プレイレポート
漢詩がジャズやバラードと共に楽しめる。台湾産音楽ゲーム「陽春白雪 -Lyrica-」のSwitch版をレポート
本作は「古典漢詩」という飛び抜けてユニークなテーマを掲げており,純粋に音楽ゲームをプレイする以外に,中国古典文学を学ぶための入り口としても有益だという。漢詩は中学校の授業で習っているはずなのだが……はて,まったく記憶にない。今回はそんな漢詩の「か」の字もわからないような筆者がプレイしてみたので,ゲーム概要の紹介と合わせてインプレッションをお届けしよう。
「陽春白雪-Lyrica-」公式サイト
音楽ゲームとしても,中国古典の入門としても楽しめる
有名詩人の古典的名作がリズムに乗ってゲームを彩る
ゲームを起動すると,ちょび髭を生やした凛々しいおじさまが登場する。この人こそが「詩仙」と呼ばれた天才的な詩人「李白(りはく)」だ。本作では,李白や杜甫(とほ)の名作をテーマにした楽曲を楽しめるほか,歴史的な逸話をテーマにしたストーリーモードも用意されている。
楽曲選択画面には,正しく読めるかどうかすら怪しい楽曲名が何個かあり,学生時代にもうちょっと勉強しておけばよかった……と強く思わされた。しかし,ゲームの根幹はお馴染みの“音楽ゲーム”なので,プレイするには問題ない! ここから漢詩を勉強するつもりで進めていく。
ユニークで面白いなと思ったのが,楽曲の選択画面で歌詞を確認できる点だ。“中国古典文学の学習の入り口としても”と謳うだけのことはある。まぁ,読めないんですが。
挑戦モードでは,「ノーミスでクリア」や「何点以上でクリア」といったお題がいくつも用意されている。一定数クリアすると,アチーブメントを取得できたり新しいエフェクトが開放されたりするので,やり込み要素として楽しめる。
ノーツに合わせて歌詞が表示される
ユニークな音楽ゲームパートを紹介
ここからは音楽ゲームパートについても紹介していこう。本作には,他のゲームでよく見られる,ノーツが流れてくるレーンが存在しない。判定ラインとなる矢印型のアイコンが縦横無尽に動き回り,その先に現れたノーツにぴったりと合うタイミングでタップしていくのだ。感覚的には,「Cytus」シリーズと似たような系統と言えるだろう。
ノーツの種類はタッチ(タップ),ノーツをなぞるドラッグ,矢印方向に滑らせるスワイプ,そして長押しと同時押し,連続タッチの計6種類。
楽曲は漢詩を歌った物がほとんどなので,勉強でもしていない限り何を言っているかわからない。しかし,本作は学びも出来る音楽ゲームだ。なんと,歌に合わせて歌詞が書かれたノーツが登場し,これには思わず感心させられた。おそらく字幕以外の方法で歌詞を登場させた音楽ゲームはこれが初めてだろう。
楽譜の難度は全部で4種類用意されているので,プチ勉強が目的の音楽ゲーム初心者から,「おっ。新しい音ゲーだな!?」と食いついた玄人プレイヤーまで楽しめる。
音楽ジャンルはバラードやジャズなど,しっとりとした楽曲が多い。そのおかげもあってか,ゲーム自体の難度はそこまで高いと感じなかった。ただ,歌詞が中国語なこともあってノーツを叩くリズムが掴みづらいことや,ノーツの登場が予想しにくいので初見でパーフェクトを取るなどはやや難しいかもしれない。
非常にユニークなテーマを掲げつつ,音楽ゲームとしてもしっかりと作り込まれている本作。勉強にもうってつけだが,現代音楽に融合した「漢詩」を楽しむこの不思議な感覚がなんとも病みつきになる。楽曲も豊富に用意されているので,中国古典に興味がある人にも,音楽ゲーム好きな人にもオススメしたい作品だ。
- 関連タイトル:
陽春白雪 Lyrica
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陽春白雪-Lyrica-
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Published by COSEN