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GIGABYTEがIntel 9シリーズ搭載のゲーマー向けマザーボード10製品を発表。サーバーレベルの高信頼性シリーズ「Black Edition」が登場
本稿では,都内で開かれた新製品説明会での情報をもとに,ゲーマー向け製品の概要と新シリーズ「Black Edition」を中心に説明していこう。
GIGABYTEのマザーボードは4シリーズ構成に
発表会ではまず,GIGABYTEのColin Brix氏により,Intel 9シリーズ搭載マザーボードの製品構成についての説明が行われた。
Brix氏によると,GIGABYTEは9シリーズマザーボードのラインナップを,以下の4シリーズ構成で展開するという。
- Ultra Durable(スタンダードモデル)
- Gaming
- Overclocking(旧OC Force)
- Black Edition
従来のGIGABYTE製マザーボードでは,ゲーマー向け製品に「G1.Killer」や「G1.Sniper」といった名称が冠されていた。同社の製品ラインナップを理解している人なら,名前を見ただけで「これはゲーマー向け」と理解できただろうが,そうでない人にとっては,「どのユーザー層に向けたどういう製品なのか」が分かりにくかったようだ。
そこで,新しいGamingシリーズでは製品名が大きく変更され,「チップセットの略称+Gaming」となって分かりやすくなった。シリーズ中における上位下位の関係も,例外的な特別モデルを除けば,「7/5/3」といった数字の大小が付いて,判別しやすくなっている。
ラインナップは以下のとおりだ。
製品名 | フォームファクタ | チップセット | 想定売価(税別) |
---|---|---|---|
GA-Z97X-Gaming G1 | ATX | Z97 | 4万6000円前後 |
GA-Z97X-Gaming GT | ATX | Z97 | 3万7000円前後 |
GA-Z97X-Gaming 7 | ATX | Z97 | 2万円前後 |
GA-Z97X-Gaming 5 | ATX | Z97 | 1万7000円前後 |
GA-Z97X-Gaming 3 | ATX | Z97 | 1万4000円前後 |
GA-Z97MX-Gaming 5 | microATX | Z97 | 1万7000円前後 |
GA-Z97N-Gaming 5 | Mini-ITX | Z97 | 1万7000円前後 |
GA-H97-Gaming 3 | ATX | H97 | 1万3000円前後 |
GA-H97M-Gaming 3 | microATX | H97 | 1万2000円前後 |
ラインナップの中心はIntel Z97 Express(以下,Z97)搭載製品であり,Intel H97 Express(以下,H97)搭載製品は,比較的下位のモデルに留まる。ちなみに,こうした傾向は,他社のゲーマー向けマザーボードと変わらない。GIGABYTEのゲーマー向けマザーボードとしては初となる,Mini-ITXタイプの「Z97N-Gaming 5」も,気になる存在だ。
また,従来の同社製ゲーマー向けマザーボードでは定番だった,銃器を模した奇抜なデザインのヒートシンクは廃止され,見た目はごくオーソドックスなものに変更されている。
なお,実際には,旧ネーミングを採用した新製品「G1.Sniper Z6」「G1.Sniper H6」も存在するのだが,これらはサウンド機能重視の製品となり,日本市場への投入は未定とのことだ。
さて,Brix氏が9シリーズ搭載製品での目玉機能として掲げたのは,「M.2」スロットと「SATA Express」ポートという,2種類の最新ストレージインタフェースに対応する点だ。どちらのインタフェースも,最大転送速度10Gbpsを誇るもので,対応するストレージを使うことで,PCのストレージ性能を引き上げることが可能となる。
ASUSTeK ComputerやMSIは,Intel 9シリーズ搭載のゲーマー向けマザーボードでは,SATA Expressの採用を見送ってきたので,GIGABYTE製品はその点で先行しているともいえよう。
ただし,全製品がこれらに対応するわけではないので,新インタフェースの有無を基準に製品を選ぶ場合は注意が必要だ。
M.2スロット搭載製品 | ・GA-Z97X-Gaming 7 ・GA-Z97X-Gaming 5 ・GA-Z97X-Gaming 3 ・GA-Z97MX-Gaming 5 ・GA-H97-Gaming 3 |
---|---|
SATA Expressポート搭載製品 | ・GA-Z97X-Gaming G1 ・GA-Z97X-Gaming GT ・GA-Z97X-Gaming 7 ・GA-Z97X-Gaming 5 ・GA-Z97X-Gaming 3 ・GA-Z97MX-Gaming 5 ・GA-H97-Gaming 3 |
PCI Expressベースの最大転送速度10Gbpsを誇るSSD接続用インタフェース「M.2」(左)。右写真は,GA-Z97X-Gaming 7のM.2スロットにSandisk製M.2対応SSD(赤枠内)を接続した状態だ |
汎用の高速ストレージインタフェースとなるSATA Expressは,複数のSATAポートを併用する形状のコネクタとなる(左)。残念ながら対応ストレージの登場はまだしばらく先なので,当面は普通のSATAポートとして使うことになろう。右写真でBrix氏が掲げているのは,SATA Expressケーブルのサンプルだ |
マルチGPUへの対応はもちろん,ネットワークやサウンド機能を強化
Brix氏は,今回のGamingシリーズではゲーマーにとって必要な機能を網羅したと説明する。具体的には,マルチGPU(SLI/CrossFire)構成やネットワーク機能,そしてサウンド機能とデザインだ。デザインについては先に説明したので,それ以外の3要素について順に見ていこう。
まず,SLI/CrossFire構成だが,ラインナップ上位に位置するGA-Z97X-Gaming G1とGA-Z97X-Gaming GTは,PCI Express x16形状のスロットを4基備えており,最大で4-way SLIと4-wayのCrossFireをサポート可能だ。ちなみに,これらのスロットが対応するPCI Express(以下,PCIe)レーン数は,x16×2またはx8×4となっている。
これ以外の製品では,GA-Z97X-Gaming 7/5/3が,2-way SLIおよび3-way CrossFire,GA-Z97MX-Gaming 5は2-way SLIおよび2-way CrossFireという具合に,多くの製品で複数枚のグラフィックスカードを搭載可能だ。なお,H97搭載製品はSLIには対応せず,2-way CrossFireのみの対応となる。
次なるネットワーク機能だが,従来製品から引き続いて,Qualcomm Atheros製のゲーマー向けLANコントローラ「Killer E2201」を,ゲーマー向け全製品で採用。さらに,ラインナップ最上位モデルのZ97X-Gaming G1では,Intel製PHYチップ「I217-V」も採用し,1000BASE-T対応の有線LANポートを2基備えるという特徴も備えている。
そのほかの製品では,サウンドチップとしてRealtek Semiconductor製の「ALC1150」を採用している。GIGABYTEでは,「ALC1150はS/N比が115dBと高い」ことをアピールしていたが,他社のゲーマー向けマザーボードでもこれを採用する製品は珍しくないため,大きな差別化要因というほどではない。
ラインナップ最上位のGA-Z97X-Gaming G1は,サウンドチップに「Sound Core3D」(左)を,それ以外の製品は「ALC1150」(右)を採用する |
サウンド面で新しい特徴といえるのは,GA-Z97X-Gaming G1/GTやGA-Z97
MSIも同じような機能をゲーマー向けマザーボードで採用しているが,今後は流行りの機能になるのだろうか。
そのほかにも,サウンドチップをノイズ対策用カバーで覆っている点や,基板内でアナログ回路部分を分離して,ノイズの影響を防ぐ構造を採用している点なども,サウンド面の特徴としてアピールされていた。
また,2013年モデルの「G1.Sniper 5」で採用されたOPAMP(オペアンプ)の交換機能「AMP-UP Audio technology」も,GA-Z97X-Gaming G1/GTやGA-Z97MX-Gaming 5などで採用されている。ヘッドフォンの音質にこだわる人は,こうした点もチェックしておくといいかもしれない。
サーバー品質の耐久性がウリの高信頼モデル「Black Edition」
冒頭でも述べたとおり,今回GIGABYTEは,新しい「Black Edition」というシリーズを投入する。
CPUやメモリ,グラフィックスカードやストレージといった主要コンポーネントを装着した状態で,168時間(=7日間)にわたってサーバー製品に要求されるレベルの耐久性試験を行い,これにパスした高信頼性を備える製品,というのがBlack Editionのウリである。Black Edition専用の5年間延長サポートや各種特典も用意されるという。ただし,延長サポートを具体的にどのようにして日本で提供するかについては,現在検討中とのことだった。
Black Editionシリーズは,サーバー製品並みの長時間耐久テストにパスした高耐久性がウリという(左)。右写真でBrix氏が掲げているのは,Black Editionシリーズに同梱予定の耐久試験をパスした証明書だ |
Black Editionシリーズのラインナップは以下のとおりだが,ゲーマー向け製品「GA-Z97X-Gaming G1 WIFI-BK」が含まれていることに注目してほしい。
製品名 | フォームファクタ | チップセット | 想定売価(税別) |
---|---|---|---|
GA-Z97X-Gaming G1 WIFI-BK | ATX | Z97 | 4万8000円前後 |
GA-Z97X-UD5H-BK | ATX | Z97 | 2万2000円前後 |
GA-Z97X-UD3H-BK | ATX | Z97 | 1万8000円前後 |
製品名からも想像できるように,GA-Z97X-Gaming G1 WIFI-BKは,GA-Z97X-Gaming G1をベースとした製品で,IEEE 802.11a/g/n/ac対応無線LANモジュールや,USB 3.0フロントベイが付属するという。
Black Editionは,通常の製造工程に加えて7日間の試験を行うため,少数生産となる見込みだ。ベースモデルより価格も高いが,GA-Z97X-Gaming G1 WIFI-BKの場合,ベースモデルとの価格差は2000円程度となっている。「マザーボードに求める最重要の要素は信頼性」というプロゲーマーもいるくらいなので,高信頼性に期待してGA-Z97X-Gaming G1 WIFI-BKを選ぶというのも,悪くない選択かもしれない。
最後に耐久性に関連した話題として,GIGABYTE独自の品質基準「Ultra Durable」の表記が変わったことにも触れておこう。
とはいえ,高信頼性部品を減らすようなことはないそうで,一部のローエンド製品を除けば,2013年モデルでのUltra Durable 5 Plusに相当する部品を継続して使っているそうだ。GamingシリーズやBlack Editionも,もちろん高信頼性を使っているので,ゲーマー向けマザーボードの信頼性を重視する人は,安心してこれらの製品を候補に加えられるだろう。
GIGABYTE Intel 9シリーズ発表のリリース
- 関連タイトル:
G1 Gaming,Xtreme Gaming
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