プレイレポート
シリーズファン納得の難度と爽快感――Wii U「NINJA GAIDEN 3: Razor's Edge」を先行プレイ。プレイアブルになって鮮血を浴びるあやねの姿も妖艶だ
さらに今回は,対象年齢を18歳以上(CERO:Z)まで引き上げ,「NINJA GAIDEN 2」以来となる敵の四肢の欠損表現を採用。返り血を浴びながら敵を切り刻んでいくというバイオレンスな演出が導入されている。主人公リュウ・ハヤブサの本編に加え,あやねがプレイアブルとなるストーリーも追加され,Wii Uという新規ハードでのローンチタイトルながら,万人向けの調整はせず,どちらかというとシリーズのファンに向けた趣向の強い作品となっている。
今回,本作の発売前にコーエーテクモゲームスでプレイしてきたので,新たに生まれ変わった「NINJA GAIDEN 3」が,一体どんな手触りとなっているのかを,ファーストインプレッションとしてお届けしよう。
なお筆者は,本シリーズのプレイ経験はそれほどなく,ほとんど初心者と言ってもいいレベルだ。そこで今回,Wii U版をプレイするにあたってPS3版「NINJA GAIDEN 3」も改めて遊んでみた。アクションゲームファンとして感じた,プレイフィールの違いなどもお伝えできればと思う。
シリーズファン納得の難度となるか
敵はより賢く,リュウはより残酷に
ゲームスタート後の導入部分は,基本的に無印の「NINJA GAIDEN 3」と同じなので内容については割愛するが,Wii UはHD機なので,PS3やXbox 360と同様に,高画質のグラフィックスでムービーが表現されている。
そんなムービーののちに始まる最初のステージ“DAY 1”を,まずはプレイスタイル“NORMAL”でプレイしてみたのだが,これが初っぱなからガチな手応え。多少なりともアクションゲームの心得はある筆者なのだが,開始数分でコテンパンにのされてしまった。関係者の話によると,今回敵のAIが大幅に調整されているとのことで,プレイヤーに対する敵の動きがかなり巧妙で賢く,単なるコンボの連打だけでは簡単に倒せないようになっているのだという。
最初のステージだけに“殺しにくる”というほどきつくはないものの,ガードやスライディング,そして後述する新アクションなどを駆使しつつ,1人ずつ確実に倒していかないと,あっという間に体力を削られてしまうのだ。実際筆者も,DAY 1にも関わらず,最初のボスの鋼蜘蛛にたどり着くまでに,2度ほど倒されている。
敵が賢くなったことで,リュウ・ハヤブサが一方的に不利になったのかというと,そうではなく,それを補うための新たなアクションも数多く用意されている。その代表的なものが“滅却”だ。これは手や足を斬られて欠損状態となった敵に対してとどめを刺すアクションで,それ自体は欠損表現のない「NINJA GAIDEN 3」にも存在していた。しかし,本作では四肢欠損が採用されているので,その表現は「NINJA GAIDEN 2」に近いものになっているとのことだ。ただし欠損状態となった敵は,自爆覚悟で反撃してくるため,隙こそ大きくなるものの非常に危険。できるだけ確実に仕留めておきたい。
もう一つの注目したいアクションが“断骨”である。これは「NINJA GAIDEN 3」に存在していた,敵を瀕死状態にするアクションだが,発動条件がランダムだったことや,戦いのテンポが悪くなるといったことから,不満点として多くのプレイヤーから意見が出ていた。
それが今回,敵が黒く光って強攻撃を出してきたところに,こちらの強攻撃をカウンターでヒットさせることで発動するという,大幅なシステム変更がなされている。発動させるにはややシビアなタイミングでの入力が必要となるが,プレイヤー自らの操作で発動できるので,断骨に成功したときの爽快感は,ランダムで発生したときのものとは大きく違うはずだ。
メインとなる斬撃アクションは,このRazor's Edgeでは,敵の四肢欠損表現などの演出によって,より手応えが感じられるものとなっている。開発陣は本作で,アクションの“斬りごたえ”をかなり重視したそうで,実際にプレイをしてみると,滅却や断骨を交えながら敵を斬っていく感触が,コントローラを通して伝わってくるようだった。
ただし前述のとおり,敵が賢く強いので,これを楽しく感じられるようになるには,それなりの腕が必要になるはず。もっとも,これまでのシリーズをプレイしてきたプレイヤーなら,すぐにその感触を体感できるのではないだろうか。
ほかにも,「NINJA GAIDEN 3」のプレイヤーから気になる点として指摘された“クナイクライム”で壁を登る場所が,壁ジャンプの“飛鳥返し”で素早く駆け上がれるようになったり,忍び足で歩くと,マルチプレイモードの“ゴーストキル”を行うときのように,リュウ・ハヤブサの姿が消えたりと,細かな部分でのシステム変更が見られ,よりプレイしやすい方向に改善されている。
また本作には,ゲーム中に手に入れた“カルマ”を消費して,さまざまなスキルや忍法,武器やコスチュームなどが得られるという成長要素が盛り込まれている。
入手できるものには,敵の周囲に手裏剣を投げて動きを止める“四方輪(しほうりん)”や,敵の攻撃に対して特定の操作をすると,その敵の背後に瞬間的に移動する“空蝉(うつせみ)”など,リュウ・ハヤブサのアクションに組み込めるスキルも多数存在し,発売後にはこれらを使った新たな戦術も開拓されるだろう。
筆者も実際に空蝉を試してみたのだが,「敵の攻撃に対して,気力ゲージがある状態で,LボタンでガードしながらBボタンを押す」という,断骨以上にテクニカルな操作が必要で,なかなかうまくいかない。アクションの間に意識して組み込むには慣れが必要だと感じたが,同時に,これを意図的に組み込めるようになれば,瞬時に背後に回って斬り裂く格好良さと爽快感が味わえるだろう。
このほか“首切り投げ”といった,過去のシリーズに登場したスキルなどが入手できるのも,ファンにとっては嬉しい要素だろう。なお,「NINJA GAIDEN 3」のダウンロードコンテンツとして用意された爪や大鎌といった武器が,本作では最初からカルマと引き替えで取得でき,パワーアップも可能となっている。
気になるあやねのパートも,今回少しだけプレイできた。あやねの物語は,リュウ・ハヤブサで体験できる物語と並行して進行しており,導入部では,あやねのムービーシーンも用意されている。公式サイトなどで見られる,あやねがマッサージを受けているムービーがそれであり,そこから続くシーンでは,少しではあるが“揺れ”も堪能できる。
あやねのプレイフィールは,リュウ・ハヤブサよりも少し手数が多く素早い印象だったが,気になるほどの差はない。もちろんあやねを使っているときも,バイオレンス表現はそのままであり,彼女の白い肌が返り血で真っ赤に染まっていく様子は,ファンにとってはかなり衝撃的なのではないだろうか。
ここで,Wii Uの「Wii U GamePad」という新たなゲームコントローラを使った操作についても触れておこう。
Wii U GamePadは,サイズ的に横幅があるものの,ほかのハードのコントローラとさほど変わらず,支障なくプレイすることができ,重量も想像以上に軽いと感じた。最大の特徴である液晶タッチスクリーンには,装備中の武器のコンビネーションなどが表示され,忍法やルート感知は画面のタッチ操作で可能となっている。
もちろんこれらはボタンにもアサインされているので,シリーズに慣れ親しんだプレイヤーならば,ボタン操作のほうがしっくりくるかもしれない。なお,ゲームはWii U PROコントローラにも対応しているほか,Wii U GamePadのスクリーンでもプレイできる仕様とのことだ。
さて,筆者は本シリーズをそれほどやり込んでいないので,シリーズファンと同じ印象を持てるとは思わないが,無印の「NINJA GAIDEN 3」と,今回のRazor's Edgeを,ほぼ初見の状態でプレイした感触を比べてみると,難度の違い以前に,まるで別のゲームのように感じた。
「NINJA GAIDEN 3」に対しての筆者の印象も,ごく普通に楽しめるアクションゲームというものだったが,一方のRazor's Edgeは,難度は高めながら,その難しさに対抗できるアクションが数多く用意されていて,アクションゲーム好きとして“極めてみたい”と思わせる歯ごたえを感じた。もし,この先どちらをプレイしたいかと問われたら,間違いなく後者を選ぶだろう。
また,1時間程度プレイしただけでも,「NINJA GAIDEN 3」でファンから指摘されていた問題点が,仕様変更によりかなり修正されていたことに気付けるくらいだったのも,ポジティブな要素だろう。そこかしこに見えるNINJA GAIDENシリーズのファンに向けた細かな仕様からは,開発陣の愛が感じられる。
Wii Uという新ハードでのリリースということで,ハードの導入も含めてややプレイまでのハードルは高いものの,「NINJA GAIDEN 3」に満足できなかったシリーズファンや,ハードなアクションを常に追い求めるコアゲーマーには,そのハードルを越えて,ぜひ試してみてほしい一本だ。
「Ninja Gaiden 3: Razor's Edge」公式サイト
※本作には,血しぶきや四肢欠損など,過激な表現が多い。本記事ではそのような画像のみを2ページ目に切り分けて掲載している。閲覧の際にはご注意を。
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Ninja Gaiden 3: Razor's Edge
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