プレイレポート
手のひらサイズのダンジョンで終わりなきハック&スラッシュを。iPhone4/iPod touch/iPad用「Wizardry 囚われし魂の迷宮」を紹介
「Wizardry 囚われし魂の迷宮」公式サイト
「Wizardry 囚われし魂の迷宮」ダウンロード(iTunes App Store)
本稿では,「Wizardry 囚われし魂の迷宮」の概要を紹介しつつ,iPhoneで実際にプレイした印象などもお伝えしていこう。
iPadでプレイした場合のイメージ |
iPhoneでプレイした場合のイメージ |
いつでもどこでもキャラメイクができる喜び
「Wizardry」がついにiPhone / iPadへ移植
その後,Wizardryはシリーズを重ねるたびにファンを拡大していき,同シリーズに影響を受けた世界中のゲームクリエイター達も,数々のダンジョンRPGを生み出してきた。現在日本でも,Wizardryを愛したクリエイター達が積極的にダンジョンRPGを作っているし,コンピュータRPGの古典的名作であるWizardryのブランド再生プロジェクト「ウィザードリィルネサンス」も展開されている。そして,今回紹介する「Wizardry 囚われし魂の迷宮」は,そのルネサンス作品として登場したPS3版「囚われし魂の迷宮」の,初の移植版となる。
キャラクターメイキングでは,ヒューマン,ポークル(Wizardryでいうところのホビット),ノーム,ドワーフ,エルフという5種類の種族と,戦士,魔術士,僧侶,盗賊,司祭,侍,君主,忍者という8種類の職業が用意されている。具体的には,種族(性別)を選んだあとに名前,性格,職業を選び,ランダムに与えられるボーナスポイントを,各パラメータ(STR/INT/PIE/VIT/AGI/LUC)に割り振ることで,最終的に職業を決定するという流れだ。
筆者もさっそく,ギルドでパーティを編成し,ダンジョンへ向かってみたのだが……さすがはWizardryの名を冠するタイトル。戦闘で,考えなしに“戦う”ばかりを選んでいると,すぐにパーティが全滅してしまう。職業ごとに用意されたスキルや各種呪文を使いこなしていかなければ,ダンジョンから生還するのは難しいのだ。
それだけに,敵の特徴をしっかりと把握し,最適なタイミングで効果的な呪文を使い,それをきっかけに敵を全滅させられたときには,想像以上の喜びが得られる。敵グループの構成と自分のパーティ編成から導き出される“さえたやり方”を考えられるようになると,本作の戦闘は一気に面白みを増してくる。高ダメージの攻撃魔法を連発しているだけで敵を倒せてしまうようなRPGを「ぬるい」と考える人にとって,本作の戦闘は確かな満足感を与えてくれるだろう。
全滅なんて当たり前!? シビアなゲームバランスと
“たまに起きる良いこと”が生む高い中毒性
本作のエンカウント率はそれなりに高く,ダンジョンを適当にぶらついているだけですぐに戦闘が発生する。場合によっては前列/後列合わせて8体ほどの敵と戦うことになるので,先述したデバフや範囲攻撃魔法,回復魔法の使いどころが非常に重要となる。ゲームに慣れるまでは,回復魔法の使い手(僧侶や司祭など)を2人ほど入れておくといいかもしれない。万全を期するなら,道具屋で回復アイテムを購入しておくといいだろう。
……とはいえ,どれほど準備万端であっても常に死と隣り合わせの冒険が待ち受けるのが,Wizardryシリーズの恐ろしいところであり,面白いところ。敵を倒して宝箱を得ても,そこには極悪なトラップしかけられていることがあるし,死んだキャラを蘇らせる際に,運が悪いと灰になって,最悪の場合は消えてしまうこともある(いわゆる“ロスト”)。
それでも,運良く強力な装備を入手できたり,レベルアップの際に複数の能力がアップしたりすることもあり,そういった“たまに起きる良いこと”が,挫けそうになったプレイヤーの心を鼓舞し,強烈な中毒性を生むのだ。この感覚は,1度や2度パーティを全滅させたくらいでは理解できないかもしれないが,その境地に達することができれば,シビアな戦闘バランスも,意地悪な謎解きも,そして“最強”への長い道のりさえも,楽しいものに思えてくるはずだ。
なお本作には,メインビジュアルに末弥 純氏,テーマソングに伊藤賢治氏,キャラクターデザインに隼 優紀氏が起用されており,ゲームの世界観に独特の彩りを添えている。実力と人気を兼ね備えたクリエイター陣の存在は,「Wizardry 囚われし魂の迷宮」ならではの魅力といえる。
タッチ操作は若干難あり?
改善パッチの登場に期待したい
まずタッチ操作についてだが,筆者の個人的な感想としては,全体的に文字が小さく,コマンドなどを選ぶ際に若干窮屈な感じがした。iPadでプレイすれば,そのあたりの問題は解決しそうだが,iPhoneでのプレイ時にはどうしてもタッチミスが多くなり,ストレスを感じる場面があった。
また,ダンジョン内の移動時には,画面の左右にキャラの顔グラフィックスが表示されるのだが,それによって左右の状況確認がしづらくなっており,やや反応の良すぎる移動操作と相まって,スムーズな移動が行いにくい印象を受けた。
最後は厳しい意見も述べたが,それは本作が,iPhone / iPod Touch / iPadに初めてやってきた“Wizardry”だからこそ。とくに,全世界のプレイヤーに再びWizardryという“ブランド”を広く認知させることを目的とした,ウィザードリィルネサンス第1弾タイトルの移植作なのだから,iPhoneユーザーもワクワクしながら本作の登場を待っていたはずだ。彼らにWizardryならではの緊張感,興奮,悲壮感を味わってもらうためにも,継続的なアップデートに期待したいところだ。
ちなみに本作では,拡張シナリオを含む追加コンテンツの有料配信がスタートしている(関連記事)。すでに圧倒的なやりこみ要素が約束されているだけに,できるだけ早いタイミングで快適な操作性を実現してもらい,終わりのないハック&スラッシュの冒険へ我々を誘ってもらいたいところだ。
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