プレイレポート
PCで遊べる“本家”の音楽ゲーム「ポップンミュージック Be-Mouse」
1998年に第1作が登場したポップンミュージックは,KONAMIの音楽ゲームブランド“BEMANI”の第2弾タイトル。画面上部から音楽に合わせて落ちてくる“ポップ君”に対応したボタンを,タイミングよく押していくことで,音楽の演奏を擬似的に楽しめるという作品である。
BEMANIブランド第1弾の「ビートマニア」が,サンプラー風の五つのボタンと,スクラッチ用のターンテーブルを使って演奏を楽しむという,クラブDJ的なエッジの効いたスタイルのゲームだったのに対し,ポップンミュージックは白,黄,緑,青,赤に塗り分けられた九つの大きなボタンで演奏できることや,筐体および画面内のビジュアルデザイン,そして使用されている楽曲の親しみやすさなどから,より幅広い層に受け入れられている。
とくにアーケード版の場合,複数人でそれぞれ担当のボタンを決め,協力して遊ぶ姿もしばしば見られるなど,ビートマニアが持つストイックさとは逆方向のカジュアルさを入口の部分に持っているあたりが,ポップンミュージックの大きな魅力と言えるだろう。もちろん,難度の高い曲を突き詰めてプレイしていくとなると,ビートマニアだろうがポップンミュージックだろうが,かなりのテクニックを要求されるのは同じだ。
そんなポップンミュージックはこれまで,アーケードで16作,プレイステーションで7作,プレイステーション2で9作がリリースされているほか,携帯電話主要3キャリアの端末向けにも移植されてきた。しかしこれまで,PC版はリリースされてこなかったのである。
つまりBe-Mouseは,ポップンミュージック誕生から10年の時を経てついに登場した,PC版ポップンミュージック……ともいえるのだ。
購入後にプレイできる楽曲は10曲(+2曲)。さらに追加楽曲の配信も
専用コントローラーとして使うマウスは,800dpiの光学式で,2ボタンとスクロールホイールを備える。そして背中には透明のプラスチックカバーがあり,これを開くと白,黄,緑,青,赤のボタンが合計九つ露出する。ゲームをプレイするときには,このボタンを使うのだ。このボタンはテンキーの置き換えなどではなく,純粋にポップンミュージックをプレイするためだけのものだ。逆に,専用マウスを使わないことには,ゲームで遊ぶこともできない。
なお,ゲームのインストール直後にプレイできるのは,以下の10曲となる。
ジャンル名 | 曲名 | アーティスト名 |
パーカッシヴ | 西新宿清掃曲 | サイモンマン |
ジグ | Tir na n'Og | WORLD SEQUENCE |
ヒップロック | 大見解 | Des-ROW・組 |
ラメント | 雫 | あさき |
メガネロック | ポップミュージック論 | ギラギラメガネ団 |
昭和歌謡 | 林檎と蜂蜜 | 亜熱帯マジ-SKA爆弾 feat. MAKI |
ガールズロック | ☆shining☆ | りゆ&のりあ |
ハイパージャパネスク | 夢幻ノ光 | TЁЯRA |
ハイスピードラブソング | High School Love | DJ YOSHITAKA feat.DWP |
撫子ロック | 凛として咲く花の如く | 紅色リトマス |
それぞれ,3ボタン,5ボタン,9ノーマル,9ハイパーという四つのモードでプレイできる。まずは3ボタンで曲を覚えつつ,徐々に使用するボタンを増やしていく……といったプレイスタイルが一般的なものになるだろう。
さらに特定の条件をクリアすると,
ジャンル名 | 曲名 | アーティスト名 |
ハードPf | fffff | Five Hammer |
GRADIUS | GRADIUS -FULL SPEED- | Mr.T |
もアンロックされ,プレイ可能となる。つまりBe-Mouseを購入すれば,全12曲を追加投資することなく遊び放題というわけである。ちなみに,これらの収録曲はすべて,過去のポップンミュージックからの再録だ。
またさらに,追加楽曲のダウンロード販売も行われている。つまり,見方によっては,パッケージ販売+アイテム課金制と言えなくもない仕組みになっているのである。
追加楽曲は1曲あたり263円(税込)で,購入にはKONAMIのグループ会社のインターネットレボリューションが運営する,ポータルサイト「i-revo」への会員登録が必要となる。5月中に10曲が,6月には5曲の追加楽曲が配信されており,7〜9月にも5曲ずつが配信される予定だ。
マウスを手に持つか,机に置くか,それが問題だ
やはり最初に戸惑うのは,このマウスでどうやって操作をするか……である。
本作の公式サイトで配信されるムービーを見ると,ゲームパッドを持つかのようにマウスを両手で包み込み,両手の親指でボタンを器用に押している。
しかし,筆者が不器用だからかだろうか? 年齢と共に記憶力や反射神経が低下してきているからだろうか? どうもボタンを押し間違えてしまう。そこで考えた。机の上にマウスを固定し,両の人差し指でボタンを叩けば,アーケード版やコンシューマ版の専用コントローラのような操作感を得られるのではないか……? と。個人的には,このスタイルのほうが向いていたようで,ポップンミュージックで遊んでいる感を強く得られた。
とくにKONAMIのビーマニブランド作品に顕著だが,音楽のリズムに合わせてボタンを叩き,そのタイミングがバッチリ決まったときに生じるある種の生理的な快感は,より能動的でフィジカルなアクションを伴ってこそ増幅するように思える。そういう意味では,マウスを両手で握りしめ,せわしなく親指を動かすよりも,机に置いたマウスに向けて,ノリノリで人差し指を叩きつけるほうが,単純に気持ち良い。
ただしこの場合,マウスを設置する机の種類によっては,打撃音が増幅され,周辺にリズミカルなノイズをまき散らすことになってしまう。実際,筆者も編集部内でプレイしていたら,ほかの編集者達から白い目で見られてしまったほどである。
Be-Mouseなら,職場でこっそりゲームをすることもできるかも
また,本作のゲーム画面は,400×460ピクセルという小さなウインドウ(固定サイズ)である。これは少々物足りない気がするのだが,このサイズになっている理由を,プレイ風景を妄想しながら考えてみよう。
日差しが夏っぽさを増してきたある日の正午過ぎ。
ポプ子(23)※え:松本画伯
四亀商事に勤めるOLのポプ子(23)は,午前中に課長から頼まれた経費の精算を続けている。
同僚達からのランチの誘いを,「ごめんね,これ午後までにやらないといけないから……。今日は電話番だし」と断り,彼女は黙々と作業をこなす。
やがて課内のほとんどの人が昼食に出払ったタイミングを見計らい,さっきまでExcelを操作するのに使っていたマウスで,ポップンミュージック Be-Mouseのアイコンをダブルクリック。そしてマウスの背中の羽を広げ,何度挑戦しても9ボタンではクリアできないあの曲を選び,ボタンを叩く。
気付けば,昼休みもあと10分。そろそろ昼食に出た人達が戻ってくる頃だ。
リースで借りている海外メーカー製17インチ液晶ディスプレイの向こう側に視線を送ると,カレーでも食べてきたのだろうか,白いYシャツにちょっとだけ付いた黄色い染みを落とそうと,躍起になっている課長の姿が……。
するとポプ子の視線に気付いたのか,課長は染みを落とすことを諦め,こちらに向かって歩きながら話しかけてきた。
「あー,さっき頼んだ経費の精算だが……」
ポプ子は慌ててマウスの羽を閉じ,タスクトレイにしまってしておいたExcelのウィンドウを最大化し,課長に向かって一言。
「あと5分ぐらいで終わります。やっぱり昼休みまでかかっちゃいました(´・ω・`) 」
「おお,すまんね。もしかしてランチを食べ損ねてしまったかな? しょうがない,明日のランチはご馳走するよ」
「え,いいんですか? やったー。じゃあもうちょっとがんばっちゃいますね!」
ポプ子が昼休みを返上してしまうほどゲームが好きだということを,社内で知っている人は一人もいない。ポプ子自身もまた,それを隠しているのであった。
要するに,職場でゲーム! という背徳的な行為に及ぶ場合でも,カモフラージュが容易なのでは? ということを筆者は誰にともなく言ってみたい。
あ,そうそう,男性の場合は職場でBe-Mouseを軽く遊んでいるところを気になる女性社員に見せつけ,「あ,それなんですか?」「ん? ちょっとやってみる?」的な感じでマウスを渡すついでに軽く手に触れたり……みたいな活用方法もあるかもなぁ……。4Gamer編集部(男子校)じゃありえないが。
Be-Mouseは“ポップンミュージック道”の入口でもあるのかもしれない
多くの人は,できれば一つの機器をさまざまな場面で使用できたほうがコストもかからないし,置き場所にも困らないと考えることだろう。そしてそんな人なら,ちょっと可愛らしいデザインで軽くポップンミュージックも楽しめるマウスに魅力を感じるのではないだろうか。
こういったことを総合してみると,この商品のターゲットになるのは,ポップンミュージックのファン,PCでポップンミュージックをプレイしたいゲーマー,可愛らしいマウスを使うついでにゲームで遊んでみたい人あたりであるように思える。そしてそんな人達 ならば,間違いなくBe-Mouseを楽しめるはず。
正直なところ筆者は,Be-Mouseでプレイしながら,小さいウインドウよりも大きなウインドウで,小さなマウスよりも大きな専用コントローラでポップンミュージックを楽しみたいとも思った。だが,それならゲームセンターに足を運ぶなり家庭用ゲーム版を購入するなりすればいいわけだ。
そう考えると,もっともっと“ポップンミュージックで遊びたい!”という欲求を引き出す力が,Be-Mouseにはあるのかもしれない。
「ポップンミュージック Be-Mouse」(公式サイト)
- 関連タイトル:
ポップンミュージック Be-Mouse
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(C)1998 2008 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.