プレイレポート
「The Tower of AION」初の大型アップデート「Episode 1.5 龍族の侵攻」の全貌に迫る(後編)
本稿では,10月8日に掲載した前編に引き続き,アップデートの主な見どころを紹介していきたい。今回大きくピックアップする「激戦地 ドレドギオン」と「暗黒のポエタ」は,ともにAIONのハイエンド系コンテンツである。ハードルは高いものの,新たな魅力がぎっしりと詰まっているので,この記事を参考にレベル上げのモチベーション向上などに役立ててほしい。
龍族に加え敵対種族までもが絡む三つ巴のバトル!
PvPvE型ダンジョン「激戦地 ドレドギオン」
ドレドギオンはレベル46以上の1パーティで挑戦するコンテンツ。インスタンスを用いた驚くべきシステムが採用されているのだ |
これまでもドレドギオンの姿は,アビスでときおり目にすることができた。静止画で見ると距離感を錯覚してしまうほどの大きさである |
ドレドギオンにおける大筋の目標は,内部にいる龍族を倒すことである。スタート地点はドレドギオンの船尾付近で,そこからいくつかの部屋や通路を経て,船首を目指し突き進んでいく。最終的にドレドギオンの艦長を倒せばクリアだ。
出現する龍族の強さは,基本的にレベル50のエリートタイプ。船室ではリンクするのが当たり前で,普通に攻略するだけでも結構骨が折れそうだ。
内部に出現する龍族は,レベルは50のエリートタイプが多い。上手におびき寄せ,1体ずつと戦うようにするのは基本中の基本 |
ドレドギオンの内部図(実際には日本語に翻訳済み)。スタート地点が左上で,そこから右方向へ進んでいく流れだ |
しかし実は,ドレドギオンにおける最大の敵は龍族ではない。自分達と同じタイミングで,なんと「敵種族のチーム」が,同じエリア内へ進入してくるのである。両チームは,スタート地点こそ隔てられているものの,艦内を攻略するルートによっては,途中でばったり鉢合わせすることがある。
これまでの冒険で骨身に染みているかと思うが,敵種族のPCは隙あらば問答無用で殺しておかねばならない。さもなくば自分がやられてしまうのである。とはいえ,敵種族ばかりに目を向けていると,本来の目的である龍族の討伐ができない。そのため周囲を常に警戒しながら,龍族を倒していく必要がある。
周囲を警戒するのはアビスでも一緒だが,ドレドギオンはエリアの広さが限られているため,敵種族との遭遇はむしろ前提条件として考える必要がある。そういった意味では,アビスをも上回る緊張感があるだろう。
部屋の中には龍族がわんさかといる。龍族を倒していくだけでも大変だが,ドレドギオンの本当の恐ろしさはほかにある |
エリア内に滞在できる時間は1時間と短め。すべての龍族を倒すことはできないので,目標を持って挑もう |
このようなオブジェクトがエリア内の各地にある。破壊するとポイントが獲得できるが,龍族や敵種族が黙って見過ごしてくれるわけがない |
ドレドギオンは1日3回開催される。スキルバー右上の専用のボタンを押すことで瞬時に移動できるため,待ち時間の間に狩りや採集などが行える |
“個人入場”で参加しても,同種族のパーティが自動的に編成される。マッチングに要する時間は,通常1〜5分程度とのこと |
ポイントの獲得には,内部にあるオブジェクトを破壊したり,囚われた同種族のNPCを救出するなど,いくつかの方法があるようだ。その難度によってポイント数は異なり,例えば龍族の雑魚を1体倒しても数十ポイント程度だが,艦長の場合は1000ものポイントが得られる。
エリアへの入場は,どちらかというとRTSやFPSのマッチングに近い形式で行われる。ドレドギオンの開催は1日に3回,日本時間で「0〜2時,12〜14時,20〜22時」となっている。参加条件を満たしたキャラクターは,受付時間になると画面右下に専用のボタンが表示され,これを押すことでドレドギオンの内部へ直接移動できる。
その際は,「個人入場,クイック入場,グループ入場」の3とおりの中から参加方法を選べる。詳細は割愛するが,要するに,野良でも身内パーティでも気軽に参加できるシステムだ。ちなみにチームは1パーティ,つまり最大6名のPCで構成される。
報酬システムに関しては,まずは勝敗に関係なく,獲得ポイントに応じたアビスポイント(AP)が得られる。獲得APの大まかな目安としては,勝利チームは3000〜6000前後,敗者チームは1500〜2500前後で,従来の方法と比べると非常においしいことが分かる。Episode1.5以降は,APの交換アイテムに注目がより集まることだろう。
そのほかには,エリア内にネームドモンスターが複数いて,中にはユニークアイテムがドロップするものもあるとか。場合によってはポイントの獲得よりも,こちらを狙っていく展開もあるかもしれない。それでも,敵種族を警戒しながらの戦闘に変わりはないが。
ポイントを多く集めたチームが勝利を収めるというルール。PvEとPvPをミックスさせ,スポーツライクに仕上げたコンテンツという印象だ |
ポイントの獲得方法はいくつかある。パーティのクラス編成や,そのときの状況に応じて,ポイント獲得のため何をなすべきなのかが変化する |
エリア内には分岐路があり,なるべく敵種族と遭遇しにくいルートも選べる。一方,龍族を極力無視して,真っ先に敵種族をPKしに行くという手も |
艦長と戦闘を始めた直後のショット。このエリア内アナウンスは敵種族も当然見ているわけで,凄まじい緊張感がある |
また,仮にポイントが大きく引き離されてしまっても,狙いを敵種族のPKに切り替えることで,一発逆転のチャンスが生まれそうだ。例えば,ボスである“艦長 アドハティ”との交戦状態に入ると,その旨のメッセージがエリア内にアナウンスされる。艦長室へのルートは綺麗に掃除されているはずなので,アナウンスを見た敵種族のチームが急行すれば,ボスと挟み討ちにできるかもしれない。
このように,敵種族を牽制しながら龍族を倒していくというドレドギオンは,“PvPvE型ダンジョン”と呼ぶに相応しいコンテンツである。このコンセプトが,ようやくMMORPGのインスタンス上で実現された点は特筆に価するだろう。
内部にいる敵は龍族だけではなかった! インスタンスの内部で現れる敵種族のチームには度肝を抜かれるだろう |
ドレドギオンのシステムは,何から何まで新鮮である。個人的に今回の取材で最も面白そうだと感じたのが,このコンテンツであった |
精鋭ディーヴァよ,未来の天族を救うべく急行せよ!
タイムアタック型コンテンツ「暗黒のポエタ」
ポエタが天族の故郷なのはご存じかと思うが,ここがきたるべき未来において,龍族から本格的な侵攻を受け,壊滅状態に陥ることが明らかになった。ポエタの危機を救うべく,現代から選りすぐりのディーヴァが出撃する,というバックグラウンドストーリーである。
ちなみに暗黒のポエタには,天族だけでなく魔族のキャラクターでも挑戦できる。魔族にとっては,ポエタが滅びるのはむしろ歓迎すべきことだと思うのだが,そのあたりの理由についてはプロローグクエストで補完されるようだ。魔族側のプレイヤーは,ポエタが龍族に滅ぼされる未来を予見したNPCから,ポエタを滅ぼした軍団の長であるアヌハルトが重要なモノを持っているという情報を入手し,未来のポエタに向かうことになる。
天族の新規キャラと同様,アカリオス平原からスタートする。見慣れた景観かと思いきや,よく見ると微妙に違う |
少し進むと,いきなりレベル50のエリート龍族が出現。未来のポエタは,龍族に占拠されてしまっていたのだ |
とりあえず,実際に未来のポエタへ降り立ってみた。
最初は妙に薄暗い景観だなあと感じたのだが,細部をよく見ると,見覚えのあるポエタとはまるで違うことに気付く。まず,家屋などの人工物は,どれも完膚なきまでに破壊されており,じっくり観察すると現代世界の名残がようやく見つかるという程度。そのわずかな名残を見れば,天族のプレイヤーは胸が締め付けられる思いにかられるかもしれない。
そして,町をはじめ,要所要所にいたはずのNPCや,ケルビムやドゥカキ族などいったお馴染みのモンスターは一切いない。その代わりにエリア内を闊歩しているのは,レベル50の龍族といった有様だ。エリア内を駆け足で見るにつれ,もうポエタは見捨てるしかないのでは……,とすら思えてくる。
龍族との激戦を潜り抜け,無事に次元の扉の前まで到達すると,そこにはボスの“アヌハルト”が待ち受けている。これを倒すとひとまずはクリアだ。
道中にはいくつものトラップがあり,次元の扉に到達するだけでも相当難しそうだ。制限時間も4時間と,インスタンスにしてはかなり長い |
フィールドエリアなので,敵が極端に密集していないのがせめてもの救いか。しかし,突如として連戦になることもしばしば |
この時点で,アヌハルトの後ろにあった次元の扉に入ることができるようになり,その先は,現代のポエタにはなかった離れ小島へと続いている。この離れ小島では,ランクによってそれぞれ異なるラスボスと戦える,という仕組みなのだ。
ポイント獲得の概念は先述のドレドギオンにも通じるが,暗黒のポエタの特徴といえるのは,アヌハルトまでの攻略時間が短いほうが,高い評価が得られることだ。例えば,最も高いSランクの評価を得るための目安としては,開始から2時間以内にアヌハルトを倒す必要があるという。ドレドギオンがPvPvE型のコンテンツなら,暗黒のポエタは“タイムアタック型コンテンツ”とでもいうべきだろうか。
このように何から何まで最高の難度を誇るコンテンツだが,それだけに報酬も破格である。まず,エリア内にはアヌハルトをはじめとしたネームドモンスターが多数おり,それぞれ個別のユニークアイテムをドロップする。また,ポイントに応じてAPも獲得でき,その量はドレドギオンに匹敵,場合によっては上回ることすらあるようだ。
とくに,ラスボスからのドロップはずば抜けている。例えば,Sランクで戦える“タハバタ”からは,ユニークを上回る“ヒーロー グレード”の武器がドロップするのだ。実装から当分の間は,タハバタの姿を見るだけでも困難を極めそうだが,コアプレイヤーにとって,存分にやり甲斐のあるコンテンツとなりそうである。
モンスターと戦うだけでなく,さまざまな仕掛けもある。中央にいるモンスターは,なにやら周囲にあるオブジェクトが関わっていそうだ |
実は暗黒のポエタは“タイムアタック型”のコンテンツである。龍族の討伐や採集などで,少しずつポイントを獲得していく |
これまで前編と後編の2回に分けて,「Episode 1.5 龍族の侵攻」の新コンテンツを紹介してきた。5種類のインスタンスエリアを中心に紹介してきたが,そのほかにも大小さまざまなアップデートが施されている。これらに関しては,スクリーンショットとキャプションで簡単に補足していこう。
Episode1.5では,新インスタンスエリア導入のほかにもかなりの量の変更点がある。AION公式サイトにはアップデート項目の一覧があるのでチェックしておこう |
ディーヴァとしてのさらなる力を得られる,“上級スティグマ”が実装に。アップデート項目の中でとくに注目度が高いものの一つだ |
5種類のインスタンスエリアでは,難度に見合ったレアアイテムが得られる。例えばヒーローアイテムが得られるボス“タハバタ”は,遭遇そのものがキャンペーン展開されるほどハードルが高い | |
キャラクター作成時におけるバリエーションも,さりげなく増やされている。ハイエンドコンテンツに疲れたら,気分転換に別クラスのキャラを育ててみるのも悪くないだろう |
AIONは正式サービス開始から3か月が経過し,こうして初の大型アップデートを迎えた。今年最大級の注目作であるAIONは,先日のインタビューでも非常に反響が大きかったわけだが,少しずつよい方向に変化してきている。具体的には,アカウントハック問題に関しては,KeyCryptの導入により被害報告が大幅に減っている。今後セキュリティカードが導入されることで,さらに堅固になることだろう。
エヌ・シー・ジャパンによれば,Episode 1.5から,要塞戦などの人が密集している場所でのクライアント不正終了問題は修正される見込みとのこと(記事掲載時点で対応が完了しているかどうかは未確認)。レベル9以下ではゲーム内郵便を送信することができないよう変更されているようなので,RMT宣伝も減るだろう。また,いまだ不満度の高いBOT問題も断固とした姿勢で対策を打ち続けていくとのことなので,今後に期待していきたい。
AIONのゲームコンテンツは,本当に魅力的なものばかりだ。その思いは,今回の取材を通じていっそう強くなった。Episode1.5の取材は十分満足のいく内容であったが,プレイヤーがゲーム内外の環境に煩わされることなく,純粋にゲームコンテンツを楽しめるよう,これからの運営チームの頑張りに期待したい。
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The Tower of AION
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