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印刷2007/01/31 23:35

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新規参入パートナー/タイトルが山盛り,LieVoプレスカンファレンスの模様をお届け

■ゲームポータルではなく,“オンラインプラットフォーム”

テクモ代表取締役社長 安田善巳氏
 速報記事でもお伝えしたように,本日(1月31日),東京・六本木の泉ガーデンシアターにて「『LieVo』プレスカンファレンス 2007 WINTER」が開催された。レッド・エンタテインメントと,さくらインターネットのLieVo参入や,新規タイトルの制作が発表されるなど,予想以上に濃い内容となった。

 プレスカンファレンスは,テクモ代表取締役社長 安田善巳氏による冒頭の挨拶で始まった。安田氏は,「現在,国内外のゲーム開発会社/運営会社,約20社とLieVoへの参入について協議を続けている」と述べたうえで,LieVoがゲームポータルではなく,“オンラインプラットフォーム”を謳っている理由を,LieVoが目指す二つのビジョンを示しながら説明した。
 そのビジョンとは,一つには,Web上にクリエイターとプレイヤーによる世界規模のゲーム市場を創造すること。そしてもう一つは,世界中のクリエイター同士の交流とコラボレーションを促進することであるという。そしてこれは,ビジネス的な観点から見ると,「Web上にロングテールのゲーム市場を創造していくこと,そして,世界中のクリエイターに,豊富なソリューションを提供すること」であり,LieVoはWebと共に発展していく,次世代オンラインプラットフォームを構築していくと語った。
 そして安田氏は,「これまでのオンラインゲームポータルサイトとLieVoとでは,本質的にビジネスモデルが違う」と説明し,LieVoのビジネスモデルは,「世界中のパートナーと,ノウハウ,スキル,顧客基盤を結集し,これらを共有するオープンなもの」だと語った。これはすなわち,参加パートナーそれぞれがノウハウを共有しあうことで,全体の活性化を目指していくということだ。安田氏はこれを,「クリエイターの皆さんと作っていく共和国」と表現した。



 続いて安田氏は,2007年のLieVoのプラットフォーム戦略を紹介。LieVoの理念である,「グローバル&オープン」を,着実に推し進めていく一年にしていくと述べた。より具体的には,2007年末までに国内で13タイトル,2008年末までに18タイトルを提供していくとのこと。また,2007年3月に,韓国においてLieVoを立ち上げ,2007年末までに韓国内で4タイトル,2008年末までに6タイトルを提供する予定だという。さらに,2007年夏に,東南アジア・オセアニア地域においてもLieVoを展開していくという計画を明らかにした。
 こうした展開を通じての,LieVoの登録会員数の推移については,2006年10月に110万人でスタートしたのち,2007年3月の韓国展開によって,約300万人の登録会員数を持つ「ミックスマスター」がラインナップに加わることで,440万人に達するという見込みを示した。そして,当初の目標であった500万人の登録会員数の達成は確実であるとしつつ,2007年末までに700万人の登録会員数を目標とすると,上方修正した。また,これまで挙がった地域以外での展開も予定しているとのこと。

 安田氏は,LieVoの目玉機能となるだろう「ユーザー創造機能」の,「新型SNS」「RSS」「攻略Wiki」「ギルドマップ」も,2007年3月以降,順次実装していくことを披露。「ギルドマップ」サービスとは,自分の友人が,いまどのオンラインゲームで遊んでいるかを,Web上で見ることができるというものだ。また,PC/家庭用ゲーム機/携帯ゲーム機の垣根を越えた融合を目指す,「クロスボーダーソリューション」構想を示した。

 続いて安田氏は,2007年のLieVoプラットフォーム戦略のトリを飾るものとして,「LieVo Studio」を紹介。これまでにコンシューマゲーム開発の経験を十分に積んだ,若手を中心とした精鋭集団であり,2007年1月に発足し,現在4タイトルを開発中とのこと。LieVo Studio 「BASTARD!! ONLINE」プロデューサー高崎俊行氏と,同「ProjectEDEN」 プロデューサー長谷川 仁氏が壇上に招かれた。
 高崎氏は,「これまでの常識にとらわれない,柔軟な発想をもってトライしていきます」。また長谷川氏は,「『零 〜zero〜』シリーズや,『影牢』シリーズを手がけてきた経験を生かし,LieVoのビジョンをより加速させていくタイトルを開発していきたい」と,抱負を語った。ちなみに,ProjectEDENとは,オンラインゲームであるとのことだが,今回はそれ以上の発表はされなかった。これについては続報を待ちたいところだ。
 安田氏は,LieVo Studioによって,将来的にはアーケードや家庭用ゲーム機への“逆上陸”を果たして行きたいと,締めくくった。

左:LieVo Studio 「BASTARD!! ONLINE」プロデューサー高崎俊行氏
右:同「ProjectEDEN」 プロデューサー長谷川 仁氏


■レッド・エンタテインメントとさくらインターネットがLieVoに参入!

レッド・エンタテインメント 代表取締役社長 名越康晃氏
 続いて壇上に招かれたのは,「サクラ大戦」シリーズや「天外魔境」シリーズで幅広い人気を集めるレッド・エンタテインメント代表取締役社長 名越康晃氏。名越氏はまず,これまでキャラクター/シナリオ/世界観の原作を提供してきた同社の紹介を行ったのち,「これからはオンラインゲームを主力事業の一つとして取り組んでいきたい」と,抱負を語った。
 そして,LieVo参入第一弾タイトルとして,台湾ChineseGamerが開発した,女性向けオンラインゲーム「ラブネマ」を紹介。さらに,もう一つの隠しダマとして「天外魔境ONLINE(仮)」の制作を発表した。簡単に補足しておくと,天外魔境シリーズは,架空の日本「ジパング」を舞台にした和風ファンタジーRPG。1989年に第一作が家庭用ゲーム機で発売されて以降,シリーズ主要タイトル13作,シリーズ累計220万本が出荷された人気作。天外魔境ONLINE(仮)は,2008年中のサービス開始を目指して鋭意開発中とのこと。それ以上の詳細については語られなかったが,これまでのシリーズの流れを汲む和風ファンタジー世界を舞台としたオンラインゲームとなるようだ。
 その後,レッド・エンタテインメント会長 広井王子氏によるビデオメッセージが流された。その中で広井氏は,「架空の日本『ジパング』で,日本の持つ神話的な世界を面白おかしく表現することは,素晴らしい発明だったと思う」と述べ,続けて「ぜひ多くの人に,この『ジパング』の世界で楽しんでほしい」と語った。
 広井氏といえば,北京で開催されたChinaJoy 2006で発表があった「サクラ大戦MMO」(仮題)についても,その後が気になるところだが,残念ながらこちらについてはとくに触れられなかった。

 2社目のパートナーとして紹介されたのは,「ダンジョンズ&ドラゴンズオンライン:ストームリーチ」(DDO)を正式サービス中の,さくらインターネット代表取締役社長 兼 最高経営責任者 笹田 亮氏。笹田氏は,同社が2007年春に日本語でのサービスを予定している「The Lord of the Rings Online: Shadows of Angmar」(LotRO)とLieVoの連携を発表。LieVoとさくらインターネットとの提携によって,LotROおよび同社がすでにサービス中のDDOが,LieVoを通じてサービスされることになる。
 笹田氏によると,LotROは2007年春に全世界で“ほぼ”同時リリースが予定されているとのこと。また,この発表会を通じて,本作の邦題が「ロード・オブ・ザ・リングス・オンライン アングマールの影」となることが明らかになった。本作は今後,Xbox 360やプレイステーション3といった,各種プラットフォームへの展開も予定されているとのこと。
 笹田氏は,「プラットフォームにとらわれず,本格的なタイトルを提供していくというLieVoのコンセプトに共感を感じた」と述べ,「(LieVoに参入した)それぞれのタイトルがお互いに刺激しあって,よい相乗効果がもたらされるのではないか」と,期待のほどを語った。

左:レッド・エンタテインメント会長 広井王子氏
右:さくらインターネット 代表取締役社長 兼 最高経営責任者 笹田 亮氏



■新規タイトルとバージョンアップ情報が次々と

SeedC代表取締役社長 崔 正浩氏
 LieVoを通じて提供される,個別タイトルの紹介に先立ち,SeedC代表取締役社長 崔 正浩氏が挨拶に立った。崔氏は,「2006年8月にLieVoの立ち上げを発表してから5か月になりますが,韓国,オーストラリアでLieVoの拠点を築き,レッド・エンタテインメントとさくらインターネットが新たに参入してくれたことで,LieVoの掲げる“グローバル&オープン”というビジョンに向かって,着々と前進しています」と語り,「今後もユーザーに愛される運営を徹底していきたい」と締めくくった。
 続いて崔氏は,「INFINITY」の開発会社WindySoftの創業者であり,取締役副会長のキム ジョンレ氏を紹介した。
 登壇したキム氏は,「LieVoは単なるゲームポータルではなく,グローバル提携や家庭用ゲーム機とのコラボレーションという面で大きな期待を持っています」と,やや緊張した面持ちで語った。WindySoftといえば,つい先日「塊魂オンライン」制作を発表するなど,目が離せない会社の一つといえるだろう。

 その後は,LieVoで提供される各タイトルの紹介が行われた。

・INFINITY
 1月4日にクローズドβテストが終了したばかりの「INFINITY」については,SeedCのINFINITYプロデューサー 田中一郎氏が紹介を行った。田中氏によると,本作は,3月上旬にオープンβテストが実施され,3月中旬には正式サービスが開始される予定。課金方式は,基本プレイ料金無料のアイテム課金制となるとのこと。また,今後行われる三つの大幅なアップデートとして,
−冒険/コミュニティの拠点となる“村”の実装
−アビリティポイントによる“キャラクター成長”の実装
−“アイテム合成”の実装
が発表された。



 さらに,同作のキャラクターボイスの発表が行われ,ゲストとして,エレナ役の小清水亜美さん,ユーリ役の牧口真幸さん,ドロシー役の金光宣明氏が壇上に招かれた。ゲストの3名は,田中氏から本作の紹介役を引き継ぎ(奪い取り?),それぞれが演じたキャラクターの紹介などを交えながら,本作の魅力をアピールした。
 なお,今回発表された本作のキャスト(一部)は以下のとおり。

キャラクターCV代表作
ガトゥ三木眞一郎『頭文字〈イニシャル〉D』 藤原拓海 役,『BLEACH』 浦原喜助 役,『ポケットモンスター』 コジロウ 役,『ディズニーアニメ アラジン』 アラジン 役など
エレナ小清水亜美『明日のナージャ』 ナージャ・アップルフィールド 役,『スクールランブル』 塚本天満 役など
キリウス羽多野渉『銀魂』 三郎 役 など
ユーリ牧口真幸『グローランサーV』 ファニル 役 など
ドロシー金光宣明『ふたりはプリキュア』 宮下先生 役,『シャドウハーツ2』 加藤政二 役など
アレクシア神田理江『機神咆吼デモンベイン』 アル・アジフ 役,『アッコにおまかせ』 ナレーション 役など
ラドロン河本邦弘『アーケード 北斗の拳』 ケンシロウ 役 など
ハーカン永野広一『アイシールド21』 栗田良寛 役 など


左:WindySoft 創業者 取締役副会長 キム ジョンレ氏 中央:SeedC INFINITYプロデューサー 田中一郎氏 右:ドロシー役の金光宣明氏,ユーリ役の牧口真幸さん,エレナ役の小清水亜美さん


テクモ エグゼクティブプロデューサー 原尾宏次氏
・Gallop Racer ONLINE
 「Gallop Racer ONLINE」の紹介を行った,テクモ エグゼクティブプロデューサー原尾宏次氏は,本作を「サイアーラインを中心とした,ユーザー主導型のゲームです」と紹介。
 本作では,プレイヤーが自分の競走馬を育成する「シーズンモード」が用意されるほか,「チャレンジモード」では,それぞれが育てた競走馬でレースができる。そして,毎週開催される予定の「最強馬決定戦」で優勝した馬は,このサイアーライン入りを果たし,種牡馬として,ほかのプレイヤーの競走馬に血統を残していけるのだという。
 原尾氏によると,「サイアーラインの出発点といえる“始祖”(最初の一頭目の種牡馬)は,初期のプレイヤーの中から誕生するのではないでしょうか」とのことだ。また本作には,過去のレースなどを再現する「メモリアルレース」も用意される予定。
 本作は,本日より3次クローズドβテスターの募集が行われており,4Gamer枠として1000名分を用意してもらっている。興味がある人は,さっそく応募しておこう。



・WarRock
 これまで3回にわたるクローズドβテストが実施されてきた,オンライン専用FPS「WarRock」だが,待望のオープンβテストが,いよいよ明日2月1日4:00PMに開始されることが,テクモ WarRockプロデューサー 河野順太郎氏によって発表された。これに伴い,本日5:00PMに,オープンβテスターの募集が開始されている。
 1月25日まで実施されていた第3次クローズドβテストでは,プレイヤー数の増加に伴って問題となっていた,通信ラグの改善を主な目的としていたが,河野氏によると「(改善の)道筋は見えた」とのこと。今後実装予定の新機能については,すでにお伝えしているので,そちらも合わせて確認してほしい。

上段左:テクモ WarRockプロデューサー 河野順太郎氏


レッド・エンタテインメント オンラインゲーム事業部長 岩澤泰洋氏
・ラブネマ
 レッド・エンタテインメントのLieVo参入第一弾タイトルは,自社開発タイトルではなく,台湾のChineseGamerが開発した,女性向けオンラインコミュニケーションゲーム「ラブネマ」。本作は,台湾ではすでに正式サービスが開始されており,登録者が85万人を超える人気を集めるタイトルだ。日本での正式サービス時には,基本プレイ料金無料のアイテム課金制が予定されているとのこと。
 登壇した,レッド・エンタテインメント オンラインゲーム事業部長 岩澤泰洋氏は,本作を「友だちとのおしゃべりや着せ替え,部屋の模様替えなど,気ままなスローライフを楽しめる世界になっている」と紹介。また,ChineseGamer代表取締役社長 陳 奎平氏も,ビデオメッセージの中で挨拶の言葉を述べた。
 一般的なRPGにあるような戦闘の代わりに,友人と協力してミニゲームをクリアしていくことで,経験値やお金を得るというのが特徴だ。本作は,本日からクローズドβテスターの募集が開始されており,4Gamer枠として500名分を用意してもらった。本作の詳細と,クローズドβテスターへの応募については,そちらをご覧いただきたい。

上段左:ChineseGamer代表取締役社長 陳 奎平氏


・ダンジョンズ&ドラゴンズオンライン:ストームリーチ
 DDOでは,いよいよ池田秀一氏による,GMボイスの吹き替えが実装される。本作の紹介を行った,さくらインターネット DDOプロデューサー上田 浩氏によると,この日本語化ボイスを含むモジュールアップデートは,2月15日が予定されている。その後も,3月初旬に,北米でのサービス開始1周年記念に合わせた,イベント満載のモジュールの追加が行われる。さらに,4月初旬には,“モジュール4”と呼ばれる大型モジュールの実装が予定されているとのこと。上田氏は,「DDOでは,これからも休むことなくモジュールの追加を行い,常に新鮮で緊張感あふれるゲーム世界を提供していきます」と,抱負を語った。

上段左:さくらインターネット DDOプロデューサー上田 浩氏


■Web2.0時代に向けて,ゲーム内データと連動した“LieVoコミュニティ”

SeedC 取締役副社長 LieVo事務局リーダー 中川英明氏
 プレスカンファレンスの最後は,SeedC 取締役副社長であり,LieVo事務局リーダーの中川英明氏が,LieVoコミュニティについてのプレゼンを行った。中川氏は,これまでのコミュニティサイトとLieVoコミュニティの違いに関して,「ゲーム内データとWebとの連携」を挙げた。また,プレイヤーのアイデアを取り入れて,運営/開発スタイルを進化させていく方針を示した。

 3月31日から提供される予定の「LieVoSNS」は,「MySNS」と呼ばれるユーザーごとのトップページと,タイトルごとに分かれた「コンテンツSNS」の二段構成となっており,ゲーム内データとも連動したさまざまなサービスが提供されるようだ。また,これまでの情報配信ツールであるメールマガジンの進化系として,「LieVoRSS」の紹介も行われた。こちらは,今春サービス予定で,バージョンアップ情報や突発イベントなど,運営に密接に連動した情報配信が行われるとのことだ。

 また4月には,「WarRock」「Gallop Racer ONLINE」「INFINITY」が一斉に正式サービスとなる予定で,これに合わせて「春のアクションキャンペーン」が実施される予定。これは,4月からの1か月のうちにLieVo会員になった人に,LieVoポイントをプレゼントするというもので,各タイトルでも個別のキャンペーンが予定されている。
 中川氏は最後に,「LieVoの目指す“グローバル&オープン”という流れは必然的なもの」であるとし,今後もパートナー各社との連携によって,LieVoをさらに発展させていくことを宣言した。



 今回のプレスカンファレンスで明らかになったのは,LieVoの掲げる“グローバル&オープン”が,単なるキャッチフレーズではないということだ。また,LieVo提供タイトルのラインナップを見ると,カジュアル向けタイトルから本格派タイトルまで,非常にバラエティ豊かであり,男女を問わず楽しめるものが揃ったといえるだろう。冒頭の安田氏の話によると,現在約20社とLieVo参入に関する協議が進行中とのことで,今後もさらに発展していきそうな予感がある。しばらくは,LieVoの動きからは目が離せないものとなりそうだ。(Text by ginger / Photo by 新井邦彦)

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