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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第43回「『007/慰めの報酬』国内発売記念! 最強の007ゲーム大特集!(8)」
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印刷2009/05/07 22:08

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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第43回「『007/慰めの報酬』国内発売記念! 最強の007ゲーム大特集!(8)」


 映画「007」のシネマゲームを取り扱うのも,今回で8回め。個人的にはこのままずっと,007ゲームについて語り続けたいぐらいの気持ちもあるのだが,まだまだほかに取り上げるべき作品もあるので,ここで一区切りとさせていただこう。

 そんな007特集のラストに選んだのは……「007/慰めの報酬」。「またかよ!」と思う人もいるだろうが,まあ最後まで話を聞いてほしい。今回取り上げたいのは,PlayStation 2版の慰めの報酬なのだ。

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 慰めの報酬は,日本ではスクウェア・エニックスがPLAYSTATION 3Xbox 360WiiPlayStation 2の各プラットフォーム向けにリリースしている。
 これまで筆者は,Wiiリモコンを使って遊べる数少ないFPSということもあり,Wii版を周囲にオススメしてきた(Wiiを持っている人は多いし)。ステージ構成こそ,PS3版やXbox 360版とほぼ同じだが,パッドのスティックを使うより,画面に向けたリモコンで照準を合わせるほうが,なんとなくドンパチ気分も高まろうというもの。Wiiザッパーに対応しているのも嬉しい。
 が,オンラインで対戦相手が見つかりにくいのと,PS3版やXbox 360版プレイ後だと,どうしてもグラフィックス的に見劣りしてしまうのは難点か。こればっかりは,ハードウェアの性能上しかたのない部分ではあるが。

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 で,じゃあPS2版はどうなのか? という話に移ろう。正直なところプレイするまでは,Wii版と同じぐらいのグラフィックスで,操作体系がPS3版などと同じような感じでは……? と思っていたが,これが大きな間違い。
 というのも,PS2版のみ実開発を担当したのがTreyarchではなく,THQの「James Bond Jr.」(NES),Electronic Artsの「007: The World is Not Enough」(Nintendo 64),「007: NightFire」(PlayStation 2,Game Cube,Xbox,Game Boy Advance)を開発した,いわば“007を分かっている”Eurocom Entertainment Softwareだったのだ。
 Eurocomは,1992年にシネマゲーム開発をスタートして以来,十分なキャリアを積んできている。そして数多くの作品で,映画をゲームで追体験させることに,妥協せず取り組んできた。
 そんなEurocomが開発したPS2版慰めの報酬は,他機種版と比較して“最もジェームズ・ボンドらしさ”を表現した作品になっているのだ。

 というのも,PS2版はFPSではなくTPSであるというのが大きい。「GoldenEye 007」を別格とすれば,“007らしさ”を堪能できる作品は,FPSよりTPSに多い。これはやはり,ジェームズ・ボンドらしいスニーキングなどの隠密行動は,FPS視点よりもTPS視点のほうが,プレイヤーにとっても分かりやすく,映画の追体験には適しているからだろう。

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 なお,ゲームの本筋は基本的に他機種版と同じで,ストーリーも一本道。ただしオープニングは,PS3版などではミスター・ホワイト邸でのドンパチから始まるが,PS2版ではその前に邸宅へ忍び込むミッションが用意されている。「メタルギア ソリッド」のソリッド・スネークほど細かい動きができるわけではないが,映画版007のテイストは見事に受け継いでいるといえるだろう。
 ムービーシーンの多くは,PS3版のものをビットレートを下げて流用したものだが,PS2版のみのムービーも少なくない。そしてPS2のみのムービーでも,ボイスキャストがきちんと声を当てている。
 PS2版の残念なポイントとしては,オンライン対戦などに対応していないことぐらいだろうか。

 また難度は,PS3版と比較するとPS2版のほうがかなり高い。PS3版では,余るほどの銃弾をゲーム中で入手できるのだが,PS2版は無駄撃ちを控えておかないと,ゲームが進むにつれてかなりキツイことになる。
 さらにいうと,ゲームの終盤は映画やPS3版などとは異なるシチュエーションが用意されている。そのため,映画だったら……みたいな先入観を持ってラスボスに臨むと,ちょっと苦労してしまうかも……というか,筆者はかなりの苦労をしてしまった。なんせ,映画と違う状況でクライマックスを迎えるとは思わなかったので!

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 とはいえ,高い難度というものは,生粋のゲーマー魂を揺さぶるもの。クリアできないと悶々としてしまうが,苦難を乗り越えてクリアできたときの喜びは,難度が高いほど大きいものだ。
 そういう意味でPS2版慰めの報酬は,海外産ゲームらしい“ノーヒント・ノーライフ”な仕様で,何度となくコンティニューを強いられるスタイルであるため,映画の追体験だけではない楽しさに溢れているのだ。

 ちなみに6月19日には,20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより,Blu-ray版「007/慰めの報酬」が,6月26日にはDVD版「007/慰めの報酬<2枚組特別編>」(初回限定生産)が発売される。劇場で見逃した人は,これらも要チェックだ。
 ゲーム版と合わせて鑑賞すれば,また違った視点で映画を楽しむことができるだろう。

 さて次回からは,「ゴッドファーザーII」にまつわるあれやこれやをお届けしよう。

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■ドブ漬けゲームスープレックス(43)

メガドライブ
「ジェームズ・ポンド2:コードネーム・ロボコッド」(エレクトロニック・アーツ・ビクター)

 ってなわけで「慰めの報酬」に始まって「慰めの報酬」で007ゲーム特集を終了したいと思っていたのだが……書きたいことを一つ忘れていた!
 かつてElectronic Artsが,「ジェームズ・ポンド」という,007のパロディゲームを発売していたのだ!

 で,そのことを書くべく,赤羽の倉庫からゲームソフトを引っ張り出してきたのが,「ジェームズ・ポンド2:コードネーム・ロボコッド」。スーパーファミコンでも発売されていたような気もするが,20代の頃はメガドライバーだったので眼中になかったなぁ……。
 なぜいきなり2作めを紹介するかというと,第一作が日本では発売されなかったから(なのになぜ,2を発売したのか不思議)。
 タイトルからして,ボンドじゃなくてポンド(小さな池などを意味している)であるあたり,いかがわしさと胡散臭さが漂っているが,ゲーム自体は意外にも,しっかりしたアクションゲームなのだ。
 副題のロボコッドとはロボットになった鱈という意味。どう考えても「ロボコップ」が元ネタである。

 一応,ポンドも秘密諜報部員という設定になっているのだが,なにせキャラクターの見た目がユルい。ダルシムの手足よりも長く伸びまくる胴体を駆使して,ステージを進んでいくという設定もユルい。
 ゲーム自体,骨太なパートもあるにはあるが,プレイヤーに課せられたミッションは,オモチャ工場を奪い返すというもので,まあ要するに子供向けの作品ということなのだろう。

 ただ,ゲームの中身はタイトルほど007やロボコップをパロっているわけではなく,ただ完全にアホキャラのポンドが活躍するという,奇妙なアクションゲームだった。
 ちなみにジェームズ・ポンドのフランチャイズは,21世紀に突入してからも続いている。興味のある人は輸入して最新作を遊んでみては?

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■■ジャンクハンター吉田(シネマゲーム研究家)■■
連休中は「グラン・トリノ」「ビバリーヒルズ・チワワ」「新宿インシデント」を劇場で鑑賞したという吉田氏。ひたすら映画漬けだったのかというとそうでもなく,日本発売が見送られてしまった「DEAD SPACE」をクリアして,海外の開発者にいろいろ聞いたりもしていたんだそう。そして「『DEAD SPACE』でアーマーを着替えるシーンは,『宇宙の騎士テッカマン』で,南 城二がペガスの脚の中に入ってテックセッターするところからひらめいたらしいよ」と,知ったところで誰に伝えればいいのか分からない妙な情報を教えてくれました。
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