プレイレポート
「電波人間のRPG FREE!」のプレイレポートを掲載。シリーズ初のFree-to-Playタイトルとなってシステムはどう変わったか
電波人間シリーズの特徴を押さえつつ,独自のゲームシステムなどを備えた本作。今回,配信開始前に製品版と同等のものをプレイできたので,そのプレイフィールなどをお伝えしよう。なお,配信前のプレイと言うことで,通信や課金の要素については試すことができなかった。それらは概要のみを紹介させていただく形でご了承いただきたい。
カメラで電波人間を探す人気シリーズの最新作
まずは「電波人間のRPG」シリーズについて簡単に説明しておこう。
本シリーズは2012年から現在までに3作品がいずれもニンテンドー3DS向けにリリースされている。ニンテンドー3DSのカメラを使って,プレイヤーの近くを飛び交う電波のまわりにいる「電波人間」達を探して仲間にし,パーティを組ませて成長させながら物語を進めていくというシステムが特徴だ。
電波人間は体の色で決まる属性耐性や,頭のアンテナで使える「とくぎ」(RPGでいう魔法のような力)がそれぞれ違い,攻略するダンジョンなどによってメンバーを交代させたり,新たに電波人間を探したりして,最適なパーティを組んでゲームを進めていくのが基本となる。
電波人間のキャッチ画面。周囲の電波から生まれた電波人間が空中に漂っているので,ボタンでネットを飛ばしてキャッチする |
仲間にした電波人間は「電波人間ボックス」で確認できる。ボックスの容量は宝箱から手に入るアイテムなどで増やせる |
電波人間を仲間にするシステムは独特だが,フィールドやダンジョンにいる敵と戦って成長しながらエンディングを目指すという部分についてはRPGの王道とでも言うべきもの。4Gamerではすでにリリースされているシリーズ作品のレビュー記事やプレイムービーを掲載しているので,参考にしてほしい。
そして4作目となる本作は,前述の通りシリーズ初のFree-to-Playタイトルで,それに伴い,一部のゲームシステムが変更されているのだ。
スタミナを消費して短いストーリーを体験していくシステム
これまでの電波人間RPGシリーズは,1つのストーリーをスタートからエンディングまで通してプレイするというオーソドックスなRPGのスタイルとなっていた。本作では「伝説の装備を探す」という主目的こそあるものの,ステージごとに異なるストーリーとミッション(ボスを倒す,特定の目的地を目指す等)が用意され,それをクリアすると,次のステージがオープンするという,ステージクリアタイプとなった。
また,これらのステージに挑むには一定数の「スタミナ」が必要で,スタミナが足りないとステージに入れなくなるのがこれまでと大きく異なる点だ。スタミナの回復には一定時間の経過か,レアアイテムの「ジュエル」が必要で,このジュエルの購入が課金要素の1つとなっている。
冒険の舞台となるステージのリスト。下画面上方にあるスタミナと相談してどこに挑むか決めよう |
このジュエルは電波人間を仲間に加えるときにも役に立つ。電波人間をキャッチする画面で「レアキャッチ」を選ぶと,ジュエルを消費する代わりに,ノーマルキャッチよりも世代限界(詳細は後述)が高かったり,レベルが1ではなかったりといった電波人間が出現する。即戦力となる電波人間をキャッチできるようになるのだ。
ソーシャルゲームなどにおける「ガチャ」の要素に似ているが,画面に現れる数体の電波人間から好きなものを選べるので,完全に運任せでないところは嬉しい。筆者も実際にやってみたが,即戦力となる電波人間が大勢現れ,選ぶのに迷ってしまうほどだった。
ジュエルはリアルマネーで購入しなくても,ゲームにチェックインすることやすれちがい通信などである程度の数が入手できるので,レアキャッチがどんなものか試してみることをオススメする。
電波人間たちの島を自由にコーディネート
今回ゲームの拠点となる島には,これまでのシリーズのようにアンテナ塔(電波人間をキャッチする施設)やショップなどはなく,それらにはすべてメニューから入れるようになっている。
見た目には寂しくなってしまった島だが,その分お楽しみは増えている。ゲーム中に手に入れた家や装飾アイテムなどをこの島に設置して,プレイヤーだけの島を作れるようになっているのだ。島の外観だけでなく,設置した家の中にインテリアなどを飾ることも可能で,さらにローカル通信によってほかのプレイヤーを島に招くこともできるので,コーディネートのモチベーションが上がるはず。この手のコレクション要素が好きな人には本編以上に楽しめる要素になるかもしれない。
欲を言えばローカル通信だけでなく,「とびだせ どうぶつの森」のように,すれちがい通信で見知らぬプレイヤーとの間でも島の行き来ができるといいなと思ったが,デコレーション自体はゲームの主目的ではないので,そこは仕方がないかもしれない。
自由に島へ戻れない仕様で緊張感が倍増
ゲーム本編は従来どおり,電波人間4〜8人でパーティを組んで,見下ろしタイプのフィールドやダンジョンを進んでいくRPGになっている。敵と接触すると戦闘が発生するシンボルエンカウント制で,オートバトル機能を備えているのもこれまでと同様だ。
ゲーム進行で大きく違うのは,一度ステージに挑むと,そこをクリアするか「リタイア」(任意でコマンドを選ぶか,戦闘で全滅)するまで,拠点の島に戻れないということだろう。おそらくスタミナ要素が導入された関係でこのようなゲームシステムになったと思われるのだが,冒険の途中で島に戻りパーティ全員を回復させるという方法が使えないので,ステージに挑むときは推奨レベルや手持ちの回復アイテムなどにも気を配る必要がある。
また,リタイアしてしまうと,ステージ中で入手した電波人間の経験値以外のアイテムやお金などはすべて失われてしまうので,これまでよりも緊張感が増した印象だ。
とはいっても,筆者がプレイしたステージの要所にはパーティを1度だけ全回復してくれるポイントが設置されていて,そのおかげでクリアできることもあった。さらにステージに挑む推奨レベルも事前にわかるようになっているので,しっかり準備すれば問題なくクリアできるような難度設定になっていると感じられた。
なお,全滅してしまった場合でも,ジュエルを使えばその場からやり直すことができる仕様となっており,ここはFree-to-Playらしいところと言えるだろう。
「出生」と「転生」は電波人間を強化するカギ。しかし条件あり
本作での新たな要素には,「出生」と「転生」というものもある。本作に登場する電波人間には,「レベル上限」と「世代」の値が設定されていて,レベル上限まで育ててしまうと,島でのメニューにある「精霊のほこら」(ゲームを進めると選べるようになる)で,出生か転生を行わない限り,それ以上成長しないのだ。
出生は,2人の電波人間から新たな電波人間を生み出すというもので,ほかのRPGなどでも見られる「キャラクター合成」的な要素である。出生に参加できる電波人間は,「レベルが上限に達している」「同じ世代同士」「出生を行っていない」という条件をすべて満たしているもの。出生を行うと,2人の特徴を受け継いだ新たな電波人間が誕生する。新しく生まれた電波人間はレベル1の状態だが,ほかの電波人間とステージに挑戦させれば,戦力になるレベルまで成長させることは容易だろう。
もう1つの転生は,電波人間の世代を一つ上げることでレベルの上限を上げ,より強い電波人間に育てられるというもの。出生とは違い,電波人間のレベルを落とさず強化を図れるのがメリットだ。そのぶん出生よりも条件は厳しく,「レベルが上限に達している」「世代の値が限界に達していない」「幸福度が最大になっている」という3つをすべて満たした電波人間だけが行える。3つめの条件にある「幸福度」は,ゲーム中の「ふれあい」画面で電波人間にタッチしたり,栽培した食べ物をあげたりといったコミュニケーションを行うことで上げられるようになっている。
出生や転生は,行うたびに電波人間の世代の値が1つ上がる。前述のように,出生は同じ世代同士でないとできないし,世代が限界に達すると転生できなくなるので,出生や転生は計画的に行う必要があるのだ。1人だけ世代限界が高い電波人間がいる場合,限界まで転生させるか,それとも出生を行う相手がいるところで留めるかは悩みどころだろう。
電波人間シリーズの従来の面白さはそのままに,F2Pの要素をうまく融合
筆者はこれまで,電波人間のRPGシリーズ作品をすべてプレイしてきた。前作にあたる「電波人間のRPG3」をプレイしたときには,ゲームシステムがかなり洗練され,内容も充実したと感じるとともに,これ以上の新たな展開は難しいのではないかとも思っていたのだが,この「電波人間のRPG FREE!」は,いい意味でその思いを裏切ってくれたと言えるだろう。
今回は課金アイテムの購入なしでのプレイとなったわけだが,シリーズの基本部分は押さえつつ,本稿で紹介した要素で新鮮味が加わっていると感じられた。気軽に島に戻って回復やセーブができないぶん緊張感が高く,クリアしたときの喜びも大きいのだ。
このタイミングで電波人間のRPGに初めて触れるという人に,これまでの3作と本作の計4つの選択肢があるというのは,筆者としてはかなりうらやましい。売り切りである前3作品においても,ニンテンドーeショップにて体験版が配信されているので,それぞれをダウンロードしてみて,どれが自分のプレイスタイルに合っているか比較検討してみるといいかもしれない。
筆者は本稿を執筆するために,限られた時間内でプレイしなければならない制限もあったので,スタミナの回復がプレイに追いつかないことがあった。また4つめのステージで何度か全滅を経験し,配信前でジュエルが買えない状況に地団駄を踏む,ということもあった。とりあえず7月23日に配信が開始となったら,前作の価格程度のジュエルを購入してみて,そこからどの程度までプレイできるのか,あるいはその先さらに課金してプレイしたくなるのかを試してみたいと思う。
通信を使って「チェックイン」することで最新情報やプレゼントの受信ができるなど,いわゆる「ログインボーナス」的な要素も用意されているので,継続してプレイするモチベーションも上がるはず。さらに通信対戦やすれちがい通信などによる,ほかのプレイヤーとの交流も可能だ。とくにプレイヤー同士の通信は,基本無料になったことで,前作以上に楽しむ機会が増えるのではないだろうか。
個人的にはすれちがい通信をもう少し充実させて,前述の島の行き来のほか,たとえばプレイヤーの電波人間を貸し借りして一緒に戦ったり,出生などを行えたりする仕組みができればさらに面白くなるのではと感じた。これについては本作のアップデート,あるいは次回作にてぜひ実現してほしいと期待している。
本稿に目を通して少しでも気になるようだったら,ぜひニンテンドーeショップからダウンロードしてプレイしてみよう。体験版のようにプレイ回数が決められているわけではないので,ガツガツとプレイしなければ,課金なしでも十分楽しめるはず。個人的には,Free-to-Playの3DSタイトル(本作はセガの「頭文字D パーフェクトシフト ONLINE」に続き2タイトル目)が,今後どの程度まで認知され,浸透していくのかにも注目したいと思っている。
「電波人間のRPG FREE!」公式サイト
- 関連タイトル:
電波人間のRPG FREE!
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