プレイレポート
片腕の女剣士となって戦うPS Vita用ソフト「Severed」インプレッション。中毒性の高いゲームシステムが見どころ
カナダに拠点を置く開発元のDrinkbox Studiosは,週刊連載「インディーズゲームの小部屋」の第292回で紹介した「Guacamelee! Gold Edition」のようなユーモラスな作風で知られるインディーズデベロッパだが,その最新作となる「Severed」では一転して,ダークな世界観を舞台としている。
本作のストーリーは,家族をさらわれ,自身は左腕を斬られて片腕となってしまった女戦士「サーシャ」が,家族を取り戻すために魔物だらけのダンジョンに挑むというもの。一見するとダンジョンRPGのようなゲーム画面だが,正確には“RPG的な成長要素のあるアクションゲーム”といったところ。その最大の特徴は,タッチスクリーンのスワイプ操作をメインにした戦闘システムにある。
バトルでは,タッチスクリーンを小さくスワイプすると通常攻撃の「スラッシュ」,大きくスワイプすると「ロングスラッシュ」となり,より大きなダメージを与えられる。非常に直観的で分かりやすいシステムだが,素早く何度もスワイプすることで連続してダメージを与えられるので,これがまた,つい夢中になって画面をこすってしまう中毒性があるのだ。
しかし,敵も防御の構えを取ったり,弱点の位置が移動したりと,ただやられるのを待つばかりではない。敵が防御しているときは,ガードの反対側からスワイプしてダメージを与え,弱点が移動したらそこをきちんと狙わないといけないのだ。もちろん,敵が反撃してくることもあり,放っておくとこちらがダメージを受けてしまう。そんなときは,敵の攻撃が来るのと反対方向からスワイプして,相手の攻撃をはじき返してやろう。
バトルは基本的に,正面にいる敵と1対1で戦うことになるが,自分の前後左右に複数の敵が同時に出現する場合もある。どの敵が次に攻撃してくるかは画面下のゲージで確認できるので,それに合わせて素早く向きを変えて反撃しなければならず,複数の敵に囲まれたときの緊張感はかなりのもの。PS Vitaのゲームで,ここまで熱中してタッチスクリーンをスワイプしたものは,ちょっとほかにない。
敵に連続してダメージを与えると「フォーカスメーター」が上昇し,これが満タンのときに敵を倒すと「切断モード」が発動。このとき,敵の四肢の上に表示されるラインに沿って素早くスワイプすると,その部位を切断することができる。本作では,こうして切断した敵の四肢を使ってサーシャの能力を強化していくというのが,もう1つの特徴だ。また,拾い集めた「臓物」を四肢に変換して使うこともできる。うーん,ダークですね……。
ゲームの中盤以降は異なる対処法が要求される複数の敵を,同時に相手にするシーンが多く,厳しい戦いを強いられるが,万が一,負けてしまっても戦闘の直前からすぐにやり直しができるのがありがたい。またダンジョン内にはさまざまな仕掛けがあるが,構造はそれほど意地悪ではなく,いつでもマップを参照できるので,テンポよく探索を進めていける。
PS Vitaのタッチ機能をフルに活用したゲームシステムは非常に完成度が高く,時間を忘れてのめり込めんでしまう。Drinkbox Studiosならではの,独特のアートスタイルは本作でも健在で,幻想的で不気味な世界が見事に表現されている。低価格のダウンロード専用タイトルと言うことで,プレイ前は「そこそこ遊べれば十分かな」と侮っていた筆者だが,そんな予想を遙かに上回る,素晴らしい出来栄えだ。果たして,サーシャは無事に家族を取り戻すことができるのか。ぜひ自分の目で確かめてほしい。これはオススメです。
「Severed」公式サイト
- 関連タイトル:
Severed
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(C)2016 Drink box Studios Inc.