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ファン必見の事実が次々と明らかに。開発時のエピソードや,来場者による質疑応答も行われた「ドットハック セカイの向こうに」のトークショーをレポート
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印刷2012/02/13 00:00

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ファン必見の事実が次々と明らかに。開発時のエピソードや,来場者による質疑応答も行われた「ドットハック セカイの向こうに」のトークショーをレポート

 現在公開中の3Dアニメーション映画「ドットハック セカイの向こうに」トークショーが,2012年2月11日,テアトル新宿にて行われた。ここでは,本作品で監督を務めたサイバーコネクトツーの松山 洋氏と,制作担当の二塚万佳氏が登場して,制作のマル秘エピソードを惜しげもなく披露していた。このトークショーの模様をレポートしていこう。

「ドットハック セカイの向こうに」公式サイト


劇場には出演者のサイン入りポスターや,設定資料などが展示されていた。ちなみにトークショーが行われたのは,19:35の回の上映終了後となる21:25ごろ。夜遅くにもかかわらず,劇場内には大勢の人が集まっていた
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 最初に,松山氏は開発時の資料として使用された「2024年カレンダー」を披露。これは劇中での年代である「2024年」を記したものだ。松山氏は劇中での主な出来事をいくつか挙げ,カレンダーの年表と照らし合わせていた。また2024年での出来事を描いた「ドットハック セカイの向こうに」であるが,本作は“2025年を舞台にしたサイバーコネクトツーの新作に繋がる物語”であるとコメント。気になるその新作については,「来月いいことあるんじゃないかな」(松山氏)と話していたので,ファンの方は,そちらもしっかりチェックおいたほうがいいだろう。

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サイバーコネクトツー代表取締役社長の松山 洋氏。今回は監督として「ドットハック セカイの向こうに」の制作に携わっている
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制作担当の二塚万佳氏

 続いては,ロケハン(ロケーションハンティング)時のエピソードトークへ。二塚氏によると,ロケハンに行ったのは松山氏,二塚氏,脚本を手がけた伊藤和典氏,バンダイナムコゲームスのプロデューサーを含めた計7名。
 普通であればスタッフが車を運転するのだが,免許を持っている4名のうち3名が,ペーパードライバーということが発覚。伊藤氏やプロデューサーに運転させるわけにはいかないということで,社長である松山氏自らが運転する羽目に。松山氏はその時のことについて,「後ろの座席でみんな楽しそうにしている訳ですよ!」「俺も伊藤さんの話を聞きたかったのに!」と,冗談を交えながら不満をぶちまけていた。

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 お次は,脚本のミーティングおよび,原稿を完成させることを目的とした合宿でのエピソード。合宿期間中は朝から晩まで徹底的な議論が何度も重ねられたという。そして合宿最終日,原稿が70〜80%完成したこともあり,一息入れようということで,休憩も兼ねて皆でビールを飲み始めたそうだ。「まだ20%残ってるはずなのに大丈夫なのかと,内心,心配だった」とは二塚氏の談。
 しかしここで,二塚氏の心配をより大きくさせてしまう事態が勃発。なんと,松山氏の“すべらない話”が始まってしまったのだ。「毛根を大事にしろ」や「歯の磨き方講座」などなど,すべらない話は4時間にも及んだそうだ。
 松山氏はこの件について「同じことをずっと詰めて話すことも大事ですが,どっかで気持ちを切り替えることによって,また違ったものが見えてくるものがある」とコメント。来場者もその事には同意しており,納得している様子で松山氏の話に耳を傾けていた。


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 トークも中盤にさしかかり,より盛り上がってきたところで,今度は劇中の小ネタに関するトークが始まった。ここでは松山氏が,劇中でぜひ注目してほしいという部分を語る。まず,可愛いと評判のまことさんだが,松山氏によると,巷で「まことさん腹黒説」があるという。劇中でもその部分はしっかりと描かれているらしいので,まことさんファンは,ぜひチェックしておいたほうがいいだろう。
 また二塚氏によると,まことさんはスタッフ間でもすごい人気で,カイトよりも愛情を注ぐスタッフがいたほどだったという。カイトの動きが未完成なのにも関わらず,まことさんにばかりに注力するスタッフも出始め,二塚氏が「今はとりあえず,まことさんは置いといて,先にカイトをやれや!」と,激する場面もあったそうだ。

 また松山氏は,現実パートで,考え事をするときにアゴを触るソラの癖や,メガネを上げる田中の癖などが,ゲームパートでもしっかり再現されていることについて触れた。キャラクターの癖をゲームパートにも取り入れることによって,誰がどのキャラクターか分からなくなる事態を防ぎたかったと話す松山氏。ちなみにこれらの癖は,脚本とは別に,松山氏らが後から“演出”として入れたものだそうだ。


 松山氏の親近感あふれるなトークで,最後まで盛り上がった本イベント。トークショーの後には,来場者による質疑応答の時間が設けられたので,ここでは,その時の内容をいくつかピックアップしてお届けしよう。

――ゲーム版「.hack」のおまけではクジラが出てきましたよね。そして今回の劇場版にもクジラが出てきました。あのクジラはどういう意味があるものなのでしょうか。

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松山氏:
 映画版のクジラのシーンって,実は伊藤さんの脚本からバッサリ切った部分でもあるんです。伊藤さんの脚本ではオープニングシーンが長すぎて,試しに尺を出してみたら「タイタニック」を超える長さになっちゃったんです(笑)。「予算の倍かかるんだけど,いい?」ってバンダイナムコさんに聞いたら「だめ」って言われちゃいまして(笑)。なので,あのシーンは伊藤さんの脚本からはかなりいじらせてもらいました。
 ネタに関して言うと,劇中でご飯を食べているシーンがありますよね。そこに映っているニュースってデジタルハザードの前振りなんです。電波の弊害で,動物の方向感覚が狂うという事例が実際にも出ているんですね。なので,ネットワーク障害によって,まずはクジラ達に異変が起こっているという場面を見せて,少しずつトラブルが始まっているんですよっていうことを表現したんです。ソラちゃんの答案が送れないことや,自動販売機からコーラが2つ出てきたのもネットワークトラブルの伏線ですね。

――女神像のウイルスバグが鎖のように繋がっているように見えたんですけど,あれはやはり,一作目の大聖堂の中にあった女神像とリンクさせるような演出だったんですか?

松山氏:
 そうですね。セルフオマージュといったら変ですけど,これまでの.hackを知っている人間からすればレリーフもそうだし,女神像の姿も「THE WORLD」っていう女神がこういう目に遭うってことに対して,韻を踏んだということです。

――映画の後半で,サーバーがすごいトラブルを起こしていたシーンがあったじゃないですか。なのに,なんで「THE WORLD」にみんな入れたんですか?

松山氏:
 2024年って,Wi-Fiのような技術が今よりももっと進んでいると思うんですよ。そこら中に電波が飛び交っているので,機器そのものが死んでもネットワークにアクセスできるという設定なんです。あとクラウドも,今よりもっと肥大化していると思うんです。電車やビルの電気は物理的なものなので止まってしまいますけど,電波は物理的なものではないので繋がることができる。あともう1個言うと,きっと女神が誘ってくれたんだと思います(笑)。

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