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[G-Star 2010]日本往年のアーケードゲームの影響を受けたという「メタルブラック:オルタナティブ」について,開発者にいろいろ聞いてみた
本作については,G-Star 2010に先駆けて公開されたムービー紹介記事と,出展バージョンのプレイレポートをすでに掲載しているが,W/A/S/Dキーによる移動に,マウスによるフリーターゲットで照準を操作するというスタイルは,実際にプレイしてみると新鮮なのだが,それでいてどこか懐かしい,不思議なプレイフィールだった。
今回,本作を開発するNCsoft 開発室長 Kim Hyung Jin氏,プロデューサー兼ディレクター Jeong-Seung Hyun氏に話を聞く機会が得られたので,その内容を紹介していきたい。
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そんな彼らにとって,それらのアーケードゲームはごく身近な存在であり,ゲーム開発に携わるようになった今,何らかの形でリスペクトできればと考えているという。
ただ,プロの開発者として,受けた影響をそのまま反映することはできない。そして,あの面白さを自分なりに吸収して,新しいものを作らなければ意味がない。本作の開発はそうした意識の中で,アーケードゲームから受けた影響と,新たに創り出す要素のバランスに,とても苦労しているのだそうだ。
開発の経緯に関しては,まず最初に,韓国でも人気の高いダンジョンクロウラー(ハック&スラッシュ)のジャンルに,シューティングゲームの面白さをミックスすることを考えたという。そしてシューティング部分に関しては,(「怒」などのように)スティックそのものが回転するタイプのゲームが見当たらないことに目をつけ,マウスによるフリーターゲットでの照準を取り入れた。さらにボス戦では,近年のトレンドである“弾幕系”のエッセンスを盛り込んでいったというわけだ。
APUの使用時は,ただ強力な攻撃ができるだけではなく,パワードスーツならではの旋回や加速などの“もどかしさ”を表現することに苦心したという。アーケードゲームだけでなく,「エイリアン」「スターシップ トゥルーパーズ(宇宙の戦士)」など,さまざまな映画・小説の影響も受けて,本作の世界観が構築されていったと彼らは語る。
最初はボム的な経緯で導入されたというAPUだが,プレイヤーからの評判がかなり良く,今後は拡張することを考えているそうだ。現バージョンではマップ内にAPUが放置されており,それに乗り込んで戦うスタイルだが,「個人用のファクトリーでAPUをカスタマイズできたらいいね」と話していた。武器を付け替えたり,テクノロジーを研究して自分だけのAPUを追求する要素が入れば,かなり日本人ウケもしそうな気がする。
そのほかにも,弾道に物理エンジンを採用したり,状況に応じて3Dと2Dのグラフィックスを使い分けるなど,自分達なりのテイストを加えていった結果,現在のように出来上がっていったという。
筆者が実際にプレイしたとき,新しさと懐かしさが混ざり合ったような,不思議な感触を受けたその理由は,どうやらこういった開発経緯にあったようだ。
世界観をSFにした理由は,遠距離攻撃をメインにするうえで,従来のファンタジーと比べて,表現の幅が広がるからだという。どちらかというとファンタジー系のほうが人気は高いものの,それだと“弓”や“魔法”が大半となってしまう。SFの重火器類に比べると,どうしても表現の幅が狭まってしまうのだ。
今回出展されたG-Star 2010バージョンは,前回のG-Star 2009バージョンと比べると,プレイヤーから見えないところで,かなり大幅に手が加えられているという。例えば,G-Star 2009のプレイアブルバージョンでは,ステージクリア型でミッションをこなす構成だったのだが,現在は拠点エリアでクエストを受け,パーティ編成を経てダンジョンに赴くという,MORPG的な流れに変更されている。これと並行して,新クラスの追加やゲームエンジンのチューンナップなども行っており,こうした試行錯誤とクオリティのアップに余念がないようだ。ただ,こうした作業の遅れによる,周囲からの開発へのプレッシャーは大きいという。
開発スケジュールに関しては,2011年中には韓国で何らかの形で公開したいと考えているようだが,詳細はいまのところ未定だ。日本を含めた他国へのローカライズに関しても,まだ検討する段階ですらないとのこと。“日本”のゲームで育った彼らが開発した“韓国”のゲームが,まずは韓国でどのように評価されるのか。今後の展開に注目しておきたい。
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メタルブラック:オルタナティブ
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