旧特集
神戸でリネージュ エピソード5導入記念「The Lastavard Eve」開催
イベントは,GMの木村氏と始澤氏による,エピソード5の見どころ紹介で幕を開けた。始澤氏の操作で,実際のプレイ画面を見せながら行われた解説内容は,「海賊島」後半部分や各クエストとその報酬アイテム,ラスタバド城の内部と各フロアのボスモンスターなど,なかなか豪華な名所案内となっていた。それぞれの内容について言えば,すでに特設サイトで公開された情報が中心だったものの,高レベルプレイヤー向けの地域を含め,実際のプレイシーンを導入前にエンドユーザーイベントで見られた点は,特筆に値するだろう。
■リネージュガールとペアでAA(アデナアート)制作
アトラクションの第1弾は,ゲーム内通貨「アデナ」を地面に置いて絵を描く“アデナアート”の,出来栄えを競う「アデナでGO!」。リネージュガールの3人それぞれと来場者がペアを組み,2分間でなるべくキレイなハート形を作るのが課題だった。
実際に試してみると分かるが,リネージュで狙ったとおりの位置にアイテムを落とすのは,なかなか難しい。実際1番手となった香山碧さんペアはかなり苦戦していた様子だ。続く2番手の市川円香さんペアは来場者がリードし,1分そこそこでなかなかうまく小振りのハートを描いた。司会者がその場でパートナー側の人に聞いた話によると,実は普段からアデナに限らずアイテムアートを楽しむイベント血盟に属しているプレイヤーであるとのこと。彼いわく「ハートは10アデナで作れます。中まで塗りつぶすなら13アデナです」なのだとか。
だが,今回最も見映えのするハートを作ったのは,最後の水野雅美さんペアだった。来場者の人とうまくサポートし合いながら大きなハートを完成させ,司会者の提案もあって最後は二人でハートの中にキャラクターを立たせるといったサービスを披露。見事優勝の栄冠を射止めた。
後述する「アデン国勢調査」および「リネージュフリートーク」と並行で行われたこのアトラクションは,7名がパーティを組み専用マップでモンスターに挑戦するというものだった。ただし,モンスターはこのイベント用に用意された特別仕様で,一定のダメージを与えると,エピソード5で実装される新モンスターへと次々に変身を繰り返していく。準備時間5分,戦闘時間5分で,どこまで新しいモンスターを体験できるかは、7人の協力次第というわけだ。
一足先に新モンスターや新ボスの特徴と範囲魔法の強さが体験できるとあって,ブースの前には長い行列が出来,参加者は接近戦重視でモンスターを叩き続けたり,タンク役に足止めしてもらっている間に魔法をスマートに決めたりと,思い思いの戦術でモンスターに挑んでいた。
三つのアトラクションのうち唯一,事前の申請が必要だったのが,自分のキャラクターを使って参加する「度胸一発! オーバーエンチャント大会」だ。俗にOEと呼ばれる,武器や防具の過剰精錬にチャレンジするのだが,使うのはなんとプレイヤー自身の所持アイテム。失敗すればアイテムは蒸発してしまうが,もちろん運営側からの補填などはいっさいなし。強化スクロールこそ提供されるものの,それすらも自前の高級品を使う人がいて,そうなるとさしづめイベントを盛り上げるためのボランティア状態である。
手続きそのものは,通常の精錬と変わらないので結果を中心に述べると,一人目の挑戦者は属性グローブのOEを試みて,いきなり成功。+5属性グローブが出来上がり,幸先の良いスタートに会場から割れんばかりの拍手が起こった。
これに続けとばかりに,残りの挑戦達が順に壇上へ。二人目はすでにOE済みの+9ツルギを持ち出してきたため,場内は騒然。ツルギは,ナイトが装備できる武器の中で比較的入手しやすいとはいえ,レアな武器の一つだ。+9の過剰精錬が施されている時点ですでに大変な価値だというのに,+10に挑もうというのだから,思い切りがよいと評すべきか,旺盛なサービス精神を讃えるべきか。ゲン担ぎも兼ねて好きな町に移動後,武器強化スクロールをペタリと貼ると……なんと成功でも失敗でもない+9のままという結果に(武器強化スクロールは消えてしまうが)。そして,果敢に2度目に挑むものの,運命の女神は微笑まず,+9ツルギは煙と消えてしまった……。
3人目の挑戦者が自分のアカウントでログインすると,まだ強化スクロールも取り出さないうちに,会場からは静かなどよめきが上がった。というのも,この最後の挑戦者のキャラクターがセット装備「反王(ケン・ラウヘル)セット」で登場したからだ。リネージュ内にはアーマー,ブーツ,ヘルムなどに同じシリーズ名がついたセット装備が何種類か存在するが,なかには全ワールド(サーバー)中でまだパーツが1個しか出現していないものもあるくらいの,レアアイテムなのである。
後述する「アデン国勢調査」で明かされたとおり,「反王セット」は「アークトゥルス」ワールドでのみ全パーツが出現しており,3番目の挑戦者はその所持者であった。すでに+9まで強化したB-刀(Bは祝福されたアイテム)で挑戦したのだが,あえなく灰になった。
そのため息も消えやらぬなか,最後の挑戦者は「伝説の武具イベント」限定で入手可能なアイテム「聖戦士のダガー」で挑戦するが,こちらも失敗。まあ,オーバーエンチャントの成功率を考えれば順当なところであり,むしろ最初の成功が会場を沸かせ,期待を盛り上げられた点を多とすべきであろう。
■「アデン国勢調査」トッププレイヤーは驚異のレベル77
血盟同士による攻城戦が非常に盛んなリネージュでは,相手血盟の戦力を知ることが重要な意味を持つ。それゆえ,有名プレイヤーほど現在のレベルや所持している武器/防具の能力値,精錬具合などについての情報は秘匿せざるを得ない。その意味から,個々のプレイヤー情報と切り離した形で運営側が語る現況は,プレイの指針になる点で非常に興味深いものなのだ。
いくつか興味深い部分をピックアップしてみると,まず,ハイレベルプレイヤーのクラス比では,全ワールドともエルフとウィザードが多数を占める。育てやすさと,高レベルになったときの強さを考えれば,これは納得のゆく結果である。
自動的にトップレベルキャラクターベスト3もすべてエルフとウィザードに占められており,第1位はレベル77のエルフ,2位がレベル76のエルフ,3位はレベル74が2名でエルフとウィザードという結果となっていた。比較的新しいワールドの「アルタイル」ですら,今はレベル70以上が10名もいることには大変驚かされた。このほか,過剰精錬された武器の種類とスペック,ゲーム内の結婚率など,なかなか知ることのできない数値が並んだ。
ちなみに結婚しているのは全プレイヤー中わずか3%……。これには解説の笠原氏も「リネージュには結婚によるメリットがほとんどないからでしょうね」と苦笑した。ここはひとつプレイヤー(キャラクター)が結婚したくて仕方がなくなるような美味しいシステムを,ぜひ実装してもらいたいところだ。
■開発者からは少しだけエピソード6の話題も
トークの内容はエピソード5にまつわる苦労話や,新マップの推奨レベルと魅力など,2006年8月9日のインタビューと共通した話題が多かったため詳細は割愛させていただくが,キム・キュホ氏が実は入社前から熱心なリネージュプレイヤーで,入社後に自分がかつて欲しがっていたアイテムのドロップ率の低さを数値で見,その低さに愕然としたという,ユーモラスなエピソードなどが併せて語られた。
フリートークの最後に少しだけ,来場者へのサービスとして,キム・キュホ氏が今後のアップデート予定について話してくれたので,紹介しておこう。韓国サーバーでは2007年の初めごろ,ラスタバドの秘話が完全に明かされ,最終話でもある海賊島の最後のエピソードが実装される予定だという。
そして氏は「エピソード6以降はマップの追加など量ではなく,質を重視したアップデートを目指したい。クラス間のバランス調整や,これまで面白そうだなと思いながらも,実現してこれなかったコンテンツを実装していきたい」とも語った。
また,これまで攻城戦といえば,城主血盟に対して非城主血盟が戦いを挑むシステムであったが,今後別途,城主血盟同士が戦うシステムが加わる予定だという。それぞれの詳細や時期に関しては何も語られなかったものの,これが実装されれば,もともと人気の高いリネージュの大規模PvPが,より盛り上がるのは間違いない。現役プレイヤーはぜひとも続報を期待しつつ,待ってほしい。
■エヌ・シー・ジャパン JC・キム氏に聞くイベントの狙い
まず,今回なぜ神戸という舞台を選んだのか。氏いわく「イベントといえば普通は東京で開催するのが効率的ですし,実際のところそのほうが開催自体楽です。ですが,言うまでもなくプレイヤー様は全国にいますので,今回は最初から地方で開催することを考えていました」とのこと。
また,エヌ・シー・ジャパンスタッフの手による,地方インターネットカフェでの開催をコンセプトに,できるだけ多くのプレイヤーにオフラインイベントを楽しんでもらえること目標としたという。そして会場選定に当たっては,昨年イベントを開催した福岡と大阪を避け,会場の都合やスケジュールなども含めて検討した結果,神戸に決まったらしい。
続いて,もう少し話の枠を広げ,エヌ・シー・ジャパンの地方イベントに対するスタンスや,そこで行われるべきイベントの性格と関連づけて,今回のイベントの位置付けについて聞いてみた。氏によると今回のイベントでは「お客様を“呼ぶ”のではなく,お客様のところに“行く”」ことを第一に考えたという。「昨年のイベントでも分かるように,日本のプレイヤー様もPvPを楽しんでくれていることはもちろんなのですが」と前置きしつつ,氏は「せっかくお客様のいるところに入っていくわけですから,より多くの人に楽しんでもらえるように考えた結果,今回のような初級者,中級者の方にも楽しんでいただけるものになりました。エヌ・シー・ジャパンとしては,これまでやったことのない形のイベントといえます」と説明してくれた。
そして氏は,オンラインゲームが全国サービスであることを意識しつつ,「オフラインイベントには,交通手段など制約が多いのも事実ですが,例えばこの8月5日に東京で開催したリネージュIIのイベントでは,東京近郊のみならず全国からファンが集まってくれました。そうしたファンの方から見たとき,地方でイベントをやってほしいという要望はごくごく自然なものです。それにいくばくかでもお応えし,私達の側から出かけて行こうというのが,今回のイベントが持つ意義なのです」とも語った。
そうした考えに基づいて開催されたThe Lastavard Eveだが,主催者側としての手応えは果たしてどうだったろうか? 氏は昨年夏以来,リネージュに関してとくに大きなオフラインイベントを開催してこなかったことを「運営者として反省すべきではなかったか」と省みつつ,「今回プレイヤー様の生の声を聞くことが,いかに大事なことかをあらためて実感しました」と述べた。そして「イベントの最後まで残ってくれた人も多く,本当にプレイヤー様との間がより親密になったことを嬉しく思います」というのが,その質問への答えだった。
また,今後の地方イベントをめぐっては,「昨年,今年と関西でイベントを開催してきましたが,仙台や札幌など東京より東の地域でも,機会があればぜひ実施したいですね。さすがに関東ほど多くのお客様がいるわけではないので,同じようにはできるとは言い切れませんが,規模に応じたイベントを開催していくことも,面白いチャレンジだと思っています。先日来開催している不正アクセスに関する講習会も含めてのお話になりますが,運営側として,少しでもプレイヤーの皆様との距離を縮めていきたいと考えています」とのこと。
最後に,今回のイベントに限らずリネージュのサービス全体と,すべてのプレイヤーに向けたメッセージとして,氏は「リネージュの国内サービスを開始してから今年で6年,変わらずプレイしてくれている方に,まずはお礼を申し上げたいと思います。今後もさらに楽しんでもらえるよう,NC soft/エヌ・シー・ジャパンとして努力して参りますので,よろしくお願いいたします」と,エピソード5アップデート以降の展開を見据えて,決意を込めた言葉で今回の問答を締めくくった。
前述のように,会場に集まったギャラリーは100名ほど。U-PARAのサービス形態が時間制のため,公式サイトでの事前登録が必須で,ふらりと立ち寄る人がいなかったことを考えると,なかなかの人出であり,息の長いサービスの強みを発揮した場面といえる。
今回のイベントが“攻”か“守”かと問われれば,確かにこれは守であると答えるほかないのだが,ファンサービスの地方イベントゆえ必然的に“射程”が短いものと考えるのは早計だ。例えばオーバーエンチャント大会では,参加者がワールド全体チャットや血盟チャットで,現在神戸のイベント会場にいること,これからオーバーエンチャントに挑戦することなどを宣言し,それに応援のメッセージが寄せられるなど,イベント参加者と一般プレイヤー,オフラインとオンラインを繋ぐ催しとして機能していたのである。
地方イベントとしての性格を発揮しつつ,それが単純な地方イベントに留まらないことが,オンラインゲームの魅力を雄弁に語ってくれる。そんなことを考えさせられた今回のイベント取材だった。(麻生ちはや)
- 関連タイトル:
リネージュ エピソード5 ラスタバド〜混沌の塔〜
- 関連タイトル:
リネージュ
- この記事のURL:
Lineage (R) and Lineage (R) Eternal Life are registered trademarks of NCsoft Corporation. 1998-2009 (C) Copyright NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute, and transmitLineage Eternal Life in Japan. All Rights Reserved.