攻略
A列車で行こう9 連載 / 第1回:「まずは鉄道と資材です,社長!」
アートディンクの看板シリーズ最新作「A列車で行こう9」(以下,A9)が2月11日にサイバーフロントから発売された。本作はプレイヤーが鉄道会社の社長となり,マップ内に鉄道網を構築して列車を走らせ,駅周辺に住宅,オフィスビル,店舗,娯楽施設などを建てて街を作っていき,列車利用客を増やしながら都市を発展させていくという,鉄道会社経営/都市開発シミュレーションゲームである。
シムシティばりに,マップの中に直接自分で建物を建てることもできるが,タイトルからも分かるとおり,本作はあくまで「鉄道」がメイン。どちらかというとプレイヤーは「鉄道事業」によって間接的に都市開発に携わる要素が強く,ここがほかの都市開発シムとは大きく違う部分だ。
そのため,A9は一般的な都市開発シムと比べて,遊び方に独特な知識とコツがいる。しかし本作には初心者向けのチュートリアルが用意されておらず,「なんか街のスクリーンショットがすごく綺麗だったから,つい買ってしまった」という初心者社長の多くは,ゲームを起動してはみたものの,途方に暮れているかもしれない。
そこで本連載では,A9を遊ぶうえで必要な「社長の基礎知識」を紹介していき,全国の悩める初心者社長をサポートしていくことにした。「A列車シリーズは20年近く遊び続けているぜ」というベテラン社長なら,知っていて当然の話題ばかりになるかもしれないが,社長デビューしたばかりの人は,ぜひ本連載を頼りに10兆円を目指してもらいたい。
というわけで今回は,初心者向けのマップ「大都市構想」を使って,A列車をプレイするうえで基本中の基本となるノウハウを紹介しよう。
列車を走らせるためには,最初に「駅」と「線路」が必要。駅には「地上駅」「高架駅」「始発駅」「地下鉄駅」「操車場」があり,それぞれに駅舎の種類(小型,中型,大型),ホームの長さ(最大10両),ホーム数(最大7番線)がある。どんな駅舎を建てるかで建設費用は大きく増減し,駅周辺の活性度も変わってくる。
駅を建てる場所は重要だ。理想は,すでにたくさんの建物が並んでいるような土地で,そういう場所なら最初から多くの乗客数が望める。ただし駅建設のためには建設費のほかに用地代が必要で,写真のように多数の建物を潰して駅を建てたい場合,それだけ余計に費用が必要になる
何もない場所に駅を建てて,そこを中心に発展させていくことも不可能ではない。今回は何もないところに「地上駅」の「大型」(ホーム数2本,ホームの長さ6両)を二つ建てて,それぞれの駅を線路で繋ぐことにした。激しく短い路線の誕生だ
おそらく現実の鉄道会社社長はまったく悩んだことがないだろうが,A列車の社長にとっては常に悩ましい重要な要素,それが「資材」である。資材は建物を建てるのに必要な材料で,大型の建物ほど大量の資材を消費する。資材には,
- 「資材工場で生産される」
- 「貨物列車/トラックを使って工場から資材置場へ運搬する」
- 「資材置場にある資材が建設に使用可能」
という,三つの基本ルールがある。プレイヤーが自分で建物を建てる場合,あるいは街の発展に伴って勝手に建物が建つ場合(=他社が建設したもの),そのいずれにも資材が必要だ。
プレイヤーがすべきことは,駅の周辺に資材置場を作り,そこにせっせと資材を運び込む作業である。
例えばA駅のそばに「資材工場」,B駅のそばに「資材置場」を建設し,「貨物列車」を往復させる。すると貨物列車は自動的にA駅で資材を積み込み,B駅で資材を降ろす作業を繰り返してくれる。これが基本的な資材の運搬だ。ただし,この場合,B駅にしか資材が供給されておらず,A駅周辺は発展できない
「資材工場」は小,中,大と3種類あり,資材の生産速度と生産コストに違いがある。筆者は「資材工場(大)」ばかりを利用しており,資材工場を一度に3軒ほど建てて,必要地域に十分な資材が行き渡るまで大量生産&出荷で対応することが多い。工場は,生産した資材が出荷されることで利益を生む
「資材置場」を駅の周辺に設置する。地下1階に作れば,地上の土地を無駄なく使えて便利。ただし資材には,有効範囲として高さ±30m以内(約1階層分)という制限があり,高架駅(地上から1階層分)では地下1階の資材置場へ積み降ろしができないので注意しよう。資材置場は,保管中の資材が建設などに使われることで利益を生む
「資材置場に資材がある」「降りる客がいる」という条件が揃うと,あっという間に他社の住宅やマンション,雑居ビルなどが並びはじめた。こうして街の人口や仕事場が増えていき,列車利用者も増加して利益が上がっていくわけだ。ただし発展には勢いがあり,停滞することもある
開発ラッシュが来ると,運ばれた資材を他社が片っ端から使っていくため,自社の建物を建てようとしても資材が全然足りなくなる。何か建てようと思った瞬間に横取りされることも多く,資材置場の利益は上がるものの,嬉しいやら悲しいやらである
供給バランスを考えないと資材はすぐに余ってしまう。資材置場が満杯になると,貨物列車は資材を降ろせずに持ち帰ってしまい,こうなってくると資材工場や資材置場,貨物列車は赤字になりやすい。単独では無視してもいいほどの小さな赤字ではあるが,工場や資材置場を建てすぎた場合は注意が必要だ
[Option]メニューから[データ表示]の[駅の資材有効範囲を表示する]をチェックしておくと,資材を積み降ろしできる駅の有効範囲が緑色のラインで表示されて便利だ。施設の建設時のみ表示されるのでゲーム中は邪魔にならない
一本の線路上で,進行方向が対抗した列車同士がぶつかると,衝突事故にはならないが運行が停止してしまう。これを回避するためには,上手な路線レイアウトを考えねばならない。
路線レイアウトのテクニックはいろいろあるが,ここでは基本的なものを三つほど紹介しておこう。列車を単線から複線区間に進めたり,複線上を移動させて行き先を変えたりできる「ポイント」を使いこなすことも大切だ。
ダイヤ調整のいらない路線にして放置プレイするか,列車ごとに細かくポイント設定を変えて列車を往来させるテクニカルな路線レイアウトをするか,自分好みの路線レイアウトをいろいろ試してほしい。
1本の独立した線路の上に一つの列車を行き来させる「単線」は,ほかの列車とぶつかる心配がないためダイヤ設定の必要がない。駅のホーム数を2本以上にして,二つの列車を並行して走らせる「複線」も同じ。一つの駅で最大7本のホームを持てるので,「複々線」や「三複線」の運行も可能
一本の線路を環(わ)にした「環状線」にすれば,列車は終点で停まることなく路線上を周り続ける。一つの路線上に同じ速度の列車をいくつも走らせられるので,都市が発展しているなら,単線よりはるかに多くの利益が期待できる。一つの理想形といえるだろう
「複線」の応用だ。「ポイント」を使って単線区間の駅と駅の間の部分だけを複線にし,この複線部分で列車をすれ違わせれば,一つの路線で二つの列車を行き来させられる。ある程度の路線の長さがあって複線区間を長くすれば,細かいダイヤ調整なしでも一本の区間に三つの列車を同時に走らせられる
左のレイアウトでは,すべての列車において一か所のポイント設定が必要だ。しかし右のレイアウトでは,どの列車も直進すれば複線区間に入れるため,ポイント設定は必要ない。ちょっとしたテクニックだが覚えておくと役に立つかもしれない
今まで1編成の運行だった路線に2編成の列車を走らせ,上り/下りで運行することで一層の利益アップを狙うべく,路線レイアウトに手を入れる。ポイント分岐を使って,駅と駅の間を複線化して上下線をすれ違わせることにする
「ポイント設定」は簡単で,線路のポイント部分をクリックすると画面上に設定画面が現れる。通常では簡易設定になっているが,列車ごとの細かい切り替え設定をしたければ,オプションの「詳細ダイヤグラム設定にする」にチェックを入れよう
駅と駅の間に複線区間を作ったら,同じ列車を購入して配置だ。走行中の列車を一度撤去してから,二つの列車を別々の駅または複線区間の中間地点に配置すると,位置関係が分かりやすい。貨物列車も同じ方法で2編成にすれば,それぞれの駅に資材工場と資材置場を設置して,どちらの駅にも資材を供給できるようになる
駅をクリックすると,1日の乗降客数,資材入出荷数といった情報を見られるほか,列車ごとに発車方向,動作モード(停車,発車時間,通過,到着待,対向待,追越待)といった簡単なダイヤ設定ができる。
しかし,標準状態ではあまりにも簡易すぎて使いにくいため,[Option]メニューの[ダイヤグラム]より[詳細ダイヤグラム設定にする]をチェックしよう。これでホームごとのダイヤ設定が可能になり,さらに1分単位の列車運行,季節や曜日などの運行予定,乗客の乗り降り,資材の積み下ろしなど細かいダイヤ設定ができるようになる。設定したい項目を選択して表示させられるのも嬉しいところだ。
初心者がマニアックなダイヤグラムを組む必要はない。例えば住宅地は朝の乗客が多く,商業地などは夕方の帰宅時間に乗客が多くなるので,そのように設定するだけでも収益を伸ばせる。深夜は当然,利用客が少ないので運行をストップするのも手だ。
資材工場は平日のみ資材を生産するので,貨物列車はダイヤ設定で平日運行に設定するといい。資材工場を多めに建てて,土日も貨物列車を走らせて資材運搬するのももちろんアリである。
鉄道以外にも,「バス」で乗客を,「トラック」で資材を運搬できる。この二つはもちろん線路ではなく「道路」を走り,鉄道ほど大量の運搬はできないが,そのぶん小回りが利くというメリットがある。鉄道と同じくバス/トラックも収益が計上されるので,ぜひ黒字運行できるようにしたい。
駅の代わりとして,バスは「バス停」(始発,側道,引込)や「バスターミナル」,トラックは「配送所」(始発,側道,引込)や「配送センター」(同時に4台のトラックを停車させられる)を道路上に設置する必要がある。またポイントのように,交差点でどの方向に曲がるかを設定することでルート設定ができるようになっている。鉄道と同様にダイヤ設定も可能だ。細かいところでは,交差点の信号機が赤から青に切り替わる間隔も設定できるのだが,う〜む,どう運行に影響が出るのかはイマイチ分からない。
道路にはバス/トラックを走らせる以外に,その存在自体が地価を上げ,街の発展に大きな影響を与えるというメリットもある。駅を建てたら,そこから道路を伸ばしてみれば,何もない状態よりも開発に勢いが出るはずだ。
今回はA列車シリーズに欠かせない「鉄道の基本」と,「資材」というものについて主に紹介してみた。何をしていいのやらサッパリだった初心者社長が,駆け出しの一歩を踏み出せたら幸いだ。1000億円の資金などは大金でもなんでもなく,慌てて都市開発しようとすると,すぐに経営破綻してしまう本作。最初は小さなローカル線を運行するこぢんまりとした私鉄会社だと思って,あまりいろいろなところに手を出さず,ゆっくりじっくりと路線を広げていくようにするといいだろう。
というわけで次回は,列車乗客を増やすために,そして街の景観を高めるために必要不可欠な「子会社」の経営&管理,そして赤字路線より怖い「税金対策」の基本について触れていこう。お楽しみに。
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