で,想定売価は4万円台前半となっている。

 COSMOS IIは,既存モデルの「COSMOS 1000」や「COSMOS S」などと同様に,シリーズの特徴である4本のバーがついたデザインを採用している。細かい部分では,前面に扉がなくメッシュのパネルが露出しているところが,どちらかといえばCOSMOS S寄りの印象だ。
 サイズは344(W)664(D)×704(H)mmで,重量は22kg。同社が「UltraTower」と呼ぶだけあり,大型PCケースとして知られる既存2モデル(ともに266(W)×628(D)×598(H)mm)をさらに上回る大きさになっている。

 当然ながら内部スペースにも余裕があり,グラフィックスカードは奥行き最大385mm,CPUクーラーは高さ190mmのものまで搭載可能と,現在市場に出回っている高スペック製品すべてをカバーする。拡張スロットは10基分あり,その脇に,90度傾いて,ファンコントローラなどのブラケットを取り付けられるスペースが用意されるのも特徴だ。
 ドライブベイは5インチ×3に加え,Cooler Masterが「X-dock」と呼ぶ2.5インチストレージ用リムーバブル×2,3.5インチ×11という構成だ。
 
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ドライブベイはツールフリー方式を採用。ケーブル取り回し用のスルーホールも多めに設けられており,メンテナンス性はよさそうだ

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3.5インチベイは,5インチベイの下に5基,ケース底面部に6基という構成
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サイドパネルの拡張スロットスペースに,2基の120mm角ファンを搭載可能

 上の写真を見て,そして3.5インチドライブベイが5+6基という仕様になっている点で気づいた人も多いだろうが,COSMOS IIでは,電源ユニットと3.5インチドライブベイ×6を格納するスペースの上に仕切りを設置し,熱源を分散できるようになっているのも特徴である。
 冷却ファンは前面に200mm角のものを搭載するほか,底面の3.5インチドライブベイ部に専用の2連120mm角ユニットを搭載。排気用として,天板部に120mm角,背面に140mm角のものを1基ずつ標準装備する。さらに,天面部では120mm角ファンをあと1基,側板には120mmファンを新規に2基,それぞれ追加することも可能だ。

 なお,フロントにはUSB 3.0×2,USB 2.0×4,eSATA×1とサウンド入出力ポートを備えるほか,GPUファンやHDDファンなど,最大10基のファンを4つのチャネルにグループ分けして調整できるファンコントロールボタンも用意している。

 米国での市場価格は349ドル,国内の想定売価は4万円台前半と,フラグシップモデルならではの金額だ。

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COSMOS IIの特別版も参考展示されていた。Cooler Masterはイラストを駆使したカスタムモデルを好むので,ひょっとしたら発売されるかも
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フロントI/Oの上部にファンコントロールボタンを用意。ちなみにこれは参考出品となる銀色モデルより。銀色モデルの発売も未定という

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サイズを抑えつつも高い拡張性を確保した「HAF XM」
 また,CoolerMasterは今後市場投入を予定している製品として,HAFシリーズのミドルタワーモデル「HAF XM」も公開した。252(W)×571(D)×530.5(H)mm,11kgのスチールケースで,シリーズの伝統を受け継いだ,重厚感あるデザインを採用している。

 サイズはやや小さめながら,拡張スロットは8本分をサポートし,E-ATXにも対応するのが特徴。ドライブベイも5インチ×3,3.5インチ×8(※ホットスワップ対応の2基を含む)に加え,マザーボードベースの裏側に,1基分の2.5インチストレージ用マウントエリアを用意したりと,ドライブ周りの拡張性が高い点も見どころといえそうだ。

 HAF(High Air Flow)シリーズということもあり,ファン周りは豪華。前面にLED内蔵の200mm角,天面に200mm角,背面に140mm角といった大型ファンを標準搭載するほか,天面には200mm角×1,側板には200mm角×1または140mm角×2,3.5インチドライブベイに120mm角×1を追加できたり,前面の200mm角ファンを120mm角×2もしくは140mm角×2に付け替えられたりと,柔軟性も高い。COSMOS IIと同じく,ゲームシステム向けPCケースとして要注目だ。

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Vapor Chamber(ヴェイパーチャンバー)を採用した,開発中のCPUクーラー「TPC812」。6本のヒートパイプの内側に2本のベイパーチャンバーアルミブレードを搭載する。本体サイズは138(W)×163.5(D)×101.2(H)mmと,一般的な高性能CPUクーラーと同等だ
 なおCooler Masterは,Vapor Chamber(ヴェイパーチャンバー)を採用した開発中の空冷CPUクーラーTPC812」(コードネーム)を披露。一体型液冷CPUクーラーと冷却性能を比較するテストも行ってみせている。
 テストの内容は,「Prime 95」で負荷をかけつつ「Superπ」を実行し,CPUのすべてのコアがフルロードになる状態を持続させ,コアの温度を計測するというもの。
 結果は下に示した写真のとおり。TPC812が一体型液冷CPUクーラーよりも低い温度を示しているのが分かる。

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Cooler Masterが開発している「TPC812」使用時,各コアの温度は49.5℃を示している
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一方,一体型液冷CPUクーラー使用時は,各コアの温度が50.5℃とTPC812より高い数値になった

 Cooler Masterの関係者は「空冷式のクーラーは冷却性能が低いというイメージがあるが,実際は設計次第でまだまだ性能向上が図れる」とTPC812開発の目的を説明する。
 また,「今回のデモのようなオープンベンチ環境ではなく,ケースを密閉した状態ではケース内温度の上昇が影響し,CPUコアの温度差はさらに広がる」「ケース内温度の上昇はグラフィックスカードの安定性にも影響する」とも語っていた。

Cooler Masterは,光学センサーを採用するゲーマー向けマウス「Recon」も公開した。トラッキング速度60IPS,最大加速度20G,フレームレート6400fpsと,光学モデルとしてはなかなか高いスペックを持つのが特徴だ。DPIは400/800/1800/3500DPIの切り替え式。サイズは64.4(W)×115.4(D)×42(H)mmとなっており,重量は「製品版で発表する」(Cooler Master)とのことだった
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メッシュ地の素材を大胆に使用

ケースの吸排気を重視するIn Win Development


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In Win Developmentが開発中の2012年型フルタワーケース。側板にメッシュ地の大きな開口部を持つのが特徴
 増大するケース内の発熱に対し,独特のアプローチをとっているのがIn Win Developmentだ。同社は,開発中のフルタワーケース2種をコンセプトモデルとして公開した。
 いずれのモデルも天板と底板,両サイドパネルに大きくメッシュ地の開口部が設けられている。ケース内にあるデバイスの吸排気を効率よく制御するのが狙いだ。

 In Win Developmentはこのコンセプトモデルをベースに新製品の開発をスタートさせている。最終的なデザインや製品名は,6月のCOMPUTEX TAIPEIで公開される予定という。

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開口部が多い分騒音が気になるが,サイドパネルには吸音材が貼られ,わずかでも音を漏らさない工夫がされている
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ケースの内部構造。天板や側板だけでなく,底面もメッシュ地を採用し,吸排気の効率化を図ろうとしていることが分かる


Corsairはミドルタワーケース2モデルを発表

サイズを抑えつつ,拡張性や静音性を追求


 高性能PCケースの分野でも勢力を拡大しているCorsairは,同社が「Compact Gaming Chassis」と呼ぶ「Carbide 300R」と,静音性を追求したミドルタワーケース「Obsidian 550D」をラインナップに追加した。Carbide 300Rはすでに9000円前後の実勢価格で国内販売が開始されている。

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Carbide 300Rの外観。フロントI/OにUSB 3.0×2とサウンド入出力を備える
 Carbide 300Rは本体サイズ約210(W)×485(D)450(H)mmのミドルタワーケース。黒一色で,特徴的な飾りも見られないシンプルな外観になっている。
 拡張スロットスペースを7本分備え,ATXまたはmicroATXマザーボードに対応。ドライブベイは5インチ×3,3.5インチ/2.5インチHDDベイ×4で,Corsair製PCケースの特徴でもあるツールレスでのドライブ着脱は,もちろん可能だ。
 筐体内の上下中央部にドライブベイを設けないことで,最長450mmのグラフィックスカードの搭載を可能にしたのも特徴とされている。
 筐体内部では,前面中央部に120mm角の吸気ファン,背面に120mm角の排気ファンをそれぞれ1基ずつ搭載。天板部には120mm角または140mm角ファン×2,側板に120mm角ファン×2,前面下部にも120mm角ファンを1基追加可能と,エアフロー面の拡張性も高い。

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Corsair初の静音PCケース,Obsidian 550D。本体サイズは約220(W)×530(D)×495(H)mmで,Carbide 300Rよりひとまわり大きい
 一方のObsidian 550Dは,前面が扉で覆われ,いかにも静音性の高そうなデザインになっているが,実際,側板の内部に吸音材,側板と筐体の接合部に樹脂製のシールドがそれぞれ貼られていたり,ファンを搭載しないときに開口部をふさぐカバーが用意されていたりと,筐体からの音漏れを徹底的に排除できる作りになっているのが特徴だ。

 ファンの話が出たので続けると,前面には120mm角×2,背面には120mm角×1を搭載。側板と天板部にはそれぞれ120/140mm角ファン×2を追加できるスペースが用意されている。また,天板部には,同社のHydroシリーズなど,240mmラジエターを採用した大型の液冷CPUクーラーも搭載できるとのことだ。

サイドパネルと天板部にあるカバーを開けると,120/140mm角ファン×2のスペースが現われる
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 ドライブベイは5インチ×4,3.5/2.5インチHDDベイ×6という構成で,そのうち中央部のベイ3つを取り外すことにより,450mm長のグラフィックスカードも搭載できるという。対応マザーボードはATXまたはmicroATXとなっているが,拡張スロットは8本分サポート。スペース的にはE-ATXも対応できそうだが,最終的な仕様は発売時にならないと分からないようだ。

 Obsidian 550Dは,2月中の世界展開を予定しているとのこと。米国市場におけるメーカー想定売価は159ドルとのことだった。

 なお,Corsairは「Carbide 300R」と「Obsidian 550D」の投入に合わせ,ゲームアプリケーションなどの起動を高速化するという,キャッシュ用のSSD「Accelerator」シリーズも発表した。
 同製品はSerial ATA 3Gbps対応のSSDで,容量によってSandForceの最新コントローラ「SF-2141」または「同2181」のどちらかを搭載。NVELOのキャッシュソフト「Detaplex」をバンドルし,「Intel Z68 Express」チップセット搭載環境以外でも,SSDキャッシュを利用できるようになると,Corsairはアピールしている。
 Acceleratorシリーズのラインナップは30GB,45GB,60GBの3モデル。米国市場におけるメーカー想定売価は順に69ドル,84ドル,99ドルだそうだ。

Acceleratorシリーズのデモ。右側のシステムがAcceleratorシリーズを搭載したSSDキャッシュ有効時のベンチマークテストの結果だ。ランダムアクセスのスコアが劇的に向上している
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低価格と高性能の両立を図る

SilverStone Technology


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SilverStone Technologyの中国市場専用ミドルタワーケース「SST-RL01B」
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SST-RL01Bの天板部。120/140mm角ファン×2のマウントホールが用意されている
 高機能化のトレンドは,低価格ケースにも押し寄せている。SilverStone Technologyは,価格50ドル前後の中国市場専用モデルとして開発した「SST-RL01B」(中国名:魔甲戦士)を参考展示した。サイズは192.5(W)×485(D)×440.3(H)mmで,黒と銀を基調にしたデザイン。名前の割にはおとなしめの外観だが,赤く塗られた同社のロゴが目を引く。

 ドライブベイは5インチ×3,3.5インチ×6(うち1基は外部ベイ),2.5インチ×1。拡張スロットは7本分用意され,最大270mm長のグラフィックスカードも搭載できるなど,低価格ながら十分な拡張性を確保するというのがアピールポイント。前面の120mm角ファンに加えて,オプションで天板に120mmまたは140mm角ファン×2,背面と底面にも120mm角ファンを追加可能だ。

 現時点で同製品の日本市場投入は計画されていないが,市場動向によって派生モデルが展開される可能性は残っているとのことだった。
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