プレイレポート
PvP領域の“アビス”へ到達すると世界が変わる! 「The Tower of AION」特大プレイレポート
今回は,OBT以降コツコツとプレイしながら得た情報を,1本の記事に凝縮してお届けしていこう。プレイヤーが知っておきたいノウハウの数々や,モンスターまでもが介入するPvPシステムの魅力,そして現在におけるAIONの問題点なども交え,このゲームを総括して見ていきたい。ボリュームのある記事になってしまったので,心して読み進めてほしい。
「The Tower of AION」クラスガイドを掲載,序盤はどう戦っていけばいいのか?
攻略の鍵は連続スキルとパーティプレイ「The Tower of AION」クローズドβテストレポート
ノーマルモンスターとエリートモンスターの見極め
AIONではどちらの種族でプレイしても,キャラクターレベルが「10,20,25,30」のタイミングで,大きな変化が訪れる。レベル10でのクラスチェンジや飛行/滑空,レベル20でのスティグマ習得や新天地への冒険に関しては,過去のプレイレポートで触れたとおりだ。
そして,その先のレベル25ではPvPエリアの“アビス”に,レベル30ではインスタンスダンジョンの“炎の神殿”などに挑戦できるようになる。これらを紹介する前に,いくつか踏まえておきたい点がある。
レベル10で転職し,このタイミングで“飛行”と“滑空”が行えるように。対応エリアの関係上,当面は滑空をメインで使っていくことになる |
レベル20では“スティグマ”が習得可能に。これは上位版スキルに近く,一度に使えるキャパシティが決まっているのが特徴 |
ところが,レベルを20まで上げて新たなエリアへ到達すると,再びソロプレイでも十分に経験値稼ぎが行えるのである。これは,エリア内の配置モンスターにクセがあるためで,若干補足する必要がある。
順序立てて説明していくと,モンスターの強さの指標に関しては,レベル数のほかに二つの項目がある。一つは,ターゲットバーの左側に表示されている白点の数。これは1個〜6個までがあり,数が多いほど強くなる。通常のモンスターは2個だ。
そして白点の数以上に重要なのが,“ターゲットバーの装飾”の有無である。この装飾が付いているタイプだと,桁違いに強くなるのだ。目安としては,同レベルの1パーティ(6名)程度の戦力が必要となる。
例えばトルシン族(天族)やブラッククロウ族(魔族)のモンスターは,表示レベルの割に異様に強いと感じるはずだが,あれは白点の数よりどちらかというと,ターゲットバーの装飾が主な理由である。これらのモンスターは,プレイヤー達から“エリート”と呼ばれている。
AIONではレベルが17〜20の育成期間に限り,キャンプポイントにおいてエリートモンスター以外の選択肢が乏しい。そのため「AIONはフルパーティが必須のMMOなのかな」と,ここで誤解してしまう人がいるかもしれない。ゲーム全体としてはそんなことはなく,レベル20手前は“パーティプレイの訓練期間”くらいに受け止めておこう。
お手軽な少人数パーティ,ガッツリ稼げるフルパーティ
例えば,ソロプレイの場合は,2〜3戦おきに休憩が必要になることが多い。これがバランスの取れた少人数パーティなら,10戦以上をノンストップで狩り続けることも不可能ではなくなる。しかもモンスターの強さも,自分と同レベルから+3くらいまで幅広く狙える。キャンプポイント選びが気軽に行えるので,リーダー役の負担も思いのほか少ないのだ。
日本人はシャイな人が多いのか,ソロプレイで黙々と狩り続ける人をよく見かけるが,あれは特別な理由でもない限り,ベストとはいえない。また経験値効率を抜きで考えても,少人数のパーティは他クラスの動きを観察する絶好のチャンスで,それは今後のプレイにもきっと役立つはず。積極的に相手を探してみるとよいだろう。
ほかのMMORPGと比較して,AIONのパーティプレイは難度が若干高い。その分,目的を達成した瞬間の充実感も大きいだろう |
魔族のキャラクターの場合は,“ブラッククロウ族の駐屯地”がパーティプレイの登竜門だ。かなり難度が高いので,全滅しても落ち込まないように |
ただし,エリートの出現場所は限られており,下調べが必要だ。例えば魔族の場合は,“ブラッククロウ族の駐屯地”(Lv17前後)や,“ターラン溶岩洞”(Lv24前後),“アイスクロウ族の村”(Lv30前後)などといったエリアにエリートが密集している。
フルパーティでのクラス編成に関しては,できればシールドウィングとキュアウィング,そしてスペルウィングは各1名ずつ入れておきたい。これらが得意とするタンク,ヒーラー,クラウドコントロール(リンク時の寝かし対処)といった役割は,ほかのクラスで代用を勤めるのが難しいのである。
AIONのバトルは,ただでさえスピーディなうえ,エリートが出現するエリアはリンクも当たり前になるなど,難度が一気に跳ね上がる。ベテランプレイヤーになると事情は違ってくるが,最初のうちはとりあえず,上記3クラスを確保しておくのが無難だ。
ただし,ここは念押ししておくが,フルパーティはAIONの遊び方の一部にしかすぎないということだ。ほかのMMORPGの経験者のなかには,人気職を選ばないとろくにゲームを楽しめないのでは……,と思う人がいるかもしれないが,それは誤解だ。AIONではすべてのクラスにとって活躍できる場所があり,それぞれの特徴をちゃんと把握したうえで選べば,クラスに関係なく楽しめるだろう。
経験値稼ぎの際に,もう一つ忘れてならないのは,クエストとミッションの存在である。これらを攻略するプロセスも含めると,次のレベルアップに必要な経験値量の,半分以上が得られることも多い。すでに会っているNPCから新たなクエストが発生することも多々あるので,レベルアップの際はざっと確認しておくとよいだろう。
逆に,クエストやミッションを積極的に利用しないと(できないと),レベルアップのペースは次第に落ちていく。個人的なプレイを振り返ると,レベルが19〜20,24〜25,34〜35の間は,適正なクエストが多く得られなかったこともあり,壁を感じてしまいがちであった。まぁそれでも,ほかのMMORPGではごく普通のペースなのだが。
そんなときは例えば,繰り返し受けられるクエストを行ったり,リフレッシュ効果(休止時間に応じた経験値ボーナス)を利用したり,さまざまな規模のパーティプレイに挑戦してみたりすると,いくらか楽に感じることだろう。
ゆくゆくはパーティプレイが本格的に関わってくる。機会さえあれば早い段階から参加して馴れていきたい |
ミッションやクエストが占める割合は次第に高くなる。潜入系など,難度が高い一部を除き,適正レベルに達した暁には挑戦しておきたい |
三次元バトルが展開されるPvP領域“アビス”
PvPにはいくつかのタイプがあるが,最もメジャーなのは“アビス”にて繰り広げられるものである。アビスを一言でいうと,天族と魔族が共有するフィールドエリアだ。レベル25以上のキャラクターは特別なミッションをこなすことで,各拠点エリアの上空からアビスへと,直接往来できるようになる。
アビスの地形は,広大な空間の中に大小さまざまな島が浮かんだ構造になっている。その後ろでは真っ赤に燃える恒星や,無数の隕石が飛び交ったりしているのが見える。第一印象としては宇宙,……いや,亜空間といったほうが近いかもしれない。
このアビスでは,エリア内の全域で“飛行”が行える。従来の冒険では,移動のために“滑空”を使うことが多かったが,ここでは飛行時間さえあれば,好きなだけ空を飛ぶことができるのだ。しかもアビスへ訪れる際のミッションを通じて,飛行時は速度が1.33倍に上昇,さらにステータスアップも付随するようになっている。
高速飛行を前提とした,AIONの三次元バトルは非常に新鮮である。バトルを抜きにして,フィールドエリアを猛スピードで飛び回っているだけでも,これまでとは世界が大きく違うのだと実感できるはずだ。
例えば,モンスターと戦っている最中に,背後からいきなりPKを仕掛けられるのは日常茶飯事である。神経を張り詰め,周囲に目を光らせていれば事前に探知できることもあるが,それでも万全というわけではない。そもそも,相手が一人で襲ってくるとは限らないのである。統率の取れたチームが完璧なタイミングで個人に仕掛ければ,足止めやスタンなどを駆使して,ほぼ封殺できるだろう。
とはいえ,あまりに派手に動き回っている敵種族は,広域チャットを通じてその存在が知れ渡ることになる。ほどなく通報を聞きつけた援軍がやってきて,撃退されてしまうだろう。逆に,初めは単なる遭遇戦だったのが,双方共に人数が増えていき,あれよこれよという間に大規模RvRに発展することもままある。
龍族のモンスターを狩り続けることができれば,経験値とAP共にかなりおいしい。誰にも邪魔されなければ,の話だが |
アビスなどでの活動を通じてAPが増えていく。これをもとにしたランキングシステムも用意されている |
まず,アビスに出現する龍族をはじめとしたモンスターは,獲得経験値量が全体的に多い。実際にレベル25まで育てて,初めてアビスで冒険した際は,次のレベルアップが思いのほか近いと感じた人も多いだろう。
そしてもう一つの大きなメリットは,アビスでの冒険を通じて,経験値のほかに“アビスポイント”(AP)が得られること。このAPを溜めることで,各種アイテムと交換ができるシステムがある。そしてメリットがある一方で,死亡時のデスペナルティがほとんどない,というのも重要だ。
自分から見た敵種族のキャラクターは,名前とレギオン名は普通に表示されるものの,チャットは行えない。そのためか,たとえ殺されてしまっても,必要以上に陰湿にならず,前向きな気持ちで再挑戦しやすい印象だ。敵種族のPCはどちらかというと,「NPCより遥かに狡猾で,隙あらば倒すべき相手」との認識に近い。
APで交換できる装備品は外見が特徴的で,魔石のスロット数が多く,PvPに特化した性能も付随している。いつかは手に入れたい品だ |
AIONのPvPは勝っても負けてもあと腐れがない印象。彼等はNPCよりも遥かに狡猾な敵であり,隙あらば殺す,ただそれだけの相手だ |
“時空の亀裂”を経て通常エリアへ乗り込むことも可能
時空の亀裂の出現ポイントは,いくつかの候補地がある中からランダムで選ばれる。大群が乗り込んで,敵種族を皆殺しにするような破綻は起こりにくい |
完全にアウェーという不利な状況なものの,奇襲が成功しやすいというメリットもある。アビスとは,リスクとリターンのバランスが少し違う |
アウェーとはいっても,通常エリアということで油断しているプレイヤーは多く,まったく勝ち目がないというわけでもない。もしチーム単位で乗り込めば,敵種族を次々と屠ることもできるかもしれない。もちろんAPも獲得できる。
いずれにせよ,時空の亀裂を超えて派手にPKを続けていれば,遅かれ早かれ援軍が駆けつけてくる。引き際が肝心である。
時空の亀裂が出現する場所は,いくつかの候補地がある中からランダムで選ばれる。そのためアビスと比べると,頻度は落ちるものの,敵PCに襲われる可能性はゼロではない。普段の冒険時も気を抜くことができず,これがプレイ中のほどよい刺激になっている印象だ。
数名のチーム単位で攻め込めば,かなり有利に戦えることも。ただし大規模な援軍が駆けつけてきたら即撤退だ |
頻度は高くないものの,通常エリアでPvPが発生することもある。そのため普段のプレイ中から気を抜くことができないのだ |
両種族の人数差,規約違反行為への対応など課題も残る
これが現在どうなっているのかというと,依然として天族にキャラクター作成が集中している。あくまでも一時的なものかとは思うが,本稿の原稿を執筆中は天族でキャラクターを作ることができない。
ただしOBT以降は,プレイヤーの意識が少しずつ変わってきている節も見受けられる。例えば魔族の外見に関しては,実際にキャラクターを動かしてみたら目からウロコが落ちたという人もいるだろう。
また,ゲーム内にログインしてしまえば,天族と魔族のコミュニティは完全に遮断されてしまうため,両種族の人数差を意識することそのものが少ない。「今日はアビスで敵を多く見かけるなぁ」と感じることはあるが,それなら真正面から戦わずにゲリラ的なPvPを狙うなど,頭を使えばやりようはいくらでもある。
AIONのPvPは単純に数が多いほうが勝つ,といった単純なシステムではない。大事なのはキャラクターのレベルとテクニック,そして何よりもチームワークなのである。
個人的に種族の人数差よりも深刻だと感じているのは,規約違反行為へのNCJの対応である。同社の発表によると,規約違反者に対しては継続的にアカウントの剥奪措置を行っており,これは正式サービス開始直後ということを踏まえると,異例の規模といってよい。しかしそれでも,実際に遊んでいる最中は,規約違反行為とおぼしきキャラクターをよく目にする。
フリーアカウントで作成したと思われるキャラクターが,広域チャットでRMTサイトの宣伝を堂々と連呼しているのは,ワールドによってはかなり深刻である。そういった内容でチャットウィンドウが埋め尽くされると,それだけで萎えてしまう人も多そうだ。ワールドによって,チャットをはじめとしたコミュニティの温度感にはかなり違いが生じてきているのだが,こういったことも理由の一つかと思われる。
規約違反行為でもう一つ気になるのは,言うまでもなくBOTである。意味不明な名前のキャラクターが,レベル30以降のエリアで何時間も延々と狩り続けていたり,そうして得たアイテムが委託販売で大量に出品されていたりするなど,着実に“結果”へと近づいているキャラクターが見受けられる。ぱっと見だけで規約違反者だと決め付けてしまうのは問題だが,「運営側は対処しきれているのだろうか?」と感じるのはある意味,当然といえるだろう。
アカウントハックの被害が次第に増えてきた。セキュリティ対策ソフトの導入や,パスワードに文字列+数字を組み合わせるなど,基本的な対策はしっかり行おう |
結果はというと,タイミングが早い遅いの違いはあるが,半数以上のキャラクターが数日後にはサーチできなくなっていた。時間帯を問わず定期的にチェックしていたので,処罰されている可能性は高い。
すでに何度か伝えられているように,エヌ・シー・ジャパンはかなりのペースで規約違反行為への対応を行っている。しかし,乗り込んでくる業者の数は,それすら大きく上回っているのだろう。AIONは近年稀に見る大作MMORPGなわけで,業者にとっても未曾有のゴールドラッシュと写っているのかもしれない。
MMORPGの運営において,規約違反者への対処は終わりなき戦いである。しかし例えば「ファイナルファンタジーXI」の場合は,専属のチームが年単位で対策を続けた結果,「RMTで金銭を入手するのはありえない」との認識が,プレイヤー達に浸透しきっている。非常に根気が要る作業なのは確かだが,ほかのタイトルでも決して不可能なことではないだろう。
最近は,アカウントハックの被害もちらほら耳にするようになったが,これらに対して的確な対応を素早く行うことが,運営には求められている。プレイヤーの信頼を勝ち取れるかどうかの瀬戸際なので,どうか負けずに頑張ってほしい。
MMORPGの“基準”を変えてしまいかねないタイトル
筆者は,FFテストからこれまで,3〜400時間はAIONをプレイしており,良い部分も悪い部分もだいたい見えてきたと感じている。規約違反行為へ対応しきれていないのは事実で,それだけは早急に何とかしてほしいが,全体的に見ると非常に完成度が高いMMORPGであるという見方には変わりはない。
AIONは,例えば,Ultima OnlineやEverQuestが登場したときのような,革新的な遊び方をもたらしてくれるゲームというわけではない。従来の方向性でそつなく纏め上げており,そういった意味では“完成型MMORPG”という同社のキャッチコピーは,あながち嘘ではないと思える。
しかも,これだけのボリュームのあるタイトルが,本国でのリリースから半年未満という短期間で日本語環境で遊べるというのは嬉しいことだ。たとえどんなに面白いMMORPGでも,日本市場を鑑みると,ローカライズされていなければ意味がないのである。一人のライターとしても,WoWが登場したときのような無念さは,もう二度と味わいたくないのだ。
最後に自分なりにAIONを簡潔にまとめると,「Lineage IIとGuildWarsを世に送り出したメーカーが,細部まで一切妥協することなく作り上げ,WoWの5年後に登場したMMORPG」である。
フリーアカウントの範囲内だけでも,AIONの凄さの一端は感じ取ってもらえるはず。ライトプレイヤーからコアプレイヤーまで,MMORPGに関心があれば一度はプレイしてみて損はないだろう。
アビスにて,“アーティファクト”争奪戦のRaid模様。見事に成功すると同種族の全PCにバフが掛かり,その瞬間チャットが大歓声に包まれる |
プレイ環境さえ満たしているのなら,騙されたと思って一度プレイしてみてほしい |
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