企画記事
「東方風神録」のSS 24点とゲームの立ち位置に関する一考察
また,筆者なりに「風神録とは何か」について考えてみたので,まだ入手していない人達のため,そのあたりも述べたいと思う。いわゆるネタバレは極力排除したつもりだが,攻略のヒントになる事項は含まれているので,攻略情報は読みたくないというストイックな人はご注意を。また,そもそも風神録って? という人は,体験版について考察した記事をまずは読んでもらえると幸いだ。
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ボムを前提とした,絶妙のアイテム配置が見事
テンポのいい展開の先にあるものとは
しかし,繰り返しプレイしてみると分かるのだが,「スペルカード」と呼ばれるボスの弾幕一つ一つの難度は確かに高くなっている一方,各弾幕の“所要時間”は,従来作品と比べて明らかに短くなっている。つまり,仮に攻略法を掴んでいなくても“なんとかなる”可能性が高まっているのだ。攻略法が分かっていても集中力が続かないというケースを回避できる可能性が高まっている,ともいえるだろう。
少し基礎的な話をしておくと,風神録では,「霊撃」と呼ばれるボム専用のパラメータは存在せず,「Power」と呼ばれる攻撃力ゲージ――厳密には「オプション数ゲージ」だが――のみが5.00まで用意されている。Powerはザコ敵などを倒すことで放出される0.05,または1.00分のパワーアップアイテムを回収することで増やせるようになっており,オプションはPower 1.00ごとに一つずつ増えて4.00で最大の4個となる。一方,ボムはPower 1.00と引き替えに発動できる仕様だ。つまり,「パワーゲージ5.00では,攻撃力を犠牲にすることなくボムを放てる」システムになっているわけである。
Powerが1.00上がるほうのパワーアップアイテムに注目してみると,これがよく分かる。「ここはちょっとつらいかも?」というところには,確実といっていいほど,パワーアップアイテムを多く回収できるよう,敵が配置されているのである。
ぽんぽんとテンポよく繰り出されるボスのスペルカードを見ていると,「道中やボスの通常攻撃は,ボムを使うなどしてさっさと処理して,“本番”となる,次から次へと繰り出されるスペルカードの美しい弾幕を楽しめるようにデザインされている」ような気がしてくる。風神録はオーソドックスな弾幕シューティングに見えて,むしろこれまでで一番,スペルカードを重視した作品なのかもしれない。
リズミカルに繰り出されるスペルカードのラッシュを楽しむという意味では,6ステージ制での“前作”となる東方Project第8弾「東方永夜抄 〜 Imperishable Night.」で搭載されたスペルプラクティスモード(※スペルカードのみ練習できるモード)が削除されているのも,たしかに納得できる。
- 関連タイトル:
東方風神録 〜Mountain of Faith.
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