プレイレポート
エバンによる建国譚「二ノ国II レヴァナントキングダム」プレイレポート。長編アニメを自分で動かしているような感覚で楽しむ壮大なRPG
同社がシリーズ展開する「二ノ国」の最新作となる本作は,プラットフォームをPlayStation 3からPlayStation 4とPCへと移し,ストーリーやゲーム内容を一新した完全新作として登場。ゴロネールの王座を追われた主人公エバンと,彼を取り巻く人物による建国譚を描いている。RPGというジャンルにとらわれないゲームシステムを,長編アニメーションのようなビジュアルで演出する本作のプレイレポートをお届けする。
■関連記事
「二ノ国II レヴァナントキングダム」公式サイト
タイトルにもある「二ノ国」とは,現実世界「一ノ国」とは別のところに存在する世界。前作「二ノ国 漆黒の魔導士」「二ノ国 白き聖灰の女王」からその世界設定のみを受け継いでおり,“II”と題されてはいるが,シリーズ未プレイの人でもすんなりとその世界に飛び込めるだろう。
本作の舞台はもちろんその二ノ国となるわけだが,そのオープニングでは別の世界線に存在する一ノ国で起こる,衝撃的な事件の様子も描かれていく。
主人公のエバンは先代ゴロネール国王である父を亡くし,若くして王座に就く。そんな折,国家にクーデターが発生して王権を奪われた彼は,一ノ国から現れたロウランと共に国を脱出。旅先で出会う仲間とともに新たな国を興すことを決意し,奮闘する様子が描かれている。
前作同様,ゲームの主要なシーンはリアルタイムのセルシェーディングで描画され,画面の色使いやイベントシーンのカット割りなどもアニメーションの手法を意識して作られている。ハードがPS4になり,その表現力は前作を上回り,さらにバトルのアクション性が増したことで,プレイヤーがアニメのシーンを動かしているような感覚がグッと向上している。
ストーリー/ゼネラルディレクターである日野晃博氏がこちらのインタビュー映像で,「子供と大人,2人の主人公の目線で見られる物語を作ることで,子供だけのドラマではなく大人も楽しめるものになる」と,本作のコンセプトについて語っている。
ストーリー展開はまったくそのとおりで,エバンのロウランに対する「強く,政治力にも長けた頼りになる大人」と,ロウランのエバンに対する「王位の重圧に負けず,頼もしく成長していく子供」という見え方が,互いの存在を強調するとともに,子供,大人,それぞれの視点で共感できるポイントになっていると感じた。
ちなみに主要キャラクターの声優には著名な俳優陣を据え,脇役には実力派声優を迎えたキャスティングは前作と同様だ。主人公エバン役の志田未来さんは,映画「借りぐらしのアリエッティ」でアリエッティ役を演じるなど声優としての演技も評価されている。本作で憂いある若き王を好演しているところに注目してほしい。「二ノ国II」5thトレイラーでは,エバンを演じる志田さんの想いが語られているので,こちらのムービーもチェックしておこう。
そんなストーリーをたどるゲーム本編は,バトルシステムが本格的なアクションとなったことで,前作から手触りがガラッと変わった。
フィールド探索時はデフォルメされたキャラクターを操作し,敵キャラクターと接触するとバトルに突入するシンボルエンカウント方式が採用されている。またダンジョンなどでは,敵と遭遇するとそのまま周囲の敵を巻き込んでバトルが始まる仕組みだ。
ストーリー展開に応じてマップ上に目的地へのナビが表示される。さらに世界各地には「テレスポット」と呼ばれるポイントがあり,一度訪れればいつでもテレポートで行き来できる親切設計なので,迷ってしまうようなことはない。フィールドは比較的自由に移動でき,目的地に向かうまでにレベルを上げたり,サブクエストをこなしたりして,自分なりの道のりを楽しんでいくのがいいだろう。
バトル時はリーダーとして選んでいるキャラクターを操作することになり,ほかの仲間はオートで戦ってくれる。操作キャラクターは方向キーで変更可能だ。バトルフィールドは規定の範囲を自由に移動でき,強弱のアタックを使い分ける近接攻撃や,ロッドや銃などを使った遠距離攻撃,MPを使って発動する「スキル」による攻撃,装備武器に溜まっていく「バースト」値を消費してさらに強力なスキルを発動する「武器バースト」などを駆使して戦っていく。もちろんジャンプやガード,回避などもあり,行動の選択肢は多彩だ。
操作自体は難しくないが,ボタンを連打してなんとかなるようなものではなく,さらにRPGという性質上,回復などはウィンドウを開いてアイテムを使う必要もあるので,適当に戦っているといつの間にかやられてしまうこともあるだろう。
その一方,腕に自信がないときはレベルで補ったり,多少のレベル差をアクションでカバーしたりと,アクションRPGならではの立ち回りができるのがかなり楽しい。バトル時の仲間のAIも賢いので,敵パーティの中にいるレベルの高い強敵は彼らに任せる(=自分はレベルの低い敵を優先して狙う)という手もあるだろう。
ボス戦時など,敵をロックオンすると戦いやすくなることもある |
守護神の力が宿る「バトルイコライザー」は,バトル時の属性ダメージや報酬などをプレイヤーが任意で調整できる石板だ |
そんなバトルで頼りになるのが,ゲーム中に出会う「フニャ」との連携だ。彼らはこの世界の自然現象が妖精のような姿となって具現化したキャラクターで,仲間にするとバトルやダンジョン探索時にサポートしてくれる。バトル中に自動で攻撃や回復をしてくれるほか,バトルフィールド上のサークルから[○]で号令を出せば,より強力な「号令スキル」で戦ってくれるのだ。号令を出す操作が必要な分,効果はかなり高いので,とくにボスバトルなどの長期戦では積極的に頼るといいだろう。
このフニャは,道中にある「フニャ地蔵」にアイテムをお供えすると仲間になってくれる。ただし,彼らをパーティに加えるときは,規定の「フニャコスト」内に収める必要があるのを覚えておこう。
号令スキルの「どっかんキャノン」。どこからか大砲を呼び出して敵を攻撃する |
フィールドやダンジョンで見つけられるフニャ地蔵。ほしがっているお供え物を置くとフニャが現れ,仲間になってくれる |
本作には,通常バトルとは異なった形式で展開する「進軍バトル」が存在する。これは国造りを行うエバン達が敵勢力と戦うときに発生するバトルで,部隊を率いるエバンを移動させて,フィールド上の敵部隊と戦うRTS的なシステムになっている。
進軍バトルでは,最大4つの部隊が指揮官であるエバンの周囲に配置され,敵の部隊と戦いを繰り広げる。部隊には兵種があり,赤は緑に対して強く,緑は青に対して強いなどの相性も存在するので,進軍中に部隊を旋回させながら,相性のいい兵種をぶつけていくのが理想的な戦い方となる。また部隊が持つ「戦術」を上手く使うことで,より大きな戦果を得られるという仕組みだ。
この手のジャンルをあまり遊んだことがない人でも馴染めるように,RTSとしての側面は最低限に抑えられたルールながら,バトルシステムの一部としては十分に楽しめるものであった。
各部隊が持つ戦術は全体攻撃や状態異常など,高い効果を発揮するものばかり。ここぞというときに発動しよう |
フィールド上の旗は「進軍ミッション」の開始地点。新たな進軍バトルに挑める |
物語の中で新たに「エスタバニア」を建国するエバンには,国造りという新たな課題が持ち上がるわけだが,本作ではその部分もゲームシステムとして組み込まれている。それが「キングダムモード」だ。
これは「KG」という王国資金(時間経過で溜まる税金のようなもの)を使って施設を建設したり,旅の中でスカウトした人材を配置したりすることで,施設を発展させ新しい武器や魔法を入手できるというもの。同時にエスタバニアの「国力」が上がり,得られるKGの額も増え,新たな施設を作れるようになるという仕組みだ。
このキングダムモードが開放されると,エバンの国王としての存在感がより一層増していく。旅先で請け負うクエストなども人材集めに繋がっていき,それらをとおして有能な人材が増えていく手応えは,ゲームプレイのモチベーションをより高めてくれるはずだ。
グレイナス平原に建国されたエスタバニア。空白の土地に施設を建設していこう |
施設ができても人材を配置しないと機能しない。それぞれの人材が持つ開発力は施設での研究開発に影響する |
研究開始から規定の時間が経過すると,研究開発が完了し国力も上がる |
各地で受けられるクエストが人材スカウトのカギに。どんな能力に長けているのか,パラメータもチェックしたい |
国を追われ何もかも失ったエバンが旅先で人々に出会い,その人望や行動力で信頼を得て,新たな国家を立ち上げる。タイトルによってはここで終わりとなる展開でもあるが,本作ではある意味ここからが本番だ。ストーリーに合わせて少しずつ新しい遊びが開放されていくゲームデザインは「さすがレベルファイブ作品」といったところで,プレイヤーを楽しませようというサービス精神に溢れている。もちろん細かな遊びも様々なところに散りばめられているので,ぜひ寄り道をしながら楽しんでほしい。
ストーリーはエスタバニア建国からさらに盛り上がりを見せていく。エバンと仲間たちの新しい国がどのように発展していくのか,そしてゴロネール王国やほかの国との関係がどうなっていくのか,その先の物語はぜひゲームをプレイして見届けてほしい。
「二ノ国II レヴァナントキングダム」
4Gamer内サテライトサイト
「二ノ国II レヴァナントキングダム」公式サイト
- 関連タイトル:
二ノ国II レヴァナントキングダム
- 関連タイトル:
二ノ国II レヴァナントキングダム
- この記事のURL:
キーワード
(C)2018 LEVEL-5 Inc.
(C)2018 LEVEL-5 Inc.