男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第371回「自分の居場所を開拓する」

著者近影

　自分の居場所がないな，と感じたことはない？
　世の中には自分以外の人がいっぱいいて，それぞれが群れを作って生きているのね。自分一人だけで生きているケースなんて，ほとんどない。望む，望まないに関わらず，自分は何らかの集団や組織に組み込まれて生きているの。
　で，集団において“居場所”ってすごく大切な要素で，自分がとある集団から外れる場合，その理由を考えてみると集団内に“自分の居場所”がない場合がほとんどなの。「ここは自分の居場所じゃない」と自分から思ってしまうようなときも含めて。
　でも，ここでのポイントは“自分が”自分の居場所をないと思ってしまうってことね。どういうことかというと，ほかの人は基本的に「あなたの居場所はない」なんて思ってないってことなの。っていうか，他人の居場所のことなんてあんまり考えない。まあ当然よね。なぜなら，居場所なんて自分が自分で定めるものだから。
　もうハッキリ言ってしまえば，集団から離れるときの“自分の居場所がない”という理由は，すべて自分の問題なのよね。そりゃね，要素として他人が関与することはあるわよ。例えば，競争がある職場であれば，「あいつの居場所を奪ってやろう」と思ってそれを実行する他人もいるでしょう。ひょっとしたら上司が「君の居場所はないから」なんて言ってくることだってあるかもしれない。
　でも，最終的には自分の居場所がないと自分が認めてしまったときに，居場所がなくなるんだと思う。いや，それが悪いと言ってるんじゃないの。問題は，自分でそこにいたいかどうか。そこにいたくなければいる必要はないし，逆にいたければ居場所を作るしかない。居場所なんて用意されるものではないからね。あるならそこにいればいいし，無いならば無理やり作る，さもなくば用意させるものなの。
　プロの世界には往々にして解雇という出来事があるけど，それは残念ながら自分の居場所が作れなかった結果なのね。中には理不尽な解雇もあるけど，それも要は自分の居場所を確保できなかったということなの。

　ここまでであれば，ある程度はご理解いただけると思う。集団の中での自分の居場所の問題は，多くの人が少なからず経験してきて，実感できることだろうから。
　では，もう一歩踏み込んでみるわね。すなわち，どうやって居場所を作るか。あ，前提として，その集団にいたい，と思ってる場合ね。そこにいたいと思っていなければ，どこかのタイミングで諦めちゃうから。だから，本当の第一歩は「自分の人生の限られた時間を費やしてでもそこに居たい」と思える集団と出会うことが先決ね。
　今回話すのは見つけたあとのお話。つまり二歩目。あと，これはあくまで私のヤり方だったり考え方だったりするから，当てはまらない場合もあるかもしれないことは先に言っておくわ。とはいえ，けっこうシンプルなのよ。要はあなたにとっての“居場所”は，その集団にとってあなたが有益かどうかで決まるのよね。ということは，逆算すればいいのよ。今，その集団に何が足りないか？　そして足りない部分を自分が担えばいい。
　恐縮ながら私の場合はですね，プロレス界でヤっていきたいと考えたときに，プロレス界に足りないものは何か？　を考えたわけ。当然強くてゴツい選手なんていっぱいいるわ。そりゃまあプロレスの世界だからそうよね。
　で，居場所を作りたい私は，考えるわけ。自分に特別な力はあるかどうか？　の自問自答。無いよね，残念ながら。そして次に考える。誰でもできるけど，まだ誰もヤってないものは何か？　で，出てきたのが「自分の性癖をさらけ出すこと」。性癖なんて誰もが持っているけど，基本的には隠すものじゃない。それを出せばいいんじゃないか，と。
　私はプロレスラーの8割が同性愛者だと思ってるんだけど，それを隠しこそすれ，さらけ出す人はいない。じゃあ出しましょう，と。プロレス技にも，ドサクサで股間に手が当たったり結果的に顔が近付く技がある。それを性に対して正直にアレンジしてみれば，どうなのか，と。
　そうやって何も持っていない私は，細々とではあるけど居場所を確保することができたのね。私の例は，そもそもプロレスの世界が特殊だから，ケースとしても特殊なんだけど，きっとどこに行っても同じことは言えるのよ。
　例えばその集団を客観的に見て，「こうなればいいのにな」を埋める人になればいいの。誰も掃除しないなと思うなら，自分が掃除すれば，それなりの居場所はできる。まあ，掃除だけだと気付かれない可能性もあるけど。
　ただ，メンタリティとしてそういう穴をふさいでくれる人って，集団において重宝されるケースが多い……と思う。もちろん，いくらでも例外はあるはずだから，一概には言えないんだけどね。でも，居場所ってそういうことなんじゃないかしら。集団にとってありがたい存在。たとえ地味で気付かれにくくても。
　もうちょっと言うと，集団の中でそういう目立たない部分をちゃんと見て評価してくれる人がいるならば，その集団はうまく回る気がするけどね。一生懸命ヤることは，ある意味，誰でもできるわ。「何でも頑張ります！」をあなたの売りとするならば，結果を出し続けるしかない。でないと，その集団にとってのメリットがないから。
　そうでなく，確固たる居場所が欲しいならば，作るしかないよね，その集団に自分がいることのメリットを。


　さて，今回紹介するゲイムは「大開拓時代〜街をつくろう〜」（関連記事）です。ニンテンドー3DSのダウンロード専用タイトル。ダウンロード専用タイトルによくあるケースなんだけど，価格が低めなこともあってか，シンプルなものが多いわよね。この大開拓時代もそう。
　ゲイム内容は，本当にシンプルなシミュレーションなのね。人を配置して資源を集めて建物を建てていく，そういうゲイム。ソーシャルゲイムにも多いわよね，こういうの。
　指示して建物を建てて，ヤれることを増やしていく，という。ただ，このゲイムでは追加課金要素もないし，建物が建つまでの時間が短いの。いわば，ソーシャルゲイムの面白い部分を凝縮してパッケージングしたようなイメージね。もう少し分かりやすく言えば，建物を建てて「あと42時間後に完成」みたいになるのを，いちいち待たずに楽しめる感じかしら。
　で，前述の“居場所”とこのゲイムに何の関係があるかというとね，土地を開拓していくにあたって，人を配置しないといけないのね。木を切る人，鉱石を掘る人，建物を建てる人，食料を確保する人。人それぞれに役割がある。
　このゲイムにおいて，プレイヤーは前述の話で言うところの“集団”そのものの立場よね。で，人の配置を考えていかねばならない。とはいえ，このゲイムに出てくる人にパーソナルな情報はないわ。この人がどういう性格で何が好きでどういう人生を送りたがっているか。そんなことは一切分からない。でも，大切なの。集団にとって。
　当然，開発してもらう対価として，食料を与えなけらばならない。安くはない。でも，人がいないと開発はできない。誰でもいい。でも誰かでなければならない。誰でもいい誰かにどうやってなるか。どうやって自分が誰でもいい中での違いを生み出せるのか。それを考えるのが，居場所の作り方の一歩目なんじゃないかしら。
　あ，ほぼほぼゲイムについて語れてないけども，面白いわよ。シンプルだけどヤることは多いし，開拓が進むほどにヤレることが増えていく感じが。安いし，一度プレイしてみてほしいわね。


　思えばここまでシンプルかつ気楽なシミュレーションゲイムって，ありそうで今までになかった気がするわ。星の数ほどあるゲイム群の中で，ありそうでなかった場所こそが作り手の狙った“このゲイムの居場所”なのかもしれないわね。
　てな感じでまた来週。先日姉が結婚してしまい，家族で結婚経験がないのが私一人になったがゆえに，実家での居場所がなくなってしまった男色ディーノがお届けしました。

今週のハマりゲイム
（文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム）
PlayStation 4：「三國志13」「ウイニングイレブン 2016」
PlayStation 3：特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita：「勇者死す。」
PSP：「サモンナイト5」
Wii U：「Splatoon（スプラトゥーン）」
Wii：「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS：「大開拓時代〜街をつくろう〜」
Xbox 360：「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，今週末の3月13日，福島市国体記念体育館サブアリーナ大会「あれから5年・東日本大震災復興イベント〜がんばろう福島〜DDTプロレス福島大会『ゴージャスナイト』」を開催します。ディーノ選手は大石真翔選手とのタッグで，アントーニオ本多選手＆チェリー選手と対戦予定。3月21日の両国国技館大会前，最後の試合ということで，ディーノ選手は相手チームを“仮想曙”ととらえ，曙選手の両国国技館出入禁止を実現するための調整を，ここで行いたいのだとか。