プレイレポート
「アルカニア ゴシック4」の楽しみ方を紹介。西欧ファンタジー世界を舞台に,戦いだけではない自由な暮らしを満喫するのだ
人間やオーク,ゴブリンなどが一緒に暮らすファンタジー世界を描いた「Gothic」シリーズは,ヨーロッパでは人気の高いRPGとしてよく知られている。とはいえ,日本での知名度はいまいち。せっかく日本語版が出るのでもったいない,ぜひ知ってもらいたい,というわけだ。
ちなみに,今回の記事ではXbox 360版を使用しているが,開発中のバージョンなので,リリース予定の製品版とは微妙に異なる部分があるかもしれない。その点は,あらかじめご了承願いたい。
アルカニアは,メインとなるストーリーはあるものの,実際には気ままにフィールドを駆けめぐり,人々が集う村などでNPCからさまざまな情報を聞いてクエストに挑んだり,怪しい洞窟などを探検したりなど,プレイヤーの裁量で自由に世界を冒険できる自由度の高いシステムが特徴だ。
ゲームの世界では時間が経過したり,天候が変化したりなど,刻々と状況が変わっていく。NPCの動きもリアルで,雨が降ると酒場に駆け込んで一杯やり,雨がやむと店を出て行く。人々が寝ているらしい夜は人の姿が減り,代わりに騎士達がタイマツ片手に見張りに立つなど,ファンタジー世界ならではの生活感にあふれる描写が見られる。
キャラクターカスタマイズについては,顔のパーツを細かく調整してオリジナルの主人公を作るとか,性別を選ぶといったことはできないが,装備品で能力をアップさせたり,見た目を若干変えられる。スキルの選択も自由で,どのように育成していくかはプレイヤー次第だ。
シリーズ初となるコンシューマゲーム機向けタイトル
コントローラで遊びやすいよう,工夫された操作
基本操作は,左スティックでキャラクターの操作,右スティックでカメラの操作,Aボタンで決定,Bボタンでジャンプ,Xボタンで近接武器での攻撃,Yボタンでブロックといった具合。メニュー画面へは,スタートボタンを押すことでアクセスできる。少しいじっていればすぐに覚えられる感じで,普段からコンシューマ機でゲームを遊んでいるなら,問題なく操作できるだろう。
戦闘は,Xボタンの連打だけでコンボが出せるお手軽仕様で,敵があまり強くない場合など,それだけで全滅させられるだろう。そのほか,Rトリガーで弓矢を使い,RBボタンで魔法攻撃が出せる。このように,攻撃が3つのボタン(トリガー)にまとめられているため,例えば魔法を使って敵の動きを止め,近接武器で攻撃といった動きも簡単に行えるのだ。手軽な操作で,さまざまなアクションを繰り出せるのが楽しい。
スタミナはスキルを使ったときに,また,マナは魔法を使ったときそれぞれ消費される。体力と同じく,じっとしているだけで勝手に回復するが,強敵と戦っているときなど,すぐに回復させたい場合は,スタミナ/マナ専用のポーションを使うことになるだろう。
体力,スタミナ,マナの下にはバーがあり,これは現在獲得している経験値の量を示す。バーが満タンになるとレベルアップするが,そのとき何ができるのかについては,のちほど説明しよう。
序盤はチュートリアルクエスト
説明書を読まなくてもゲームのシステムを学べる
ここで,アルカニアの舞台を紹介しよう。ゲームのスタート地点は「フェシル」という小さな村で,主人公は羊飼いの青年だ。とはいえ,どうやら秘められた力を持っているようで,剣や弓矢などの武器を使いこなしたり,なぜか魔法も使えるなど,タダ者ではない。
この試練をクリアしたあと,主人公はある用事を済ませるために,村から離れる。彼が村を出ている間,夢の中に出てきたロバール3世が率いるミルタナ王国の騎士団が村に攻め込み,フェシルは壊滅してしまう。生き残った主人公は,自分のすべてを奪ったミルタナ王国に復讐するため,冒険の旅へ向かうというわけだ。
ここからゲームが本格的に始まるのだが,アルカニアには「ゴシック物語」というメインクエストが用意されており,ストーリーの進行状況によって,ここに新しい項目が追加されていく仕組みだ。
クエストはかなり多数用意されていて,マップで発生ポイントが確認できる。誰に話を聞けばいいかは,対象となるNPCの頭上に「!」マークが示されているので,すぐに分かる。ここでその人物に話しかければ,クエストを請け負えるわけだ。
発生するクエストはゴシック物語に絡むメインのものと,サブクエストがあるが,複数のクエストが同時に受注できるし,受けたクエストをどの順番からクリアしても構わない。とりあえず受けるだけ受けて,面倒そうなものは放置しておいても問題なし。
クエストで行くべき場所には,マップに「○」マークが付いているので,そこを目指して進めば迷わないだろう。コンシューマ機向けタイトルらしく,いろいろとユーザーフレンドリーな仕様になっており,プレイしやすい。
優先的にクリアしたいクエストは,ハイライト表示にしておくと分かりやすい。目標地点となる○マークが赤く表示され,よく目立つ |
クエストとは関係ない相手でも,話しかけるとさまざまな情報が得られる。名前のあるNPCには積極的に話しかけよう |
テレポーターを使えば,特定のポイントへ瞬時に移動できる。徒歩での移動が基本のこの世界では,重宝する施設だ |
レベルアップでパワーアップ
スキルの覚え方次第で,キャラクターの個性がつけられる
アルカニアでは,敵を倒したりクエストで目的を達成することで経験値が得られる。画面下部には経験値の獲得量を表示するバーがあり,これが一杯になればレベルアップする。レベルアップによって体力や攻撃力といったパラメータが上昇し,スキルポイントが3つもらえる。
スキルには,「気骨」「正確」「隠密」といった8つのカテゴリーが用意され,ポイントを割り振ることでこれらのいずれかが上昇していくというシステムだ。また,特定のレベルに達すると「ユニークスキル」も使えるようになる。
スキルが上がれば,攻撃後にタイミングよくボタンを押すことで,スタミナを消費して連続攻撃を繰り出したり,弓矢で狙いを定める際,ズームインで狙いが付けやすくなるといったことができるようになる。
また魔法では,「炎ダメージ+追加ダメージ」「氷ダメージ+行動速度のダウン」「雷ダメージ+麻痺」といった具合に追加効果が使えるようになる。これらの追加効果は十字ボタンに割り振ってあるので,状況に応じて素早く切り替えよう。
いずれにせよ,こうしたシステムによって,プレイヤーごとに個性的な主人公を育てることができる。きっと,RPGの醍醐味を体感できるはずだ。
個人的には,普通に敵を倒していってもそれほど多くの経験値を得られないが,クエスト中に敵を倒すと,より多く経験値をもらえるという印象を受けた。クエストは大小合わせてかなりの数が用意されているので,メインクエストにこだわらず,多少寄り道してクエストをこなしながら進めていくほうが,成長は早まりそうだ。
アイテムコレクションも楽しめる
素材を集めて新たなアイテムを作るのも楽しい
アルカニアには,クエスト同様,かなりの数のアイテムが用意されている。カテゴリーとしては以下に述べる7つがあり,それぞれのアイテムは「店で買う」だけでなく,「フィールドで拾う」「倒した敵から奪う」など,さまざまな手段で入手可能だ。主人公に武器や防具を装備させると,見た目にも反映されるので,気に入ったコーディネイトを見つけるという楽しさもありそうだ。では,カテゴリーについて紹介しよう。
・近距離攻撃用武器
その名のとおり,剣や斧など接近戦で使用する武器を指す。近接武器としては片手で持てるものと,両手で持つ巨大なものの2種類が用意され,両手武器の場合,敵の攻撃を武器で防ぐこともできる。
・遠距離攻撃用武器
弓や弩などの遠距離攻撃用の武器。弓なら普通の矢だけでなく火矢を放てるし,弩なら太矢という威力の高い矢を使える。どちらもヘッドショットなら,ダメージ30%アップ。
・装備品
装備品という名称が少々紛らわしいが,鎧,兜,盾,アクセサリなどの防具のことだ。
・消耗品
体力やスタミナなどを回復するポーションや食料品などを指す。
・その他
錬金術や料理の材料になる,各種素材のことを指す。
・クエストアイテム
読んで字のごとく,クエストをクリアするために必要となるアイテムのことだ。
・巻物
料理のレシピ,錬金術でアイテムを作る際に必要な「錬金調合書」などを指す。レシピや錬金調合書を使用すると,「アイテム生成」メニューにその項目が追加される。ほかには,マナを消費せずに使える「ルーン」というマジックアイテムや,使い捨ての巻物なども,巻物のカテゴリーとして扱われる。
巻物の項目でも少し触れているが,アイテム生成がアルカニアの大きな特徴だろう。店で購入したり,クエストクリア時の報酬として得られるレシピや錬金調合書を使うことで,食材を組み合わせた料理(回復アイテム)や,戦闘補助アイテムを作ることができるのだ。
装備品も作れるので,素材を集めて剣や篭手などを作り,冒険のすべてを自給自足でまかなうことも可能だ。アイテム生成のために特定の場所に行く必要はなく,どこでも可能になっている。素材さえあれば,戦闘中でもポーションが作れ,それを使って体力を回復させたりできるので,これはプレイの幅を広げる非常に便利なシステムだといえる。
素材と素材の組み合わせて新しいアイテムを作ること自体が面白いし,さまざまなアイテムをコレクションしていくという楽しさもある。
ファンタジーテイストのRPGを遊びたいならこれ
マニアから初心者までオススメできる一本
さまざまなクエストを追ってもいいし,ストーリーとは関係なく,フィールドを歩き回ってもいい。素材を集めてアイテムを作ったりなど,この世界での生活を好きなように楽しめるところが,アルカニアの最大の魅力だと思う。
街や集落にいるNPCと会話して情報を聞くことで,世界観の理解も進んでいくし,簡単操作でさまざまなアクションが繰り出せる戦闘を楽しんでもいい。いろいろなことをすればするほど,ゲームが楽しくなっていくのだ。
ローカライズも丁寧に行われており,メニューまわりはもちろんのこと,膨大なテキストもしっかりとした文章に落とされているので,会話の内容も理解しやすい。チュートリアルも充実しており,ゲーム内で新たな要素が発生すれば,必要な情報がポップアップしてくれるという仕様も親切だ。
ファンタジーテイスト溢れるシングルプレイRPGに仕上がっており,マニアから海外RPG初心者にもオススメできる一本といえるだろう。さて,今回はシステム面を中心に紹介したが,次回からは別の切り口で魅力を紹介していこうと思う。お楽しみに。
「アルカニア ゴシック 4」公式サイト
- 関連タイトル:
アルカニア ゴシック 4
- 関連タイトル:
アルカニア ゴシック 4
- この記事のURL:
キーワード
Arcania - A Gothic Tale (c) 2009 by BVT Games Fund III Dynamic GmbH & Co. KG, Germany. Published by JoWooD Entertainment AG, Austria. Developed by Spellbound Entertainment AG, Germany. The JoWooD design and mark are registered trademarks of JoWooD Entertainment AG. The Dreamcatcher design and mark are registered trademarks of Dreamcatcher. All other brands, product names and logos are trademarks or registered trademarks of their respective owners. Gothic und Piranha Bytes sind eingetragene Marken der Pluto 13 GmbH. All rights reserved.
Arcania - A Gothic Tale (c) 2009 by BVT Games Fund III Dynamic GmbH & Co. KG, Germany. Published by JoWooD Entertainment AG, Austria. Developed by Spellbound Entertainment AG, Germany. The JoWooD design and mark are registered trademarks of JoWooD Entertainment AG. The Dreamcatcher design and mark are registered trademarks of Dreamcatcher. All other brands, product names and logos are trademarks or registered trademarks of their respective owners. Gothic und Piranha Bytes sind eingetragene Marken der Pluto 13 GmbH. All rights reserved.