インタビュー
現在日本版を鋭意開発中! シーアンドシーの新作オンラインRPG「TARTAROS-タルタロス-」の魅力を聞いてみた
TARTAROSは,一般的なMMORPGとはちょっと違ったMO+MMOタイプのアクションRPGで,ゲームの要所要所で“エンディングを迎える”のが大きな特徴となっている。一人で3体を同時に操る「MCCシステム」を持ち,ストーリーの進行により利用できるキャラがアンロックされていくという。そのほかにも意欲的な試みが数多く見られるタイトルだ。
今回は,TARTAROSの開発を手がけるINTIV SoftのCEO Lee Ju Won氏に,本作の魅力について話を聞いてきた。また国内展開に関しても,シーアンドシーメディアのスタッフから気になる話が聞けたので,TARTAROSに興味を持っている人はご一読を。
四つのキーの組み合わせにより多彩な攻撃が可能な戦闘システム
本日はよろしくお願いします。
7月17日に「TARTAROS」の日本展開が正式発表されてから,2か月弱が経過しました。現在の心境はいかがですか?
Lee Ju Won氏(以下,Lee氏):
この2か月間は,シーアンドシーさんと毎日のようにミーティングを行ってきました。こういったやりとりを通じて,いよいよ日本でのサービスが始まるんだなと実感しています。
私たちにとって日本のサービスは特別で,今は期待と不安が入り混じった不思議な心境ですね。
4Gamer:
なにか日本に特別な思い入れでもあるのでしょうか?
Lee氏:
開発スタッフの中には,日本のアニメや漫画などの文化に影響を受けた者が大勢います。TARTAROSは,そういったスタッフが作っているタイトルなので,そこかしこに日本の影響が表れていると思います。
TARTAROSは,もともと韓国では有名なコンシューマゲームのシリーズだと聞きました。どのようなゲーム内容なのでしょうか?
Lee氏:
TARTAROSを最初に作ったのは2003年です。そのときは同人ゲームとして開発していました。日本のタイトルでいうと,日本ファルコムさんの「イース1・2」に近い内容のRPGで,何作かシリーズ化しています。
そのTARTAROSの世界観をベースに,オンラインRPGとしてシステムを調整していったのが,今回のTARTAROS Onlineというわけです。
4Gamer:
日本のゲーマーにとっては,今のところはβテストなどで直接触れる機会がないため,ゲーム内容をイメージしにくい部分があるかと思います。TARTAROSを遊ぶ際,最初にどこに注目してもらいたいですか?
Lee氏:
既存のオンラインRPGの場合を振り返ると,昔はクリックタイプ,それからは数字キーに対応させたスキルを繰り出すタイプが長らく主流でした。言い方は悪いですが現状はマンネリ化しており,TARTAROSでは新鮮さを与えると共に,ライト層でも簡単に遊べるというシステムを目指しました。
4Gamer:
それではTARTAROSのバトルシステムは,具体的にどのような内容なのでしょうか?
Lee氏:
攻撃に関しては,“Z/X/C/V”の四つのキーを組み合わせることで,さまざまなスキルを繰り出して戦っていきます。単体のキーを押すだけでも,パンチやキックなどのシンプルな攻撃は可能です。ですが,例えばZとXを同時に押したりとか,Vで気合を溜めたあとに別のキーで特殊攻撃を行ったりとか,組み合わせ次第で多彩な攻撃パターンが可能です。
4Gamer:
話を聞く限り,対戦格闘ゲームにも通じる雰囲気があり,ゲーマーにとってはやり込み甲斐がありそうですね。ライト層に対する工夫はありますか?
Lee氏:
スキルの使用後はクールダウンタイムが設けられています。この時間はスキルごとに違っているのですが,例えば単体キーによるシンプルな攻撃の際は,ほとんど0に近いです。
ZやXなどのキーを押しっぱなしにしていても,それなりに戦えるので,ライト層にとっても入りやすい内容だと思います。
4Gamer:
攻撃に関する操作を左手で行うということは,移動は右手で行うんですよね。
Lee氏:
はい。マウスとカーソルキーのどちらでも可能です。
4Gamer:
個人的にはかなり興味を引かれるシステムですが,日本のライトゲーマーにとっては左手の操作が忙しそうだなぁ,という印象を受けました。キーバインドをオプションで変更できたりはしますか?
我々も最初にTARTAROSを見たときに,その点が懸念として浮かびました。とくにコンシューマ文化が根付いている日本では,ゲームパッドを用いて「右手で攻撃,左手で移動」のスタイルが,体に染み付いているという人が多いですからね。
ですので,日本で展開するにあたり,操作システムは大きく変更することにしました。具体的には移動を“W/A/S/D”キー,攻撃に関する四つのキーを“J/K/L/;”キーにそれぞれ対応させています。そのほかのNPCとの会話や,各種UIの利用はマウスで行います。
4Gamer:
それを聞いて安心しました。ゲームパッドへの対応は予定していますか?
槇原氏:
その点についてももちろん,前向きに検討しています。技術的な問題はほぼクリアできています。
4Gamer:
バトルシステムに関して,そのほかに大きな特徴はありますか?
Lee氏:
攻撃時は敵のロックオンを行わず,攻撃方法に応じた射程内に敵をとらえて攻撃します。いわゆるノンターゲッティングシステムですね。実際にプレイすれば,ほかのオンラインRPGとはだいぶ違う印象を持っていただけると思いますよ。
シングル/マルチにそれぞれ用意された個性的なゲームモード
続いて,TARTAROSのゲームモードについて,一通り確認させてください。
Lee氏:
ゲームモードを大別すると,シングルプレイ用として「シナリオモード」,マルチプレイ用として「ミッションモード/対戦モード」の2種類が用意されています。
4Gamer:
まずは,シナリオモードについてお聞きします。拝見した資料には,8体のキャラクターが紹介されていますね。
Lee氏:
ゲームを始めた直後は,プレイヤーはこの中から4体のキャラクターが選べる状態です。キャラクターごとに個別のキャンペーンシナリオが用意されていて,それを最後までクリアすると,新たなキャラクターがアンロックされるという仕組みです。
4Gamer:
最初から4人の中から選べるんですね。
Lee氏:
しかも,使用可能なキャラクターで,最大3体によるパーティが編成できます。一人のプレイヤーが,3体のキャラクターを同時に操作するのです。
我々はこれを「マルチキャラクターコントロール(MCC)システム」と呼んでおり,TARTAROSの最大の特徴の一つです。
4Gamer:
グラナド・エスパダを連想するシステムですね。あのタイトルと比べて,とくに大きな長所というものはありますか?
Lee氏:
基本的な操作感はあまり変わりません。ただ,ゲームにログインする際,持ちキャラのデータをすべて読み込んでいます。ですので,街などのロビーエリアにいる間は,いつでもキャラチェンジが行えます。
4Gamer:
おお,それはかなり便利そうですね。
例えば,マルチプレイでパーティーを編成する際は,メンバー間でクラスの相性の調整が手軽に行えます。ほかのオンラインRPGだと,「ヒーラーがいなくてミッションへ出発できず待ちぼうけ」といった状況がありますが,TARTAROSでは心配ありません。とりあえず人数さえ集まれば,あとはいくらでも調整ができます。キャラ変更のためにログインしなおすような手間もかかりません。
4Gamer:
なるほど。
Lee氏:
これはプレイヤーにも大変好評です。例えば韓国サーバーでの話になりますが,一人のキャラクターが街で踊っていたところ,ほかのプレイヤーが同じキャラクターに変えたうえで,隣に並んで一緒に踊り,大勢が集まっているような光景をよく目にします。
キャラクターを切り替えるシステムは,開発時に最も苦労した点の一つですが,あの光景を見たときは,頑張ってよかったと思いましたね。
4Gamer:
各キャラに用意されているキャンペーンは,どれくらいのボリュームがありますか?
Lee氏:
キャラクターに用意されたキャンペーンは,7〜12本のステージで構成されています。全キャラクターの分を合計すると90くらいで,今後さらに増える予定です。
1本のステージに要するプレイ時間は,1〜2時間くらいですね。ただし,それとは別にレベル上げに要する時間もあるので,実際にはかなりのボリュームがありますよ。
続いてマルチプレイについてですが,こちらはどのような内容でしょうか?
Lee氏:
「ミッションモード」はMOのシステムを採用しています。ロビー的なエリアではいわゆるMMO形式ですが,そこからミッションなどの目的に応じたインスタンスを生成し,ほかのプレイヤーを募って攻略していきます。一度に編成できるパーティメンバーは最大で4人です。
4Gamer:
もう一つのマルチプレイモードである「対戦モード」は,やはりPvP関連でしょうか?
はい。プレイヤーは手持ちのキャラクターの中から3対までエントリーさせることができ、,その順で1対1による勝ち抜き戦を行うというものです。
4Gamer:
対戦格闘ゲームみたいな感じですね。PvPでは,PvEにはないなにか特別な報酬は得られますか?
Lee氏:
対戦モードの報酬は,大きく分けて「対戦ポイント」「コンテンツポイント」の2種類があります。対戦ポイントは,これと引き換えに専用のアイテムと交換できるシステムがあります。一方のコンテンツポイントは,「チャレンジミッション」を行うために必要となります。
4Gamer:
「チャレンジミッション」は,通常のミッションとどこが違うのでしょうか?
簡単にいうと,高難度版のミッションですね。通常のミッションは,その気になればソロプレイでもプレイ可能です。しかしチャレンジミッションは,マルチプレイによる協力が必須のゲームバランスとなっています。挑戦時にチャレンジポイントが必要ということもありハードルは高いですが,クリアできるとレアアイテムが獲得できるので,コアプレイヤーに人気があります。
4Gamer:
話を聞いていると,各ゲームモードにそれぞれ独自性があって,うまく結びついている印象を受けますね。
Lee氏:
どんなに面白いゲームモードを作ったとしても,それが一つだけだと,繰り返しのプレイで次第に飽きてきてしまいます。そうならないように,方向性の違った3種類のコンテンツを用意しました。ここはTARTAROSの開発にあたり,最も力を入れたところです。
日本版は鋭意開発中
日本以外でのサービス状況はどのようになっていますか?
Lee氏:
最初は韓国で,今年の5月から正式サービスが始まっています。その次が台湾で,つい先日の10月7日から,クローズドβテストが始まりました。その次が日本という流れですね。
4Gamer:
となると,日本でいつごろ遊べるようになるのかが気になりますね。ローカライズの進捗はいかがですか?
槇原氏:
国内展開の正式発表から2か月が経ちましたが,ローカライズ作業は順調に進んでいます。親日家の方が多いせいか,とてもコミュニケーションが行いやすくて,助かっています。
日本版に関して,操作キーのほかに大きな変更点はありますか?
槇原氏:
現在協議を進めているのが,ユーザーインタフェース関連です。韓国では9月に大型アップデートを行っているのですが,ここで実装された新UIが非常によくできています。そこで急遽,日本版には最初からこのUIを取り入れることを決定しました。
4Gamer:
UIだけを先行してアップデートというのは,結構大変だったのでは?
槇原氏:
ええ,しかしそれだけの価値はあると思い,導入に踏み切りました。現在頑張って日本版を作っているので,期待してください。
4Gamer:
TARTAROSは,INTIV Softが法人化してから,初めてのタイトルということですが。そのタイトルが台湾や日本などでサービスされるというのは,どういった気持ちでしょうか?
最初に同人ゲームとして作ったTARTAROSは,日本のアニメや漫画などの文化が好きなスタッフが集まって作ったタイトルです。それがこうやって,ほかの国でサービスされるのは,とても光栄に思っています。ひとえに一緒に働いてるスタッフの協力があってのことで,彼らには感謝してます。
4Gamer:
それでは最後に,日本でTARTAROSを期待している人に向けて,コメントをお願いします。
Lee氏:
スタッフ一同日本のゲームが好きで,それにインスパイアされる形でTARTAROSが誕生しました。ぜひ日本の皆さんにもTARTAROSを楽しんでいただけたらと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
ゲームシステムが独特すぎるせいか,インタビューの会話で説明を聞くだけでは,ゲームとしての全体像が少々イメージしにくい部分がある。そこで近日中に,開発中のTARTAROSを実際にプレイできる機会を設けていただくことになったので,こちらのプレイレポート記事もいずれお届けしたい。
※日本仕様ではゲーム内の名称などが変更される場合があります。
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