イベント
[E3 2012]スクウェア・エニックスの独自開発エンジン「Luminous Studio」による,驚異のリアルタイム技術デモ「AGNI'S PHILOSOPHY」が公開
ちなみに,イベントが始まったのは18:30。通常はE3出展者以外は強制的に会場の外へ出されてしまう時間であり,「携帯電話を会場に忘れたんです」とお願いしても,とりつく島もないほど厳しいものだけに(経験談),メディアにとっては,というか,個人的に新鮮な経験だ。
会場には,スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏も登壇して挨拶を述べ,和田氏に招かれる形で登壇した,スクウェア・エニックスCTO(Chief Technology Officer)の橋本善久氏が壇上に登り,AGNI'S PHILOSOPHYの解説を行った。
スクウェア・エニックスのCTO,橋本善久氏 |
スクウェア・エニックス取締役社長,和田洋一氏 |
映像の内容を,「すごかったです」で終わらせては偉い人に怒られそうだなと思い,さてどう説明したものかと途方に暮れていたところ,幸いにしてスクウェア・エニックスはロサンゼルスのイベント終了と同時にAGNI'S PHILOSOPHYの公式サイトをオープンし,映像の配信を開始していた。というわけで,下に掲載したムービーがそれだ。
「Agni's Philosophy」公式サイト
正直言って,何気なく見ると「ふーん」で終わってしまうかもしれない。橋本氏もその点は理解しているようで,「これがプリレンダリングのムービーではなく,リアルタイム処理された映像を収録したものであることを忘れないでほしい」と,何度か念を押していた。
このムービーは,スクウェア・エニックスが独自開発したゲームエンジン「Luminous Studio」によって描き出されたもので,例えば序盤に登場する人物の肌はサブサーフェイス処理により質感を高め,中ほどに出てくる無数の光る虫は,その数実に10万匹にもおよぶとのこと。テッセレーションや高度な影の生成,毛髪の表現など,さまざまな技術が使われているほか,エディタなどのツール類が充実していることもアピールされた。
このレベルのグラフィックスが普通にゲームに使われるのがいつ頃のことになるのかはよく分からないが,橋本氏は最後に「ゲームの将来は非常に明るい」として紹介を終えた。Quantic Dreamの「BEYOND TWO SOULS.」や,Ubisoft Entertainmentの「Assassin's Creed III」など,最近またグラフィックスレベルの高さをアピールするタイトルが増えてきた印象がある。いずれ,今回のムービーのようなグラフィックスのゲームが本当に登場する日も来るのだろう。ちょっと信じられないけど。詳しくは,以下のリリース文を参照してほしい。
「E3 2012の特設ページはこちら」
スクウェア・エニックス、開発中のゲームエンジン
Luminous Studioを使用したリアルタイム技術デモ
「AGNI'S PHILOSOPHY」をE3において発表
株式会社スクウェア・エニックス(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:和田 洋一)は、最先端の技術を駆使したリアルタイム技術デモ映像「AGNI'S PHILOSOPHY-FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO」を発表、同デモ映像を米国ロサンゼルスで開催されている「E3 2012」において、現地時間6月5日(火)に初披露いたしました。また、本デモ映像は、下記ウェブサイトにて配信いたします。
「AGNI'S PHILOSOPHY-FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO」映像配信(URL http://www.AgnisPhilosophy.com)「AGNI'S PHILOSOPHY-FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO」(以下本デモ映像)は、当社が開発中の次世代総合ゲーム開発環境(ゲームエンジン)「Luminous Studio(ルミナス・スタジオ)」を使用して制作した、ゲーム開発における次世代の品質水準を表現したリアルタイム技術デモ映像です。
本デモ映像では、最先端のグラフィックス技術、アセット制作技術を活用し、プリレンダリングCG(※1)と同等品質のリアルタイムCG(※2)を実現。人間味溢れる登場人物達の繊細で感情豊かな表情、精細な瞳や髪、華やかで動きのある衣装、躍動感のあるモンスター、複雑で美麗なヴィジュアルエフェクト、緻密かつ雄大で引き込まれるような舞台空間などを、最先端の技術で表現しております。
また、本デモ映像の制作にあたっては、「ファイナルファンタジー」シリーズをイメージした世界観を構築、古の魔法と高度な科学が共存する近未来の世界を舞台に、魔法の力を持つ主人公Agniが遭遇するスペクタクルを数分間の高品質リアルタイム映像の中に収めました。
※1 プリレンダリングCGとは、映画などで使用されている、あらかじめコンピューターを使って作られた映像を指す。ゲームでは、処理負荷の高いアニメーション描写などで使用される。
※2 リアルタイムCGとは、時間の進行に合わせて、その場でコンピューターを使って作られた映像を指す。ゲーム内では ユーザーの操作に応じてキャラクターが動いたり、視点が変わるため、リアルタイム技術が必須となる。
なお、本デモ映像の制作に使用した「Luminous Studio」とは、当社が独自で開発を進める、ゲーム開発ツール・プログラム群を統合した次世代総合ゲーム開発環境(ゲームエンジン)です。
本ゲームエンジンは、ゲーム制作チームに大きな生産性の向上をもたらし、同時に圧倒的な品質のゲーム制作ができる環境を目指しています。また、本ゲームエンジンは、ゲーム専用機、PC、スマートフォン、WEBなど、次世代を含む多様なゲームプラットフォームに対応する予定です。
当社は、従来より、ゲーム開発プロセスの強化と将来的なゲームプラットフォームにおける要素技術の研究を進めており、このような取り組みの一環として、次世代ゲーム開発における品質向上と開発効率の両立、および多様なプラットフォームでの開発共通化を実現するために、最新技術を駆使したゲームエンジンの開発を推進しております。今回の「AGNI'S PHILOSOPHY-FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO」でも、本ゲームエンジンが持つ技術を活用して当社が目指す次世代のゲームの品質水準を表現いたしました。
当社は今後も、ゲーム開発環境の整備と、次世代要素技術の研究を強化し、多様な高品質のエンタテインメント・コンテンツを提供してまいります。
ゲームエンジン
ゲームエンジンとは、ゲーム開発に必要な様々なツールやライブラリで構成される開発環境です。
ゲームソフト開発に必要なグラフィック技術や物理演算、人工知能、モーション、音響技術などさまざまなシステムを搭載し、ゲーム開発における効率と品質向上を目的に、近年多くのゲーム開発において活用されています。
なお、スクウェア・エニックス・グループは、開発中のLuminous Studioのほか、Glacier 2(IO Interactive)や Crystal Engine(Crystal Dynamics)などの自社エンジンを活用しています。
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