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エタカで日韓メビウスアリーナ戦迫る,プロデューサーインタビュー
目前に迫った日韓戦について,ガマニアデジタルエンターテインメントのエターナルカオスプロデューサー Yim Myoung Hum(任明勲:イム・ミョンフン)氏と,ディレクター 須藤篤史氏に話を聞いてみた。
Yim Myoung Hum氏(以下Yim氏):よろしくお願いします。日本ではまだメビウスアリーナは本稼働していませんので,本稼働して半年経つ韓国とはちょっと差が開いてしまっていますが,今回はこんな楽しみ方もできるんだよということで,日韓戦を企画してみました。エターナルカオス自体はドイツなど世界各国でサービスされているタイトルですので,いずれは地球規模で交流を広げられるようになればと思っています。
4G:日韓戦は,すでに何度か模擬戦が行われていますね。反響はどうでしょうか。
須藤篤史氏(以下,須藤氏):3月9日に行われた最初の模擬戦では,当初30分の予定だったのですが,開発のほうから1時間でやってみたいという要望があり,急遽1時間での対戦となりました。
4G:結果はどうでしたか?
須藤氏:日本側の敗北です。参加人数が違ったうえに,日本側だけにラグが発生してしまうといった問題もありました。あとは,韓国側はメビウスアリーナに慣れているというのが出ていましたね。戦略的な連携がきっちり取れていており,さすがに経験が違うなと思いました。
4G:3月16日に行われた2回目の模擬戦はどうでしょう?
須藤氏:3月16日は2時間の予定だったのですが,最初の20分で日本側のクリスタルが破壊されてしまいました。続いて1時間の再戦をしたのですが,そちらではクリスタルは破壊されず,ポイント負けとなりました。少し前に当てたパッチでラグがさらにひどくなった可能性もあり,日本側ではボタンを押してからの反応が遅すぎて,ほとんど回復ができないという状況だったようです。
模擬戦で惨敗した20分のムービーを見ると,いいようにやられていることが分かる(編集されたものは公式サイトで公開されている)。まず,戦術と慣れが違う。あっという間に最終防衛ラインまで攻め込まれ,終始メビウスアリーナ中心部と日本側陣地を結ぶ直線上で戦闘が行われており,ここを押したり押されたりしている。押されると日本側のクリスタルが攻撃され,押し返すとメビウスアリーナ中央のNPCにより韓国軍が回復を受けるという繰り返しだ。ラグなどの問題はともあれ,これでは勝てるわけがない。メビウスアリーナが正式公開されてない日本と,公開されて半年経った韓国の経験の違いが歴然と出ている。
4G:なるほど。それであっという間に攻め込まれていたわけですね。ちょっとルールを確認しておきたいのですが,日韓戦では普段使っているキャラクターを持ち込むわけではないですよね?
須藤氏:参加者には専用のアカウントが与えられており,専用のクライアントで,そこに用意されているキャラクターを使用します。種族別,レベル帯別であらかじめ12種類のキャラクターが用意されていますので,どれでも好きなものを使用できます。
4G:部隊ごとの人数などは調整されているのでしょうか?
須藤氏:日韓戦特設サイトの掲示板などで話し合ったり,司令官同士で作戦を練ったりしているようですね。ただ,攻め込まれたらホーリー部隊を出すとか,状況によって変えることもできます。
4G:え? 途中で変えることもできるのですか?
須藤氏:ログインし直せば可能です。ホーリー部隊というのは,攻撃されないと何もすることがないので,キャラクターのレベルで部隊が固定されてしまう日本のメビウスアリーナのテストなどでは,攻め込むところまでいかなくて結構ヒマなこともあったようですが,日韓戦のシステムではそういうのはなくなっています。
4G:なるほど。となると,普通のメビウスアリーナとはまた違った戦略も出てくるわけですね。ところで,回線の問題ですが,今回のサーバーは韓国にあるわけですか?
須藤氏:そうです。
4G:メビウスアリーナが実装されているほかの国のサーバーを使用することはできないのでしょうか?
Yim氏:台湾やドイツではメビウスアリーナが実装されていますから,それができればいちばんいいんですけどね。
須藤氏:ユーザーさんからも,サーバーは第三国に置くべきではないかという声は出ていますね。ラグについては,直前で入れたパッチでひどくなったという説もありまして,調べているところです。
4G:うーん,せっかくここまで対等な条件を用意してあるのですから,ハンデをつけるというのは残念ですね。
Yim氏:ハンデをつけるとなると,ユーザーさんに納得してもらえないかもしれませんが,一方のみが不利にならないように戦えるようにしたほうがよいのではないかと思っています。
須藤氏:23日にまた模擬戦がありますので,それまでになにかしらの改善ができればと考えています。
■勝負の決め手は人数? 経験?
4G:16日の模擬戦での人数比はどうなっていたんですか?
須藤氏:基本的には,1000対1000を想定したものだったのですが,日本が400,韓国が750とかなり差が出てしまいました。
4G:倍近い差ですね。日本側では人気がなかったんですか? 何か制限を行っていたのでしょうか。
須藤氏:韓国ではとくに制限をせずに募集をしたようです。日本では,一般700名,攻城戦ギルドやファンサイトなど特別枠300名と分けて抽選を行いました。結構期待してくださった人も多かったようで,その結果,複数アカウントでの重複応募が多く出てしまい,それも参加人数に響いたようです。
4G:なるほど。ちょっと残念ですね。せっかくいろんな条件を対等にしてあるので,最低限,人数だけは合わせてほしいところですが。
Yim氏:どちらか少ないほうに合わせるようなシステムを作れるか検討中です。ただ,日本側に合わせると韓国側が参加しにくくなりますので,入れ替え戦にするなどの対処が必要かもしれません。
4G:そのほかに30日の本戦で仕様を変更する部分はありますか?
須藤氏:実は,模擬戦では,デミ部隊以外もクリスタルなどにダメージを与えられる仕様になっていたのですが,これはデミ部隊のみダメージを与えるように変更する予定です。
4G:もともとデミ部隊がクリスタルを壊す役目ですよね?
須藤氏:日本のメビウスアリーナはそうなっているのですが,模擬戦では,ポイントこそ上げられないものの,ダメージが入るようになっていたんです。問い合わせたところ,これは不具合ではないということでした。
4G:韓国での現在のメビウスアリーナの仕様がそうなっているということでしょうか?
須藤氏:そのようですね。
韓国側では低レベル層が少ないための措置だろうか? これでは部隊を分ける意味がなくなってしまうと思うのだが,ポイントを上げて勝利をつかむより,クリスタルを破壊して勝つ方向に変化しているのかもしれない。そうなると,メタ部隊を中心にした戦略が有利となり,展開も変わってくるだろう。わずか20分でクリスタルが破壊されるわけである。
Yim氏:今回の日韓戦は国際対戦の試験的な試みですが,万一負けてもこれっきりということではなく,基本的に「勝つまでやる」というつもりです。国内のメビウスアリーナをちゃんと公開して,戦術などを鍛えて再挑戦する機会を作りたいですね。勝った場合は,さらにほかの国との対戦をという具合に,国際戦の輪をどんどん広げていきたいと思っています。
4G:今回の日韓戦は,3陣営の対戦が可能なメビウスアリーナの一部しか使っていません。3か国対戦などは予定にないのでしょうか?
須藤氏:そうですね。3か国になると,2か国で協力して1か国に攻め込んだり,裏切ったりとゲーム性も変わってきますし,そういうのも面白いかもしれません。
Yim氏:もともとシステム自体は3陣営に対応しているのですから,3か国でも問題ありません。いずれは世界戦を行いたいですね。ドイツなどは我々にとっても未知の世界ですから,向こうのプレイヤーがメビウスアリーナをどのように戦っているかは非常に興味があります。
須藤氏:模擬戦が行われてないときでも日韓戦のサーバーは開放されているのですが,日韓のプレイヤー同士,英語でチャットしたりというのが普通に見受けられますね。韓国プレイヤー相手ということで,始まる前は,掲示板などで不安視している人もいたようですが,話してみると,全然普通だったよという感じの声が聞かれますね。
4G:日本でも韓国でも,かなり長期間エターナルカオスを続けてきたプレイヤーが多いでしょうから,共感できる部分もあるんじゃないでしょうか。
■日韓指揮官アンケート
今回の日韓メビウスアリーナでは,日韓それぞれ4人の指揮官が選出されている。韓国はすべてプレイヤーから,日本では3人がプレイヤーからで,一人はGMが担当している。初戦が終わった段階で,日韓の指揮官にアンケートを取っていただいたので,意気込みや戦略などについて抜き出して紹介してみよう。
●日本
「勝負よりも,みんなで楽しめるような雰囲気作りができればと思っています。韓国ユーザーは場慣れしている点と,統率力が優れている点で純粋に感動いたしました。日本でもBBSなどを活用していろいろな情報を参考に韓国ユーザーに負けないような統率力を持っていかなければならないなと感じました」
「エイディアの機動性を生かして,情報収集などのサポート役を務めたい」
「人数差があるとさすがに圧倒されてしまうが,深夜にPKエリアで同じくらいの人数くらいになったときは,いい勝負だと思った。メビウスアリーナはさすがに慣れているのか,パーティ召喚の使い方がうまかった。勝率は低いかもしれないが考えている手はある」
●韓国
「普通のメビウスアリーナとは違い,PK(メタ)部隊が同じレベル帯なので,デミ部隊とホーリー部隊を適切に活用して駐屯地の占領,クリスタルの破壊を目指したい」
「メビウスアリーナは本来3チームの対戦なのだが,日韓戦は2チームの対戦なので全体的に大変だと思う。駐屯地>ストーン>各個戦闘を中心に行う予定だ」
「一次テストのように日本側のストーンを破壊できそうなら,本戦でも思い切り試してみようと思います。30%は駐屯地を狙います。前面戦で一気に日本側のストーンを壊します」
「まだ日本ユーザーの特性が分からないので,初めは様子見で,徐々に勝利を目指すつもりです。あとは個々のプレイヤーが指揮官に従って自分のやるべきことをやってくれれば勝利できると思います」
全体に,韓国側では戦術が具体的で,「絶対に負けられない」といった意識がストレートに出ているものが目立つ。初戦で圧倒されっぱなしだった日本側は,奇策に頼ろうとする意見が多かった。
また,日本側で問題となったラグに関して,韓国側では「日韓戦ということでラグが多いかと思いましたが,そう多くもなく満足しています」「万が一を考えてネットカフェから接続しましたが,やはりユーザーが一度に全員接続するのでラグが発生しました。ラグ問題を解決してほしいです」といったように,マチマチな回答だが,韓国側でも安定しないケースがあったようだ。
日本,韓国とも,エターナルカオスは長期にわたってサービスが行われていることもあり,「ほかのMMORPGも試しましたが,戦闘のサクサク感はほかにはない快適さです」「ほかのゲームと比べて,戦闘の迫力とコミュニティのバランスがいい」「もうメビウスアリーナ自体がエターナルカオスをやる理由になってくるほど定着してきました。日韓戦など,これまでは想像もできないことでしたが,そのうえ,一次戦では自分が司令官を務めることになり,光栄に思っています。いつかエターナルカオスがオンラインゲームNo.1の座を取り戻すことを確信しています!」と,熱い言葉も垣間見えていたのが印象的だ。
4G:日韓戦以降のエターナルカオスの動向について教えてください。
須藤氏:予定では5月くらいに,「進化の秘法」というアップデートが導入されます。このアップデートでは,ペットが進化します。いまは可愛らしいドラゴンもどきみたいな感じですが,それがレベル100になると,あるアイテムを使うことで,もうちょっとちゃんとした形のドラゴンに進化します。攻撃型と防御型が選べるようになります。
4G:攻撃型,防御型というのは,進化するときにどちらかを選ぶことになるわけですね?
須藤氏:そうですね。攻撃型と防御型では形も違います。攻撃時の追加効果が異なるという感じになります。
4G:どちらにしても,支援要素が増えるのはいいですね。
須藤氏:あとは,サポーターシステム,これはレベル250以上のキャラクターがレベル160以下のキャラクターをサポートできるというものです。師弟関係のような感じになります。サポーターは貢献度を稼ぐことで,ポイントをアイテムに交換できます。次に,ハイブリーダーでスキルのコンボが使用できるようになります。これまでコンボが使えるのはブルカンだけだったのですが,ハイブリーダーでも使えるようになります。
さらに,345レベルのクエストが追加され,そのクエストで特殊なアイテムが手に入ります。そのアイテムは,一定の確率で相手を押し返す効果を発生します。
4G:「跳ね返す」ではなくて「押し返す」ですか?
須藤氏:「押し返す」ですね。モンスターとの距離が開きます。
4G:押し返すと何かいいことがあるのですか?
須藤氏:エターナルカオスの場合,アクティブモンスターばかりなので,どんどん集まってきちゃうんですよね。ボス戦などでは,スキルによっては攻撃を受けると中断されることがあるので,一度押し返すと少し楽になります。
4G:なるほど。
須藤氏:345という高レベルアイテムでして,これまでメタ装備やハイメタ装備など,レベルによって装備できるアイテムがあったわけですが,このアイテムもレベル345以上を象徴するようなアイテムになると思います。
4G:アイテムというのは単体のアイテムなのですか? 装備一式なのですか?
須藤氏:アクセサリになります。装備すると,周りを妖精が飛び回って,その妖精が相手を押し返すという感じになっています。
4G:妖精が周りを飛び回っているとレベル345以上のキャラだと,見て分かるわけですね。
須藤氏:そうですね。次に,スピリットシステム,これは名称が変更になるかもしれませんが,キャラクターのHPが30%以下になると一定確率で発生するもので,一定時間攻撃力がアップします。時間内に相手を倒すと効果時間が延長され,最大10分間持続します。これは普通の狩りでの戦闘を単調にしないように加えられたものです。
さらにパーティが8人から16人になります。現在の韓国側のメビウスアリーナですと,パーティ召喚すると一気に16人やってくることになります。
それと,新しいアクションとして,ワールドカップのときに韓国で流行したダンスが実装されます。これは,アクションの途中でキャラクターの上にボタンが表示され,Spaceバーを押すことで,次のアクションが始まるようになっています。
4G:それは,一定のタイミングでボタンを押していくわけですよね?
須藤氏:そうです。タイミングよくボタンを押すとダンスが進んでいきます。
4G:要するに,ダンスゲー仕様なわけですね(笑)。
そのほかだと,ゲーム内デザインコンテストの募集を行って,今回は武器部門と盾部門のユーザー投票が始まります。内部審査で4点ずつを残して,投票の多いものそれぞれ1点ずつを実際にゲーム内に実装します。また,GM賞も1点ずつ選考してそれもゲーム内に実装される予定です。
4G:(ネコの絵を見て)これ盾ですか?
須藤氏:応募は,ネタ系とカッコイイ系で分かれた感じです。ゲーム内のイベント装備であったトナカイを盾にしたいというのは,結構きましたね。落選した中にもよいデザインのものがありましたので,もしかしたら,今後追加で採用されるものがあるかもしれません。
4G:なるほど。では,最後にプロデューサーのYimさんから一言お願いします。
Yim氏:エターナルカオスでは,現在は日韓戦を進めていますが,こういった新しい楽しみ方をどんどん提示していくつもりです。2006年はアップデートが滞りがちだったのですが,これから夏くらいにかけて,どんどんアップデートを進めていきます。できるだけ,早く韓国のバージョンと同じにできるようにしたいですね。
エターナルカオスは古いタイトルだと思われていますが,逐次アップデートは行われており,最新のアイデアを取り入れてゲームとしては常に新しくなっているわけです。また,長い年月やってきたということは,それだけノウハウを蓄積してきているわけでもあり,そういった部分で,これからもエターナルカオスはもっともっと面白いゲームなっていくのは間違いないので,今後とも期待していただきたいですね。
4G:本日はありがとうございました。
なお,インタビュー収録後の3月23日に行われた最後の模擬戦では,最初に行われた対戦で日本が勝利を挙げている。人数でやや劣る状況ながら,獲得ポイントで韓国を上回った。第2戦は人数差が開いて敗北したものの,ポイントは僅差で,3月30日の本戦に期待を残す結果となった。
●1戦目(人数制限あり各国500名まで)
9:00PMのログイン数 | 韓国:481名 | 日本:408名 |
最終得点 | 韓国:約6100 | 日本:約6700 |
結果 | 日本勝利 |
●2戦目(人数緩和各国約700名まで)
10:20PMのログイン数 | 韓国:547 名 | 日本:382名 |
最終得点 | 韓国:約7682 | 日本:約7665 |
結果 | 韓国勝利 |
一進一退の非常に白熱した展開で大いに盛り上がったようだ。動員できる人数次第では十分勝利の可能性が見えてきた。急遽,参加メンバーの追加募集も行われているので,抽選に漏れた人はぜひ応募を。参加できない人も3月30日の本戦に期待しよう。 (aueki)
(2007年3月20日収録)
- 関連タイトル:
エターナルカオス NEO
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