本日(9月24日)より,社団法人コンピュータエンターテインメント協会(以下,CESA)が主催する国内最大のゲームイベント「東京ゲームショウ2009」が,千葉の幕張メッセにて開幕した。本日および明日の25日がビジネスデイで,一般公開は26日と27日の2日間。計4日間の開催期間となる。
先ほどの記事でも軽くお伝えしたが,開幕を飾る
基調講演は,前半がソニー・コンピュータエンタテインメント(以下,SCE)の代表取締役兼グループCEOの平井一夫氏による
「ソニー・コンピュータエンタテインメント 2009年新戦略」と題された講演,後半がカプコンの代表取締役・辻本春弘氏,スクウェア・エニックスの代表取締役・和田洋一氏,コナミデジタルエンタテインメントの取締役副社長・北上一三氏,バンダイナムコゲームスの代表取締役・鵜之澤 伸氏,SCEワールドワイドスタジオのプレジデント・吉田修平氏ら,業界のリーダー達がこれからのゲーム産業についてを語り合う
パネルディスカッションという二部構成。日本のゲーム業界のリーダー達が考える課題,そして産業の未来像についてがうかがえる内容になっていた。
以下,その詳細を前後編に分けてお伝えしよう。
最初に登壇した平井氏は,まず「我々がPlayStationのビジネスをはじめてから15年が経ちました。いろいろな苦労もありましたが,ゲーム会社やクリエイターの皆様,そして何よりもユーザーの皆様のご支援のもと,これまでやってこれました」と語りながら,近年,ユーザーのライフスタイル,すなわちゲームの遊ばれ方が変わりつつあることなどを指摘。また,それに合せてゲーム業界が一丸となって対応していかなければならないと,ゲーム業界全体としての課題について触れた。
モーションコントローラを持つ平井氏
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平井氏は,そうした時代の変化に対応するには「使い古された言葉だが,“ネットワーク”がキーになる」として,「観る」「創る」「交流する」「学ぶ」「聴く」「遊ぶ」「共有する」「発見する」の三つのキーワードを提示。これは,PlayStationプラットフォームの今後の指針ともしていくようで,その具体例として,同社の「
リトルビッグプラネット」の取り組みなどを紹介。いわゆるUCC(ユーザー・クリエイテッド・コンテンツ)と言われる方向性の重要さを改めて指摘した。
また,先日業界の内外で大きな話題になった新型PlayStation 3についても触れ,発売後3週間で100万台の販売を達成したことを発表。あくまで「魅力的なソフトが揃っているという前提があってこそだが」としながらも,3万円を切る価格戦略が大きな成果を上げたという認識を明らかにした。
ちなみに,プレイステーションポータブルは累計で5290万台,PlayStation 2は1億3880万台ものセールスを達成しているとのことで,PlayStationプラットフォームが依然として大きなシェアを維持していることなどもアピールしていたのが印象的。
さらに平井氏は「今後もより一層の充実を図る」としながら,「PSP Go」やモーションコントローラーなどといった新製品についても触れ,モーションコントローラーの発売は2010年春を予定していること,PSP Go発売時に450以上のタイトル(北米は700タイトル)がダウンロード可能になる予定であることをなどを明らかにした。
また平井氏曰く,SCEのオンラインサービスのPlayStation Networkも非常に好調とのことで,アカウントは2900万以上,総ダウンロード数は6億以上,総売上高で250億円という規模になっているとのことであった。
一通りの講演を終えた後,平井氏と日経BP電子機械局局長・浅見直樹氏による対談が行われた。浅見氏の「最近のゲーム業界には,イノベーティブなものがないという指摘もあると思うが」との質問に対して,平井氏は,海外のゲーム産業との違いや,ゲームをより一般的なエンターテイメントにするために何が必要かについて言及し,「夢を語ってもいいですか」と前置きをした上で,「モーションコントローラーは一つの良い例だが,プレイヤー自身の感情をもっとゲーム内に反映,表現できるようにしたい」と語り,「モーションの前に,“E”を付けたい。すなわちエモーショナルな方向性はまだまだ可能性があるし,ゲーム産業自体ももっと発展していくと思う」と,ゲーム産業には多様な可能性があることを指摘し,講演を締めくくった。