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次世代SSDに大きく舵を切るOCZ。PCIeプラットフォーム「Kilimanjaro」採用のThunderbolt対応SSDや6Gbpsコントローラの最新型を公開
Kilimanjaroプラットフォームの
ハイエンドSSDが製品化へ
OCZが披露していたのは,このKilimanjaroプラットフォームを利用した「Z-Drive R5」と「Lightfoot」となる。順に見ていこう。
もちろん,こんなモンスターSSDは個人向けでないが,本技術が将来のRevoDriveに応用される可能性はあるだろう。
容量ラインナップは128GB,256GB,512GB,1TBで,価格は1GBあたり2ドル。つまり,128GBモデルでは256ドル,1TBモデルでは2000ドルで,一般的な2.5インチSSDと比べるとかなりの割高感がある。OCZでは,「(PCIe x4接続型SSDたる)『RevoDrive3』と同等の性能をノートPCでも利用可能になる」として,Lightfootを売り込んでいく計画という。
2.5インチSSDの低価格化も加速
TLC NANDでSSDはさらに安くなるか
一方,一般ユーザー向けとなる2.5インチSSDで性能面のキモとなるのが,Indilinxの次世代コントローラ「Everest 2」だ。
Everest 2は,Indilinxの第2世代Serial ATA 6Gbpsコントローラとして,2Xnm世代のプロセス技術を用いて製造されるNANDチップの書き換え寿命を引き延ばしたり,性能を引き上げたりすべく設計されたチップで,最大読み出し性能550MB/s,最大書き込み性能500MB/sを実現するとのこと。OCZは本コントローラを搭載したSSD「Vertex 4」を2012年6月に市場投入する予定として,エンジニアリングサンプルを公開している。
Indilinxの第2世代Serial ATA 6Gbpsコントローラ,Everest 2 |
Everest 2を搭載した次期Vertex 4のエンジニアリングサンプル |
TLC NANDを採用した2.5インチSSDのエンジニアリングサンプル |
Everestを採用した現行製品「Petrol」(左)と,開発中のTLC NAND製品。スペック表を見れば分かるとおり,ピーク読み出し性能ではTLC NANDに分がある |
TLCは,各セルに3bitの情報を書き込めるようにしたもので,同2bitのMLCと同じ容量をより小さなチップサイズで実現できるため,低価格化を実現しやすい。ただし,同じ半導体製造プロセスで製造されたMLC NANDと比べて,書き換え寿命が5〜7分の1しかないという弱点があるため,SSDに採用するベンダーはこれまでなく,主にUSBフラッシュメモリ用とされてきた。
OCZは,そんなTLCが持つ読み出し性能と低価格性に注目。Indilinxのリソースを投入することで,TLCでも書き換え寿命を延ばせるよう,予備領域管理やウェアレベリング性能の強化など図る計画だという。
実現すれば,2.5インチSSD製品の純然たる低価格化に寄与するだけでなく,HDDのキャッシュ用SSDとしても可能性があると思われ,今後が気になるところだ。
……すでにSSD業界では「(6Gbps転送に対応した)Serial ATAのRevision 3.xでは,近い将来,インタフェースの帯域幅がボトルネックになる」という見方が出てきており,SSDのインタフェースとして,より広帯域幅のネイティブPCIe対応を進める動きがある。本稿の序盤で紹介したKilimanjaroプラットフォームは,まさにそれに先駆けたものだ。
また,TLC NANDをSSDへ応用するというのは,なかなか低価格化の進まないSSDにとってのカンフル剤としても期待されている。OCZの動きは,まさに次世代SSD市場を睨んだものになっているといえるだろう。
ハイクラス以上のゲーマー向けPCではSSDをシステムドライブとして採用するケースも珍しくなくなり,自作派ゲーマーにとってもSSDはずいぶんと身近なものになった。それだけに,OCZの戦略に競合がどのように対抗してくるかも,今後,注目していきたいポイントである。
OCZ公式Webサイト(英語)
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