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[TGS 2009]性能よりも構造に惚れる。予想以上にヤバかったAlienwareのゲーマー向けPC
新製品の概要はすでに記事になっているので,ここでは会場で実機に触ってみて分かった内容を紹介しよう。
未来的かつアグレッシブなPC設計
Alienware Area-51 ALX |
Alienware Aurora ALXと液晶ディスプレイOptix AW2210 |
外見で特徴的なのは天面部のベンチレーションシステムに見られる可変ダクトだろうか。これは内部温度が上がると自動制御で開いていくものとなっており,設定で作動条件を変えたり,半手動で開閉することもできる。
フロンドドライブベイには蓋が付いており,エイリアンの顔ボタンを押すとモーターで開閉する(「Alienware Aurora ALX」は開くときのみ電動。ALXの付かない機種は手動)。ソフトウェア制御も可能とのことで,DVDをイジェクトするときなど,自動的に蓋も開閉するのであろう。
最大6基分のHDDをはめ込むだけで使える。Auroraシリーズの場合は,本体底部に似たようなスロットが4基用意されている |
見ると,ずらっとHDD(用のスペース)が並んでいる。
Alienwareの新型では,HDDはケーブルレスの接続となっている。ズラッと並んだスロット(?)にベアドライブを差し込み,パチンとはめ込むだけ。両脇の白いラッチを押すと簡単に取り外せる。付け外しするところも見せてもらったが,だいたいそれぞれ2秒くらいで装着/脱着可能という感じ。ドライバーや工具は一切必要なく,実にクールだ。これならリムーバブルベイはもういらない。
このHDDスペースは,熱的にもCPU部分とは切り離されており,写真でいうと左下から右上にエアが流れる冷却設計となっている。
タワーの左側を開けると,通常のPCケースと同様にマザーボードが見える。下半分はプラスチックのエアダクトで仕切られており,GPUに集中して風を当てる構造だ。
CPUが液冷ということもあってか,上半分は非常にすっきりとした空間が広がっており,前面下部や背面から吸気したエアを,ラジエータのある上面方向に抜いていく構造だ。内部温度次第で前述のオートダクトが開閉するのだが,CPUがしっかり液冷なので,上半分の熱処理はさほどシビアではなさそうだ。
GPU部分には空気の流れを分離するカバーが |
カバーは簡単に開くのでメンテナンスは自在 |
Alienware Area-51シリーズでは,底部分に電源ユニットがあり,空間としてはほぼ完全にマザーボード用スペースと分離されている。Alienware Auroraシリーズでは,底部に電源ユニットとHDDベイ,それと分離されてマザーボードスペースとなっている。どちらもGPU部分はエアダクトで覆われており,内部に手を入れてみると,フロントからの吸気はかなりの風量がGPUに直行していることが分かる。空気を逃さないようなダクトで覆われており,前から後ろにストレートに流すことに徹している。
どうも最近の冷却効率重視とかいうPCケースは,やたら穴だらけにしてファンを大量に付けるというアプローチが流行っているようなのだが,ファンを増やすのはともかく,穴を開けてもあまり冷却効率はよくならないのが実際のところだ。とくにサイドパネルは,サイドファンが付いているならともかく,網目で穴が開いているだけの場合は,むしろエアフローが悪化して冷却性能は低下する。
主要な熱源となる,電源部,GPU,CPU,,チップセット,HDDのうち,電源部,GPU,HDDはほぼ分離され,CPUは液冷で,チップセットには大型をヒートシンクを付けるというAlienwareのアプローチは,非常に正統派だ。
Alienwareの場合,工具などは必要なく,ラッチで電源ユニットが簡単に取り外せるほか,配線も「ケーブル1本を外すだけ」でよい。新しい電源ユニットをはめ込んで,ケーブル1本つなぐだけで電源交換が完了する。実に未来的というか,従来のPC業界がいかに石器時代だったのかを痛感するような仕様だ。
ケース内部はLEDでライティングされているのだが,これは電源OFFの状態でも点灯し,通常使用中にバッテリーが充電される仕組み。通常,蓋を開けて作業するときには電源は落としているはずなので,当たり前といえば当たり前の仕様だが,そういうのをちゃんと理解して作ってあるというのが重要だろう。
正面からは見えないフロント(?)I/O |
15インチクラスで世界最強のノートPC M15x
Alienware M15x |
よく見ると「液晶パネルがプラスチックの枠にはまっている」のではなく,表面は隅々までガラスで覆われており,その一部が液晶画面になっているのが分かるだろう。
M17xのようにNVIDIA SLIやATI CrossFire Xはサポートしないとはいえ,非常にパワフルなノートPCには違いない。1600×900ドット液晶は,応答速度8msで,動きの速いゲームにも十分対応できるものとなっている。
製品全体にいえることだが,そんなにネジ回しが嫌いなのかと思うくらい,ドライバーレスで作業が可能になっている。ノートPCでは,Alienwareのロゴ入りプレートを装飾的に固定するためにネジが4本使われているだけで,あとはネジなしの構造になっているくらいだ。
ゲーマー向け周辺機器も妥協なし
ゲーマー向けPC5種と同時に発表された周辺機器に,マウス,キーボード,ヘッドセット,液晶ディスプレイがある。
マウスやヘッドセットは見たことのある形に酷似していたりする。公式には内緒みたいだったが,聞くとやはりLogitech(ロジクール)とSteelSeriesのOEMという答えが返ってきた。
マウスはLogitech 「G9x Laser Mouse」(以下G9x)のマイナーチェンジ版のようだ。G9xにはなぜかマウスを重くするギミックが搭載されていたのだが,そういったものがなくなり,底面はすっきりした印象。重量も,もしかすると軽くなっているかもしれない。
このデイスプレイ,よく見ると,入力ラグが少ないとある。スルーモード搭載ということは…… |
最近のPCは,パーツがだいたい決まっているので,メーカーによる差などほとんどないに等しかった。正直いって,単に高性能なだけなら高性能なパーツを適当に組めば実現できるのでさほど魅力的とは思っていなかったのだが,AlienwareのPC開発コンセプトは非常に未来的かつ合理的で,実際に内部まで見ることで,ようやく世界中のゲームマニアを引きつけているのも当然だと納得できた。むしろ,性能は二の次で,設計思想が素晴らしい。日本での知名度は極端に低いのだが,Dellの販売網で入手できるようになればそれも徐々に変わってくるだろう。今後の展開が本当に楽しみである。
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