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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第522回「忘れながらも忘れない」
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印刷2019/03/14 14:30

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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第522回「忘れながらも忘れない」

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著者近影
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 人は忘れゆく生き物。いい意味でも悪い意味でもね。
 人間の行動に失敗はつきものだから,忘れることは大切なのよ。何度も挑戦するのって,ある種,失敗を忘れていないとできないことでもあるからね。だから,成功するためには悪いイメージなんて忘れてしまうに限る。
 ただし,失敗を無かったことにしてはいけない。全部忘れてしまうと,同じミスを繰り返してしまいかねないからね。だから,忘れることと覚えておくことの取捨選択が必要になってくる。

 日本は,8年前に悲しい災害に見舞われた。つらいことを忘れて進むことも大切だし,かといって絶対に忘れてはいけないこともある。「あの日を忘れない」というワードがよく独り歩きをしているけども,私個人としては忘れながらも忘れないでおこう,と思うわけです。
 おそらく,これから震災を覚えていない世代が出てくるのです。だから,正直ピンとこない人も生まれてくる。そのこと自体は,もう仕方がないの。70数年前の戦争だってそうなっているのと同じ。体験しているから忘れられない部分もあるわけだから,ピンとこない人がいること自体はある種仕方がない。
 だからこそ,日本がそういう災害が起こる可能性のある国であることや,8年前から培った防災意識に関しては,国レベルで忘れてはいけない。語り継がなければならない。そう思うのです。ま,話が逸れたので戻すけども,人は物事を覚え,そして日々の生活に流されて忘れていくものなのですね。

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 で,今週紹介するのは「フォーゴットン・アン」PC / PlayStation 4 / Xbox One / Nintendo Switch)です。人々から忘れられたモノや失われたモノが集まる場所を舞台にした,ちょっと変わったインディーズゲイムです。もちろんテーマは“忘れる”ということ。まだクリアしてないから,たぶんそうだろうとしか言えないけども。
 これはね,今までのゲイムのどれにも属さないタイプのゲイム。もうちょっと正確に言うと,日本にはあまりなかったタイプのゲイムね。
 それもそのはずで,元々は海外のインディーズゲイムをコーラス・ワールドワイドという会社が日本向けにローカライズして,コンシューマ機で発売したというものなのね。
 実は昨年の東京ゲイムショウで,コーラス・ワールドワイドの方が4Gamerブースでヤっていた動画配信に来てくれて,そこで紹介してくれたうちの一つでもあったの。で,いざ実際にプレイしてみたら,今までにないゲイムだってことがよく分かったのよね。話は聞いていたんだけど,論より証拠というか。

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 近年のゲイムって,オープンワールドのシューターだったりアクションだったりが席巻しているじゃない? あとはオンラインで多くのプレイヤーが同じ世界を共有するゲイム。それがトレンドで楽しいってことは分かるの。むしろ,そういったゲイムの中からどのタイトルを選べばいいのか分からないくらい,選択肢は豊富。そして,それらのタイトルは日本産ではなく海外で生まれたものも多い。
 だから,私の中で海外のゲイムはスケール感で勝負しているという勝手なイメージがあったのね。でも,フォーゴットン・アンは違うわ。あくまで横視点のアクションアドベンチャーゲイム。それ自体はゲイム界で古くからあった,というかそれこそ一時期を席巻してたタイプのジャンルだけれども,今作はそれを突き詰めたかのようなアプローチなのよね。
 アニメーションのビジュアルや動きで上下左右に移動して,物語の進行に必要なアクションを起こしていく。アクション性,横視点,アニメーションとの融合といった要素一つ一つはこれまでもゲイム界に存在してたものだけれど,それらをすべて高い次元で表現すると,かくも新鮮に伝わってくるものなのね。
 実際,今まで味わったことのない独特のプレイ感覚があったわ。海外の作品だから字幕もついてるんだけど,字幕の感じも浮世離れしてるのよね。映画やTVドラマのような字幕ではない。これはおそらくローカライズ時の副産物なんでしょうけど。結果的に日本語字幕の存在が今までにないゲイムであるという雰囲気を強調しているの。
 クリエイターさんが日本の名作アニメーション作品からインスピレーションを受けて作ったらしく,確かに雰囲気はそれっぽいのよね。ただ,違う部分もあって。ビジュアル的にはそれっぽいアニメなんだけど,字幕がそれっぽくないので日本人的には逆に新鮮に感じる,という部分もあるかもしれないわ。
 私はクリアしていないからストーリーの良し悪しは語れないけど,ファンタジー系の世界観であることは伝えておきたい。そしてこれまた前述のとおり“忘れられたモノ”を描く物語で,これも今までにない一風変わった世界よね。
  ともかく,このゲイムを一言で表すならば“独特”。自分の想像の範囲外にあるゲイムをプレイしたいならば,ぜひおススメですよ。私は今のこのゲイム界の流れで,あえてこの方向でゲイムを作ろうとしたクリエイターさんを心から尊敬するわ。主流ではない,自分の作りたい作品を多くの人に楽しんでもらえるように作る。まさにインディーズゲイムの真骨頂。ゲイム好きならばぜひ体験してほしいわ。おそらく,忘れられない体験ができるかと。

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 というわけで,今週は偶然ながら8年前の未曽有の災害が起こった時期に,“忘れる”というテーマのゲイムをプレイいたしました。これからだって災害は起こり得るし,直接の被害がなくともライフラインに影響が出ることもあり得る。
 “もし”のすべてに対応することはできないけれど,意識しているのとしていないのでは結果が変わってくるからね。自分もそうだし,困っている人を助ける意味でも。普段は忘れていてもいいけど,いざとなったらすぐに経験を引っ張り出せるよう,備えだけは忘れないようにしたいと思った今週でした。ではまた来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン
Nintendo Switch:「TETRIS 99
iOS:「龍が如く ONLINE

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手は,所属するDDTプロレスがプロデュースするプロレス&スポーツBar「ドロップキック」で,今週末の3月17日にアナログゲイムのイベントを行うとのこと。時間は12:00〜16:00です。「予約もいらないんで,暇だったら一緒に遊ばない?」というぐらいの,ゆるいイベントだそうです。お時間のある方はぜひ。
  • 関連タイトル:

    Forgotton Anne

  • 関連タイトル:

    フォーゴットン・アン

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    フォーゴットン・アン

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