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印刷2020/08/18 12:00

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4Gamerは,20周年を迎えることができました

20周年バージョンのロゴ。今年の1月以降の名刺は全部このロゴに差し替わっているので,見たことがある業界の方もいるかも。1年間限定です
画像集#009のサムネイル/4Gamerは,20周年を迎えることができました

 本日8月18日に,4Gamerは20周年を迎えました。2000年8月18日に最初の記事を公開してから,20年です。

4Gamerというサイトは,実は一番最初は白基調のデザインだったんです(あまり知られていません)。当時想定していたPC環境とは横の解像度がけっこう違うので,少々間延びしてますが。それにしても20年前の自分の原稿を読むと,さすがにちょっと恥ずかしい……
画像集#012のサムネイル/4Gamerは,20周年を迎えることができました
 仕事柄,記事くらいは書けるけど,htmlは知らない,デザインも出来ない,プログラムも組めない,そんな私が始めたサイトがここまで来られたのは,素晴らしい作品を作ってくれる業界の皆様と,記事を読んでくれる読者の皆様,そしてこの20年の間に4Gamerに関わってくれたスタッフの皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。
 5周年も,10周年も,いままでずっと記念行事はしてきませんでしたが,さすがに20周年はなにかやるか……と思ってはいたものの,こういう社会情勢ではそれもかなわず,4Gamerらしいひっそりとした記念日となりました。

 思い起こせば2000年の春,ソフトバンクでDOS/V magazineという雑誌を作っていた一介の編集者だった私に,ゲーム好きだった当時の編集長が「なんかゲームで新しいことやんなよ」と軽ーい気持ちで声をかけてくれたことが端緒となりました。しかもなんか,飲み会の帰りがけとかに適当に言われた記憶があります。

「じゃあ新しくメディア作ってもいいですか?」
「うん,いいんじゃないのー?」

「どうせならインターネットで作ってみたいんですよー」
「あー,いいねえ」


 そんな,力の抜けたやりとりを交わした後で「私個人が好き勝手にやってるサイト」という建て付けで,4Gamerは始まりました。正規プロジェクトではないので,ドメインも,サーバーも,全部個人調達です。まぁでも,午後にならないと会社に来ないし,来たら来たでEverQuestやってるか,ほかの社員とMagic:the Gatheringやってるか(青白デッキが好きでした)。そんなしょうもない社員に新しいことをやらせてくれた当時の編集長には,本当に感謝しています。

 いまから考えるとちょっと信じられないことですが,20年前にインターネットでメディアを作るというのは,ネット特化型の会社でない限りはなかなかの冒険で,多くの出版社では「単なる実験」の意味合いが強かったと思います。でもこの前後は一種の“インターネットメディアオープンラッシュ”みたいな時期で,ゲーム業界もご多分に漏れず,ファミ通.comも,電撃オンラインも,GAME Watchも,みんな同期みたいなものです。

古くから読んでくれている読者の皆さんは,このデザインのイメージが強いでしょうか。「アングラっぽいいかがわしさ」を出したくて黒背景にしてたわけですが,この黒背景の時期は結構長かったです
画像集#004のサムネイル/4Gamerは,20周年を迎えることができました

 サイト名は,音の響きが気に入った「4Gamer」(いちおうですが「ふぉーげーまー」と読みます。元々はforGamerという名前が正式名称でした)にしました。3分で決めた割にはいい名前だと,今でも思っています。会社で「なんでドットコムじゃないの?」(「.com」ドメインが当時の流行りでした)とみんなに聞かれたのもよい思い出です。そして当時,「ログイン」や「ファミ通」と同じ土俵で戦うことはただの蛮勇だったので,自分が好きだったPCの洋ゲー(死語)だけを扱うサイトにしました。

 あのころはCMSなんていう気のきいたものはないですから,htmlはすべて手書きで,その後ftpアップロードです。ところが私自身は,今もそうですがhtmlがさっぱり分かりません。原稿は書けるけどhtmlは書けないし,そもそもデザインセンスがないのでサイトも作れません。
 できないことは得意な奴にやってもらおうと思い立ち,初代Diabloで一緒に遊んでた友達を「ねえねえ仕事手伝わない?」的なノリで引きずり込んで,ホントの最初はその2人だけでスタートです。このとき学生だったその「友達」は,その後あれよあれよとビッグになって,いまでは日本のオンラインゲーム業界でそこそこ名を知られた人になっているんですが,それはまた別なお話。

 よく「寝る間を惜しんで働く」という表現がありますが,今にして思えばあのころこそがまさにそれでした。洋ゲーをメインに扱うことにした関係で,日本だと情報が飛び交うメインの時間帯は深夜です。見つけ次第原稿を書いて,その「友達」にTXTとJPGを投げつけてhtmlに書き換えてアップロードしてもらい……それを記事の数だけ繰り返すのです。事実上一人しかいないから全部自分で書いてました。
 でもそんなへっぽこな個人サイトみたいなもので飯が食えるわけはないので,昼間はずっと本業であるDOS/V magazineの編集者です。入稿や色校や出張校正などの通常業務をこなし,夜から朝が4Gamerの時間です。今あらためて振り返ってみると,あのころの自分は結構すごいと思います。いつ寝てたんだろう?

 4Gamerのサーバーを勝手に社内のラックに入れて怒られたり,「ラグナロクオンライン」のβ版クライアント配布をソフトバンクのサーバーで勝手にやって会社の回線をパンクさせて業務をとめてめっちゃ怒られたり,どうしてもE3の取材に行きたかったけど会社から予算が出なかったので,自腹で150万ほどを調達して取材チームを組んで,こっそりと行っていたのが2年目に早くもバレて,社長室に呼び出されてものすごい勢いで怒られたり,いろいろなことがありました。でもあのころは,なんとなくそういうことも「しょうがないなぁ」でまかり通った,ちょっと牧歌的な時代だったように思います。
 とくに当時のソフトバンクはまだ,ベンチャーが大きくなったときの適当なイケイケ感が割と残っていて,とても過ごしやすい場所でした。始末書を何度か書かされたのに,クビにはなりませんでした。あのときクビになってたらきっと,4Gamerは存在しなかったんですよね。

事件の名残り。今でも「ラグナロクオンライン」「E3 2001」などの古いページを見ると,あのときの緊張感が思い出されます
画像集#005のサムネイル/4Gamerは,20周年を迎えることができました 画像集#006のサムネイル/4Gamerは,20周年を迎えることができました

 その後は,事業として運営できるようになったもののソフトバンク・パブリッシングの社長と喧嘩してチームごと会社を辞めたり,移った先の会社がツブれてなくなったとき,ただの事業部だった4Gamerがなぜか会社になってしまったり,会社になって数年は赤字が大変だったけど幸いにも助けてくれる人にたくさん恵まれてどうにか生き延びられたり,いろいろなことがありました。
 規模はどんどん大きくなって,扱う内容もどんどん広がり,会社は組織化されて,人も増えて,お金にもある程度余裕ができて,それなりの大きさのサイトになることができました。「サイトできた!」「おおホントだブラウザから見える。すげーw」って言ってた20年前のあの日には,想像もできなかったことです。「好きなことだし3年くらいは続けたいな」という控えめな目標を立てていたはずなのに,がむしゃらに走ってきてみたら,その7倍の年月が経ってました。

画像集#010のサムネイル/4Gamerは,20周年を迎えることができました
 洋ゲーなんてごく一部の人しか遊んでいなかった20年前から見たら,オンラインゲームなんてほとんどの人が知らなかった20年前から見たら,ゲーム業界は大きく様変わりしました。
 この20年を,いつかどこかで何かの形にしたいと思いつつ,まずは今日のニュースを書かねばなりません。それがニュースサイトの務め。業界の皆様,読者の皆様,そして過去と現在のスタッフのみなさん,今後とも4Gamerをよろしくお願いいたします。今までも,これからも,ありがとうございます。

――2020年8月18日

4Gamer編集長 Kazuhisa

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