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[プレイレポ]時を巻き戻し,自らの分身と共に戦え。「Lysfanga: The Time Shift Warrior」は今までにない斬新なアクションストラテジーだ
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印刷2024/02/14 11:40

プレイレポート

[プレイレポ]時を巻き戻し,自らの分身と共に戦え。「Lysfanga: The Time Shift Warrior」は今までにない斬新なアクションストラテジーだ

 Quantic Dreamsは2024年2月14日,Sand Door Studioが開発を手がけるアクションストラテジー「Lysfanga: The Time Shift Warrior」をSteam,Epic Gamesストアでリリースした。税込価格は順に2800円,2480円(現在,20%オフのセール中)。

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 Steamのストアページでは「アクション」「ストラテジー」「ハックアンドスラッシュ」といったタグが付いているが,筆者はどんなゲームなのかが事前にまったく想像できなかった。そして,実際にプレイしてみて「……なるほど!」となった本作の魅力をお伝えしたい。

「Lysfanga: The Time Shift Warrior」公式サイトt




頼もしい仲間は,私と私と……そして,私だァーッ!


 本作の舞台は,大昔に魔物「ラクセス」の襲撃を受けた「アンタラ」と呼ばれる世界。かつて,コメーラという女性が自身を犠牲にして神となり,都の周囲一帯の時間を止めて封じ込めることでラクセスの侵略から守った。
 それから数百年の時が経ち,災厄を逃げ延びた者たちは新たな王国を築き上げていた。その王国では一世代に1人,守り手にして運命の戦士「リスファンガ」が生まれるようになる。

オープニングでは壁画風のアートワークで世界設定が語られる
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 しかし,あるとき,双子が誕生した。優秀な剣の使い手・イメ,魔法に強い弟・ケホル。2人は共にリスファンガとして任命されると思われたが,ケホルはイメにすら何も告げずにどこかへと去り,使命を託されたのはイメだけとなった。

 数年後,都を守るはずの「時の封印」が発する光が消え,イメ(プレイヤー)はリスファンガとして,事態の究明に赴くことになる……。ここまでが本作の導入だ。

イメの行く先に弟・ケホルがいることも。時の封印が消えたことに,ケホルが関わっているのか
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 本作は,見下ろし型の視点で都を走り回る「探索」パートと,一定範囲内に閉じ込められて敵と戦う「闘技場」パートに分かれる。舞台となる広大な都を探索パートで走り回り,決まった場所で敵と遭遇すると闘技場パートに移行する。闘技場パートの戦闘には制限時間があり,時間内にすべての敵を倒せなければ,イメの敗北となる。

探索パートでは,ラクセスによって荒らされたのであろう都を走り回る。移動速度は速めなのでストレスはない。アクション要素はなく,道が途切れている場所なども短距離であればダッシュで向こう岸へ飛べる
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闘技場パートではバリアのようなもので移動範囲が制限され,敵を倒すまで他の場所には移動できない。戦闘前には全体を俯瞰して見渡せる
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 イメには,時の女神・コメーラの助力により,時間を操る能力が備わる。これにより,イメは敵に倒されても時間を巻き戻し,倒される前に戻ることができる。

オープニングで都を救ったと語られた時の女神・コメーラ。時の封印が解けた危機を救おうとするイメに力を貸してくれる
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 「時間を巻き戻す」というと,昨今のゲームでは取り立てて目新しい要素でもない。わりとよく聞くものだ。しかし,本作が面白いのは「巻き戻してやり直す」だけでなく,「巻き戻したら“前回の自分”が幻影となって前回どおりに動き,“現在の自分”をまた新たに操作できる」ところだ。

とりあえず戦ってみるも,制限時間を過ぎてしまった。強制的に敗北!
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再度,同じ戦いをスタートすると……「先程の自分」が幻影となって勝手に動き出す
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 この分身(過去の自分)は「レムナント」と呼び,複数体を扱える。

 たとえば,3つの道(A,B,C)の先に敵がいたとして,3体とも倒さないとクリアできない場合だ。Aの先にいた敵を倒し,次は道を引き返してBに向かうが,時間が足りず,Bの途中で倒れてしまった。すると時間が巻き戻り,自分の分身(レムナント)がAに向かい始める。レムナントは自動的に先程の自分と同じ行動をとるが,現在の自分は新たな行動を選べる。

先程は右端の通路の敵を倒した後,時間切れになった。画像右下,行き止まりから帰ってくる金色の分身がいるのが分かるだろうか。今回はそれを踏まえて,中央の通路の敵を攻撃していく
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 さっきと同じ時間があれば,レムナントがAの敵を倒し,現在の自分がBを倒すところまではいけるだろう。しかし,Cの敵は倒せず,また制限時間が来てしまった。すると,またまた時間は巻き戻り,今度は2人のレムナントがAとBに向かうので,自分はCの敵を倒しにいける。
 つまり,2回やり直すことで,先程と同じ時間でも自分とレムナント2人,計3人でA,B,Cの敵を撃破できる。これでめでたくステージクリアだ。本作は「時間の巻き戻り」を前提として,「複数の自分たちで制限時間内に敵を倒す」というルールなのだ。ドラえもんがのび太に頼まれた大量の宿題をこなすべく,タイムマシンで数時間後のドラえもんを何人も連れてきて徹夜で片付けるエピソードがあったが,かなりノリは近い。

“3周目”の図。右の通路では最初の分身が戦っているが,そろそろ2周目のレムナントが中央の通路へ向かうはずなので,今回の自分は左端の通路にいる敵を倒す
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 ただ,作り出せるレムナントには限りがあり,初期状態は3体まで。探索パートで「レムナントの器」を見つけて,4つ集めると召喚できるレムナントが1体増える。これは実に大きいので,探索は疎かにはできない。

宝箱から「レムナントの器」をゲット。探索漏れがないように,隅々まで探したい
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 このルールを基本として,敵の種類が増えたり,ステージの地形に工夫が凝らされたりと,ゲームの進行と共に戦闘の内容が複雑化していく。2体同時に撃破しないと再生してしまう敵,前方からの攻撃は完全にガードする敵,攻撃した方向に飛んでいって爆発を起こす敵など,バリエーションは豊かだ。ステージの地形と敵をよく観察して,「どこで何をすれば時短できるか?」を考える。イメを操作して攻撃を行うのは“アクション”だが,根幹にあるのは確かに“ストラテジー”である。

討伐後,すぐにもう1体も倒さないと復活してしまう「ツインズ」。上部の青い線でつながっている2体がそれだ。過去の自分がどれくらいの時間で片方を倒したかを覚えておいて,タイミングを合わせて2体同時に撃破する必要がある
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前方に大きな盾を構える「ガーディアン」。横や背後に回り込もうにも,グルグルと向きを変えて盾を構えられてしまう。自分が2人以上いれば……!
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攻撃した方向に吹っ飛び,飛んだ先で敵に当たると爆発を起こす「ボムウィング」。遠くの敵を一網打尽にできるので,移動の手間がなくなることも大きく,ダメージ量もデカいので強敵にぶつけたいところ
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一度クリアした場所は空間に亀裂のようなものがあり,再挑戦が可能だ。さらなるハイスコアを求め,自分自身と果てなき戦いに臨める
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 チュートリアル的な序盤を終えると,拠点が開放されてファストトラベルが可能になる。都は広く,各ステージの収集物の数が表示されるので,ここまでの探索はしっかりとできているかを確認するために戻ってみてもいいだろう。

各ゾーンの探索状況を確認できる。隅々まで調べたつもりでも,意外と見落としが……
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 都には複数の「ゴーレム」が存在する。中には壊されていることもあるが,イメはそれらと話すことで拠点に連れていけるようになる。

グレノスという名のゴーレムに対し,ケホルが何やら問い詰めている。この後,グレノスは破壊されてしまうが,イメの能力によって時間を巻き戻し,安全な拠点へと案内してもらえる
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 拠点に来たゴーレムたちはそれぞれ役割を持っていて,新たな力「ルーン」を開放してくれたり,拠点内の額縁に絵画を飾ってくれたりする。最初は上記のグレノスしかいないが,次第に賑やかになっていく。

壊れた機械のようなしゃべり方をするゴーレムがいたり,妙に人間臭いゴーレムもいたりする
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グレノスはイメの見ている景色を共有できる力を持っているらしく,時折,都について解説してくれる。さながら,名所案内ゴーレムだ
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新たな力「ルーン」。攻略にとても役立つ能力だ
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拠点の額縁に絵画を飾れる。額縁はいくつかあり,どこにどれを飾るかを選択できる。フム……悪くないね
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「鎧の設計図」を見つけると,イメの衣装を変更できる。ただ,通常画面がカメラ遠めの見下ろし視点なので,小さすぎてよく分からない……
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パズル要素を持つアクション+ストラテジーの変化球

新しいもの好きは断然,要チェックだ


 「過去の自分たち数人と足並みを揃え,制限時間内に場の敵を一掃する」というゲームシステムはなかなかに斬新だ。これと言った不具合もなく,ローカライズもしっかりしていて,丁寧に作られていることが分かる。
 ただ,呼び出せるレムナントが5体くらいになったあたりで,「あれ? 2体目のレムナントはどのルートで,どの敵を攻めたんだっけ……」といったように少々ややこしくなってくるのは事実だ。

「二元扉」という仕掛けも登場する。黄色の線を跨ぐと,閉まっていた紫のバリアが解け,黄色いバリアが出現。その逆も然りで,引っ込んだ紫のバリアがあったところの線を跨ぐと,黄色いバリアが復活する。パズル要素がさらに濃くなり,レムナントがどのタイミングで線を跨いでバリアを解除したかも頭に入れていないと,移動することすら困難になる
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筆者が思わず「うっ……!」と手を止めたステージ。敵の数は多く,ガーディアンが2体,遠距離に線が結ばれたツインズも2組ほど見えるうえに,二元扉で中央からの道が遮られている……ヘビー!
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 序盤は戦闘フィールドがさほど広くなく,敵の数も多くはないので,考えるべきことはシンプルだが,ゲームを進めると戦闘フィールドは広くなり,敵の数も増えていく。紙に敵の位置と地形の簡略図を書いてから,「1人目は左から行って,2人目は右で……」といった事前に綿密な計画を立てるのが攻略の近道なのでは……と思うようなステージもある。
 すべてを脳内で決着させようとすると,短期記憶を試されているような,もしくは脳トレをやっているような気分にもなる。実に不思議なゲームだ。

ドクロマークが付いている敵は,いずれかのレムナントによってトドメを刺されることが決定している。この敵は無視すればいいので,これが分かるだけでも大助かりではあるのだが,ほかにも考えることが多くて脳が忙しい
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 しかし,そこもまた本作の重要な部分ではないかと感じる。複数のレムナントがどう進んで,どのタイミングでどの敵を倒したか,自分が把握しやすいルートを構築することも大事ではないかと。もし把握できないなら,自分の攻め方が複雑すぎるということだ。少しでもムダを省いて分かりやすく,よりシンプルに削ぎ落としていく。この過程を楽しめるかどうかだろう。

基本的には探索パートと闘技場パートの繰り返しになるが,節目節目でストーリーが少しずつ動いていく。ケホルの思惑は分からないが,彼を「弟子」と称する謎の男が現れ……
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 戦闘の内容が複雑になっていく一方で,それに対抗するための新たな魔法や手段もイメ側に追加され,覚えるべきことは雪だるま式に増えていく。導入は比較的ライトで取っつきやすいが,徐々に少しずつ重たくなっていく印象だ。シミュレーション好きにはしっかり刺さりそうだが,難度を設定できないこともあり,じっくり考えることが苦手な人は詰まりやすいかもしれない。
 とはいえ,本格シミュレーションゲームほどの激ムズというわけでもなく,ほどよく頭を使ってスマートに敵を倒す快感を味わいたい人にもオススメできる作品だ。

攻撃手段として「魔法」もあるのだが,種類が増えていくにつれて,筆者は「えーい,面倒だから剣で殴っちゃえ!」となりがち。なかなか使い分けるところまで考えが及ばない。詰まったら,自分にできる行動を一旦整理してみよう
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女神が新たな力を貸してくれることも。「激発」はとくに強力だが,ゲージを消費するため連発はできず,「何体目のレムナントがどこで使うか」の見極めが重要だ
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 「こんなゲーム,過去になかったぜ!」と思いながら,数秒前の過去の自分と共に戦っている状況に苦笑いしそうになったが,斬新なゲームを求めている人は,ぜひ遊んでみてほしい。

「Lysfanga: The Time Shift Warrior」公式サイト

  • 関連タイトル:

    Lysfanga: The Time Shift Warrior

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