プレイレポート
「リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵画の錬金術士〜」序盤プレイレポート。シリーズ20周年を飾る安心の完成度
記念すべきシリーズ第1作「マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜」にハマっていた当時,これは新しいRPGのスタイルだと感動を覚えた筆者も感慨深いものを感じつつ,今回はその序盤を遊んでみてのプレイレポートをお届けしよう。
「リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵画の錬金術士〜」公式サイト
※掲載している画像はPlayStation 4で開発中のものです
“日常系RPG”「アトリエ」シリーズとは?
もはや説明不要かもしれないが,「アトリエ」シリーズは錬金術をテーマにしたファンタジーRPGだ。魔王を倒すことや世界を救うことではなく,錬金術を用いて身近な人々の役に立っていくことが主なストーリーになるという点では“日常系RPG”とも言えるだろう。もちろん,そこにはさまざまなドラマがあり,たくさんの登場人物が織りなす群像劇でもあるのがシリーズの特徴だ。
本作では,主人公となる双子の姉妹,リディーとスールが描き出す「アトリエ」シリーズらしい日常と,幻想的な絵画の世界を探索するという非日常の2つを軸としており,ファンタジーRPGの魅力の一つである,日常を離れた異世界での生活や冒険をしっかりと満喫できる。
冒頭で述べたとおり,本作は「不思議」シリーズの集大成となる作品で,「ソフィーのアトリエ 〜不思議な本の錬金術士〜」(PS4/PS3/PS Vita)や,「フィリスのアトリエ 〜不思議な旅の錬金術士〜」(PC/PS4/PS Vita)からのキャラクターが再登場する。そのため,これらの作品を遊んでいるとちょっぴり嬉しい場面もあるが,ストーリーに直接的なつながりはないので,本作から遊び始めても問題なく楽しめる。
また,ゲームシステムに関しては,旅をテーマに広いフィールドを移動していく方式を採用した「フィリスのアトリエ」のスタイルから,一つの街を拠点にストーリーが展開していく「ソフィーのアトリエ」のスタイルに戻ったことで,従来の「アトリエ」シリーズのプレイフィールに,より近いものになっている。
不思議な絵画をめぐる,双子の錬金術士の物語
本作の主人公は,優しくおっとりな姉のリディーと,元気でおてんばな妹スール。2人は,画家としては非凡な才能を持ちつつも錬金術では失敗ばかりで,すぐに仕事を投げ出してしまう父親のロジェと共に,売れないアトリエを営んでいる。
日々の生活費を稼ぐため,リディーとスールは街の人からの依頼をこなしながら,どうにかアトリエを盛り立てようとするものの,錬金術士としてはまだまだ未熟なうえ,街では幼なじみであるルーシャのアトリエ・ヴォルテールが人気を博しており,前途多難な様子だ。
そんなある日,2人は立ち入りが禁じられていた地下室で一枚の絵画を発見し,その中に迷い込んでしまう。そして,そのことに驚きつつも,珍しい材料を見つけられるかも,という好奇心から,絵画世界の探検に乗り出すのであった。
本作には,こうした絵画世界がいくつも存在し,ストーリーの進行によって行ける場所が増えていく。もちろん,これまでのように街の外に出ての採取や冒険も行うが,絵画世界の中はがらりと雰囲気が変わって幻想的な景色が広がっていたりする不思議な場所で,探索欲をくすぐられることだろう。
また,物語の序盤では,国が錬金術士を対象とした「アトリエランク制度」を発足させ,「国一番のアトリエ」を目指すリディーとスールもこれに参加することに。錬金師士としてはまだ半人前の2人は最初の試験にすら落ちてしまうが,そこへ「フィリスのアトリエ」でフィリスのライバルだったイルメリアが登場。錬金術の師匠を探していた2人は,錬金術の基本についてイルメリアから手ほどきを受け,試験突破に向けて腕を磨いていく。
依頼に採取に調合……これが錬金術士のお仕事だ
基本的なゲームの流れは,各地を探索して材料を採取し,それをもとにいろいろなアイテムを調合するという,「アトリエ」シリーズでおなじみのもの。調合によって作成したアイテムを依頼人に納品することで報酬を獲得し,さらなる冒険に役立てるのだ。新しい材料を見つけたり,新しいアイテムを調合したりすると,そこから新レシピを発想することがあり,より多くのアイテムを作成できるようになる。
調合システムは,「不思議」シリーズから取り入れられた材料をパネルにはめていく方式で,いくつかの材料を組み合わせて完成品を作る。材料は「液体」「動物素材」といった具合に大まかに分類されており,調合時にはそのカテゴリの中から,ある程度自由に選択できる。
さらに,材料には品質や特性などの細かな違いがあり,完成品に継承される要素となる。ここが面白いところで,たとえ同じアイテムを調合しても,使った材料によってまったく違う効能のものが出来上がるのだ。調合時にはちょっとしたパズル要素もあり,うまく材料を組み込んだり,新要素である「活性化アイテム」を活用したりすることでボーナスを得られる。
まだ見ぬレアな材料を求めて冒険に出よう!
街の人の依頼や試験の課題では,特定の効果や特性が付いたアイテムの調合が要求され,一筋縄ではいかないこともある。植物や鉱石といった自然由来のものだけではなく,魔物が落とす材料が必要となる場合もあるので,いろいろなマップに足を運び,レアな材料を見つけよう。都の外では時間や天候によっても採取できるものが変化するので,こうした要素を見極めたうえでの材料集めも錬金術士の重要な仕事なのだ。
都の外や絵の世界には当然ながら魔物が存在するが,錬金術で作り出したアイテムがあるとはいえ,リディーとスールの2人だけではちょっと心細い。今回プレイした範囲では体験できなかったが,本作のバトルは前衛と後衛の2人1組で戦う「コンビネーションバトル」が特徴で,最大6人によるパーティを組める。この先,本作からの新キャラクターに加え,シリーズでおなじみのキャラクターが加わることを考えると,パーティメンバーが増えたのは嬉しいところだ。
シリーズ初心者でも安心の親切設計に充実のやりこみ要素
今年で20周年を迎える「アトリエ」シリーズだけに,本作はシステム面が非常に洗練されている。ヘルプ機能が充実しているのはもちろん,マップやメニューを開けば,どこでイベントが起きるか,また,今何を探さなければいけないかなども,すぐに分かる。それでいて肝心なところは自分の力でやり遂げる必要があり,このバランスが巧みでストレスなく遊べるのだ。
ほかにもキャラクターの着せ替えや,フィールドや戦闘のBGMを前作のものに切り替える機能など,お遊び要素も充実しており,飽きが来ない。
やりこみ要素という意味では,高位のアイテムを作成するのは非常に大変で,希少な材料を入手するために強力な魔物を倒す必要も出てくる。鍛冶屋では装備品の作成と武器のカスタマイズができ,この鍛冶によってより良い武器や防具を作ることは,強敵と戦ううえで欠かせない要素だ。装備品の効果や特性は膨大な組み合わせに上るので,試行錯誤を繰り返して最強の武器を作り上げよう。
「不思議」シリーズの集大成,そして双子の奮闘の行方は?
国が始めたアトリエランク制度にも何やら裏があるようで,絵画世界の先には何があるのかも含めて,2人の行く末が気になるところ。また,序盤からこれまでの「不思議」シリーズに登場したキャラクターが姿を見せてくれるので,早く共に冒険したくなるが,この先は製品版での楽しみにしたい。
今回,主にプレイしたのはPlayStation 4版だが,本作はPlayStation VitaとNintendo Switchでも発売予定で,それぞれの画質やプレイフィールの違いが気になる人もいるだろう。そこで,各機種でゲームの序盤を遊び比べてみた。結論から述べると,各機種ともプレイフィールに関しては同等で,特定の機種のみ読み込みが遅いといったこともなく快適にプレイできた。
一方,画質に関しては明確な差が見られるので,以下に各機種で撮影したスクリーンショットを掲載しておく。
見てのとおり,最も鮮明な画質なのがPS4版で,Switch版では画面全体が若干ぼやけた感じになる。また,PS Vita版では画像自体はシャープだが,表示されるオブジェクト数が減っているなど,全体的にビジュアルの簡素化が図られている。画質優先で選ぶならPS4版がベストだが,Switch版とPS Vita版には持ち運びができるというメリットがあるので,自分のプレイスタイルに合わせて選ぶのがいいだろう。
丁寧な作りと,分かりやすくもやり応えを感じさせる安心の完成度で,「アトリエ」20周年を飾るにふさわしい作品に仕上がった本作。「アトリエ」シリーズのファンだけでなく,初めて触るという人にもオススメなので,この機会に手に取ってみてはいかがだろうか。
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