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[COMPUTEX]ASRock,BMWデザインのゲーマー向けMini-ITXベアボーン「M8」のZ97モデルほか,DDR4スロットを搭載した未発表の「X99」搭載マザーを展示
Devil's Canyonに合わせASRockの本命OCモデルがリリース
1製品めは,先月の発表で抜けていたOC(オーバークロッカー)向け製品「OC Formula」シリーズだ。一応,5月23日にMicro ATX版の「Z97M OC Formula」がリリースされているが,本命となるATXモデル「Z97 OC Formula」はDevil's Canyonの発表に合わせて公開された格好だ。
すでに発売中のASRock 9シリーズマザーボードと同様,同社が「Super Alloy」と呼ぶ耐久設計を取り込みつつ,前モデル「Z87 OC Formula/ac」で話題となった防水機能も引き続き採用している。PCI Expressなどのソケット/スロット部までは防水ではないものの,ボード表面の特殊なコートが,液体窒素冷却時の結露などに対し効果を発揮するという。
また,OCに関わる部分では,「OC Formula Kit」と呼ばれるOC向けの追加設計が適用されている。デジタル電源回路やCPUソケットのコンタクト部の金メッキ処理,ボード上各部に搭載された温度センサーなど,すでにZ87 OC Formula/acで採用されているOC向け機能を分かりやすくまとめた格好だ。
Intel Z97としての機能では,Ultraではない通常のM.2ソケット(PCI Express Gen2×2/SATA)を1基と,SATA Expressを1基搭載している。PCI Express x16スロットは,4本中3本がGen3に対応し,16×1,8×2,あるいは8+4×2といった設定が可能になっている。もう1本のGen2仕様のx16スロットは4レーン分として利用できる。こうしたレーン設定で,最大で4-way CrossFireが利用可能だ。ちなみにSLIは3-wayまで。
PCI Express x1スロットは2本搭載されている。サウンド面ではPurity Soundを搭載しており,サウンド部のコンデンサにはニチコンFine Goldシリーズが用いられている。
基本的な設計面では,ASRockが「Super Alloy」と総称する「XXL Aluminum Alloy Heatsink」(大型アルミヒートシンク),「Premium Alloy Choke」(耐久性の高いチョークコイル),「Dual-Stack MOSFET」(二つのチップを一つに積層した高効率MOSFETでCPU電源回路に用いられる),NexFET MOSFET(メモリ部分に用いられる高効率MOSFET),「12K Platinum Caps」(1万2000時間の使用に耐える高耐久性コンデンサ),漆黒のPCB基板「Sapphire Black PCB」(神秘的な雰囲気)が採用されている。ユニーク機能の「HDD Saver」も利用可能だ。
Pentium Anniversary向けの「Z97 Anniversary」
2,3製品めは「Z97 Annyversery」と「Z97M Annyversery」で,こちらはDevil's Canyonとともに登場するもう一つのアンロックCPU「Pentium Anniversary」に向けた製品として紹介された。
Pentium Annyversery向けとされる,低価格でOCできるマザーボード |
Z97 Anneverseryを用いた同社のテストでは定格の3.2GHzから4.5GHz動作を確認しているとのこと。低価格CPUで高クロックを狙うCeleron 300Aの再来はなるのか? |
この2製品は非常にシンプルなデザインで,M.2スロットやSATA ExpressといったIntel 9シリーズチップセットでサポートされているストレージの新機能には対応していない。低価格なIntel Z97マザーを提供し,低価格なCPUをとことんOCしようというのがコンセプトだそうだ。
両製品共通でSuper Alloy設計が適用されているほか,CPU電源はデジタル回路設計だ。メモリに関してはDDR3-3100+まで対応するとされている。
ATXフォームファクタのZ97 Annyverseryは,PCI Express x16スロット1本,x1スロット3本,PCIが2本という拡張スロットレイアウトだ。サウンド機能はRealtek ALC887チップに,ELNAのサウンドコンデンサを組み合わせている。LANは1000BASE-T対応のIntel製チップ。バックパネルはPS/2,USB 2.0×2,USB 3.0×4,LAN,サウンド,HDMIと,必要最小限のものとなっている。
Z97 Annyversery。奥行きもかなり短く,PCIスロットを2本,バックパネルも空きが目立つシンプルな製品 |
Micro ATXフォームファクタのZ97M Annyverseryは,PCI Express x16スロット1本,x1スロット2本の計3本の拡張スロットを備える。サウンド機能は5.1chのRealtek ALC662チップににELNAのサウンド用コンデンサが組み合わされている点で,Z97 Annyverseryよりややスペックダウンしている。LANもこちらはRealtek製チップが用いられる。バックパネルは,映像出力でHDMIに加えD-sub 15ピンとDVIが追加されているほか,PS/2端子がマウス・キーボード兼用ではなく個別に搭載されている。
Z97M Annyversery。拡張スロットが3本で,通常のMicro ATXマザーボードよりも拡張性は少なめ。ただしバックパネルでは映像出力が3系統あるなど,Z97 Annyverseryよりもインタフェース面では豊富だ |
BMWデザインのゲーマー向けMini-ITXベアボーン「M8」にZ97モデル
昨年,BMW Group Designworksによるデザインと,大型ビデオカードを搭載できる内部メカニズムで注目を集めたMini-ITXベアボーンキット「M8」。このM8が,Intel Z97を搭載してリニューアルされた。
搭載されるマザーボードは「ASRock Z97-M8」。チップセットに関する機能面では変更点が少ないものの,耐久性の面では新たに12K Platinumコンデンサを採用したほか,サウンド機能ではニチコンのFine Goldコンデンサも採用され,ATXモデルのハイエンドに近い部材構成になった。そして,大きな変更点と言えるのが電源部だ。従来は出力が450Wだったが,Z97モデルでは600W(80PLUS Gold)に拡大されており,これによりクリス氏の説明によればGeForce GTX 780 TiやTitan,Radeon R9 290Xの搭載も可能になったとのことだ。
同席したIntelからの来賓がひと言も触れない「X99」マザー2製品
発表会ではひと言も触れられていないが,会場には二つのLGA2011マザーボードが展示されていた。「X99 Extreme 6」と「X99 Extreme 4」という製品だ。チップセットについては触れられていないが,同社製品の命名規則からすれば「Intel X99 Express」搭載製品であることは明らかだろう。
メモリスロットはどちらの製品もCPUソケットの左右に4本ずつ配置されている。ただし,並べて展示されていたZ97シリーズマザーのDDR3スロットとは若干形状が異なる。すでにIntel自身も明らかにしているが,DDR4メモリスロットなのだろう。
X99 Extreme 6は,PCI Express x16スロットを3本搭載しており,SLI,CrossFireとも3-wayまでに対応している。ASRockとしての独自機能は現行のZ97シリーズのハイエンドモデルとほぼ同じ。Purity Sound 2にも対応している。SATA 6Gbpsポートは10基。PCI Express Gen3 x4レーン対応のUltra M.2スロットも装備する。また,スペック中には,Thunderboltという表記も確認できた。
X99 Extreme 4は,PCI Express x16スロットが4本あり,4-wayまでのCrossFireに対応する。SLIは3-wayまで。こちらもSATA 6Gbpsポートは10基でUltra M.2も搭載する。
なお,よく見るとSATA Expressコネクタ用と思われる空きパターン「SATAE_1」もあった。こうした空きパターンは,共通のPCBを用いる上位モデル用という可能性もあれば,まだ細部の仕様が確定しておらず,仕様確定まで念のため用意しておくだけという可能性もある。もちろん,実は搭載する方向で開発を行っているという可能性もある。SATA Expressに対するIntelの姿勢がまだ見えてこず,X99チップセットでサポートされるのかどうかは不明だ。
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