プレイレポート
[プレイレポ]「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」では,まさにワンダーなゲーム体験が君を待っている。不思議と驚きにあふれたシリーズ最新作
ゲームの舞台は,キノコ王国から少し離れたところにあるフラワー王国。フロリアン王子に招かれて王国にやってきたマリオたちは,この地に咲くワンダーフラワーの不思議な力を使って悪さをするクッパを止めるため,新たな冒険に出発することになる。
自由にコースを作って楽しめる「スーパーマリオメーカー」や,Switch向けの“DX版”など,さまざまなタイトル展開を見せている2Dマリオだが,「スーパーマリオブラザーズ」シリーズの完全新作となると,2012年12月に発売された「New スーパーマリオブラザーズ U」以来なんとおよそ11年ぶり。そんな本作を発売前にプレイできたのだが,その内容はあまりにも衝撃的だった。
ジャンプとダッシュで敵やトラップをかわし,スーパーキノコを取ってパワーアップ。スーパースターで無敵になってコースを駆け抜ける。操作方法やシステムはおなじみのものと変わらないのだが,プレイ中に何度も「これは,まさにワンダーだ!」と声をあげてしまうほど,不思議と驚きにあふれたゲームだったのだ。
「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」公式サイト
マリオ・イン・ワンダーランド!? 土管が! 世界が! 踊り出す!!
最初に伝えたいのが,コースのしかけとギミックの“ワンダーぶり”についてだ。まずはこちらの画像の中央,マリオの前にある青い花を見てほしい。
これぞ本作の目玉要素でもある「ワンダーフラワー」……ではなく,各ステージに点在する,ごく普通のギミックである。しかし,この“どこにでもある花”が,不思議と驚きにあふれたマリオワンダーの根本にある魅力と面白さを生み出しているのだ。
花について簡単に説明をすると,この花に触れると“近くでなにかが起こる”。あいまいな表現ではあるが,しかし実際,“なにか”としか言えないのだ。なにしろ,花に触れることで発生する出来事の範囲があまりにも広く,そして想像できないようなことばかりなのだから。
この花に触ると…… |
ブロックが出てきた。なるほど。この花は,触れるとブロックが出るギミックなのか。1-1のコースにしては,なんかブロックが少ないなあって思ってたんですよねー |
それじゃあ,ここの花でもブロックを出して……って,あれ? こっちの花は,ブロックではなくコインが出てきたぞ? |
さらに進むと,また花が。触ってみると……なんか土管が生えてきて,水がビュービュー噴き出してきた。よし,分からん |
ブロックが増えたり土管が生えたり,消えたり動いたり,普通にコインとか出しちゃったりと,とにかく“なんでも”起こる。序盤からこの調子だ。あまりにもなんでもすぎて,その“なにか”が実際に起こるまで,どうなるのかがまったく想像できない。
ブロックを叩くと,あっ,青い花が出てきた。どこから現れるかも分からないぞ,この青い花は…… |
なんて思っていながら花に触れると,えっ? えっ? えっ? 急に足場の雲が消え始めた。最初は思考が追い付かず,マリオが自由落下し始めてから初めて状況を理解し,「アッ,足場ァ!?」と叫んだ筆者でした |
このように,花がもたらす変化によって,特別なアクションや操作をするわけでなく,普通にゴールを目指しているだけでも,「いったい次になにが起きるんだ?」というワクワクがずっとついて回る。これが,今までの2Dマリオにはなかった,マリオワンダーの大きな驚きの一つだろう。
「なるほど,この体験,胸の高鳴りはまさしくワンダーだ!」と,筆者がゲームをプレイして最初に感じたワンダーが花のギミックであり,予測がつかない出来事が起こるたび,驚きの声をあげていた覚えがある。
そんな,とてもワンダーなゲームの楽しさを感じさせてくれる花だが,と言ってもこれはまだ不思議な小パンチ,ワンダー・ジャブに過ぎない。つまり,驚きはこれだけではなく,一発KOの強烈な一撃となるワンダーなフィニッシュブローがあるのだ。
お待たせしました。それこそが,満を持して紹介する本作の目玉――世界(とゲーム)に大きな影響を与える「ワンダーフラワー」である。
ワンダーフラワーはすごい。なにがすごいって規模がすごい。なにせ,“コースを丸ごと書き換えてしまう”のである。コースの一部で不思議な出来事が起こる花ですら,先ほどお伝えしたとおりの驚きがあるのに,コースを丸ごととなるわけだから,それはかなりのワンダーである。
ワンダーフラワーがコースにどのような影響を与え,それによってどのようなアクションやギミックが発生するのか。それは花と同じく,初めて触れてみるまでは分からない。ある場所では視点が変わり,またある場所では,唐突に敵の背中に乗って進む強制スクロールが始まる。目の前の敵を倒そうとしたら,急に土管が降ってきて敵が勝手に下敷きになってやられるなんてこともあった。
毎度おなじみ,横スクロールのコースだけど…… |
ワンダーフラワーを取るとガラッと視点が変わり,なんと見下ろし型(?)に。もはや別のゲームだ |
土管が動きだした! 左の土管は動いていないし,こっちは入れるっていうことかな? |
……なんて思ってたら,いや,そっちも動くんかい! |
さらに,土管に生命が宿ったり,虹色の泡で画面が埋め尽くされたり,星が降ってきたり,背景の山々が歌って踊り出したり……と,今までのマリオの常識をすべてぶっ壊したかのようなワンダーランドが,プレイヤーを待っている。
これでもかと言わんばかりに,むせかえるほどのワンダーを放つワンダーフラワーだが,それを浴びたときの心地よさはかなりのものだ。花の説明でも伝えたとおり,“次になにが起こるか本当に分からない”という驚きに満ちた冒険は,とても刺激的で気持ちよく,そして面白いものなのである。
なお,一度ワンダーフラワーを取ったら,そのコースはずっとワンダーというわけではない。ワンダーシードを見つけることができれば,コースは元通りに |
ワンダーシードは,コースクリア時にも入手できる。元のコースに戻るだけではなく,次のコースを開放するときなどにも必要となる。各コースで2個は入手できるので,怪しいところがあれば見逃さないようにしよう |
バッジで新しい力をゲット! 好みにカスタマイズして,自分のプレイスタイルにあった難しさに
本作の大事な要素がもう一つある。それがバッジだ。
バッジとは,マリオたちプレイアブルキャラクターに新たな能力をもたらすスキルのようなもの。たとえば「カベ登りジャンプ」のバッジを装備すれば,ジャンプしてカベにくっつき,そこからもう一度真上にジャンプできるようになり,「ふわっとジャンプ」のバッジをつけると,いつもよりふわっと高くジャンプできるようになる。新しいバッジは冒険を進めることで手に入り,それらはプレイヤーの任意でつけ替えが可能だ。
カベ登りジャンプを使えば,普通では届かない足場にもひょいっと登れる |
ふわっとジャンプはその名のとおり,ジャンプ中に少しふわっとなって通常ジャンプより飛距離が伸びる。かなり便利で,基本的にはつねに身につけていたいバッジだ |
バッジはコースの選択画面やコースのリトライ時などに変更でき,もしバッジの交換を忘れたとしても,メニュー画面から手動でリトライすればすぐにつけ替えられる。
なかなかコースをクリアできず,何度もミスをしていると,旅の同行者であるフロリアン王子がおすすめのバッジを提示してくれることも。アクションゲーム初心者や小さな子どもにとって遊びやすく,また最適解が分かりにくい難解なコースをクリアするうえでのヒントにもなる親切設計だ。
新たなアクションを追加するバッジだけではなく,コースから落ちたとき,一度だけ空中でジャンプしてくれる「復帰ジャンプ」,足場になるブロックをコースに追加してくれる「!ブロック出現」といった,プレイを補助するものもある。とくに「!ブロック出現」はかなり便利で,これさえあれば落下の心配をだいぶ低減できる。これもアクションゲームが苦手な人,小さな子どもと一緒に遊びたいという保護者などにはうれしい要素と言えるだろう。
2Dマリオの難関といえば,限られた足場をジャンプで進むコース。もちろんマリオワンダーにもそういったコースが登場する。足場と足場の距離を確認して恐る恐るジャンプするも……「あっ」なんてこともよくある |
「マリオ好きなんだけど,この絶妙な加減でジャンプしなきゃいけないコースが苦手なんだよなあ……」という人も,なんということでしょう。バッジをつけるだけでこんなにラクに。これぞ匠のビフォーアフター |
なお,先行プレイでは確認できなかったが,基本の移動がダッシュになる「ジェットラン」や,操作キャラが見えなくなる「透明」といった,使い方によっては難度を上げられるバッジも存在する。「俺がスーパーマリオをプレイするとき,ダッシュボタンから指を離すことはないぜ」「目隠しでもスーパーマリオをクリアできるね!」なんて猛者は,高難度なバッジの組み合わせを考えてゲームに挑戦してみよう。
選べるキャラクターは12種類 新規参入のデイジーがかわいい!
最大4人で遊べるマリオワンダーは,とにかくプレイアブルキャラクターがめちゃくちゃ多い。その数なんと12キャラクター。基本的に性能は変わらないが,性能は基本的に変わらないが,ヨッシーとトッテンだけ“アイテムで変身しない代わりにダメージを受けない”という特殊な仕様となっている。さらにヨッシーにはジャンプの飛距離を伸ばせる「ふんばりジャンプ」+おなじみの「たべる&はきだす」,トッテンには敵にぶつかっても“走り続けられる”という特性がある。なかなかクリアできないコースがあって攻略に詰まったときは,ヨッシーかトッテンを使ってみるのもアリだろう。
新アイテムによるパワーアップも紹介しよう。発表時より話題となっているゾウマリオは,大きな身体でブロックを壊したり,長い鼻を振って敵をポイポイっと倒したりと,見た目のとおりパワフルに活躍してくれる。水場があれば鼻で水を吸い,それをまくことで敵にちょっとした遠距離攻撃を仕掛けたり,花に水をあげたりといったアクションもあり,コースクリアに欠かせない存在だ。
アワマリオは,敵を包んでフワフワっと倒すアワを放つ。弾速はファイアに比べてゆっくりしているが,押し続ければ目の前に大量のアワ弾幕を張りながらダッシュできるという特殊な使い方ができる。さらにアワは足場になるので,かなり便利なアイテムだ。
ほかにも頑丈なドリルで固い敵を倒したり,地面に潜って移動したりできる新たな力・ドリルマリオや,おなじみのファイアマリオと無敵マリオ(スーパースター)が登場。キャラクターによってパワーアップした姿が異なるので,いろいろなキャラクターを使ってその姿を楽しむのもいいだろう。
新たにプレイアブルキャラクターとして登場するデイジーにも触れなくてはならない。
サラサ・ランドのお姫さまであるデイジーは,マリオテニスやマリオカート,マリオパーティなどさまざまなマリオシリーズタイトルで,明るく活発,そしてわがまま(?)な活躍ぶりを見せる人気のキャラクターだ。
そもそものデビューが2Dマリオの「スーパーマリオランド」であり,「スーパーマリオ ラン」(iOS / Android)や「スーパーマリオメーカー」には登場はしているものの,そんなデイジーが2Dマリオのプレイアブルキャラクターとして本格デビューするわけである。
……といっても,性能はマリオたちと変わらないわけなのだが,すみません。特筆したのは個人的な趣味です。活発な彼女の声が昔から好きで,筆者としてはとてもうれしかったんです。デイジーかわいいよね,デイジー。デイジーの新たなコスチュームを見られるのもしあわせ。ありがとう任天堂。
と,特定のキャラクターをひいきするのはよくないので,ここでマリオワンダーの魅力の一つである,敵味方ともに動きや表情がとても豊かなところを紹介したい。
新しいアクションや敵がたくさん追加されたのもあるが,ダッシュやジャンプのときにマリオやルイージの帽子が少しふわっと浮いたり,クリボーが鼻ちょうちんを出して寝ていたりと,おなじみのアクションやコース上の敵味方のしぐさのバリエーションが格段に増えているのだ。
ちょっとした動きでも「こんな表情するの,○○らしいなあ」と感じさせてくれるので,アクションとともにさまざまなしぐさや表情の変化も楽しんでほしい。
さらにはなんと,世界中のプレイヤーとマルチプレイを楽しめる。同じ時間に世界のどこかでゲームをプレイしている人が,ライブゴーストと呼ばれる姿でワールドマップやコースに登場。スケスケの見た目で触れることはできないが,あいさつしたり,アイテムをプレゼントしたり,ミスしてタマシイになった人を助けたりといった形で,お互いの気配を感じつつゆる〜く交流しながら冒険できる。
もちろん,フレンドだけのオンラインマルチプレイも可能だ。離れた相手と一緒にコースを進めたり,レースを開催するのも面白いかもしれない。
これが2Dマリオの新境地。まさにワンダーなゲーム体験
発表時のトレイラーを観たときから「これはいままでの2Dマリオと違うぞ」と大いに期待はしていたが,まさかここまでワンダーな仕上がりだとは。プレイしている間は本当にずっとワクワクしっぱなしで,「次はどんなものが見れるんだろう」という楽しさがずっと続くようなゲームだった。
基本の操作やアクションは,これまで慣れ親しんできた2Dマリオと変わらない。だが,プレイの感覚はまったく未知なるものだった。そんな不思議な気持ちになれる大きな要因は,やはり二つの花にあるだろう。
初代「スーパーマリオブラザーズ」から連綿と続く2Dマリオだが,伝統的な横スクロールアクションを楽しむゲームで,大きな変化がないシリーズだと感じているファンもいるのではないだろうか。そういう人には,ぜひとも最初の1-1だけでもプレイしてみてほしい。今まで2Dマリオに抱いていたイメージとの違いにドギモを抜かれるはずだから。
プレイしていて感じたのが,「このゲーム,見ているだけでもすごく楽しめそう」ということだ。
コースに予想できない変化を与える花のギミックや,独特の空間へとコースごと変えてしまうワンダーフラワーなど,とにかく画面映えするシーンやリアクションをとれそうなポイントがたくさんある。大勢で集まったり,ゲームプレイ配信をしたりと,遊ぶ楽しみと見る楽しみの両方でワンダーな体験を共有できそうだ。
「どれだけワンダ―って言っているんだよ!」と我ながら思うが,最後にマリオワンダーをプレイした率直な感想として伝えたいことは,“とにかくワンダー”であり,2Dマリオの常識をはるかに超えるゲームということだ。
今までの2Dマリオではあり得なかった展開ばかりで,ゲーム開始すぐから,とにかくひたすらドギモを抜かれていた。ゲームを始めたばかりのころのメモを見返したところ,「俺はこのゲームであと何回驚けばいいんだ!」と書かれていたのだが,読者の皆さんとあのころの自分にこう伝えたい。「数えきれないほどの不思議と驚き。そう,“ワンダー”が待っているよ」と。
「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」公式サイト
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