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[韓国ゲーム事情#385]「シェンムーオンライン」に問題発生?
セガとJCEが共同開発中の「シェンムーオンライン」に問題発生?(2005/8/3)
Text by Kim Dong Wook特派員
韓国の有力ゲーム情報サイトである「thisisgame.com」の8月2日付けの報道(「こちら」)によると,セガと同作を共同で開発していたJC Entertainment(以下,JCE)は,すでに2005年5月頃には,同開発プロジェクトを事実上ストップしていたというのだ。
さらにthisisgame.comの記事は,今年の3〜4月頃から,シェンムーオンラインプロジェクトに関する,セガ側の開発過程のチェックも止まっており,当時JCEの関係者がその件についてセガに問い合わせた結果,なんとセガは台湾の開発会社に,同プロジェクトの開発を依頼したという返事があった……と続けている。
2004年12月に行われたゲームショウKAMEX 2004で,初めてプレイアブルバージョンが公開されたとき(関連記事は「こちら」)には,JCEのKim, Yang Shin社長が「遅くとも2005年末頃にはクローズドβテストを開始するはずだ」とコメントしていただけに,本当であればなんとも残念な情報である。KAMEXでの取材以降も,ときおり開発状況について問い合わせていたのだが,いつも「現在はまだ公開できる段階ではない」という返事しかもらっていなかった。
今回のthisisgame.comの報道内容に関して,本日JCEへ取材を行った結果,「開発が中止になったことは事実だ。しかしその理由については今の段階では話せない。当社のPaik, Il Seung副社長が現在訪日中なので,彼が戻ってくる来週(8月8日の週)頃には,正式に発表できるだろう」(同社関係者)との証言が得られた。さらに同関係者は,あくまで個人的な見解だとしつつも,「シングルプレイのゲームをオンラインゲーム化していく過程で,両者間に少なくないトラブルがあったのかもしれない」と付け加えた。
また同プロジェクトに携わっていた(匿名を要求した)ある開発者に,接触することに成功,コメントをもらった。「シェンムーオンラインのプロジェクトは,5月か6月頃には中止となっていた。同プロジェクトに関わっていたスタッフ達のほとんどは,今はJCEのオンラインバスケットボールゲームFreeStyleの海外へのローカライズを担当する部署や,新規開発チームへと異動している。彼らの多くは,中国,台湾,日本でのサービスのための技術的なサポート作業を行っている」とのことだった。
この件に関して,日本のセガにも確認したところ,同作の開発はセガの中国支社にあたるSEGA (SHANGHAI) SOFTWAREに一任しており,この件に関して日本にはあまり情報が入ってきていないとのコメントが得られた。ただ,JCEでの開発がストップしていることは認識しており,詳細は現在調査中とのこと。追って正式に発表するとのことだったが,その発表時期については,現時点では分からないとの回答だった。
あるゲーム業界の関係者は,「日本と韓国の長所を生かした日韓共同プロジェクトとして,非常に理想的なモデルを提示してきたシェンムーオンラインの開発中止は,実に残念だ。今後,ほかの両国間の共同プロジェクトに,よくない影響を及ぼしそうである」と語っている。
また別の業界人は,「JCEは,膨大すぎるほど膨大なシェンムーオンラインの世界観と,セガによる緻密なチェックに対して,不満を持っていたのかもしれない」と語っている。しかしそういうことはすべて(普通ならば)契約段階で分かることであるはずだし,今さら出すような理由でもないように思える。案外同社は,最近大きな話題となっているFreeStyleのビジネスに力を注ぐほうが得だと判断したのかもしれない。
4Gamerでは,この件に関するより明確な事情と,今後の展開をお伝えすべく,取材を続けていくつもりだ。
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