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[COMPUTEX 2005 #11]グラフィックスカードはテレビに近づく
聞いてみると,これは「映像エンジン」との答え。なんでもASUSTeKの子会社がテレビとその関連技術を開発しており,その技術をグラフィックスカードに転用したものだそうだ。簡単に言うと,Splendid Engineは映像(動画ファイル)のコントラスト比や色の補正などを行うハードウェアで,Ageiaについての記事(「こちら」)でも紹介した同社プロダクトマネージャのSean Lai氏いわく「少なくとも黒い部分はソニーのWEGAよりもキレイ」。動画再生時のみ効果が現れるよう設定しているから,プログラム側で適切に色設定が行われているゲームの色が変わってしまったりということはないそうなので,この点は安心していい。
ちなみに,Splendid Engineはこれから出荷される同社製ビデオカードに搭載される予定。現行製品は近い将来にSplendid Engine搭載モデルへ置き換わる。既存のASUSTeK製ビデオカード向けには,Splendid Engineと同等の機能を提供する専用ドライバ「ASUS Enhanced Driver」が6月9日夜までに同社Webサイトからダウンロード可能になる見込みだ。ソフトウェアレベルの対応だとCPU負荷はかなり高いそうなので,本命はあくまでSplendid Engine搭載製品になるだろうが,ASUSTeK印の映像エンジンをまず試したいなら,(上がった段階で)専用ドライバをダウンロードしてみてほしい。
「GameReplay」は,プレイ中の様子をムービーファイルとして保存できる機能。そして「GameLiveShow」は,それをリアルタイムにインターネット上へ配信できる機能だ。GameLiveShowはASUSTeK製グラフィックスカードを搭載するPCを映像配信サーバー化するもので,CPU負荷はそれなりにかかるものの,ゲームサーバー構築などのスキルがなくても,また,どんなゲームでも配信できるのがウリ。配信を受ける側は,他社のグラフィックスカードを使っていても,Internet Explorerさえあれば配信元のサーバーにアクセスして映像を楽しめるという。ローカルで2台のPCを接続しているデモ(写真参照)程度の解像度やフレームレートでインターネットに向けて配信……というわけにはいかないと思われるが,ゲーマー向けとして面白い試みなのは確か。
ちなみにGameReplayとGameLiveShow機能は,前述のソフトウェア版映像エンジンと同様,ASUS Enhanced Driverの一部として今週中に提供される予定だ。(佐々山薫郁)
■AGP/PCI Expressのリバーシブル仕様
そんな悩める3Dゲーマーを救ってくれるかもしれないグラフィックスカード「Geminium-VIII」を,MSIがブースで展示していた。
Gemini(双子)にあやかって命名されている同製品は,カードの両サイドにPCI Express x16とAGP 8X用のコネクタを持ち,どちらでも利用できるようになっている。まさに「リバーシブル仕様」と呼ぶに相応しい。
ディスプレイ出力用のDVI-Iコネクタが実装されたブラケット部は,専用ケーブルによってカード本体と接続される。この仕様のため,どちらのインタフェースでマザーボードと接続しても対応できるというわけだ。
カード部はどうやって固定するのか,ケーブルは長すぎないかといった疑問は残るが,これについてエムエスイアイコンピュータジャパンのプロダクトマネージャ,Minky Chen氏は,「展示品はあくまで初期サンプル。製品版ではカードデザインは全面的に変更されるし,ケーブル長も短くなる」という。Radeon X800 XLに256MBのGDDR3 SDRAMを搭載し,価格は400〜500ドル程度になるそうだ。同氏は「そう遠くない将来に国内で販売する。NVIDIAソリューションも検討している」と力強く語ってくれたので,期待していいかもしれない。(トライゼット 西川善司)
■あのSparkleから高品位&長寿命なグラフィックスカード
Calibreの製品開発/製造コンセプトはズバリ「高品位と長寿命」とのこと。上質の部品を,信頼性の高い冷却システムと組み合わせ,製品開発時には連続稼働や振動/落下テストまで行うという。今までしてこなかったのか,というツッコミはさておき,メーカー無償保証期間3年間というあたりに,Sparkleの自信が見える。登録済みユーザーに関しては,電子メールで質問を送ると,48時間以内に確実に返信するというアフターサポートも提供されるという。
なお,製品はPCI Express x16仕様の「P」シリーズと,AGP 8X仕様の「A」シリーズがある。AシリーズのGeForce 6600 GTモデル「Calibre A650」とGeForce 6600モデル「Calibre A600」には,同社が「VGA Rectifier Technology」と呼ぶ金属板が取り付けられていた。これは,熱やクーラーの重さでグラフィックスカードが“しなる”のを防ぐ装置。NVIDIA SLIをサポートするPシリーズには用意されていない。
いずれも価格は未定だが,Pシリーズは7月,Aシリーズは6月中に出荷開始となるようだ。(トライゼット 西川善司)
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