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印刷2020/09/25 00:00

プレイレポート

「クラフトピア」アーリーアクセス版をプレイ。クラフト,農業,冒険,狩り,乗り物……“全部盛りサンドボックス”という意欲作はどんなゲーム?

 2020年9月4日,ポケットペアはオープンワールドサバイバルアクション「クラフトピア」のアーリーアクセス版をSteamで公開した。本作はオープンワールドの世界に,アイテム作成,冒険,農業,建築,ハクスラなど様々な要素を“ごった煮”で詰め込んだインディーズゲームだ。

 昨今,「RPG+町作り」や「狩り+クラフト+ハクスラ」といったように複数の要素が組み合わさっているゲームは珍しくないが,ゲーマーなら一度は考える“面白いものを全部入れてみる”という選択肢を実際に選んだ本作は,相当な意欲作と言えるだろう。

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 そんなクラフトピアのアーリーアクセス版をプレイしてみたので,基本的なゲーム内容と,実際に「何ができるのか(何が実装されているのか)」を紹介してみたい。

 なお,前述のとおり,現在はアーリーアクセス版であり,プレイ中は常に「アーリーアクセス版である」旨が表示されている状態だ。筆者がプレイしている最中(9月上旬〜中旬)も頻繁にアップデートがかかり,「前日と仕様が違う」なんてこともしばしばだった。そのため,本稿の内容は原稿執筆時点のものであり,今後のアップデートによってゲームの内容が変更となる可能性がある。また,マルチプレイのマッチング方式がP2Pのみであるため(不特定多数のプレイヤーとマッチングできるロビーはない),今回は触れていない。

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地球を破壊した張本人(?),新たな地で文明の再興を目指す!


 白い画面の真ん中に赤いボタン,これがクラフトピアを始めると最初に表示されるものだ。明らかに怪しいが放っておいても何も起こらないのでボタンを押してみると,画面が切り替わり,なぜか地球は核の炎に包まれてしまう。多くの作品ではこの後,“ヒャッハー”な世紀末世界になったりするが,本作の場合は次の瞬間,そのまま地球が爆発。その後にクリエイトしたキャラ(詳しくは後述)が目を覚ますのは,天国のような場所だ。

「核爆発から始まる物語」というのはそれなりにあるが,自分で押すタイプは結構珍しいかもしれない。クラフトアイテムに妙に現代的なものが多いのも,元は地球の人間だからなのだろうか
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 そこで出会った女神のような存在に話を聞くと,どうやら自分は地球を滅ぼした張本人だという。前世がどこかの大統領だった……かどうかは定かではないが,とにかく女神は「クラフトピアという新たな世界で,最初の人類としてもう一度チャンスをあげるので,思う存分冒険しろ」と語り,不思議な転移ゲートのようなものを用意してくれる。移動した先は自然豊かで,動物が数多く生活する島。こうしてプレイヤーは文字通り“裸一貫”で,新しい世界を開拓する人類となる。

 以上が導入部となるが,本作にはまだストーリー(メインミッション)が実装されていないため,冒頭で女神が語る血湧き肉躍る冒険のくだりは体験することができない。現状では,こうした設定や物語はゲームに入る部分の演出と割り切ろう。

 さて,本作の基本システムは「マインクラフト」(以下,マイクラ)を強く意識したと思われる,クラフトがメインのサンドボックス型アクションゲームだ。三人称視点を採用しており,若干のトゥーン感があるビジュアルからは,「ゼルダの伝説」シリーズなどの影響も見て取れる。キャラクターが左利き(武器を左手で振る)なのも,そのオマージュなのかもしれない。

“それっぽさ”満点のグライダー。落下中に使うと,スタミナを消費しながらかなり先まで飛ぶことができる。本作の乗り物は動作のクセが強いものが多いが,グライダーは非常に素直に動くので扱いやすい
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弱らせたモンスターをキャプチャーし,自由に持ち運べる「モンスタープリズム」。敵に投げつけてうまく捕らえられたら,「ゲットだぜ!」という言葉が思わず出る……かもしれない
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 先に導入部を紹介してしまったが,ゲームを開始すると,まずはキャラクタークリエイトだ。プレイヤーはいくつかのパターンから顔と髪型と性別を選び,あとは肌や髪の色を調節するだけ。アーリーアクセス版ということもあってか,かなりシンプルな仕組みとなっている。
 現状で選べるのは人間だけだが,エルフやデーモンといった別の種族も,将来的には選択可能になる模様。ちなみに性別と顔の種類は連動していないので,「美少女風の男性」「美男子風の女性」といったクリエイトもできる。

 お次はプレイフィールドとなるワールドの作成だが,これは管理しやすいように任意の名前をつけるだけの作業で,特にプレイヤーが設定するところはない。マップは自動生成(ランダム作成)でなく既存の決まったものになるので,自分の作った建造物がない真っさらなマップで再度プレイしたいときは,データを消す必要はなく新しいワールドを作ればいい。

 プレイフィールドは,巨大な単一のオープンワールドが用意されているのではなく,いくつかの島が諸島のように存在していて,それを順次アンロックしていく仕組みだ。島はそれぞれが独立している形なので,別の島に移動する場合は持っているアイテム以外,例えば(自分で建築した)住居や牧場,設置した製造道具などをそのまま持ち込めない。そのため新天地では新たに作り直すか,前の島でパーツ単位にばらしてから回収し,再度設置し直す必要がある。
 なお,基本的には左下のスタート地点から離れれば離れるほど,登場するNPC(敵やキャラクター)が強くなる。

顔と性別を設定するだけの簡単なキャラクタークリエイト。悩むところはあまりないので,サクッと決められる。現状では設定項目が少々寂しいが,将来的には種族なども増えるようだ
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移動用のゲートをクラフトし,別の島へ足を伸ばそう。アンロックすればいつでも行き来ができるが,設置した施設や置きっぱなしのアイテムはその島に残り続ける
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 以上を済ませたら準備万端。冒頭の導入部を経て,小さな島の波止場のようなところからサバイバルが始まる。装備もアイテムも一切持っていないので,まずは最低限の生活必需品を作るところからとりかかろう。具体的には「道具」「食料」だ。

 最初は手近な木と岩石に,素手でおもむろに殴りかかろう。するとインベントリの「素材」に「原木」と「石」が追加されるので,これをメニューの「クラフト」から,木を伐採するための「木の斧」,そして鉱石を掘るための「石のつるはし」として組み立てる。
 石のつるはしがあれば,素手では歯が立たない銅鉱石を掘れるようになる。さらに「石の作業台」を作成して設置すれば,そこから多くの道具や装備が作ることが可能だ。例えば,作業台で作れる「石のキャンプファイア」は家畜を倒すと手に入る「肉」を焼いたり,原木から木炭を作ったりするときに役立つ。

 そうこうしているうちにお腹が減ってくるので,飢える前に焼いた肉で腹を満たす……といった展開が,最序盤の流れになるだろう。マイクラ系の作品をプレイしたことがある人なら,おそらく迷うところはほとんどないはずだ。インベントリの制限も数量(アイテム枠)で管理される仕組みのため,重量などを気にする必要はない。作成に使う素材によって道具や装備の能力が変わるのもマイクラと同様で,石より銅,銅より鉄……と基本的には上位(レア)の材料ほど,強力な物が完成する。

木を殴り,岩を砕いて材料をゲットしよう。高度な設備を整えればより多くのものをクラフトできるが,何もなくてもメニューの「クラフト」から,最低限のものは作り出せる
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高いところに行きたいなら,一番シンプルな手段は自分で足場を作って登っていくことだ。一見遠くに見えても,準備さえ整えればそんなに難しくはない
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 マイクラとの大きな違いは,「マップとオブジェクトが明確に分かれている」ことだろう。マイクラはマップ自体がそれぞれのブロックで構成されていて,直接地形に干渉(破壊や採掘)する形で資源を入手できるが,本作では“資源は資源,地形は地形”という形で明確に分かれているので,地形そのものをいじることはできない。例えば,つるはしは岩だけでなく,敵や樹木などに(効果は薄いが)アタックすることも可能だが,地形そのものへの当たり判定はない。あくまでマップ上のオブジェクトに干渉するための道具,という位置づけだ。

 またクラフト可能なアイテムは,時代を進めることによってアンロックされる。具体的には最初から作成可能な「時代の祭壇」を作って設置し,そこに進化に必要なアイテム,指定されたリソースを捧げればいい。例えば,最初の石器時代から農耕の時代に進めるためには,原木や銅鉱石,そしてお金といったものが必要だ。指定されたものを捧げると,瞬時に時代が変わり,装備や料理といった多数のレシピが扱えるようになる。

 前述のとおり,本作にはメインミッションが実装されていないため,時代を進めて作成できるアイテムを増やし,そして開拓可能な島をどんどん増やしていくことが,当面の目標になると思う。もちろん,比較的安全な最初の島で思う存分,クラフトするというプレイスタイルもアリだろう。

祭壇に特定のアイテムを捧げると,時代が進行して新たなレシピがアンロックされる。作れるものが多いのに越したことはないので,積極的に進めよう
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序盤から作れる市場では,放り込んだアイテムが一定時間で売却されていく。作ったものを入れてもいいし,ドロップしたものでも大丈夫だ
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まだまだアイテム(レシピ)が充実しているとは言いがたい本作だが,食べ物に関しては結構多い
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 お金はクラフトや戦闘などに直接必要になるわけではないが,先ほど触れた時代の祭壇を動作させる際に必要になるほか,NPCとのアイテム売買,装備品の耐久力の回復,ライフがゼロになったときに復活時のペナルティとして引かれるなど,それなりに用途はある。
 主なお金の入手方法は「市場」をクラフトして,アイテムを納入することだ。納めたアイテムが一定時間ごとに自動売却され,お金が懐に入るという仕組みで,序盤はとりあえず「いらない物は市場に放り込む」といった形で動けば,あまり意識しなくても貯まっていくはずだ。


基本的な冒険やRPGの枠組みは整っているが,現時点では相当に“荒削り”だ


 プレイヤーキャラにはライフ,スタミナ,マナという3種類のステータスが用意されており,経験値を溜めてレベルアップすると,ステータスが上がり,スキルポイントを入手できる。ライフは生存に必須で,スタミナは主にダッシュや壁などへの張り付きなどの移動に,そしてマナはスキルの発動に使用するため重要度はどれも高め。経験値は戦闘はもちろんのこと,材料の収集といった作業でも入手できるが,やはり積極的に強敵を倒したほうがレベルが上がりやすいようだ。

戦闘に限らず,序盤は材料の収集などでも簡単にレベルアップする。スキルは戦闘からクラフト用までいろいろな種類があるが,未実装のものも目立つ
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スキルポイントでアンロックできる技の1つ「回転切り」。こちらはスキルスロットにセットするタイプではなく,特定のコマンド(キー操作)で発動できるが,スタミナと空腹度を多く消費する
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 スキルはライフ回復力や基本動作能力をアップさせる「基本」,文字通り戦闘力を向上させる「戦闘」,アイテム作成や資源回収に役立つ「生活」など,カテゴリ別に分かれており,同一カテゴリのスキルを一定数取得すると,より上位のものが取得できるようになっている。本作には職業という概念がなく,スキルポイントを振れば好きなスキルを取得できるため,魔法剣士のようなハイブリッドキャラも育成可能だ。アクティブスキルは,画面下のスロットにアイテムと共用の形でセットし,任意のタイミングで発動できる。
 とはいえ,戦闘要素には現状,かなり大味で未完成な部分が多く,「バトルの駆け引き」的なものを期待すると肩すかしを食らうかもしれない。敵のAIがあまり賢くないため,作業感の強さが否めない。とはいえ,敵を倒すとクラフトの材料なども手に入るため,戦いを避け続けることは難しいだろう。

 冒険という点では各マップに複数のダンジョンが用意されている。その内容はスタンダードなザコ戦を経たうえでボスと戦うもの,乗り物に乗って時間内にゴールを目指すもの,高所を目指し壁を登るものなど,さまざまななタイプが存在する。最後まで進んでクリアした暁には,装備アイテムをはじめ,4枚集めるとライフやスタミナの上限アップに使える「成長の石版」が入手できる。
 ただ,ダンジョンと呼ぶには短すぎる印象があり,その内容も至ってシンプル。準備を整えて挑む迷宮というより,マップに用意されたアクティビティの1つといったところで,気負わずに入れるという点では良いかもしれない。次の島をアンロックするための鍵になっている……なんてこともなく,興味がなければスルーしても構わないだろう。

島のどこかにダンジョンの入り口があり,近づいたり内部に入ったりすると,内容(クリア目標)が判明する仕組み。筆者がプレイしたダンジョンは「ホバーボードで通路を時間内に抜ける」というタイプが妙に多かった。ちなみにどのタイプでも,報酬はあまり変わらないようだ
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成長の石版は,上空の島にいるキャラクターに渡すとステータスをアップできるアイテム。石版はダンジョンのクリアだけなく,NPCとのやり取りで入手できることも
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 世界設定は一見すると,剣と魔法のファンタジー世界のようだが,その実,ゲームシステムと同じく“ごった煮”な印象を受ける。武器こそ現状は剣や弓がメインとなり,防具もそれっぽい服と鎧が用意されているが,最初に作れる乗り物はグライダーと,「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」に出てきたようなホバーボードだ。

 時代を進めればオープニング画面に出てくるバイクや,空を飛べるヘリも作れるようになり,ここでも“入れたいものは全部入れる”というスタンスが窺える。フィールドを自作の乗り物で自由に動き回れるのというのは,やはりそれだけでも楽しいものだ。ただバイクにせよホバーボードにせよ,挙動にはかなりクセがあるというか,正直乗りやすいとは言いがたく,もう少しマイルドな操作性になることを期待している。

ホバーボードでトリックをキメられたり,島をバイクで走り回れたりと,乗り物に力が入っているのも本作の特徴。とはいえ筆者が最初にクラフトしたバイクは,滑りに滑って(本人を残し)海に落ちてしまった。え,ABS付きモデルを!
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削岩機を設置すると,特定の岩盤から延々と素材を掘り出すことができる。動力も不要なので,基本放置でOKだ
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 前述のように,本作の世界には機械が存在するため,自動化のオブジェクトが数多く用意されているのも大きな特徴だ。オブジェクトを好きな方向に動かせる「ベルトコンベア」をはじめ,家畜の増加と利用を促進する「畜産場」と「交配所」,全自動で鉱石を掘り続けられる「削岩機」など,時代があまり進んでいなくても利用できるようになる。
 これらの動作には電源などを必要としないため,プレイヤーの工夫次第でいろいろなものを自動化できそうだ。とくに乗り物のクラフトは面倒な材料が必要になる反面,実質的に使い捨ての代物なので,自動化による大量生産を実現したいところ。

筆者が最初に作った拠点。掘っ立て小屋的なものの横に,ささやかな畑も併設。周囲を柵で囲ったものの,定期的に敵がすり抜けてきたりするので,あまり安心できないのが玉にキズ
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 農業の要素は「クラフト用の材料を作る手段」といった位置づけだ。「畑を作る → 水をまく → 勝手に育つ → 武器でアタックして回収する」といったように簡略化されていて,小麦以外の作物には「種をまく」工程が途中に入るものの,数分間で立派に育つ。
 世代が進んで機械を作るにはバイオエタノールが必要になるタイミングがあり,原材料の小麦を大量に手に入れなくてはならなくなった。筆者はここで本格的に農業を体験することになったのだが,当初はそれまでのクラフトや冒険といったプレイ(日常)に無理なく農作業を挟むことができるような「ゆっくり田舎で農業スローライフ」といったものを想定していた。畑の範囲が広くなると管理が大変になりそうだと考えて,拠点の一部を削って家庭菜園のような規模でスタートすることにした。

農業は収穫の楽しみがあるが,同じ作業の繰り返しになるので,スプリンクラーで水まきを,そしてドローンの回転のこぎりでアイテム化までを自動化することに。しかし,このままだと回転のこぎりがどこかへ行ってしまうだけでなく,回収も自分でやらなければいけない。もうひと工夫が必要だ
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 しかし,筆者が思っていたよりも農作物は結構成長が早く,「別の作業をしていると,成長しきって,収穫頻度が少なくなって効率が悪い。かといって,農業にかかり切りになると,単純作業と待ち時間が気になる」というせめぎ合いが発生。モヤモヤしながらの小麦生産になった。
 淡々とした作業が好きな人には楽しめそうだが,そうでない場合は手作業にこだわるより,本作の特徴の一つである自動化を目指した方がいいだろう。「自動化の設備を作るための材料集め」が,これはこれで時間がかかったりするのだが,そうした「急がば回れ」を楽しむのもクラフト系ゲームの楽しみ方だろう。


現状は問題点が目立つが,将来性に期待が持てる。クラフトに魅力を感じるなら,今のうちに手を挙げよう


 冒頭でも触れたように,本作はさまざまなゲームの要素や特徴を貪欲に取り込んだ意欲作だ。ベースとなっているのがマイクラをはじめとした3Dサンドボックスゲームであることは間違いなく,オンラインRPGのようなレベル制とスキルツリー,アクションRPG的なグラフィックスとダンジョン,そしてフィールドをある程度なら自由に移動できる乗り物など,一通りの要素は実装されている。
 アーリーアクセス版ではあるが,クラフト要素は一定の完成度があり,武具や道具を揃えたり,“自分の城”を構えたりできるのは楽しい。また,アップデートが非常に頻繁に行われていることから将来性に期待できる。

 バイクやドローンなど,現代的なハイテク機器や道具も多く,「次はこれを作ってみたい!」と思えることが多いのも,モチベーションにつながっている。グラフィックスはキャラクターの等身が高く,フィールドもリアル系のビジュアルなので,いわゆる“マイクラ系”と言われて想像するようなタイプとは違った印象を持つだろう。
 ただ,前述のとおりフィールドとオブジェクトが完全に分離しているため,“本格的に地形までは変化させられない”という点は,システム(あるいはジャンル)の違いとして覚えておきたい。

発電機は装置を動かすためのものではなく,機械をクラフトするときに使用する「電池」を作成するためのもの。ハムスターなどの運動器具のようにも見えるが,実際の使い方も動物などをうまく誘導して“動作させる”という代物だ
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メインミッションは未実装だが,チュートリアルを兼ねているサブミッションは結構充実している。サブミッションを順番にクリアしていくだけで,ある程度プレイの感覚は掴めるはずだ
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 “アーリーアクセス版らしさ”としては,スキルに未実装なものが目立ち,飾り付けるようなアイテムはほとんどなく,武器や防具の種類も寂しいといった点が挙げられ,「量」の面で未完成であることを実感する。昨今のゲームとしては全体的に説明も不足気味で,「どう使ったらいいのか分からない」というアイテムにたびたび遭遇してしまうのも,まだ手が回りきっていない証拠だろう。

 本作にはハクスラ要素があり,ランダムでドロップする装備や素材に能力差がある。具体的にはアイテムに「新鮮な」や「勝利の」といった名称が付いていて,その種類ごとにバフやデバフなどのエンチャント能力が付与される仕組みになっている。これらは単純に能力が高い装備を拾ったときに嬉しいのはもちろん,材料としてクラフト時に使うと,完成品にエンチャント能力を引き継げる(ことがある)ため,強力なアイテムの作成を目指すなら欠かせないポイントだ。

例えば,「“乾いた”鉄のインゴット」を材料にして剣を作ると,「“乾いた”鉄の片手剣」が完成する(ことがある)。“乾いた”というエンチャントには最大スタミナの上昇効果があるので,スタミナがアップする剣ができる……という塩梅だ
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 これらのエンチャント能力は同時に複数の要素を引き継げることがあるので,厳選した複数のエンチャント能力を秘めた最強の装備を作る……というのが,現状のやり込み要素になっているようだ。ただ,このシステムに関しても説明は不足気味で,筆者はインベントリが窮屈になってきて初めて,「あれ,同じアイテムなのに種類が分かれてる?」といったことに気がついた次第である。

 なお,前述したように現状はストーリー要素が無いに等しく,ダンジョンには探索のしがいがあるとは言いがたいので,RPGとしての充実は“これから”といったところだ。ゲーム内には“攻略”する対象が乏しいこともあり,クラフト要素の充実度に対して,ほかの要素が追いついていない印象もある。結果として「エンチャントにはこだわれるが,それを生かす場面がまだ足りない」と感じる。

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 個人的に一番引っかかったのは,NPCの挙動やモーションだ。とくに敵の動きは「こちらにたどり着く前に何かに引っかかる」とか,「何もないところを延々走り続けてる」とか,「戦っている最中に急にどこかに行ってしまう(消える)」といった場面を頻繁に目にするため,敵との遭遇が緊張感のないものになっている。実際の戦闘に入っても挙動が安定せず,スキルや間合いがどうこうといった駆け引き以前の状態になることもしばしば。AIは段差がある地形に弱いようだ。
 また,バトル以外では置いた道具や装置がそのまま地面の下に落ちて消えてしまうなんてことも散見された。その後のアップデートにより,正常に置けなかったパーツや装置などはアイテム化してフィールドに復活するようになったが,NPCのAIや物体の当たり判定といった,地味ではあるが重要なところのさらなるブラッシュアップも必要だろう。

 本作の現状をまとめると,完成度はアーリーアクセス版らしいものであり,とくに“クラフト要素以外”のところに興味があるなら,物足りなさを感じる可能性が高いと思う。いわゆる量の不足もさることながら,質の面でも相当に荒削りであることは間違いなく,さらなる練り込みが必要と感じる実験的な部分も多い。
 現時点ではそれぞれの要素がまだ独立している印象で,例えば「クラフトで乗り物やアイテムを大量生産すると,より冒険に役立つ」「○○を倒すために××をする必要がある。だから△△を作る」といった場面が少なく,“全部盛り”の要素がガッチリ噛み合っているという印象はない。プレイヤーの目標を作ったり,うまく誘導したりするためにも,ミッションやキャラクターの充実が求められるだろう。

島が変われば風景も変わる。埋蔵されている資源も変わってくるので,場合によっては島を行ったり来たりすることになるはずだ
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 “今後の課題”が多くなってしまったが,本作の「面白いものを闇鍋的に全部入れてみよう」というコンセプトは,率直に言って興味深い。ある種,そういった欲張りなところが,他に類を見ないオリジナリティを生んでいることは確かであり,将来的に「大きく化ける」可能性は十分あると思う。現状のアップデートの早さは,それを期待するには十分すぎるものだ。
 いろいろと“足りない”部分はあるものの,クラフトピアには“勢い”がある。これは間違いない。ポケットペアの壮大な挑戦に興味を抱いたのならば,支援を兼ねてアーリーアクセスに参加してみてほしい。

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