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Microsoft,開発中の新OS コードネーム“Windows 8”をプレビュー。ユーザーインタフェースを紹介するムービーも公開
上記のように,Microsoftは,D9 conferenceで「Windows 8」に関する発表を行い,初めて実働デモを公開した。
Windows 8は,Intelアーキテクチャのみならず,ARMもサポートするなど,タブレット型PCやスマートフォンへの搭載も視野に入れられたOSであり,タッチパネルによるナチュラルインタフェースが非常に重視されていることが分かる。
また,「今年初めに発表したSoC(System on a Chip)でWindows 8をサポートするという発表をフォローするデモ」とのことなので,今回のデモ自体がARMベースCPUコアで動いているものだと思われる。
また,ムービー中では,「Windows 8」はコードネームという扱いになっているようだ。
さて,すでにムービーをご覧になった人も多いと思うが,今回のデモはマウスやキーボードを一切使わないタッチスクリーンだけの操作によるものだ。Windows 8のUIは,Windows Phone 7の“Tile”インタフェースを思わせるものとなっている。Windows Phone 7のデモについては,こちらの発表会記事に詳しいので,ご参照いただきたい。
Windows 8では,スタートメニューに代わる,TileベースのローンチメニューUIからのアプリの高速起動などがウリとなっている。また,そのTile部分の情報を随時更新していく「Live Tile」などについても,上記の記事に含まれるWindows Phone 7のデモが分かりやすいだろう。
ほとんどのデモは,1アプリが全画面を占有するタイプのものだったのだが,アプリを画面端にドッキングさせて,画面分割を行うシーンなどもあり,オーバラッピングウィンドウシステムからタイリングウィンドウシステム(マルチウィンドウシステム草創期にいくつか実装例があったようだが,すぐにオーバーラッピングマルチウィンドウシステムに駆逐されていた)への回帰が窺える。
デモでは従来のWindowsアプリが動作するほか,ファイルウィンドウなどでは,お馴染みの画面が表示されたおり,基本部分はこれまでどおりのWindowsであることも確認できる。
HTML5のレンダリングについては,Internet Explorer 9で,すでにかなりの部分をDirectXレベルで行っているのだが,“Internet Explorer 10”ではさらにハードウェア対応が進み,WindowsのネイティブAPIにアクセスできるような機能が追加される模様だ。Windows 8世代の基本的なアプリケーションは,HTML5とJavaScriptだけで記述できてしまうかもしれない。また,IE10では,HTML5の機能サポートでの仕様への忠実度も高くなるとしている。
Windows 8の開発は順調に進んでいるようだが,カーネル,ネットワーク,ストレージ,デバイス,UIなど,あらゆる部分で革新的な試みが行われるとされており,すべてが作業中であるため,一般向けのプレビューリリースは当分困難であるとの見通しだ。Microsoftでは,Windows 7開発時と同様に開発ブログで技術的な対話を行っていく予定だとしている。
「Windows 8を搭載したPCは,まったく新しいデバイスになります」
とはいえ,これはデスクトップPC向けのOSの次世代製品でもあるので,ちゃんと“クラシック”なUIはあるのかなども気になるところではある。新しいデバイスになってもらうと困る場合も多いのだ。Windows 2000以降,Windows UIは一定の方向で進化はしているものの,全体的な自由度は下がってきている。実際のところ,だんだん使いにくくなっていると感じている人も少なくないのではないだろうか。Windows Vistaでは,予想以上にゲームが動かないという状況も経験しているだけに,大きなアーキテクチャ変更を含むと思われるWindows 8の互換性なども気になるところである。今後の発表に注目したいところだ。
Microsoft公式サイト「Previewing ‘Windows 8’」
- 関連タイトル:
Windows 8.x
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