ニュース
レスポンスの良さにこだわったというPS3専用地デジレコーダーキット「torne」。体験会で分かった詳細情報をお届け
torneは,PlayStation 3にUSBケーブルで接続することで,地上デジタル放送の視聴/録画が可能になる,地デジレコーダーキットのこと。発表時の記事と重複する部分もあるが,製品概要と開発陣へのインタビューを掲載しよう。
体験会では,ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン 制作部 ゲームデザイナーの西沢 学氏によってtorneのプレゼンテーションが実施された。
チューナー部分の外形寸法は,100×112×24mmで,重量は約130グラム |
torneが起動するとメニュー画面が表示され,各機能へのアクセスができる。torneの主な機能は,テレビの視聴,番組検索,録画,録画番組の視聴などで,このほかPSPへの書き出しやリモートプレイ,ネットワークを使った「見ながらネット」「トルミル表示機能」といったものに対応する。
テレビを視聴するには,メニュー画面から「TV」を選択し,その後表示される番組表から見たい番組を選び,「○」ボタンを押す。番組表は4段階の拡大/縮小表示が可能で,それぞれ「R1」キーと「L1」キーに対応。最小状態だと9局,24時間分が,最大時は3局,各1時間分くらいが1画面に表示される。
テレビ視聴中のチャンネル切り替えは,画面下部に番組表を表示させ,そこから見たい番組を選択して行う。
録画済の番組のリストだ。リストのソートやフィルタリングにも対応している |
録画モードはMPEG-2 TSのストリーム録画のみに対応しており,録画に必要なHDD容量は,1時間あたり約6GBとのこと。また,PS3にUSB接続した外付けHDDにも直接録画でき,最大で4台まで接続可能。ただし,事前にtorneに登録しておく必要がある。なお,外付けHDDに録画した番組の再生には,録画に使用したPS3とtorneを使わなければならない。
ゲーム中に録画が始まると,その旨を知らせるメッセージが表示される Ratchet and Clank FUTURE is a registered trademark of Sony Computer Entertainment Inc.Developed by Insomniac Games. (C)2009 Sony Computer Entertainment America Inc. |
PS3のリモート機能を使えばPSPで録画予約や番組の視聴ができる |
書き出しはPSP用の専用サイズで再エンコードされたもので,PSP/PSP go以外では再生できない。書き出し時には「高画質」(1Mbps)と「標準」(512Kbps)を選択可能で,ファイルサイズの目安としては高画質だと1時間分が500MB,標準画質の場合は250MBとのこと。書き出しにかかる時間は,番組の実時間の約半分ほどで,1時間番組だと,20〜30分ほどだという。また,PS3のリモートプレイ機能にも対応しており,PSPで番組の視聴や録画予約,録画番組の再生ができる。
また,番組視聴中にインターネット検索ができる「見ながらネット」,番組の録画予約数や視聴状況を集計して表示する「トルミル表示機能」が用意されている。さらに,総視聴時間を局ごとに表示できる「チャート機能」やPS3のトロフィー機能にも対応。あまり実用的ではないが,こんなところにゲームっぽさが出ているようだ。
最後にtorneの開発に携わった,ゲームデザイナーの西沢 学氏,商品企画部 渋谷清人氏,ソフトウェアプラットフォーム開発部 開発リーダー 石塚健作氏へのインタビューが行われたので掲載しよう。
――torneの商品コンセプトを教えてください
左から西沢氏,石塚氏,渋谷氏 |
テレビに関連したエンターテイメントをいかに広げていくということを社内で議論し始めたのが発端です。テレビを見て,録画して、録画した映像をまた見て,といったことをやっていくユーザー達が,ストレスを感じることなく,PS3ならではのレコーダーがなんなのかということを突き詰めていった結果が,今回の商品です。
――とくにこだわった部分はどこでしょうか
とくにこだわった部分は,スピード感とレスポンスの良さです。いかに気持ちよく操作してもらえるのか追求しました。ゲームでは当たり前のことかもしれませんが,それをレコーダーに求めたわけです。また,リビングに置いておいて格好いいと思えるようなデザインを目指しました。
――開発にまつわる苦労話を教えてください
石塚氏:
PS3ならなんでもできるだろうといった感じで仕事を依頼されるのですが,いかにストレスを感じさせないようにするのか,ということに苦労しましたね。まあ,苦労したというか,力を入れているといったほうが正確かもしれません。楽しみながら苦労して開発しています。
――ネットワークを使ったアップデートは,どのようなものを予定していますか。
渋谷氏:
実を言うと,発売日に間に合わせることに注力しているといった段階です。もちろん,ネットワークを使ったさまざまな要素や,テレビの視聴や録画番組の視聴自体を楽しんでいただくような計画,企画は用意しています。今のタイミングでは具体的なことをお話できませんので,明確になり次第あらためて発表させていただきます。
――書き出し機能などが,ウォークマンや携帯電話に対応する予定はありますか。
渋谷氏:
現状ですと,まずはPSPとPSP goというプレイステーションフォーマットの中でtorneを使っていただきたいと思っています。ですが,発売後には市場の動向やユーザーの声などを聞きながらほかの機器との連携などを考えたいと思います。
――torneは価格ありきで企画されたのでしょうか。それとも開発を進める段階で最終的に1万円を切る形になったのでしょうか。
渋谷氏:
最終的に価格を確定したのは,実を言うと本当に最近です。とはいえ,数十万円で売られているようなレコーダーと競争しようという概念ではありません。PS3のレコーダーとして楽しんでいただきたいというところがあり,その上で適切な価格を模索して決定しました。
――録画に使用するCPUやメモリのリソースはどの程度でしょうか。
石塚氏:
PS3はゲーム機ですので,基本的にCPUやメモリのリソースはほとんどゲームに割かれます。そんな中で、ゲーム中に裏で録画するということは,ゲームが使っていない領域を使っています。具体的な数字は言えないですが,可能な限り少ないリソースで録画できるようにしています。
とはいえ,専用機ではありません。例えばHDDが少し故障しておかしくなっていたときに,そこに対するアクセス負荷が上がるようなことがあれば,問題が出る可能性はあるかもしれません。基本的には問題が出ないような作りになっております。
録画モードを選べなかったり,録画番組の編集やチャプタ作成,CMカット/スキップといった機能がなかったりと,専用機と比べると見劣りする部分があるのはいなめない(今後のアップデートによって対応する可能性はあるだろうが)。とはいえ,9980円という価格でPS3に地デジレコーダー機能を付加できるのを,魅力に感じる人もいるだろう。
また,開発陣が語るように,レスポンスはかなりいい。torneは,1月23日,24日に幕張メッセで開催される「次世代ワールドホビーフェア'10 winter」に出展されるほか,1月23日からヤマダ電機LABI1 池袋モバイルドリーム館6Fと上新電機 ディスクピア日本橋店 1Fにも展示される。どちらの会場でも実際にtorneを体験できるということなので,近くに住んでいる人は実際に試してもらいたい。
「torne」公式サイト
- 関連タイトル:
torne
- この記事のURL:
(C)2010 Sony Computer Entertainment Inc. All rights reserved.