プレイレポート
限界まで進化した,ジャンプアクションの究極形がここに。Wii U「スーパーマリオ3Dワールド」ファーストインプレッション
今回,本作の完成バージョンを試遊することができたので,Wii U初の3Dマリオの,気になるプレイフィールや,序盤ワールドのギミックなどについてお伝えしていこう。
「スーパーマリオ 3Dワールド」公式サイト
マリオ,ルイージ,ピーチ,キノピオ(&ロゼッタ)で,
ジャンプアクションを楽しもう
今回,プレイヤーキャラクターはマリオ,ルイージ,ピーチ,キノピオの4人から選ぶことができる。どれもシリーズでおなじみのキャラクターだが,「スーパーマリオ」シリーズでピーチをプレイヤーキャラクターとして選べるのは,1992年発売のファミコンソフト「スーパーマリオUSA」以来,何と21年ぶりのこと。各能力のバランスに優れたマリオ,ジャンプが高いルイージ,空中をフワフワ浮遊できるピーチ,そしてダッシュが速いキノピオの4人は,コースに挑戦するたびに自由に選べる仕組みになっている。
ゲーム本編は,スーパーマリオの原点であるジャンプアクションを重視しており,変身していない状態では,敵を踏んで攻撃するのが基本だ。3DS版のように裸眼立体視に対応していない分,平面のディスプレイに描かれた3D空間では,着地点の狙いがつけにくいのでは? と思うかもしれないが,グラフィックス表現の向上やカメラワークなどでうまくカバーされている印象だ。
敵を倒すことにこだわらなくてもゲームは進められるが,今回はスコアシステムが採用されていたり,連続して踏んで倒すと気持ち良く進めるような配置がされていたりするので,腕に自信のある人は,華麗に敵を踏んで進むアクションにチャレンジしてみてほしい。
4人のキャラクターのうち,マリオとルイージは3Dランドでも活躍してくれたので,ここではピーチとキノピオのプレイフィールについて触れてみたい。
ピーチの特技は,「ふわふわジャンプ」。ジャンプ後にボタンを押したままにすると,一定時間空中を浮遊できる。浮遊中も移動できるので,ほかのキャラクターよりも安全に奈落(コース上の穴)を跳び越えたり,敵を踏むときに狙いをつけやすかったりといった有利さも持っている。初心者にオススメのキャラでもあるが,何よりHD画面で大活躍するピーチのキュートな姿は,男性プレイヤーならずともグッとくるはず。ネコピーチ(ピンクのネコ着ぐるみ)やファイアピーチ(白地に赤のドレス)に変身したときのコスプレ的な姿も含めて,本作でかなりファンが増えるのではないだろうか。
一方キノピオは,ダッシュが最速なのが特徴。マルチプレイでほかのキャラクターと一緒にプレイしていると,あっという間に距離が離れていくほどの速さで,ステージクリアのタイムを競うにはもってこいのキャラクターという印象だった。
ゲーム中でもピーチのキュートさは際だっている。とくにネコピーチの仕草は,破壊力抜群だ | |
キノピオも見た目がとにかく可愛い。ネコやタヌキの姿になると,もはや何がモチーフのキャラクターなのか分からなくなってしまうが…… |
また,すでに公式サイトでも公表されているが,プレイヤーキャラクターにはもう1人「ロゼッタ」が登場する。彼女は「スーパーマリオギャラクシー」のヒロイン的なキャラクターで,特定の条件を満たすと選べるようになる。
彼女も少し触らせてもらったが,特技は「スピン攻撃」で,体を回転させて周囲の敵を攻撃することができる。マリオら4人が通常時はジャンプして踏むことだけが攻撃手段なのに対し,彼女は一番小さくなった状態でも常時スピンで攻撃できる強みがある。また,ジャンプ中にスピンをくり出すと,スピンしながら小さく浮き上がるので,全キャラ中で唯一,実質的な2段ジャンプができるという特性も持っている。
ピーチとはまた違ったルックスも個性的で,面白いキャラクターではあるものの,彼女を使えるのはしばらく先なので,それまではメインの4人で楽しむことにしたい。
四つん這いで走り回る「ネコマリオ」と
マリオが増える「ダブルマリオ」を活用せよ
さて,今回の主要なパワーアップとなる「ネコマリオ」には,ワールド1-1から登場する「スーパーベル」を取ることで変身できる。このパワーアップは,マリオ達がネコの着ぐるみ姿になり,四つん這いになって走り回るため,見た目的にも可愛い。
ひっかき攻撃で前方の敵を連続で攻撃したり,ジャンプ後に空中から斜め下に突進したりと,特徴的なアクションを持っているほか,壁登りも得意だ。ジャンプでは上がれない高さの壁に駆け上がれるだけでなく,奈落に落ちそうになったときに壁をよじ登れるなど,通常時よりも大幅に有利に動き回れるといった具合だ。本作のCMでも見られた,ゴールポールにネコマリオで飛びつくと,途中から頂点まで登れてしまうアクションは,実際に体験してみるとかなり新鮮に感じるだろう。ジャンプの高いルイージや,浮遊できるピーチがネコに変身することで,3Dマリオシリーズとしては反則気味のアクションも可能で,探索にはピッタリのパワーアップといえる。
スーパーベルを取るとネコマリオに変身。壁を登って新たなルートを探してみよう。パワーアップを重複して取ると,一つストックできるルールもこれまで通りだ | |
プレイヤーキャラクターだけでなく,敵にも一部ネコのようになったキャラクターが登場する |
そしてもう一つインパクトのあるパワーアップが,「ダブルマリオ」だ。「ダブルチェリー」を取ると,マリオがその時点の姿で分身し,2人のマリオを同時に操作できるようになる。分身するパワーアップというと,キャラクターの動きをトレースするようについてくる動きが頭に浮かぶかもしれないが,本作での分身は少しニュアンスが異なり,分身したマリオがコントローラー操作に合わせて同時に動くという仕様だ。
そのため分身は,常に本体のそばにいるというわけではなく,障害物などに引っかかって本体から離れてしまうこともある。本作はマルチプレイの乱入にも対応していて,離れた場所にあるスイッチを同時に押すといった,複数のキャラクターが必要となるギミックも存在しているが,これらは分身をうまく使うことで1人でもクリアできるようになっている。ソロプレイ主体のプレイヤーには嬉しい仕様と言えるだろう。
また,単純にキャラクターが2人3人と増えていくことで,ファイアマリオやブーメランマリオになったときの火力も,2倍3倍に増えていく。そのため,敵が多いコースやボス戦では,分かりやすい形で力を発揮するパワーアップでもあるのだ。
今回遊ばせてもらったコースの一つに,画面の上から下に強制スクロールするトップビューのものがあったが,その上を分身したブーメランマリオが進んでいく様子は,まるでシューティングゲームのようでもあった。
なお,ダブルマリオは1プレイヤーにつき最大5人まで増え,マルチプレイの場合は合計で最大8人が画面に登場するそうである。また,ダメージを受けるとどんな状態でもその場で消えてしまうという性質もある。
以上の新たなパワーアップのほか,前述のファイアマリオやブーメランマリオ,そしてタヌキマリオ,巨大マリオといった,従来のシリーズにも登場したパワーアップが存在している。
透明土管の内部を移動するマリオ達の姿は必見
コース中の「ハンコ」も積極的に集めたい
コース上のギミックは,一つ一つ挙げていくときりがないのだが,ゲームを始めてまず目につくのは透明の土管だろう。
これは,マリオの本職である配管工とリンクする存在なのだが,本作でこの透明土管の中に潜り込むと,キャラクターたちは頭を前方にしてフワフワと飛行するように移動していくのだ。予想外の動きに,筆者も今年のE3会場で見たときは軽い衝撃を受けたのだが,プレイしているとこれが意外に気持ち良く,土管の中で敵を避けながら分岐したルートを進めるなど,ちょっとしたゲーム性にもつながっているのが面白いところである。
この土管には,ファイアボールなどを撃ち込んで,出口にいる敵を攻撃することもできるが,逆にクリボーなどの一部のキャラクターが反対側から潜ってくることもあるので,場所によっては注意が必要だ。
そんな透明土管の表現なども含め,初のHD映像となった3Dマリオシリーズということで,目を引くグラフィックスにも注目してみたい。前述のダブルマリオ状態で何人ものキャラクターが処理落ちせずに動く点や,巨大キノコを取って超巨大化したときの圧倒的な破壊力を表現する演出,特定のボーナスシーンでこれ見よがしに降ってくる大量のコインなど,3Dランドでは見られなかったリッチな演出は,見ているだけで楽しくなってしまう。
また,3Dアクションゲームとして,広いコースを遠くまでスッキリ見渡せるグラフィックスは,HD機でのリリースの恩恵と言えるだろう。
個人的に気に入ったゲーム中の要素としては,コースのどこかに落ちている「ハンコ」の存在がある。これはクリアに必須ではないコレクションアイテムで,取ることでMiiverseの投稿に使えるハンコが手に入る。すでに同じWii U用Miiverse向けアプリ「どうぶつの森 こもれび広場」にも導入されている要素で,投稿の手書きエリアにスタンプ感覚で絵柄を押せるというものだ。
絵柄は,マリオ達はもちろんのこと,脇役キャラクターやコインなどのアイテムまでかなりの種類が用意されていて,さらにフキダシがあったり,消したり加筆したりもできるので,絵が苦手な人であっても絵の入ったネタを気軽に投稿できる。
本作ではMiiverseの投稿がワールドマップ上にも表示されようになっているので,見ていて楽しい投稿を筆者も自分のアカウントからどんどん投稿していきたいと思う。
そしてもう一つ嬉しかったのは,スコアの存在だ。本作では,マルチプレイ時の簡単な競争を楽しむために,3Dのマリオとしては初めてスコアが導入されている。
敵を倒したときに出てくるスコアのポップアップや,ゴールポールへの飛びつきを始めとする各種ボーナス点は,たとえ誰かと競っている状態になくとも,ゲーム中でアクション一つ一つを行うモチベーションへとつながっていくもので,ファミコンの「スーパーマリオブラザーズ」の頃からアクションゲームを遊んでいるファンとしては,このスコア導入には素直に拍手を贈りたい。
基本は協力型のマルチプレイ
マリオシリーズならではの“邪魔”も可能
マルチプレイについても,少しだけ触れておこう。マルチプレイはスタート時はもちろん,途中からほかのプレイヤーが乱入することでも始められる。基本的には互いに協力して一緒にコースをクリアするスタイルではあるものの,前述のスコアによるクリア時の順位など,競争する要素もそろっている。
カメラワークの関係で,プレイヤー同士の距離が離れると,遅れたプレイヤーはシャボンに入って前を行くプレイヤーのところへ移動させられる仕様で,さらに相手を担いで移動することもできるので,このあたりをうまく使えば腕の差を補うことができる。
マリオシリーズではおなじみの「協力しつつも邪魔もできる」という要素も健在。とくに「ほうだいボックス」や「鉢植えパックン」などのアイテムを使った邪魔のし合いは,やりすぎると険悪なムードになりそうな感触もあったので,マルチプレイ時のいたずらはほどほどにしておきたい。
ちなみに,本作のキャラクターの操作はWii U GamePadのほか,Wii U PROコントローラー,Wiiリモコン単体,Wiiリモコン+ヌンチャク,Wii クラシックコントローラPRO,Wii クラシックコントローラといった,WiiとWii Uすべてのコントローラに対応しているので,不意の来客などとのプレイにも対応できるだろう。
なお,マルチプレイ時は,同じキャラクターが選べないようになっている。
相手のプレイヤーキャラクターを抱えて進むこともできる。キャラクターの特性を活かしたまま進める協力プレイだ。また,相手の上に乗って高くジャンプすることもできる |
恐竜のような「プレッシー」に乗るコースでは川下りゲームが展開し,マルチプレイ時は,プレイヤー同士が息を合わせて重心を動かさないと,うまくルートを進むことができない |
今回のプレイは2時間程度のものだったが,3Dランドを最後まで楽しくプレイした身としては,そのボリューム感なども含めて十分に満足できそうな完成度が感じられた。3DSのような裸眼立体視ができなくなったことでプレイ感覚が若干異なっていたため,思わぬところでミスすることもあったが,それを極力補うようなカメラワークがほどこされているので,すぐに慣れることができた。
ジャンプアクションのベーシックな気持ちよさ,HDになったことによる見た目の楽しさ,いつでも乱入できるマルチプレイの手軽さ,Miiverseを経由した距離感を保ったネットワークプレイ,そしてところどころにちりばめられたマリオファンを喜ばせる細かな仕掛けまで,開発陣の遊び心がたっぷり注がれた内容であることは間違いない。
何より,Wii U初の3Dマリオということで,筆者も発売日に購入して,この年末にかけてじっくり楽しもうと思っている。
「スーパーマリオ 3Dワールド」公式サイト
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